
「病院でエビリファイを処方されたけれど、飲んでも症状が変わらない…」
「飲み始めてから吐き気や気持ち悪さが出てしまい、とても続けられそうにない」
「本人はもちろん、お薬を飲ませている親のほうが不安になってしまう」
チック症・トゥレット症のご相談で、こうしたお薬の副作用や効果に対する不安のお話をうかがうことが多くあります。
インターネットで検索すると「エビリファイでチックが悪化した」という言葉を見かけることもあり、さらに心配になってしまうお気持ちもよく分かります。
今回は、エビリファイがどのように働くお薬なのかに触れながら、お薬と上手につきあいながらチック症の根本となる体質を整えていくための漢方的な考え方について、薬剤師の視点から解説いたします。
【この記事の結論:「エビリファイの副作用とチック症」に対する漢方の考え方】
- 症状の正体: 西洋医学では脳内のドパミン(神経伝達物質)の過剰な働きと捉えますが、漢方では体に溜まった「気(緊張)の停滞」や「胃腸の弱り」が根本原因と考えます。
- 漢方の解決策: お薬で症状を強制的に抑え込むのではなく、高ぶった神経を鎮め、筋肉の緊張や胃腸の働きを整えることで、体の中からゆとりを作ります。
- 対象となる主な疾患: チック症・トゥレット症候群(小児チック・大人チック)、チックに伴う自律神経の乱れ
【太陽堂における「エビリファイとチック症」への向き合い方】
- 「悪化した」というお声は届いていません: 太陽堂の店頭でうかがうのは、「効果が十分に感じられない」「吐き気や気持ち悪さが出てしまった」というご相談がほとんどです。
- 副作用が出たら、まず処方医の先生へ: 太陽堂では、お薬の変更や中止を、まず処方した先生にご相談いただくようお伝えしています。漢方で副作用を抑え込んで無理に飲み続けることを、最初の選択肢にはしません。
- それでも続けたいご事情がある場合のみ、胃腸を助ける漢方: 吐き気や食欲の低下は胃腸が弱っているサインでもあるため、そこを支える漢方をお出しすることはできます。
- 漢方が向き合うのは「体質の側」: チックの動きを強引に止めにいくのではなく、緊張がたまりやすい体の状態を少しずつゆるめていくのが漢方の役割です。
チック症・トゥレット症そのものの原因や、太陽堂の漢方サポートの全体像・改善症例については、こちらの総合ページで詳しくご紹介しています。
エビリファイ(アリピプラゾール)はどういうお薬か
エビリファイは、脳の中の「ドパミン」という物質の働きを調整するお薬です。多すぎるときは抑え、少なすぎるときは補う——シーソーのバランスを取るような働き方をします。
チック症・トゥレット症では、このドパミンの過剰な働きが症状に関わっていると考えられており、小児のトゥレット症の治療にも使われることがあります。
一方で、飲み始めに吐き気、食欲の低下、眠気、そわそわとした落ち着かなさが出ることがあります。体が慣れて落ち着いていくこともありますが、日常生活に支障が出るほどであれば、続けるかどうかの見直しが必要になります。
【薬剤師コラム①】「エビリファイでチックが悪化する」は本当ですか?
担当薬剤師:前原(調剤薬局・漢方専門薬局での勤務経験あり)
「エビリファイを飲むと、かえってチックがひどくなると聞いたのですが……」というご質問をいただくことがあります。
正直にお答えすると、「悪化した」というお声を、直接いただいたことはありません。太陽堂でうかがうのは、「飲んでも効果が感じられない」「吐き気や気持ち悪さが出てしまった」という内容がほとんどです。
症状を抑える力よりも、副作用のほうが大きく出てしまう。それが「悪くなった」と受け取られているのかもしれません。
調剤薬局で西洋薬をお渡ししていた頃も、飲み始めの吐き気で困っている方は少なくありませんでした。お薬が悪いのではなく、その方の体に合わなかった——ただそれだけのことです。合わないと分かったなら、無理をせず次の手を考えればよいと思っています。
吐き気が出たとき、太陽堂がお伝えする2つのこと
実のところ、副作用が出たままエビリファイを無理に飲み続けている方は、ほとんどいらっしゃいません。多くの方は服用を中止されたり、主治医とご相談されてから、漢方のご相談に来られます。
そのうえで、太陽堂では次の順番でお伝えしています。
- まず、処方医の先生にご相談ください: 量を減らす、別のお薬に変える、いったん中止する——どれを選ぶかは、処方した先生の判断が最優先です。
- それでも続けたいご事情がある場合に限り、胃腸を助ける漢方を組み立てます: 吐き気や食欲の低下は胃腸の働きを助ける漢方薬で支えられることがあります。
この順番が大事だと考えています。漢方で副作用を抑え込んで無理に飲み続ける、というのを最初の選択肢にはしません。
【薬剤師コラム②】自己判断でやめないでください
担当薬剤師:石川(漢方専門薬局での勤務経験あり)
副作用が出ると不安になって、その日から自分の判断で飲むのをやめてしまう方がいらっしゃいます。お気持ちはよく分かるのですが、これは避けていただきたいのです。
お薬によっては、急にやめることで体調が揺れることがあります。必ず処方医の先生にお伝えしたうえで、どうするかを一緒に決めていただきたいと思います。
そして、これはチック症に限った話ではありません。副作用がきっかけで漢方を選ばれる方は、決して珍しくありません。
