
「急に息が吸えなくなって、手足がしびれて、死んでしまうんじゃないかと思うほどの恐怖……あの発作を何度も繰り返している」
「『また電車の中や会議中に発作が起きたらどうしよう』と思うと、外に出るのが怖くてたまらない」
「救急車で運ばれて病院で検査をしても『異常なし』と言われた。じゃあ、この苦しさは一体何なの?」
過呼吸(過換気症候群)のご相談で太陽堂に来られる方の悩みは、まさにこの3つ——「激しい発作を繰り返す」「また起きるのが怖い(予期不安)」「検査では異常なしと言われ、行き場がない」——に集中しています。
今回は、発作が起きた瞬間のしのぎ方を薬剤師の「正直な視点」も交えて整理したうえで、太陽堂が漢方の組み立ての軸とする「発作の波を鎮める → 繰り返さない身体の土台をつくる」という二段構えのアプローチについて、発作が出なくなり服用終了まで至った実例とともに詳しく解説いたします。
【この記事の結論:「過呼吸の発作」に対する漢方の考え方】
- 不調の正体(原因): 西洋医学では強い不安やストレスで自律神経が乱れ、呼吸が速くなりすぎて血中の二酸化炭素が減る状態とされますが、漢方ではストレスによる「気(エネルギー)」の激しい高ぶり・逆流(気逆:きぎゃく)が呼吸を乱していると考えます。
- 漢方の解決策: 病院の頓服薬(安定剤)を「お守り」として持ちながら、漢方で①発作の波を鎮める ②自律神経を安定させ、不安を除いて繰り返さない身体をつくる——という二段構えで土台を整えます。
- 対象となる主な疾患・お悩み: 過換気症候群(過呼吸)、また発作が起きるのが怖い方(予期不安)、検査で異常なしと言われた方、安定剤の頓服だけに頼るのが不安な方
なお、過換気症候群という病気そのものの解説と症例は過換気症候群の専門ページにまとめています。この記事では「発作の瞬間のしのぎ方と、繰り返さないための体づくり」に絞ってお話しします。
過呼吸(過換気症候群)とは?検査で「異常なし」になる理由
過呼吸(過換気症候群)は、強い不安・緊張・肉体的な過労やストレスをきっかけに、無意識のうちに呼吸が速く浅くなりすぎてしまい、「息が吸えない」「手足や唇がしびれる」「めまい」「激しい動悸」「胸の圧迫感」などの発作が起こる状態です。
苦しさのメカニズム
息を何度も「ハァハァ」と吐きすぎることで、血液中の二酸化炭素が減りすぎ(アルカローシスという状態になり)、手足のしびれやめまいが強く現れます。すると、その異常な身体の感覚に驚いて「息ができない、死んでしまうかもしれない」という恐怖感が生まれ、さらに呼吸が速くなるという最悪の悪循環に入ってしまいます。これが発作の正体です。
肺や心臓の構造そのものに病気があるわけではないため、救急車で運ばれて病院で精密検査をしても「異常なし」と言われることがほとんどです。
病院での治療(西洋薬)
- 抗不安薬(安定剤・頓服): 発作が起きた時や、起きそうな時に飲むことで、脳の過度な興奮や不安を速やかに鎮めます。
- 心療内科での治療: 発作の頻度が高い場合、抗うつ薬(SSRIなど)を使った継続的な治療や、カウンセリングが行われます。
ここで一番大切なことをお伝えします。
過呼吸の発作そのものは、どれだけ苦しくても、通常、命に関わるものではなく、時間がたてば治まります。「発作が起きても大丈夫」と知っておくことは、それ自体が発作の悪循環を断ち切るお守りになります。
【薬剤師コラム①】発作が起きた瞬間、どうしのぐ?——正直な話と現実的な備え
担当薬剤師:前原 信太郎
過呼吸の発作のときの基本の呼吸法は、「吸う」よりも「吐く」ことに意識を向けることです。口をすぼめて、ストローで息を吐くように細く長く、ゆっくりと「1・2・3・4…」と吐き切ります。吐ききれば、空気は自然にスッと入ってきます。
……と、ここまでは医師や教科書が教える通りのお話です。
しかし、私が店頭で患者さまに一番正直にお伝えしているのは、「発作の真っ最中に、落ち着いてゆっくり呼吸するのは、なかなか実行できるものではない」ということです。
