
「経血の量が異常に多くて、婦人科でミレーナを勧められた。でも、子宮に器具を入れるのは怖くて迷っている」
「ミレーナを入れてから、少量の不正出血がだらだらとずっと続いている。一体いつまで様子を見ていいの?」
「40代になってから生理の量が急に増え、貧血やふらつきが本当につらい」
「ミレーナを入れない場合、身体の負担を減らすために他にどんな選択肢があるのか知りたい」
こんにちは。新宿の漢方薬局「太陽堂」です。
40代前後になり、経血量の異常な多さ(過多月経)や貧血に悩み、婦人科を受診した際に「ミレーナ(IUS)」という選択肢を提案される方が近年非常に増えています。
ピルのように毎日飲む必要がなく効果が高いと言われる一方で、「身体の中に数年間も異物を入れたままにする」ということに強い抵抗を感じたり、装着後の不正出血に悩まされたりして、太陽堂にご相談に来られる方が後を絶ちません。
このページでは、ミレーナを勧められて迷っている方、そして装着した後の不調が気になる方に向けて、身体の土台から整える漢方の立場からの考え方を、薬剤師の視点から詳しく整理いたします。
※【ご注意】ミレーナを入れる・入れない、外す・外さないという最終的なご判断は、必ず主治医(婦人科の先生)とご相談ください。この記事は病院の治療を否定するものではなく、どちらの選択をされても身体を内側から支えることができる「漢方の考え方」をご紹介するものです。
【この記事の結論:「ミレーナの悩みと過多月経」に対する漢方の考え方】
- 出血の正体(原因): 西洋医学ではホルモンバランスの乱れや子宮筋腫・子宮腺筋症による過多月経とされますが、漢方では骨盤内の血流の滞り(瘀血:おけつ)や、血を身体に留めておくエネルギーの不足(気虚・血虚)が原因と考えます。
- 漢方の解決策: ミレーナを入れる・入れないにかかわらず、漢方で「血の巡りを整える(瘀血の改善)」「過剰な出血を落ち着かせる(止血)」「失われた血を補う(補血)」という土台づくりを並走して行います。
- 対象となる主な疾患・お悩み: 過多月経(経血量が多い)、子宮筋腫、子宮腺筋症、ミレーナ装着前の迷い、ミレーナ装着後の不正出血や不調、ひどい貧血やふらつき
なお、経血量が多くなる背景になりやすい病気そのものの解説と症例は、子宮腺筋症の専門ページと子宮筋腫の専門ページにまとめています。この記事では「ミレーナとの付き合い方と、体質側の整え方」に絞ってお話しします。
ミレーナとは?なぜ「経血量が多い方」に勧められるのか(西洋医学の視点)
ミレーナ(正式名称:レボノルゲストレル放出子宮内システム / IUS)は、柔らかいプラスチックでできたT字型の小さな器具を子宮の中に直接装着する治療法です。
器具から「黄体ホルモン(レボノルゲストレル)」という女性ホルモンが子宮内へ持続的に少しずつ放出され、子宮内膜が厚くなるのを局所的に抑える働きをします。内膜が薄く保たれるため、結果として生理のときの出血量(経血)が大きく減り、生理痛も軽くなります。
もともとは避妊リングとして開発されましたが、現在では「過多月経」や「月経困難症」の治療薬として健康保険が適用されるため、婦人科で積極的に提案されるようになっています。
なぜ40代で勧められることが多いのか?
