
「呉茱萸湯」てどんな漢方薬?
「天気が悪いわけでもないのに、ズキズキと頭が痛む」
「頭痛と一緒に、ひどい吐き気やめまいがする」
そんな辛い症状にお悩みではありませんか? 実はその頭痛、「胃の冷え」が原因かもしれません。
漢方薬には様々な種類の頭痛薬がありますが、今回はその中でも、冷えによる激しい頭痛や嘔吐によく使われる「呉茱萸湯(ごしゅゆとう)」について解説します。
ご自身の症状が当てはまるか、ぜひチェックしてみてください。
呉茱萸湯(ごしゅゆとう)とは?どんな頭痛に効く漢方?
「呉茱萸湯」は、漢方の世界では頭痛治療の代表的な処方の一つとして知られています。しかし、すべての頭痛に効くわけではありません。この漢方薬が得意とするのは、「冷え」が原因で起こる頭痛です。
胃の冷えからくる「こめかみ」の痛みに特化
呉茱萸湯が最も適しているのは、「胃の冷え」からくる頭痛です。 具体的には、以下のような特徴があります。
- こめかみがズキズキと痛む
- アイスクリームやかき氷など、冷たいものを食べた時に頭がキーンとするような痛み
- 頭痛に伴って、手足の冷えを感じる
漢方では、こめかみや「風池(ふうち/耳の後ろにあるツボ)」の痛みは、冷えと関係が深いと考えられています。体を温める力が不足している時に起こりやすい症状です。
体を温める4つの配合生薬
呉茱萸湯は、以下の4種類の生薬で構成されています。
- 呉茱萸(ごしゅゆ):体を温め、痛みを止める。吐き気を抑える。
- 人参(にんじん):胃腸の働きを助け、元気を補う。
- 大棗(たいそう):精神を安定させ、筋肉の緊張を緩める。
- 生姜(しょうきょう):体を温め、発散させ、吐き気を止める。
特に「呉茱萸」と「生姜」の温める作用により血流を促進し、首や肩の凝り(項背痛)を和らげると同時に、上逆(気が上にのぼること)を抑えて頭痛や嘔吐を鎮めます。
頭痛だけじゃない!呉茱萸湯の効果・効能
呉茱萸湯は頭痛以外にも、冷えが関係する様々な症状に応用されます。
吐いても楽にならない「激しい嘔吐」や「めまい」
片頭痛持ちの方によく見られる、「吐き気を伴う頭痛」にも呉茱萸湯は効果を発揮します。 特に、「吐いてもスッキリせず、苦い胃液(胆汁)まで出てしまうような激しい嘔吐」に適しています。
また、冷えによる「めまい」がある場合、呉茱萸湯で胃を温めて嘔吐を治すことで、めまいの症状も同時に改善されるケースが多く見られます。
しゃっくりやその他の症状
胃が冷えて気が動転して起こる「しゃっくり」や、一部の「てんかん」発作などにも使用されることがあります。いずれも「冷え」と「気の上逆」がキーワードとなります。
あなたの頭痛はどっち?「胃の冷え」と「腸の冷え」
冷えからくる頭痛には、実はもう一つタイプがあります。それが「腸の冷え」です。
下痢を伴う頭痛には「人参湯(にんじんとう)」
もし、頭痛と同時に「下痢」や「お腹の緩さ」がある場合は、胃だけでなく腸まで冷えている可能性があります。 その場合は、呉茱萸湯ではなく「人参湯(にんじんとう)」(または人参湯に桂枝を加えた漢方)を選ぶことが多いです。
- 呉茱萸湯:胃の冷え、嘔吐、こめかみの頭痛
- 桂枝人参湯:腸の冷え、下痢、お腹の痛み
ご自身の「お腹の調子」を観察することが、漢方薬選びの重要なヒントになります。
頭痛持ちの方へ!食事で気をつけるポイント
呉茱萸湯が合うような「冷え性頭痛」の方は、日々の食事が原因を作っているかもしれません。
体を冷やす「苦味」と「水分の多いもの」に注意
漢方では、「苦味の強いもの」や「体を潤す(水を呼ぶ)もの」は、体を冷やす性質があると考えます。頭痛持ちの方は、以下の食品の摂りすぎに注意しましょう。
- 苦味が強いもの:ゴーヤ、コーヒー、ビールなど
- 水分が多いもの:生野菜(サラダ)、南国のフルーツなど
特に夏場でも、氷入りの飲み物や冷たいビールをガブガブ飲むのは控え、常温や温かいものを摂るように心がけてみてください。
まとめ
呉茱萸湯は、胃の冷えが原因で起こる「頭痛」「嘔吐」「こめかみの痛み」に非常に有効な漢方薬です。 市販の頭痛薬を飲んでも改善しない、吐き気が強くて辛いという方は、一度漢方薬を試してみてはいかがでしょうか。
「自分の頭痛の原因がわからない」
「どの漢方が合うか相談したい」
という方は、ぜひお気軽にご相談ください。