「ゆっくり吐かなきゃダメだ」と焦れば焦るほど、できなくてさらにパニックになってしまう方が多いのです。だから、うまく呼吸をコントロールできなくても、絶対に「自分はダメだ」とご自身を責めないでください。
そして、病院からもらっている安定剤の「頓服」があるなら、それは我慢せずに使ってよい、本当に大切なお守りです。漢方は飲んですぐに発作が消えるものではないので、体質が整うまでの間、頓服はとても重要なあなたの味方になります。「頓服に頼るのは負けだ」なんて思わないでくださいね。
頓服で安全に急場をしのぎながら、発作そのものが起きにくい身体の土台を、漢方で私たちと一緒に育てていきましょう。
※紙袋を口に当てる「ペーパーバッグ法」について
昔からよく知られた方法で、試していただいても構いません。ただし、袋で口と鼻を完全に密閉したまま長時間続けると、酸素が不足して危険につながるおそれも指摘されています。袋を使う場合は「少し隙間をあける」「短時間でやめる」ことを守り、基本は「ゆっくり吐く」呼吸を優先してください。
【比較表】西洋医学(病院)と漢方薬(太陽堂)のアプローチの違い
| 比較項目 | 西洋医学(病院のアプローチ) | 漢方薬(太陽堂の体質ケア) |
| 主な目的 | 発作時の激しい症状を頓服(抗不安薬)で速やかに鎮める | 自律神経を安定させ、発作が起こりにくい体質・土台を育てる |
| 得意なこと | 命の危険の除外、発作の恐怖・パニック状態への圧倒的な即効性 | 「また起きるかも」という予期不安ごと整える、根本的な再発予防 |
| 代表的な手段 | 抗不安薬の頓服、呼吸法の指導、抗うつ薬(SSRI等)の服用 | 気持ちを緩める(気逆を治す)漢方薬、自律神経を安定させる漢方薬 |
| 気になる点 | 頓服はあくまでその場しのぎで、発作を繰り返す根本原因は残りやすい | 体質の変化を実感するまでに一定の期間(まずは3ヶ月が目安)が必要 |
| 両者の関係性 | 発作の瞬間のパニックから心身を守る「最強のお守り」 | 発作を繰り返さない身体を内側からじっくり育てる「頼もしい土台」 |
漢方から見た過呼吸——「発作を鎮める→繰り返さない体」の二段構え
太陽堂では、過呼吸のご相談に対して、闇雲に漢方薬を出すのではなく、明確な「二段構え」のステップで漢方を組み立てます。
第一段:発作の波を鎮める——高ぶった「気」を緩める(理気・降逆)
- 狙い: まずは、発作の直接的な引き金になっている「気」の異常な高ぶりや、上へ上へと突き上げてくる気の逆流(気逆:きぎゃく)を優しく緩め、降ろします。
- アプローチ: 気持ちの張り詰めを緩める漢方薬(柴胡や半夏など)や、激しいドキドキ(動悸)を改善する漢方薬を患者さまの体質に合わせて組み合わせ、まずは「発作の波の高さ」を小さくしていきます。
第二段:繰り返さない身体をつくる——自律神経の安定と、不安を除く(安神・補気血)
- 狙い: 発作の波が少し落ち着いてきたら、本丸である「自律神経の根本的な安定」と「不安そのものを除くこと」に軸足を移していきます。
- アプローチ: 過呼吸の方にとって大きな敵は「また発作が起きたらどうしよう」という『予期不安』です。この不安自体がストレスとなり次の発作の引き金になるため、ここを漢方で底支えすることが、繰り返さない体づくりの核心となります。心に栄養を与え、安らかにする漢方薬(竜眼肉、酸棗仁など)を組み合わせます。
【薬剤師コラム②】「また起きたらどうしよう」という怖さこそ、ケアの最大の対象です
担当薬剤師:石川 満理奈(調剤薬局での勤務経験あり)
過呼吸のご相談に来られる方は、10代の学生さんから60代の方まで、本当に幅広い年齢層にわたります。その中でも特に多いと感じるのは、仕事の重圧や人間関係のストレスを一人で抱えている方や、満員電車や美容室、歯医者さんなど「逃げ場のない場所」で一度発作を経験してしまった方です。