ミレーナを選ばれる患者さまは、40代が中心と言われています。この年代は、女性ホルモンのバランスが揺らぎ始める更年期の入り口であり、同時に「子宮筋腫」や「子宮腺筋症」といった疾患が非常に大きくなりやすく、経血量が異常に増える時期でもあります。
「夜用のナプキンが1時間で溢れてしまう」「レバーのような血の塊がボロボロ出る」「貧血で立っていられない」という深刻な悩みの解決策として、一度入れれば最長5年間効果が続くミレーナが勧められるケースが多いのです。
装着後によくある不調と「受診の目安」
効果が高い一方で、身体がミレーナに慣れるまでの間(装着から数ヶ月間)に、次のようなマイナートラブルがよく聞かれます。
- 少量の不正出血がだらだらと長く続く
- 下腹部の張りや軽い痛み
- 気分の浮き沈み、なんとなくの体調不良
装着後の少量の出血は、数ヶ月かけて身体が慣れるにつれて自然に落ち着いていくことが多いとされます。ただし、次のような場合は「ただの様子見」を続けず、装着による体調不良の可能性があるため、早めに婦人科を受診してください。
- 不正出血が「6ヶ月以上」続く、または出血の量が明らかに増えてきた
- 強い下腹部痛がある
- 発熱が続いている
この3つは、太陽堂でも「漢方より先に、まず病院へ」とお伝えする受診の目安です。
【薬剤師コラム①】ミレーナと漢方は「作用の仕方が違う」から併用できる
担当薬剤師:前原
私が調剤薬局に勤務していた頃、経血量の多さ(過多月経)に悩む患者さまに、鎮痛剤や止血剤、そしてピルやミレーナが処方される場面を数多く見てきました。
「ミレーナをすでに入れているのですが、漢方薬を一緒に飲んでも大丈夫ですか?」というご質問をよくいただきますが、答えは『はい、基本的に併用可能です』です。
なぜなら、両者はアプローチの仕方が全く異なるからです。ミレーナは、子宮の中に直接ホルモンを放出して内膜の増殖を「局所的に」抑え込む方法です。一方、漢方薬は、胃腸の働きを良くして新しい血を作り、骨盤内の血流の滞り(瘀血)を流すという、身体全体の「体質バランス(土台)」を整える方法です。
狙う場所もメカニズムも違うため、お互いに反発し合うことはありません。「器具を入れているから漢方にはもう頼れない」ということはありませんので、どうぞご安心ください。
漢方から見た過多月経——「入れる前」と「入れた後」で軸が変わる
太陽堂では、患者さまが「ミレーナを入れる前(迷っている段階)」か「ミレーナを入れた後」かによって、漢方の組み立ての軸を大きく変えて対応します。
① 経血量が多い体質そのものへ(入れる前・入れない選択をした方)
「ミレーナを入れるかどうか」という手段の前に、「そもそも、なぜあなたの身体はそんなに異常な量の出血をしてしまうのか?」という根本の体質の問題があります。
漢方ではここに対して、過剰な出血を落ち着かせる「止血(しけつ)」と、失われた血を補う「補血(ほけつ)」を基本に組み立てます。そして最も重要なのが、根本の体質として血の滞りである「瘀血(おけつ)」がないかどうかの確認です。ドロドロの古い血の巡りが滞ると、子宮筋腫や子宮腺筋症の土台になりやすいと漢方では考えるためです。
| 体質のタイプ | 特徴・サイン | 太陽堂の漢方の方向性 |
| 血が足りないタイプ(血虚) | ひどい貧血、ふらつき、顔色が真っ白、すぐに息切れして疲れやすい | 血をたっぷりと補いながら(補血)、過剰な出血を落ち着かせる |
| 血が滞るタイプ(瘀血) | 経血にレバー状の大きな塊が混じる、生理痛が激しい、頑固な肩こりがある | 骨盤内の血の巡りを強力に整え(活血)、ドロドロの滞りをなめらかに流す |
| 出血が止まりにくいタイプ(気虚) | だらだらと出血が長引く、不正出血を繰り返す、血を留めるエネルギーがない | 身体のエネルギー(気)を補い、過剰な出血をしっかりと抑える生薬を組み合わせる |
実際には、これらが複雑に重なり合っている方がほとんどです。太陽堂では詳しい体質をお伺いしたうえで、お一人おひとりに合わせてこれらの生薬を精密に組み合わせて調合します。
② 装着した後の不調へ(入れた後の不正出血など)
ミレーナを装着した後のだらだらとした不正出血や、気分の不調については、漢方では「ホルモンバランス・自律神経の乱れ」として捉えます。
身体がミレーナに少しずつ慣れていく期間を、血の巡りを整え、心身を安らかに安定させる漢方薬で「下から優しく支える」イメージです。「ミレーナの効果で経血は減って続けたいけれど、このだらだら続く不快な不調をなんとかしたい」という方にとって、漢方は非常に有効な選択肢のひとつになります。
