
毎月やってくる「重い悩み」と「お腹のハリ」
女性特有のブルーな期間。ただでさえ下腹部が重く憂鬱なのに、なぜか「ガンコな便秘」や「どうしようもないイライラ・のぼせ」まで重なってしまう……。そんな複数の不調に悩まされていませんか?
東洋医学では、これらの複雑なサインはバラバラに起きているのではなく、体内の「血(けつ)の滞り」が原因であると考えます。
今回ご紹介する漢方薬「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」は、この滞った血を力強く巡らせながら、お通じを促すことで、溜め込んだ不要なものをスッキリと外へ出すサポートをしてくれる処方です。
【コラム】薬剤師 石川の視点「西洋薬と漢方、それぞれのアプローチ」
デリケートな期間のつらい不調に対し、西洋医学では『ロキソニン』や『イブプロフェン』などの鎮痛剤がよく用いられます。また、便秘が辛い時には『酸化マグネシウム(マグミットなど)』や刺激性の便秘薬を使う方も多いですよね。
これらの西洋薬は、『今すぐなんとかしたい不快感』をピンポイントで素早く和らげるのに非常に優れています。
しかし、『毎月、薬を手放せない状態』が続いているのであれば、根本的な体質(骨盤周りの血流や自律神経のバランス)を見直すタイミングかもしれません。桃核承気湯は、一時的な対処ではなく『そもそも滞りにくい、巡りの良い体づくりの土台』をサポートするのが得意なのです。
桃核承気湯とは? 5つの生薬が「滞り」を流す
桃核承気湯は、以下の5種類の生薬から構成されています。種類は少ないですが、それぞれの役割が明確な、とても理にかなった組み合わせです。
- 大黄(ダイオウ)
- 芒硝(ボウショウ)
- 桃仁(トウニン)
- 桂皮(ケイヒ)
- 甘草(カンゾウ)
東洋医学では、ドロドロと血が滞った状態を「瘀血(おけつ)」、エネルギーが頭に昇ってイライラする状態を「気の上衝(きの上昇)」と呼びます。この漢方は、この2つを同時にケアしていきます。
桃核承気湯がアプローチする「3つのサイン」
| 体のサイン | 具体的なお悩み | 桃核承気湯の働き(生薬の役割) |
| ① 血の滞り(瘀血) | ・期間中の下腹部の重苦しさ ・経血にレバー状の塊が混じる | 桃仁・大黄が、骨盤周りに滞った古い血の巡りをスムーズに促します。 |
| ② 腸内の滞り(便秘) | ・数日出ないガンコな便秘 ・お腹がパンパンに張って苦しい | 大黄が腸の動きを助け、芒硝が腸内に水分を集めて便を柔らかくし、排泄をサポートします。 |
| ③ 気の高ぶり(のぼせ) | ・些細なことでイライラする ・顔ののぼせ、気分の波 | 桂皮・甘草が、上に昇ってしまった「気」をスーッと降ろし、高ぶった心を穏やかに鎮めます。 |
よく似た漢方「桂枝茯苓丸」との違いは?
「血の巡りを良くする漢方」と調べると、有名な「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」が出てくることが多いと思います。どちらが自分に合っているか迷いますよね。
一番の大きな違いは、「便秘があるかどうか」と「精神的な高ぶりが強いかどうか」です。
- 桂枝茯苓丸: 血の滞りを優しく流すのがメイン。(普段、便秘はあまり気にならない方向け)
- 桃核承気湯: 血の巡りを促すだけでなく、「便通を良くする生薬(大黄・芒硝)」と、「気を鎮める生薬(甘草)」がしっかり配合されています。(便秘がちで、イライラなどの感情の波が激しい方向け)
【コラム】薬剤師 前原の視点「現代の食事と『血の滞り』の関係」
『昔より生理の悩みやイライラがひどくなった気がする』というご相談をよくお受けします。実は、お肉や揚げ物、甘いスイーツなど、現代の脂っこい食生活は、血液をドロドロにし『血の滞り』を招きやすい環境を作ってしまいます。
血が滞ると体に熱がこもりやすくなり、それがイライラや頑固な便秘に繋がるという悪循環に。太陽堂では、漢方でのケアと併せて、ご自身の体質に合ったお食事のアドバイスも大切にしています。
桃核承気湯に関するよくあるご質問(FAQ)
鎮痛剤(ロキソニン等)を飲んでいますが、併用できますか?
基本的には併用可能です。
つらい時は西洋薬でしのぎつつ、漢方薬で「血流の滞り」という根本的な体質をコツコツとケアしていく使い方はよく見られます。ご不安な場合は、お薬手帳をご用意の上、専門家にご相談ください。
便秘ではないのですが、イライラや重苦しさのために飲んでも良いですか?
桃核承気湯にはお通じを促す生薬がしっかり入っているため、もともと便通が良い方や下痢気味の方が飲むと、お腹が痛くなったり緩くなりすぎたりする可能性があります。
便秘がない方の巡りケアには、別の漢方薬(桂枝茯苓丸など)が適していることが多いです。
「実証(体力がある人)」向けと聞きましたが、小柄でも飲めますか?
桃核承気湯は、体力があり胃腸が丈夫な方(実証)向けとされていますが、「体が大きいから実証」というわけではありません。
小柄な方でも、のぼせや強い便秘、気分の高ぶりがあれば用いるケースはあります。自己判断せず、専門家に体質を見極めてもらうことが大切です。
まとめ:溜め込まない巡る体で、穏やかな毎日へ
「桃核承気湯」について解説しました。
毎月の憂鬱な重苦しさだけでなく、ガンコな便秘、そしてイライラやのぼせといった感情の揺らぎまで、女性の複雑なサインを総合的にケアしてくれる頼もしい漢方薬です。
「痛み止めや便秘薬を手放して、自然なリズムを取り戻したい」
「イライラして周りにあたってしまう自分を変えたい」
そんなお悩みは、体の中に「古い血」や「老廃物」が滞っているサインかもしれません。体質に合わない漢方を飲むとお腹を下すこともあるため、一人で悩まずにぜひ太陽堂へご相談ください。
東洋医学の知恵を用いて、スッキリと巡りの良い、あなたらしい穏やかな毎日を取り戻すためのお手伝いをさせていただきます。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。















