
「煎じ薬を始めたけれど、毎回作るのが大変……。まとめて作っておいてもいいの?」
「冷蔵庫から出した煎じ薬、電子レンジで温めても大丈夫?」
「底にたまるドロッとしたもの、残していいのか分からない……」
煎じ薬(せんじやく:生薬を鍋ややかんで煮出して作る、お茶のような漢方薬のことです)を飲み始めた方から、太陽堂の店頭でよくいただくのが、こうした「作り方・飲み方」の細かなご質問です。
粉薬なら水か白湯で飲むだけですが、煎じ薬は「作る」ところから始まります。だからこそ、小さな疑問をそのままにせず、ご自身が続けやすい形を一緒に見つけていくことが大切です。
この記事では、新宿の漢方薬局「太陽堂」の薬剤師が店頭で実際にお伝えしている言葉をもとに、煎じ薬ならではの疑問にQ&A形式でお答えします。これから煎じ薬を始めるか迷っている方にも、すでに飲んでいる方にも役立つ内容です。
【この記事の結論:煎じ薬を続けるためのポイント】
- 作り方: 煮出す時間や水の量は、お渡しする説明書に沿って作ります(店頭では「45〜50分ほど煮出す」とご説明している例があります)。作り置きは、一度に最大3日分までです。
- 飲み方: 作り置きした分は、人肌以上に温め直して飲みます(湯煎でも電子レンジでも構いません)。底にたまる沈殿も、できれば全部飲みます。
- 続け方: 苦いときは、飲んだ後に純正の蜂蜜をなめる方法があります。食後に飲むなら1〜2時間あけて。旅行や外出には、水筒での持ち運びや、粉薬への置き換えという方法もあります。
粉薬も含めた漢方の飲み方の基本(食前・食間に飲む理由など)は、こちらの記事でまとめています。
結論|煎じ薬は「まとめて作って、温めて、全部飲む」
煎じ薬を続けるための基本は、次の3つにまとめられます。
「一度に最大3日分までまとめて作る」「人肌以上に温めて飲む」「底の沈殿まで、できれば全部飲む」——この3つです。
毎日お鍋に向かう必要はありません。2〜3日に1度まとめて作れば、あとは温めて飲むだけです。
店頭でも、「朝と夜とかで1日2回、コップ1杯程度の煎じ茶をお飲みいただく」形が多いこと、そして「だんだん慣れてくると、そこまでご負担なく取り入れていただける」ことをお伝えしています。
そのうえで、旅行や忙しい時期には粉薬に置き換えるなど、生活に合わせて形を変えることもできます。煎じ薬か粉薬かは「どちらが上」という話ではなく、あなたの生活の中で無理なく続けられるほうを選ぶものです。
作り方の疑問|何分煮出す?何日分まとめて作れる?
Q. どのくらいの時間、煮出せばいいですか?
煮出す時間や水の量は、処方の内容によって変わることがあります。まずは、お渡しする説明書に沿って作ってください。
目安として、店頭では「45〜50分ほど煮出す」とご説明している例があります。初めての方には、お渡しのときに作り方を一つずつご説明しますので、分からない点はその場で遠慮なく聞いてください。
Q. 何日分まとめて作っておけますか?
店頭では、「一度に最大まとめて3日分は作り置きができます」とお伝えしています。
3日に1度まとめて作るペースの方もいれば、2日に1度作るペースに慣れている方もいらっしゃいます。3日分までの範囲であれば、ご自身の生活リズムで続けやすいほうを選んでください。
作り置きした分の保存のしかたも、お渡しする説明書に沿ってください。冷蔵庫に入れておき、飲む分を温め直している方もいらっしゃいます。
飲み方の疑問|温め直し・電子レンジ・底の沈殿
Q. 作り置きした煎じ薬は、温め直したほうがいいですか?
はい、温めて飲むのがおすすめです。
煎じ薬の中には、冷たいままだと胃を刺激しやすい成分が含まれていることがあります。店頭では、「温めると、その胃の刺激が減るのと、吸収性が安定する」とお伝えしています。
Q. 電子レンジで温めてもいいですか?
はい、電子レンジでも大丈夫です。
店頭では「人肌以上ぐらいに温めるぐらいでしたら、もう湯煎でも電子レンジでもどちらでも」とお伝えしています。お鍋で温め直す時間がない朝などは、電子レンジを使って構いません。
目安は「人肌以上」です。ご自身が飲みやすい温度に温めてください。
Q. 底にたまる沈殿(ドロッとしたもの)は飲むものですか?
煎じ薬を置いておくと、底に細かな沈殿がたまることがあります。「残したほうがいいのかな」と迷う方も多いのですが、店頭では「できれば全部飲んでいただくタイプ」とお伝えしています。
