
「メネシット(レボドパ製剤)の効く時間が、だんだん短くなってきた気がする」
「薬が切れると身体が固まって、ピタッと動けなくなる。薬の量も年々増えてきて不安だ」
「手足の震えやつまずきが増えて、歩くのがだんだん辛くなってきた……」
脳からの指令がうまく伝わらなくなり、身体の動きに障害が出る「パーキンソン病」。
太陽堂の店頭にご相談に来られるパーキンソン病の患者さまの8〜9割は、すでにメネシットやマドパーなどのレボドパ製剤を病院で処方され、服用されています。その上で、「お薬の効く時間が短くなった」「量が増えてきた」「お薬が切れると動けなくなる(ウェアリングオフ)」という、長期間の服薬に伴う特有の深い悩みを抱えて来られます。
最初にはっきりとお伝えしておきたいことがあります。太陽堂は、パーキンソン病について「漢方で治る(完治する)」という言葉は決して使いません。現時点の医学において、進行も視野に入れて付き合っていく病気だからです。
その正直な前提に立った上で、病院のお薬は続けながら、震えや筋肉のこわばり・便秘を和らげ、「動ける毎日(生活の質)」を身体の土台から支える——それが太陽堂の漢方の役割です。今回は、薬剤師の視点からその考え方と実例を詳しく解説いたします。
【この記事の結論:「パーキンソン病」に対する漢方の考え方】
- 正直な答え: 「治る」という言葉は使いません。目指すのは、震えや筋肉の動かしにくさ・便秘などの症状を和らげ、可動域が広がることで日常生活の行動範囲を広げていくこと。そして、安定した精神状態を支えることです。
- 不調の正体(原因): 西洋医学では脳内のドパミン不足による運動障害とされますが、漢方では加齢や過労による「肝・腎」のエネルギー不足、それに伴う筋肉の栄養不足と自律神経の過緊張、血流の滞り(瘀血)が土台にあると考えます。
- 漢方の解決策: 西洋薬(レボドパ等)をメインエンジンとしながら、漢方で筋の緊張を鎮め、血流と活力を補うことで「震え・こわばり・便秘」を和らげ、今ある可動域と行動範囲を守ることを目指します。
- 対象となる主な疾患・お悩み: パーキンソン病、パーキンソン症候群、薬の効く時間が短くなってきた方(ウェアリングオフ)、薬の副作用(ジスキネジア)が不安な方、手足の震え、こわばり、すくみ足、頑固な便秘でお悩みの方(ご家族からのご相談も可)
なお、病気そのものの基本的な解説と症例はパーキンソン病の専門ページにまとめています。この記事では「お薬との付き合いの悩みと、動ける毎日を支える考え方」に絞ってお話しします。
パーキンソン病とは?「効く時間が短くなる」が起こる理由
パーキンソン病は、脳内で身体の動きを滑らかにする指令を出す物質「ドパミン」を作る神経細胞が、原因不明に少しずつ減っていくことで発症します。
- 手足が震える(振戦)
- 動作が遅くなる(無動・寡動)
- 筋肉が硬くこわばる(筋強剛)
- バランスが取りにくく転びやすい(姿勢反射障害)
これら4つの運動症状が特徴ですが、それに加えて、便秘、頻尿、嗅覚の低下、気分の落ち込み(うつ症状)、不眠など、動き以外の症状(非運動症状)を伴うことも非常に多くあります。
病院で行われる主な治療と、よく伺う「お薬の悩み」
病院(神経内科など)では、不足したドパミンを補うためのお薬が処方されます。
- レボドパ製剤(メネシット、マドパー、ネオドパストンなど): 脳内でドパミンに変わり、動きを改善する、治療の中心となるお薬です。
- ドパミンアゴニスト(ビ・シフロール、ミラペックスなど): ドパミンの代わりをして神経を刺激するお薬で、レボドパと併用されることが多いです。
これらのお薬は素晴らしい効果を発揮しますが、数年間長く服用を続けるうちに、多くの方が次のような壁にぶつかります。
