「補中益気湯」は皆さんが一度は聞いた事がある漢方薬ではないでしょうか?
・疲れている
・免疫が落ちている
と言われている時に使われる事の多い漢方薬です。
病院側での「補中益気湯」の使い方としては、「体の疲れ」、「食欲不振」、「こじれて長びくカゼ」、「手術後などで体力が弱っているとき」などに用いると書かれています。
「補中益気湯」は病院でも使われる事が多く、病院で使われる漢方薬のトップ10に入ってきます。(2013年は2位、2015年は7位です。)
そんな「補中益気湯」の説明していきますね~
「補中益気湯」てどんな漢方薬?
「補中益気湯」の中身は、
〇人参
〇黄耆
〇白朮
〇柴胡
〇当帰
〇升麻
〇陳皮
〇生姜
〇大棗
〇甘草
の10種類になります。
中に入っている「人参」、「黄耆」、「当帰」が疲労を取る効果があり、身体を元気にしていきます。
特に「黄耆」は、「補薬の長」と言われ身体を元気にする作用が高い生薬になっています。
東洋学的に「寝汗」は身体の疲れを表す事が多いです。(その方の体質や時期にもよりますが)
「寝汗」は「黄耆」が入っている「補中益気湯」、他にも「黄耆建中湯」などが使われますね。
また「人参」と「白朮」、「陳皮」の組み合わせでは食不振などに効果があり、「食欲を増加させる効果」があります。
最後に「柴胡」と「升麻」です。
「柴胡」と「升麻」は熱を取る作用があり、中にこもった熱(内熱)や微熱などを取ってくれます。
「補中益気湯」に効く疲れとはどんな症状なのか?
まず「補中益気湯」が使われる一番の症状は「疲れ」ですね。
東洋学的に「疲れ」というと3つ原因が考えられ、
①自律神経の乱れ
②肝臓の疲れ
③脾虚(身体の疲れ)
になってきます。
身体の疲れのことを脾虚と言い、
・微熱
・体重減少
・食欲低下
などの症状に繋がります。
簡単に言うと「夏バテの様な症状」が長く続いてしまうという感じですね。
前に「風邪をひいたら「葛根湯」は正しいのか?」という記事でもお書きしましたが、「風邪の後の長引く微熱」にも効果が高いです。
また「補中益気湯」は疲れ以外に使われる事があり、脱肛や慢性肝炎・化膿性疾患などの症状も改善していきます。
「補中益気湯」と使い分ける4つの漢方とは
漢方薬の中にも「補中益気湯」と似ている漢方薬があり、それらと使い分けていく必要があります。
〇補中益気湯
〇人参養栄湯
〇当帰六黄湯
〇清暑益気湯
の4つになっています。
この4つは「夏の養生法と夏バテに使われる4つの漢方薬」でもご紹介しましたが、今回はどのように使い分けているかご説明していますね。
「人参養栄湯」とは
基本的には「脾虚」に使っていく漢方薬です。
疲れや微熱、体重減少などの症状に使いやすい漢方薬になっています。
「補中益気湯」と一番の違いは「喘息や気管支炎」に使っていける事ですね。
特にご高齢の方の「喘息や気管支炎」に使える漢方薬になっています。
「当帰六黄湯」とは
こちらも「脾虚」に使っていく漢方薬になり、疲れや微熱、体重減少などの症状に使っていきます。
ただ一つ他の漢方薬と違うのが「人参」が入っていない事です。
「補薬の長」の「黄耆」は入っていますが、滋養強壮の作用のある人参が入っていません。
その代わりに補血作用や補う作用の強い「地黄」が入っています。
他にも熱を取る作用の強い「黄連」「黄ゴン」「黄柏」などが入っている為、熱を取る作用が強い漢方薬ではないのかなと個人的には思っています。
「清暑益気湯」とは
同じく「脾虚」の漢方薬です。
元々は「暑い」って言葉も入っている事から夏バテに良く使われている漢方薬でした。
日射病や熱射病、夏負けなどの症状ですね。
ただ今では、夏だけではなく「疲れ」という広い範囲からいつの時期でも使われるようになっています。
「補中益気湯」まとめ
「補中益気湯」は「疲れ」に使われる事の多い漢方薬になりますが、生薬を組み合わせる事で他の症状にも使われていきます。
ただ「人参養栄湯」、「当帰六黄湯」、「清暑益気湯」など似ている漢方薬と諸症状で使い分けていく事が重要になってきます。
また疲れている時の食養生としては「脂物などの食事」を控え「穀類、ビタミン、高たんぱく」の食事を摂る事を心がけて下さいね。
※症状や効果効能は個人差があります。同等の効果を保証するものではないので、ご了承ください。