沈殿が気になって飲みにくいときは、お湯で少し薄めても構いません。「お湯で薄めたりとか、全部お飲みいただけるのであれば大丈夫です」というのが、店頭でのご説明です。
続け方の疑問|苦いとき・食後に飲むとき・旅行のとき
Q. 苦くて飲みにくいときは、どうすればいいですか?
煎じ薬は生薬そのものを煮出して作るため、香りや味をしっかり感じやすいお薬です。
苦味がつらいときに店頭でご案内しているのが、飲んだ後に純正の蜂蜜をなめるという方法です。煎じ薬を飲み切ってから、口直しに少しなめるイメージです。
粉薬も含めた「苦い・飲みにくい」の工夫は、冒頭でご紹介した「漢方の正しい飲み方」の記事にもまとめています。それでも飲むこと自体がつらくなってきたら、無理に続けず、早めにご相談ください。
Q. 食後に飲んでもいいですか?何時間あければいい?
漢方は食前や食間に飲むのが基本ですが、生活の都合で、どうしても食後になる方もいらっしゃいます。
その場合、店頭では「ご飯食べた後にちょっと間を空けてから煎じたお茶を飲んで」いただくようお伝えしています。目安は、食後1〜2時間ほどあけてからです。
食べてすぐに飲むのではなく、少し時間をおくのがポイントです。飲む時間帯は処方によって違うこともあるので、お渡しのときの説明もあわせて確認してください。
Q. 旅行や外出のときは、どうすればいいですか?
煎じ薬を飲んでいる方が迷いやすいのが、旅行や出張、長い外出のときです。方法は大きく2つあります。
- 作り置きを持ち歩く: 店頭では「作り置きしたものを水筒とか、ペットボトルとかに入れて持ち運びされている方がいらっしゃいます」とお伝えしています。短い旅行や外出なら、この方法で続けている方もいます。
- 粉薬に置き換える: 日数の長い旅行などでは、「煎じ薬の代わりの粉薬」として、粉薬をお渡しすることもあります。
旅行の予定が決まったら、出発の前に一言お知らせください。日数に合わせて、煎じ薬と粉薬の分け方をご相談できます。
また、調子が落ち着いてきて「飲む回数や量を減らしたい」と感じたときの進め方は、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
粉薬と煎じ薬の違い|選ぶのは「生活に合うほう」
「粉薬と煎じ薬、どちらを選べばいいの?」というご質問もよくいただきます。店頭でご説明している違いを、表にまとめました。
| 比べるところ | 煎じ薬 | 粉薬 |
| どんなもの | 生薬をお鍋ややかんで煮出して作る、お茶のような漢方薬 | 粉の形の漢方薬。水か白湯で飲む |
| 手間 | 煮出す手間がある(まとめて作れば最大3日分) | 作る手間がなく、すぐに飲める |
| 飲むときの温度 | 作り置きは人肌以上に温め直して飲む | 水か白湯で飲む |
| 持ち運び | 水筒やペットボトルで持ち歩く方もいる | 持ち運びやすい。旅行のときに煎じ薬の代わりとしてお渡しすることもある |
| 店頭での使い方の例 | 体調に合わせて、生薬を1種類足す・組み替えるといった調整をすることがある | 煮出すのに向かない成分は、粉薬にしてお出しすることがある |
| こんな方に | ご自宅で煮出す時間を取れる方 | お仕事などで忙しい方、外出の多い方 |
煎じ薬と粉薬を組み合わせてお出しすることもあります。たとえば、煎じ薬を朝と夕の1日2回、粉薬を1日1回、といった形です。
どの形にするかは、症状や体質だけでなく、あなたの生活リズムやご予算も伺いながら、一緒に決めていきます。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状の改善を保証するものではありません。
【薬剤師コラム①】出来上がりの量や濃さが違っても、まず教えてください
担当薬剤師:石川
煎じ薬は、同じ生薬・同じ説明書で作っても、その時の火加減などによって、出来上がりの濃さや量が少し変わってくることがあります。
実際に、出来上がりの量の目安を取り違えて、多めに作ってしまっていた方もいらっしゃいました。その方は今、少なめに煮出して、3日分をまとめて作る形で続けていらっしゃいます。
煎じ薬を始める方には、3日に1度まとめて作っていただく形をご案内しています。「作り方、これで合っているのかな」と思ったときは、次のご来店のときや、お電話・メール・LINEでのご連絡のときに、遠慮なく聞いてください。
よくあるご質問(FAQ)
煎じ薬を作るのに、専用の道具は必要ですか?
最初は、ご家庭のやかんやお鍋で始められます。
やかんやお鍋は、鉄製以外のものをお使いください。煎じ専用の器具(煎じ器)もお店にありますが、最初から買いそろえなくても大丈夫です。続けていく中で「もう少し手軽にしたい」と感じたら、そのときにご相談ください。
煎じ薬と丸薬(粉薬)を一緒に出されました。同じタイミングで飲んでいいですか?