皆さまに共通しているのは、発作の瞬間の苦しさと同じくらい、「またあの発作が起きたらどうしよう」という強烈な『予期不安(怖さ)』に、毎日24時間ずっと支配されてしまっているということです。
「また発作が起きるのが怖くて、電車に乗れない」
「会議中におかしくなったらと思うと、仕事に行けない」
「外出先で、いつも無意識のうちにトイレや出口を探してしまう」
この「予期する怖さ」こそが、自律神経を極限まで緊張させ、次の発作を呼ぶ一番の引き金です。だからこそ太陽堂では、ただ発作を鎮めるだけでなく、「不安そのものを取り除いていく漢方アプローチ」を何よりも大切にしています。
私たちが目指すのは、劇的な変化ではありません。「そういえば最近、発作のことを考えていなかったな」という何気ない日を、一日ずつ増やしていくことです。
発作が出ていない「普通の日常」の積み重ねが、そのままあなた自身の「自信」となり、体質の改善を後押ししてくれます。焦らず、一緒にその「普通の日」を積み重ねていきましょうね。
【サポート実例】発作が出なくなっていったエピソード
①【過呼吸・しびれ・動悸】20代 女性|1ヶ月で発作なく過ごせ、11ヶ月で服用終了に
【ご相談時の状態】 10年ほど前にストレスがかかって過呼吸が起こり、病院で過換気症候群と診断。一時期は落ち着いていたものの、最近ひどくなってきたとのことでご相談に来られました。症状は過呼吸・全身のしびれ・めまい・息苦しさ・動悸。特に動悸がひどく、少し動くだけで出てしまうとのことでした。
【太陽堂の提案】 ①気持ちを緩める漢方薬 ②ドキドキを改善する漢方薬 の2種類を組み合わせてお渡ししました。
- 1ヶ月後: めまい・しびれ・息苦しさはほとんどなく、動悸がたまにある程度に。過呼吸も起こらずに過ごせているとのことでした。
- 2〜4ヶ月後: 発作・動悸ともになく落ち着き、良い状態が維持できています。
- 11ヶ月後: 梅雨時期に一度調子を崩したものの、今は元気に過ごせているとのこと。発作・動悸ともに出ておらず、服用終了となりました。
②【めまい・不安・過呼吸】40代 女性|4ヶ月で呼吸が楽に
【ご相談時の状態】 5年ほど前に人間関係に悩んで倒れてしまい、病院で過換気症候群と診断された方です。動悸・めまい・不安・過呼吸があり、立ちくらみのようなめまいと、呼吸が入ってこない感じが一番気になるとのことでした。
【太陽堂の提案】 ①気を発散する漢方薬 ②水の巡りを良くする漢方薬 ③血流を良くする漢方薬 の3種類を組み合わせてお渡ししました。
- 1ヶ月後: めまい・呼吸のしづらさ・不安のすべてにおいて楽になっているとのこと。嫌なことがあってもひどくならず、すぐに落ち着いているとのことでした。
- 4ヶ月後: 呼吸も楽になり、フラフラする感じも少なく、体調良く過ごせています。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状の改善を保証するものではありません。
ご自宅でできる、発作を遠ざける暮らしの基本
- 元気なとき(平常時)に「吐く練習」をしておく: コラムでもお伝えした通り、発作の最中に呼吸を整えるのは至難の業です。だからこそ、何でもないリラックスした時間に「4秒吸って、8秒かけて細く長く吐く」という呼吸の練習をしておくと、いざという時に身体がそのリズムを思い出してくれます。
- 「発作が起きても大丈夫」を知識のお守りにする: 過呼吸の発作は、どれほど怖く感じても、通常は命に関わるものではなく、時間がたてば治まります。この事実を「知っている」というだけで、発作の悪循環(怖い → もっと苦しい)に深く入り込みにくくなります。
- 頓服薬は我慢せず、必ず持ち歩く: 「お守りとして持っているだけで安心できる」という心理的な効果も含めて、頓服薬は極めて大切なお守りです。お薬を使った自分を絶対に責めず、発作が起きにくい体づくり(漢方ケア)と前向きに並行していきましょう。
よくあるご質問(FAQ)
過呼吸は、漢方薬で良くなりますか?