- ウェアリングオフ現象: お薬を飲むと動けるが、次の薬を飲むまでの間に効果が切れてしまい、身体が急に重く固まってしまう現象です。「効く時間が短くなってきた」という訴えとして、店頭で最も多く伺います。
- ジスキネジア: お薬が効きすぎる時間帯に、自分の意思とは無関係に身体がくねくねと勝手に動いてしまう現象です。
これらはお薬が悪いのではなく、長い治療の経過の中で多くの方が通る道です。大切なのは、お薬の調整は主治医の先生に任せながら、お薬だけに頼らない「身体側の土台」を並行して育てていくことだと、太陽堂は考えています。
【薬剤師コラム①】「治りますか?」と聞かれたときの、正直な答え
担当薬剤師:前原
以前、太陽堂の店頭で「漢方薬を飲めば、パーキンソン病は完全に治るというのは本当ですか?(どういう意味ですか?)」というご質問を立て続けにいただいた時期がありました。それ以来、私たちはご説明での「言葉の使い方」に、より一層気をつけるようになりました。
パーキンソン病は、現時点の医学において進行も視野に入れて考えていく病気です。ですから太陽堂では、患者さまに過度な期待を持たせる「治る」という言葉は決して使いません。
その代わりにお伝えしているのが、「症状を少しでも和らげて、今動ける範囲・今ご自身でできることを守り、行動範囲を広げていきましょう」という現実的で前向きな目標です。
手足の震えや筋肉の動かしにくさ(こわばり)が少し和らぐだけで、日常生活の中で「自分でできること」は確実に増えます。ご相談では最初に「いつから・どこが・どんな時に一番困っているか」を丁寧に伺い、その方の生活に直結する一番困っている場面から組み立てていきます。
足が固まって動かしにくく、震えがあって行動が制限されていた方が、症状が和らいだことで外出もできるようになり、「毎日を楽しめるようになった」と言ってくださった——そんな場面が、私たちの何よりの励みになっています。
【比較表】西洋医学(病院)と漢方薬(太陽堂)のアプローチの違い
| 比較項目 | 西洋医学(病院のアプローチ) | 漢方薬(太陽堂の体質ケア) |
| 主な目的 | レボドパ製剤等で不足したドパミンを直接補い、動きを支える | 震え・こわばり・便秘等を和らげ、可動域と行動範囲を広げる |
| 得意なこと | 運動症状への直接的な効果、病状の正確な評価と進行管理 | 薬でカバーしきれない非運動症状(便秘・気分の波等)の全身ケア |
| 代表的な手段 | レボドパ製剤、ドパミンアゴニスト、リハビリテーション、手術(DBS) | 筋の緊張を鎮める漢方薬、血流を整える漢方薬、活力を補う漢方薬 |
| 気になる点 | ウェアリングオフ・ジスキネジア・増量など、長期服用によるお薬の悩み | 身体の変化を実感するまでに一定の期間(まずは3ヶ月目安)が必要 |
| 両者の関係性 | 動きを直接的にコントロールし支える「絶対的なメインエンジン」 | 体質の側からエンジンの燃費を上げ、動ける毎日を支える「並走役」 |
漢方から見たパーキンソン病——「動ける毎日」を支える3つの視点
太陽堂では、パーキンソン病の複雑な症状を身体の根本的なエネルギー不足と血流・自律神経の乱れと捉え、以下の「3つの視点」からオーダーメイドで漢方を組み立てます。
視点① 自律神経や筋肉の過剰な緊張を鎮める(平肝熄風:へいかんそくふう)
- 狙い: 東洋医学では、手足の震え(振戦)や筋肉のこわばりを「身体の中に異常な風が吹いている状態(肝風内動)」と表現します。この筋肉の過緊張と自律神経の高ぶりを、漢方薬(釣藤鈎、天麻など)で優しく鎮めます。実例でも中心になっている、第一の柱です。
視点② 血流を整え、活力を補う(活血・補気補血)
- 狙い: 筋肉と脳神経をしっかりと養うための「血流(瘀血の改善)」を整え、加齢や病で消耗した根本的な生命エネルギー(気・血)を補う漢方薬を合わせます。全身の重だるさ、歩行の辛さ、頭のフワフワ感など、その方の症状に合わせた組み立てを行います。
