
「病院で抑肝散を出してもらったけれど、うちの子のチックは変わらない」
「市販のものをしばらく続けてみたけれど、効いている気がしない」
「漢方はうちの子には合わないのかなと、諦めかけている」
チックに抑肝散(よくかんさん)が使われることは、いまではよく知られています。だからこそ、太陽堂には「飲んでみたけれど変わらなかった」というご相談が、毎月のように届きます。
ただ、それだけで「漢方は合わなかった」と決めてしまうのは、少し早いかもしれません。今回は、効かなかったときに考えたい2つのことを、薬剤師の視点から解説いたします。
【この記事の結論:「抑肝散が効かない」ときに考えたいこと】
- 「効かなかった」=「漢方が合わない」ではありません: 考えられる理由は2つ。①同じ名前でも中身・形が同じではない ②そもそもその子に合っていない。
- 店頭の実感: 「変わらなかった」というご相談は毎月1〜2人。一方で、病院や市販のもので少し気持ちが落ち着く方もいます。効く・効かないが分かれる漢方薬なのです。
- 太陽堂でできること: 鎮静の生薬を加えた「加味方」への組み直しや、生薬の入れ替えによる微調整で、その子に合う形を探していきます。
チック症・トゥレット症そのものの原因や、太陽堂の漢方サポートの全体像については、こちらの総合ページで詳しくご紹介しています。
理由① 同じ「抑肝散」でも、中身は同じではありません
「変わらなかった」という方にどこで手に入れたかをうかがうと、病院の処方(エキス剤)が一番多く、その次が市販での購入です。
漢方薬には、生薬をそのまま煮出して飲む「煎じ薬(せんじぐすり)」と、それを乾燥させて粉や顆粒にした「エキス剤」があります。名前が同じでも、形が違えば、体に入るものの幅も変わってきます。
太陽堂では煎じ薬をお出ししています。手間はかかりますが、その方の状態に合わせて生薬を1つずつ足したり引いたりできるのが大きな違いです。「抑肝散を土台にして、この子には鎮静の生薬を足す」といった組み立てができます。
生薬そのものの質にもこだわっています。同じ名前の生薬でも、産地や育ち方、加工の仕方によって中身は変わります。ここは、外からは見えにくいけれど、大きな差が出るところだと考えています。
【薬剤師コラム①】エキス剤で変わらず、煎じ薬で変わった
担当薬剤師:前原(調剤薬局・漢方専門薬局での勤務経験あり)
「抑肝散を飲んでいたけれど変わらなかった」というご相談は、毎月1〜2人はいらっしゃる印象です。逆に、市販や病院のもので少し気持ちが落ち着く、という方もいます。
印象に残っているのは、エキス剤(粉)を2〜3ヶ月服用しても大きな効果がなかった方が、煎じに切り替えて1ヶ月で効果を感じられたケースです。同じ名前のお薬でも、形が変わるとこれだけ違うのか、と思っていただけた例でした。
調合し直すときは、鎮静作用を高める生薬を1〜2種類追加した「加味方」にしたり、生薬を入れ替えて微調整したりすることを考えます。「効かなかった」の中身を一緒に確認しながら、その子に合う形を探していきます。
理由② そもそも、抑肝散が合っていないこともあります
もうひとつは、そもそも、その子にこのお薬が合っていなかったという可能性です。
チックの背景はひとつではありません。神経の高ぶりが前に出ている子もいれば、のどや鼻の「詰まり」が前に出ている子、体力が足りず余力がなくなっている子もいます。緊張をゆるめる漢方だけをお出ししても、うまく噛み合わないことがあるのです。
また、胃腸が弱い子や、味覚に敏感な子には向かない場合があります。体質と合っていないまま続けても、力を発揮しにくいのです。
「効かなかった」のではなく、まだその子に合う組み合わせに出会えていないだけ——そういうケースは、決して少なくありません。タイプ別の考え方は、下のページで詳しくまとめています。
【薬剤師コラム②】病院の抑肝散との併用について
担当薬剤師:石川(漢方専門薬局での勤務経験あり)
「病院の抑肝散を飲みながら、太陽堂の煎じ薬も飲めますか?」というご質問をよくいただきます。併用は可能です。
ただし、太陽堂でお作りする煎じ薬の中に同じ成分が入っている場合は、「病院のものはいったんお休みしてみては」という趣旨のお話をすることがあります。同じ働きのものを二重に飲む必要はないからです。
その場合も、処方されている先生には「漢方薬局の漢方を併用しています」とお伝えいただくようお願いしています。お薬手帳をお持ちいただければ、重なりを確認いたします。
太陽堂の漢方アプローチ|「効かなかった」あとの組み立て方
「変わらなかった」という方に、太陽堂では次のような組み立て直しを考えます。
| 組み立て直しの方法 | どんな子に |
| 鎮静の生薬を1〜2種類加えた「加味方」 | 神経の高ぶりが強く、いまの内容では鎮静が足りない子に |
| 生薬を入れ替えて微調整 | 方向は合っているが、体質と細かく噛み合っていない子に |
| 土台から別の組み合わせに変更 | 詰まりタイプ・体力不足タイプなど、背景がそもそも違う子に |
エキス剤か煎じ薬か、生薬の質はどうか、そもそもの見立てはどうか——「効かなかった」の理由を一つずつ確認していくことが、遠回りに見えて一番の近道だと考えています。
抑肝散とチックについてのよくあるご質問(FAQ)
病院の抑肝散を飲みながら、太陽堂の漢方も飲めますか?
併用は可能です。
ただし、お作りする煎じ薬に同じ成分が入っている場合は、重なりを避けるご提案をすることがあります。その際は処方医の先生にも共有をお願いしています。お薬手帳をお持ちください。
どのくらい続けて「効かない」と判断すればいいですか?
目安のひとつは2〜3ヶ月です。
エキス剤を2〜3ヶ月続けて大きな変化がなければ、形(煎じ薬への切り替え)や中身(加味方への組み直し)を見直すタイミングかもしれません。やめてしまう前に、一度ご相談ください。
市販の抑肝散でも同じですか?
名前は同じでも、形・分量・生薬の質に差があります。
市販のもので少し落ち着く方も実際にいらっしゃいます。ただ、試してみて変わらなかった場合は、その子に合わせた調合という次の段階があります。「漢方は効かない」と結論を出す前に、選択肢を知っていただければと思います。
まとめ|「効かなかった」で終わらせず、理由を確かめればいい
抑肝散で変わらなかったのは、「漢方が合わない」からではなく、「形」か「中身」か「見立て」のどれかが合っていなかっただけ——そういうケースを、太陽堂は数多く見てきました。
諦めてしまう前に、いままでの経過(何を・どのくらい・どう飲んだか)を、そのままお聞かせください。その子に合う組み合わせを、一緒に探していきます。
関連するお悩みは、こちらでご紹介しています。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。











