
【太陽堂が解説する「加味帰脾湯(かみきひとう)」の特徴とサポート】
- 漢方薬の主な働き: 加味帰脾湯は、胃腸の働きを助けて「血(栄養)」を作り出し、それを精神の座である「心」にたっぷりと届けて落ち着かせながら、ストレスで頭にこもった余分な「熱」を優しく冷ます働きが得意な漢方薬です。
- 適した体質・サイン: 眠りが浅い・途中で目が覚める、些細なことで不安や焦りを感じやすい、疲れやすくて胃腸が弱い、血色が悪い、といったサインを感じやすい体質の方に向いています。
- 太陽堂での活かし方: 太陽堂では、この加味帰脾湯を基本としつつ、お一人おひとりの現在の体質や生活習慣、ストレスの度合いに合わせて生薬を細かく調整し、体が本来持つ力を引き出すオーダーメイドのサポートを行っています。
疲れているのに眠れない。そのサインは「心(精神)」の栄養不足かも?
「体はクタクタに疲れているのに、布団に入ると色々考えてしまって眠れない」
「夜中に何度も目が覚めてしまい、朝から気分が落ち込んでいる」
「些細なことで不安や焦りを感じやすく、食欲も湧かない」
太陽堂には、このような「睡眠の質」や「心のゆらぎ」に関するご相談が数多く寄せられます。真面目で頑張り屋さんな方ほど、ストレスを一人で抱え込み、心身ともにすり減らしてしまうことが少なくありません。
東洋医学(漢方)の視点で見ると、こうしたお悩みの根本には、胃腸の働きが弱ることで「血(栄養)」が十分に作られず、精神を安定させる「心(しん)」に栄養が届いていない状態に加えて、ストレスによる「熱」が頭にこもっている状態が隠れていると考えます。
今回は、弱った胃腸を助けてたっぷりの栄養を作り出し、張り詰めた心と体の緊張を優しく解きほぐす漢方薬「加味帰脾湯(かみきひとう)」について詳しく解説いたします。ご自身の体からのサインに当てはまるか、ぜひチェックしてみてください。
【コラム】薬剤師 石川の視点「病院のお薬(睡眠導入剤・抗不安薬)と漢方のアプローチの違い」
眠れない日が続いたり、不安感が強かったりして心療内科や精神科を受診すると、『マイスリー』や『デパス』などに代表される睡眠導入剤や抗不安薬が処方されることが一般的です。これらのお薬は、高ぶった脳の神経を直接リラックスさせ、今ある辛い症状をスピーディに落ち着かせるために非常に優れています。
しかし、『なぜ自力でリラックスできなくなっているのか』という根本の部分に目を向けると、体質的な『血(栄養)の不足』や『胃腸の弱り』が背景にあることが多々あります。
お薬でしっかり休息を確保しながら、漢方で『自ら栄養を作り出し、心を穏やかに保てる土台』を育てていく併用スタイルは、将来の体への優しさや、お薬を少しずつ減らしていきたいと考える方に大変おすすめです。
胃腸(脾)と心(精神)の深いつながり
加味帰脾湯の「帰脾(きひ)」という名前には、「脾(胃腸)の働きを本来の正しい状態に帰す(戻す)」という意味が込められています。
漢方の世界では、胃腸は「食べたものからエネルギー(気)と栄養(血)を作り出す工場」だと考えます。
思い悩みすぎたり、過労が続いたりすると、この工場の働きがストップしてしまいます。すると、精神を安定させるための栄養(血)が脳(心)に届かなくなり、不安感、焦り、浅い眠り、気分の落ち込みといったサインが現れるのです。
さらに、そこに人間関係などの強いストレスが加わると、体内に「熱」が生まれます。この熱が上に昇ることで、頭が冴えてしまって眠れない、イライラするといった状態に拍車をかけます。
加味帰脾湯は、「胃腸を元気にする」「血を補って心を落ち着かせる」「ストレスの熱を冷ます」という3つのアプローチを同時に行ってくれる、非常にバランスの取れた漢方薬です。
心と体に栄養を届け、熱を冷ます14の生薬のチームワーク
加味帰脾湯は、なんと14種類もの生薬が組み合わさった、とても奥深い漢方薬です。それぞれの生薬がチームを組み、心身のゆらぎに多角的にアプローチします。
| チームの役割 | 代表的な生薬 | どのような働きをするか |
| ① 胃腸を助け、元気を補う (補気健脾) | 人参(ニンジン)、白朮(ビャクジュツ)、茯苓(ブクリョウ)、甘草(カンゾウ)、生姜(ショウキョウ)、大棗(タイソウ) | 弱った胃腸の働きを助け、食事からしっかりとエネルギー(気)を作り出せるように土台を支えます。 |