「入れるかどうか迷っている」方へ——太陽堂の考え方
この記事を読んでくださっている方の多くは、「婦人科で強く勧められたけれど、どうしよう……」と深く迷っている段階だと思います。太陽堂の答えはとてもシンプルです。
「入れる・入れないの最終判断は、婦人科の先生とじっくり相談してご自身で決めてください。漢方は、どちらを選んだとしても並走できます」
- 入れることを選んだ方: 装着後の不正出血や体調の揺らぎを、漢方で和らげ下から支えることができます。
- 入れないことを選んだ方: 経血量が異常に多い体質そのものに、「補血・止血・瘀血の改善」の3本柱で根本からアプローチできます。
- まだ決められない(迷っている)方: 迷っている間も毎月大量の出血は続きます。決断を待つ間に、まずは失われた血を補い、体質を整え始める(漢方からスタートする)ことも十分に可能です。
【薬剤師コラム②】貧血のつらさは「気のせい」ではありません
担当薬剤師:石川
太陽堂に子宮筋腫や子宮腺筋症でご相談いただく患者さまのうち、「自覚できるほど貧血がひどい」とおっしゃる方は、全体の65%ほどにのぼります(※血液検査で貧血を指摘されたかどうかに関わらず、です)。
「最近ふらふらする」「階段を登るだけで動悸と息切れがひどい」「疲れやすくて家事ができない」——。
経血量が多い方が日々感じているこうした「なんとなく辛い、だるい」という不調の正体は、年齢のせいでも気のせいでもなく、大量の出血によって身体のエネルギー源である『血』が極度に失われてしまったこと(血虚:けっきょ)が原因であることがとても多いのです。
ミレーナを入れるかどうかを迷っている段階であっても、「失われた血を漢方で補うこと」は今日からすぐに始められます。身体に血が満ちて体力が戻ってくれば、迷っている心も少し前向きになり、納得のいく決断がしやすくなります。迷いごと、不安ごと、そのまま私たちにお話しにいらしてくださいね。
経血量の多さ・腺筋症が漢方で落ち着いた実例
※以下は、経血量の多さや子宮腺筋症・子宮筋腫でご相談いただいた方の改善実例です(ミレーナを使用中の方の症例ではありません)。
①【51歳 女性】貧血・ふらつき・経血量の増加が、2ヶ月で変化
【ご相談時の状態】 子宮筋腫に加えて子宮腺筋症も見つかり、「ひどい貧血」「ふらつき」「経血量の異常な増加」「お腹の張り」に悩まれていた方です。
【太陽堂の提案】 血を補う(補血)・瘀血を改善する(活血)・過剰な出血を抑える(止血)という3方向の組み合わせで漢方薬をお渡ししました。
- 2ヶ月後: 漢方を始めてから、ふらつきとお腹の張りが治まってきて、経血量も減ってきたとのこと。
- 3ヶ月後: 貧血の症状が無くなってきて、お腹の張りも少ないとのことでした。
- 1年2ヶ月後: 痛みもなく体調は良いとのことで、漢方を一旦終了(ご卒業)されました。
②【40歳 女性】月経過多と生理痛が徐々に落ち着き、長期的に安定
【ご相談時の状態】 多発性子宮筋腫・子宮腺筋症と診断され、「月経過多」「下腹部の張りや痛み」「生理痛」に悩まれていた40代の方です。
【太陽堂の提案】 筋腫や血流を改善する煎じ薬と、過剰な経血を抑えて血を補う煎じ薬の2種類を組み合わせてお渡ししました。
- 2ヶ月後: 辛かった下腹部の張りや痛みが軽くなってきました。
- 1年後: 漢方をコツコツ継続していただいた結果、生理全般の痛みはなく、経血量も落ち着いてきました。
- 3年6ヶ月後: その後も経血や痛みは落ち着いた状態が続き、漢方を一旦終了されています。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。
ご自宅でできるセルフケア・食養生
経血量の多さや貧血をカバーするために、ご自宅で意識していただきたい生活のポイントです。
- 「血(けつ)」を補う黒色・赤色の食材を摂る: 黒ごま、黒豆、ひじき、ほうれん草、クコの実、なつめ、レバーや赤身のお肉など、東洋医学で「血を補う」とされる食材を意識して毎日の食事に取り入れましょう。
- 身体、特に「下半身」を冷やさない: 冷えは骨盤内の血流を悪化させ、瘀血(ドロドロ血)を生み出す大敵です。生理中はもちろん、日頃から冷たい飲み物を控え、湯船に浸かって下半身を温かく保ちましょう。
- 過度な疲労を避け、睡眠で血を育てる: 東洋医学では、「血」は夜眠っている間に作られ、身体を巡るとされています。貧血で辛い時期は無理をして動き回らず、早めに就寝して身体を休めることを最優先にしてください。
よくあるご質問(FAQ)
ミレーナを入れたまま、漢方薬を飲んでも本当に大丈夫ですか?