三叉神経痛のお薬で吐き気や眠気が出てしまった方。帯状疱疹後神経痛のお薬で、頭がぼんやりしてしまう方。婦人科のお薬で不正出血やだるさが出た方。胃薬を長く飲み続けることに不安を感じている方。太陽堂には、そうしたご相談が毎日のように届きます。
共通しているのは、「お薬をやめたい」のではなく「お薬に頼りきらなくてよい体になりたい」というお気持ちです。私たちが体質ケアでお手伝いできるのは、まさにその部分だと考えています。
太陽堂の漢方アプローチ|チック症をどう見るか
東洋医学では、チックの動きを「止めにいく症状」としてではなく、体のどこかに強い緊張や気がたまっているサインと受け取ります。だから、動きそのものを押さえ込むのではなく、その奥にある緊張のほうを優しくゆるめていきます。
| お悩みのタイプ | 漢方的な見立て | 太陽堂のアプローチ(働き) |
| 気を張っている時に出やすい まばたき、首振り、肩をすくめる | 神経の高ぶりと、筋肉のこわばり 緊張が続いて、体が自分でゆるめられなくなっている状態。 | 【高ぶりを鎮め、筋肉をゆるめる漢方】 高ぶりを抑え、こわばった筋肉をゆるめる漢方薬で、体が自分でリラックスする力を取り戻していきます。 |
| 鼻すすり、咳払いが続く アレルギーも持っている | 上半身にたまった「詰まり」 のどや鼻に余分なものが停滞し、無意識にすすったり払ったりしてしまう状態。 | 【のどや鼻の詰まりを取る漢方】 のどや鼻の詰まりを取り、通りを良くする漢方薬で、そもそもの不快感を減らしていきます。 |
| 疲れやすい、眠りが浅い もともと緊張しやすい性格 | 土台のエネルギー不足 体力が足りず、緊張やストレスをやり過ごすだけの余力がなくなっている状態。 | 【胃腸を助けて体力を底上げする漢方】 胃腸の働きを助けて体力を補う漢方薬で、環境の変化に揺らぎにくい土台をつくります。 |
どの漢方薬を使うかは、お一人おひとりの体質によって違います。自律神経や体質のタイプ別の考え方については、下のページでも詳しくまとめています。
【改善実例】エビリファイでは変化が見られなかったチックが落ち着いたケース
【平成19年生 男性】白目をむく・鼻すすり・首を振る
3年ほど前から症状に悩み、病院で「チック症・トゥレット症」と診断されました。処方されたエビリファイを飲んでも改善が見られず、ご相談に来られました。気になっていたのは「白目をむく」「鼻すすり」「首を振る」といった症状です。
お渡ししたのは、①筋肉の緊張をほぐす漢方薬 ②詰まりを取る漢方薬 ③緊張を緩める漢方薬 の3種類です。
- 2ヶ月後: 白目をむいたり、首を振ったりする動きが少なくなってきました。
- 4ヶ月後: 当初に比べると、症状はだいぶ減っているとのことでした。
- 10ヶ月後: 症状が出ない時のほうが多くなってきました。
- 1年4ヶ月後: アレルギーの影響で鼻すすりは残りますが、他の症状はほぼありません。
- 1年7ヶ月後: 症状もなく、体調も良い状態が続いています。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。
当薬局には、チック症・トゥレット症でお悩みの方からたくさんのご相談をいただいております。実際の症例や患者様のリアルなお声は、ぜひこちらを参考にされてください。
エビリファイとチック症の漢方についてのよくあるご質問(FAQ)
エビリファイを飲みながら、漢方薬を一緒に飲んでも大丈夫ですか?
基本的には併用いただけます。
ただし、すでに吐き気などの副作用が出ているのであれば、まず処方医の先生にご相談いただくのが先です。そのうえで「服用を継続する」という判断であれば、胃腸を助ける漢方を組み合わせることができます。お薬手帳をお持ちいただければ、飲み合わせをしっかり確認いたします。
エビリファイでチックが悪化することはありますか?
太陽堂では、「悪化した」というお声を直接いただいたことはありません。
実際に多いのは「効果が十分に感じられない」「吐き気などの副作用が先に出てしまう」というケースです。ただし、お薬の感じ方や相性には個人差がありますので、気になる変化があれば無理をせず処方医の先生にお伝えください。
漢方だけでチック症は良くなりますか?
お一人おひとり状況が違うため、一概には申し上げられません。
上でご紹介した方の例のように、お薬から漢方にシフトして落ち着いていかれるケースもあります。まずは現在の症状とこれまでの経過を詳しくお聞かせください。そのうえで、できること・できないことを正直にお伝えします。
まとめ|「効かない」「合わない」と分かったら、次の手を考えればいい
エビリファイで「チックが悪化する」というより、「効果を感じにくい」「副作用が出る」というご相談のほうが実際には多い——それが太陽堂の実感です。
副作用が出たときは、まず処方医の先生にご相談ください。そのうえで、お薬だけに頼りきらなくてよい体をつくっていく。そこが漢方のお手伝いできるところです。
※このページは、病院のお薬の効果を否定するものではありません。また、ご自身の判断でお薬を中止しないでください。
チック症・トゥレット症についてもっと知りたい方へ
チック症状のメカニズムや、太陽堂で行っている具体的な体質ケアの解説は、こちらの総合ページで詳しくお話ししています。ぜひ合わせてご覧ください。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。