基本的には、同じタイミングで飲んでいただいて大丈夫です。
店頭でも、煎じ薬と丸薬について「同じタイミングでも大丈夫」とお伝えしています。ただし、組み合わせによっては時間をずらすようにご案内することもあります。お渡しのときの説明を優先して飲んでください。
1日2回の煎じ薬、夕方の分をよく飲み忘れてしまいます。
飲み忘れが続くときは、飲み方そのものを見直すご相談ができます。
旅行などで一度リズムが崩れると、夕方の分を飲み忘れがちになる、というお話を店頭で伺うことがあります。体調が落ち着いている方であれば、今の状態を確かめたうえで、全体の量を見直して1日1回の形に組み直すこともあります。
飲み忘れたときの基本的な考え方は、「漢方の正しい飲み方」の記事で解説しています。作り置きの分が余ってしまったときは、自己判断で飲み方を変えず、お気軽にご相談ください。
煎じ薬の費用はどのくらいですか?
目安は週5,000円前後〜(月2万円前後から)です。ご相談料は無料です。
処方の内容や、粉薬を組み合わせるかどうかによって変わります。ご予算のご希望も含めて、ご相談のときに遠慮なくお聞かせください。
遠方に住んでいても、煎じ薬を続けられますか?
はい。郵送でお届けすることもできます。
お手持ちの漢方薬がなくなる5日前くらいまでに、お電話・メール・LINEなどで、今の体調と一緒にご連絡ください。体調を伺ったうえで、次の分をお作りしてお送りします。初めてのご相談も、ヒアリングシートのやり取りで全国から承っています。
煎じ薬を飲んでいて、いつもと違う症状が出たらどうすればいいですか?
いったん飲むのをお休みして、早めにご連絡ください。
店頭では、「漢方って食材の一種になってきますので、食材でも蕁麻疹が出るように、何かで反応が出る可能性はゼロではない」とお伝えしています。
体に合わないと感じたら、我慢して飲み続けず、今の様子をお知らせください。必要に応じて内容を見直します。病院で治療中の方や、ほかのお薬を飲んでいる方は、ご相談のときに忘れずにお知らせください。
煎じ薬を作る水は、水道水・浄水・ミネラルウォーターのどれがいいですか?
店頭では、カルキ(塩素)を除いた浄水をおすすめしています。
ミネラルの多い水だと、生薬の成分とミネラルが結びついて、成分の出方が少し下がるかもしれないと考えています。そのため、ミネラルウォーターで煎じるのはあまりおすすめしていません。
水道水でも作れますが、カルキのにおいが気になる方は浄水のほうがよいでしょう。
お渡しした煎じ薬や粉薬は、どのくらい保存できますか?
お渡しした漢方は、だいたい3〜6か月以内にお飲みいただくようお伝えしています。
保管するときは、袋の口を閉じたうえでジップロックなどの密封できる袋に入れ、ほかの食材ににおいが移らないようにしてください。
煎じたあとの作り置きは、これとは別です。作り置きの目安は、本文の「作り置き」の項目とお渡しする説明書をご覧ください。
【薬剤師コラム②】煎じ薬と粉薬、どう組み合わせるか
担当薬剤師:林
煎じ薬は、45〜50分ほど煮出していただくもので、3日分をまとめて作ることができます。ご相談のときには、こうした作り方の手間も含めてお話ししています。
一方で、漢方に使う成分の中には、煮出すのに向かないものもあります。煎じられない成分があるときは、煎じ薬ではなく粉薬にしてお出ししています。
煎じ薬と粉薬を両方使うと、1日に飲む回数も費用も増えます。そのため、まずは粉薬で始めて、煎じ薬を足すかどうかは様子を見てから考える、という進め方をご提案することもあります。飲む回数や費用も含めて、ご相談のうえで一緒に決めていきましょう。
まとめ|煎じ薬は「続けやすい形」を一緒に見つけるもの
煎じ薬のよくある疑問を、最後にもう一度振り返ります。
- 作り置きは一度に最大3日分まで。煮出す時間や水の量は、お渡しする説明書に沿って。
- 作り置きは人肌以上に温め直す(湯煎でも電子レンジでも)。底の沈殿も、できれば全部飲む。
- 苦いときは飲んだ後に蜂蜜を。食後に飲むなら1〜2時間あけて。旅行には水筒や粉薬への置き換えも。
分からないことや続けにくいことがあれば、我慢せずに教えてください。飲み方や形を変えることで、続けやすくなることがあります。
これから煎じ薬を始めるか迷っている方も、飲み始めて「これで合っているのかな」と感じている方も、どうぞお気軽にご相談ください。新宿の漢方薬局「太陽堂」が、あなたの生活と体質に合わせた漢方の続け方をご提案いたします。
ご遠方の方には、ヒアリングシートのやり取りによるご相談も全国から承っておりますので、まずはお気軽にお声がけください。
初めての漢方相談の流れ・持ち物・費用については、こちらのガイドをどうぞ。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。