| ② 栄養を補い、心を落ち着かせる (補血安神) | 当帰(トウキ)、竜眼肉(リュウガンニク)、酸棗仁(サンソウニン)、遠志(オンジ) | 不足している「血」をたっぷりと補い、精神の昂ぶりや不安感を優しく鎮めて、穏やかな眠りをサポートします。 |
| ③ 巡りを促す (理気) | 木香(モッコウ) | 滞っている「気」の巡りをスムーズにし、お腹の張りや気分のつかえをスッキリと通します。 |
| ④【加味成分】ストレスの熱を冷ます (清熱) | 柴胡(サイコ)、山梔子(サンシシ) | ベースとなる「帰脾湯」にプラスされた成分です。ストレスによるイライラや、頭にこもった微熱を優しく冷まします。 |
【コラム】薬剤師 椙田の視点「『帰脾湯』や『抑肝散』との違い・使い分け」
メンタルのゆらぎや睡眠のサポートに使われる漢方には、他にも『帰脾湯(きひとう)』や『抑肝散(よくかんさん)』などがあり、どう違うのか迷われる方も多いと思います。
見分けるポイントは、『イライラ(熱)の強さ』と『体力の有無』です。
- 帰脾湯: 加味帰脾湯から「柴胡」と「山梔子」を抜いたものです。イライラや熱感はなく、とにかく疲れ果てて気力がない、血色が悪いという方に向いています。
- 抑肝散: 胃腸の弱さよりも、ストレスによる『怒り』『強いイライラ』『筋肉のピクつき』が前面に出ている方に向いています。
- 加味帰脾湯: 基本は疲れやすくて不安感が強いタイプですが、そこに『少しのイライラ』や『焦り』『微熱感』が混ざっている方に適しています。現代人は様々なストレスに晒されているため、単なる帰脾湯よりも『熱を冷ます』成分が加わった加味帰脾湯が合うケースが非常に増えています。
加味帰脾湯に関するよくあるご質問(FAQ)
病院の睡眠導入剤や抗うつ薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか?
はい、基本的には併用可能です。
辛い時は西洋のお薬でしっかりと休息を取りつつ、漢方で「栄養を作り出せる土台」をケアしていくスタイルは非常によく見られます。
安全のため、事前にお薬手帳をご用意の上、ご相談ください。
漢方薬は効果が出るまで時間がかかると聞きましたが?
加味帰脾湯は「不足している栄養を補い、体質を作っていく」タイプのお薬(補剤)であるため、睡眠薬のように飲んですぐにバタンと眠れるわけではありません。
まずは「胃腸の調子が良くなってきた」「少し気分がスッキリしてきた」という変化から始まり、数週間から数ヶ月かけて少しずつ深い休息のリズムが整っていくことが多いです。
焦らずにじっくりと向き合うことが大切です。
男性が飲んでも良いですか?
もちろんです。女性のゆらぎに使われるイメージを持たれることもありますが、仕事のプレッシャーや過労で「心と胃腸」が弱っている男性にも非常によく用いられます。
性別に関わらず、体質やサインに合っていればしっかりサポートしてくれます。
まとめ:心と体に栄養を満たし、穏やかな朝を迎えるために
「睡眠の質や気分の落ち込みをサポートする加味帰脾湯」について解説しました。
ポイントは以下の3つです。
- 眠りが浅い、不安感があるのは「胃腸の弱り」と「血(栄養)の不足」が原因かも
- 加味帰脾湯は、胃腸を元気にして心を落ち着かせ、ストレスの熱を冷ますのが得意
- 睡眠薬や抗不安薬と併用しながら、根本的な「心身の土台」を育てることが大切
「薬を手放せなくなるのが怖い」「いつも漠然とした不安を抱えている」というお悩みを「性格だから仕方ない」と一人で抱え込まずに、ぜひ一度、太陽堂へご相談ください。
あなたのお身体のサインを丁寧に読み解き、一番適したオーダーメイドの漢方で、内側からホッと安心できる身体づくりのサポートをさせていただきます。
関連ページ
睡眠のトラブルや、自律神経の乱れ、メンタルのゆらぎについて、ホームページでも詳しくお話ししています。ぜひ参考にされてみてください。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。
記事作成者 薬剤師 椙田 彩純

担当疾患;循環器、身体の痛み
臨床検査技師の両親の影響で、幼い頃から医療に関心を持つ。
大学卒業後、病院薬剤師として勤務。
対症療法が中心の現場で、繰り返す入退院や長期投薬を目の当たりにし、「もっと力になれる方法はないか」と模索する中で漢方と出会う。
現在は漢方の持つ幅広さと可能性に魅了され、一人ひとりの体質に寄り添った根本改善を追求している。