はい、基本的には併用可能と考えています。
ミレーナは子宮の中で局所的にホルモンを放出する方法、漢方薬は全身の気・血・水のバランスを整える方法で、作用の仕組みが全く異なるためです。気になる点や不安があれば、かかりつけの婦人科の先生にも漢方を飲んでいることをお伝えいただくとより安心です。
ミレーナ装着後の不正出血は、いつまで様子を見ていいですか?
少量の出血は身体が慣れるまで数ヶ月続くことがありますが、「6ヶ月以上続く不正出血」や「出血の量が明らかに増えてきた」場合は、婦人科を受診する目安となります。
また、強い下腹部痛や続く発熱がある場合も、装着による体調不良の可能性があるため、まず婦人科で確認をお願いします。その安全確認のうえで、身体の土台を整える漢方のご相談はいつでもお受けできます。
ミレーナを入れるべきかどうか、どうしても決められません。
入れる・入れないはご自身の納得いくまで婦人科の先生とご相談ください。漢方はどちらの選択でも並走できます。
迷っている期間も、身体は毎月出血し続けています。決断を焦る必要はありませんが、失われた血を補い、瘀血を改善する漢方ケアは、迷っている「今」この瞬間からでもすぐに始められます。
貧血がひどいのですが、漢方薬で対応できますか?病院の鉄剤が苦手です。
「血を補うこと(補血)」は漢方の得意とする分野のひとつです。
経血量が多い方の貧血は、ただ鉄分を補給するだけでなく、「過剰な出血そのものを落ち着かせる(止血)」ことと同時に考えなければイタチごっこになってしまいます。病院の鉄剤で胃がムカムカして飲めないという方は、胃腸をいたわりながら血を補う漢方のアプローチもあります。こちらの記事も参考にしてください。
まとめ——迷いも不調も、ひとりで抱え込まないでください
「過多月経でミレーナを勧められたけれど、決心がつかない」
「入れてからのだらだら続く出血と不調に、いつまで耐えればいいのか不安になってきた」
そんな深いお悩みは、どうぞ一人で抱え込まずに太陽堂へご相談ください。
- ミレーナを入れる・入れないの判断は婦人科の先生と。漢方はどちらの選択でも並走できます。
- 経血量が多い体質そのものには、「補血・止血・瘀血の改善」という漢方の明確なアプローチがあります。
- 装着後の不調は「ホルモンバランス・自律神経の乱れ」として整えますが、異常な出血や痛みはまず婦人科の受診を。
経血の状態、貧血の程度(立ちくらみや疲れやすさ)、これまでの治療の経緯を丁寧にお伺いし、あなたの体質にピタリと合わせた漢方ケアをご提案いたします。迷っているお気持ちの整理だけでも、お気軽にお声がけくださいね。
ご遠方の方には、ヒアリングシートのやり取りによるご相談も全国から承っておりますので、まずはお気軽にお声がけください。
【ご相談をご希望の方へ】
経血量の多さの背景になりやすい子宮腺筋症への漢方アプローチは、こちらのページで詳しく解説しております。
関係性の深いお悩み;ご相談も多数いただいております。
経血量の多さや婦人科のお薬に関するお悩みは、以下のページもあわせてご覧ください。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。















