
■ 今回の論文テーマ「小腸内細菌異常増殖(SIBO)に対する漢方的アプローチ」
福岡にて伝統漢方研究会・全国大会「伝統革新〜受け継ぐ力、広がる可能性〜」に参加し論文発表を行ってきました。
今回のテーマは、近年注目されている 「小腸内細菌異常増殖(SIBO/シーボ)」 に関するもの。まだ医学的にも研究の進む領域で、漢方薬局としての臨床経験を共有できる貴重な機会となりました。

「小腸内細菌異常増殖(SIBO)に対する漢方的アプローチ」
SIBOとは、小腸で細菌が異常に増えることで腹部の張り・ゲップ・腹痛・下痢や便秘など多くの症状を引き起こす疾患です。
2020年頃に概念が整理されてきた比較的新しい病気で、現代の食生活・ストレス環境とも相性が強く、患者数は今後さらに増えると言われています。
今回の発表では、太陽堂で実際に改善が見られた 2つの症例 を紹介し、それぞれの回復プロセス、背景にあった体質、食事やストレスとの関係などを詳細にまとめました。
■ 発表内容のポイント
前原が強調していたのは、
「SIBOは“腸の病気”ではなく、全身状態のバランスが崩れた結果として現れる」
という視点です。
症状として多いのは、
- 腹部膨満感
- 異常な量のゲップ
- 下痢・便秘の反復
- 胃酸の逆流
などですが、それらを引き起こす“根の原因”は人によってまったく異なります。
① 胃の働きが弱く、細菌が小腸に流れ込みやすいタイプ
ピロリ菌感染や胃酸分泌抑制薬の長期服用、加齢などで胃酸が弱り、細菌が小腸へ流れ込みやすくなるケースです。
症例では、数十年以上お腹の不調に悩んできた方が、漢方の継続により数ヶ月で膨満感が軽減し、1年を超える頃には「人生でこんなに調子が良いのは初めて」と話すほど安定した状態に。
長年改善しなかった症状に変化が見られたことは、会場でも大きな関心を集めました。
② ストレスや自律神経の乱れから腸の動きが弱っているタイプ
SIBOは精神状態の影響を受けやすい疾患でもあります。
ストレスで腸の蠕動運動(ぜんどう)が鈍くなると、食べ物が小腸に滞りやすくなり、細菌が増殖しやすい環境になります。
症例では、腹痛・下痢・ゲップが顕著だった方が、数ヶ月の漢方と生活調整によって症状が和らぎ、半年を過ぎる頃にはほとんど日常生活に支障がなくなったケースを紹介しました。
■ 会場での反響
発表後は、先生方から多くの質問が寄せられました。
- 「胃酸低下と細菌増殖の関係をどう見ているか」
- 「食事療法(低FODMAP食)で悪化する理由について」
- 「ストレスと腸内環境をどう評価しているか」
- 「煎じ薬での成分変化についての考察」
など、臨床・学術の両側面から深い議論が交わされました。
特に会場が沸いたのが、
“煎じることで生まれる成分の変化が、SIBO改善に寄与している可能性”
という前原の考察です。
生薬の組み合わせや煎じ方で、新しい働きが生まれる――
この視点に「面白い」「もっと調べたい」と興味を示す先生が多く、漢方の可能性を改めて感じる場となりました。
■ 最後に
今回の発表を通し、前原が強く感じていたのは、
「腸は全身の鏡であり、心と体のバランスが最も表れやすい場所である」
ということ。
SIBOはまだ研究途中の疾患ですが、漢方の視点を取り入れることで、これまで改善が難しかった症状が大きく変化したケースも多くあります。
太陽堂としても、これからも生薬・漢方の可能性を追求し、同じ悩みを抱える方の力になれるよう努力してまいります。
大会運営のみなさま、全国の先生方、本当にありがとうございました。

太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。