「発作を鎮める→自律神経を安定させて繰り返さない体をつくる」という二段構えで、発作の頻度を減らしていくことを目指せます。
実例のように、発作なく過ごせる期間を積み重ねて服用終了に至った方もいらっしゃいます。ただし効果の出方には個人差があるため、頓服をお守りとして持ちながら、じっくりと土台を整えていきましょう。
病院の安定剤(頓服)と、漢方薬は併用できますか?
はい、問題なく併用できます。むしろ頓服は大切な味方です。
漢方は飲んですぐに発作が消えるものではないため、体質が整ってくるまでの間、発作の瞬間を守ってくれる頓服はとても重要です。頓服で急場をしのぎながら、漢方で発作が起きにくい身体の土台を育てる——この役割分担が一番現実的です。
発作が起きたとき、その場でできることはありますか?
基本は「吸う」ことより「吐く」ことに集中してください。
口をすぼめて、ストローで息を吐くように細く長く、ゆっくり吐き切ります。ただ、それができなくても「自分はダメだ」と責めないでください。発作は時間がたてば治まります。頓服があるなら、我慢せずに使って大丈夫ですよ。
検査で「異常なし」と言われました。それでも相談してよいですか?
はい、むしろ「異常なし」と言われた方にこそ、漢方の出番があります。
検査で異常が出ないのは、肺や心臓の病気ではなく、自律神経の乱れが呼吸を暴走させているからです。「異常がない=どこも悪くない」ではありません。自律神経という土台を整えることが、漢方の受け持ちです。
どんな人に多い病気ですか?性格が弱いからなるのでしょうか?
性格が弱いからなるわけではありません。年齢層も幅広く、どなたにも起こり得ます。
店頭の実感としては、仕事のストレスを抱えている方や、満員電車で発作を経験した方のご相談が多い印象です。環境の負荷が大きい時期に、身体からのSOSとして出やすくなります。
どのくらいの期間で変化を感じられますか?
まずは「3ヶ月」を一区切りの目安としてお願いしております。
実例のように1ヶ月で発作なく過ごせるようになった方もいらっしゃいますが、個人差があります。大切なのは、「発作が出ていない普通の日々」を積み重ねて、予期不安ごと手放していくこと。3ヶ月を目安に、発作の頻度の変化を一緒に確かめながら進めていきましょう。
まとめ:頓服で「今」を守り、漢方で「これから」を変えよう
過呼吸の発作は、経験した人にしか分からない、本当に苦しく、そして恐ろしいものです。でも、決して打つ手がないわけではありません。
- 発作の瞬間は「ゆっくり吐く」+「頓服のお守り」でしのぐ(うまくできなくても自分を責めない)
- 「発作は命に関わらない・時間がたてば治まる」という知識をお守りにする
- 漢方薬で「発作を鎮める → 自律神経を安定させ、不安を除く」の二段構えで、繰り返さない土台を育てる
「発作を何度も繰り返していて、外出するのが怖くてたまらない」
「安定剤でその場しのぎをするだけの毎日から、そろそろ根本的に抜け出したい」
そんな深いお悩みを抱えている方は、どうぞ一人で我慢せずに太陽堂へご相談ください。発作の出方、きっかけ、不安の強さ、体質を丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、あなたに合わせた漢方ケアをご提案いたします。
【ご相談をご希望の方へ】
過換気症候群に対する具体的な漢方アプローチについては、こちらのページにて詳しく解説しております。全国対応のオンライン相談も承っておりますので、まずはお気軽にお声がけください。
関係性の深い病気;ご相談も多数いただいております。
過呼吸だけでなく、自律神経に関するさまざまなお悩みについても、太陽堂では数多くのご相談をいただいております。気になる方は、以下のページもあわせてご覧ください。
パニック障害発作と予期不安が強い方はこちらも。
不安神経症理由のわからない不安が続く方に。
自律神経失調症自律神経の乱れ全般のご相談に。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。