視点③ ガンコな「便秘」と、気持ちの安定(潤腸・安神)
- 狙い: パーキンソン病の患者さまで非常に多いのが「頑固な便秘」の訴えです。便秘はお薬(レボドパ)の吸収を悪くし、効き目(ウェアリングオフ)にも直接悪影響を及ぼします。お通じを整えることと、不安や気分の落ち込みといった精神状態を安定させることも、漢方の大切な受け持ちです。
【薬剤師コラム②】ご家族からのご相談も、遠慮なくどうぞ
担当薬剤師:林
店頭でお受けするパーキンソン病のご相談のうち、1〜2割ほどは「患者さまのご家族」からのご相談です。
「本人は病院の薬以外は飲みたがらず乗り気ではないけれど、歩くのが辛そうで横で見ているのが忍びない」
「薬の量がどんどん増えていくのが心配で、何かできることはないか」
——そんな切実なご家族のお気持ちで来られます。
もちろん、ご家族からの代理でのご相談も喜んで承ります。その際にお願いしたいのは、「いつから・身体のどこが・どんな時に症状が強く出るのか」を、ご家族の目線でできる範囲でメモしてきていただくことです。
「夕方の薬が切れる時間帯にピタッと固まる」「朝の起きた時の動き出しが特に遅い」といった具体的な生活の場面が、私たちにとって漢方の組み立ての非常に大切な手がかりになります。
そして、ご本人にもご家族にも常々お伝えしたいのは、「『病気でできなくなったこと』を数えて落ち込むより、『今日自分でできたこと・漢方を飲んで和らいだこと』を一緒に数えていきましょう」ということです。その前向きな積み重ねの視点こそが、この病気との長いお付き合いをしっかりと支えてくれますよ。
【サポート実例】症状が和らぎ、「進行が見られない」と言われたエピソード
①【手足の使いづらさ・バランス・震え】50代 女性|1年8ヶ月、病院の診察で「進行は見られない」
【ご相談時の状態】 2年前から体に違和感を覚え、病院の検査でパーキンソン病と診断。病院薬を服用して様子を見ていたものの進行が見られたため、ご相談に来られました。手足の使いづらさ・バランスのとりにくさ・震えが気になるとのことでした。
【太陽堂の提案】 ①自律神経や筋の緊張を鎮める漢方薬 ②血流を整える漢方薬 をお渡ししました。
- 4ヶ月後: 震えが少しずつ減っているとのこと。
- 8ヶ月後: バランスが取れるようになり、歩行が以前よりも楽とのことでした。
- 1年8ヶ月後: 手足も幾分動かしやすく、病院の診察では「進行は見られない」とのことでした。
②【ふるえ・こわばり・歩行困難】60代 女性|3ヶ月で歩きやすくなり、8ヶ月で服用終了に
【ご相談時の状態】 5年前から体の不調が目立ち、病院の検査でパーキンソン病と診断。病院薬で様子を見ていたものの症状が強くなってきたため、ご相談に来られました。ふるえ・首や肩、背中のこわばり・歩行困難が気になるとのことでした。
【太陽堂の提案】 ①自律神経や筋の緊張を鎮める漢方薬 をお渡ししました。
- 3ヶ月後: ふるえが減って歩きやすくなったとのこと。
- 6ヶ月後: 歩きやすさが続いているとのこと。
- 8ヶ月後: 首や肩のこわばりが治まってきたとのことで、服用終了となりました。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状の改善や進行の完全な抑制を保証するものではありません。
ご自宅でできる、動ける毎日を守る暮らしの基本
- 病院のお薬は「絶対に」自己判断で変えない・やめない: 「効く時間が短くなった」「効きすぎて勝手に身体が動く」——そう感じたら、まず主治医の先生に伝えてください。お薬の飲み方の工夫や量の微調整は、専門医の絶対的な領分です。漢方薬はその病院の治療を続けたまま、安全に並走できます。
- 「動ける時間帯」に、無理のない運動を続ける: お薬がしっかりと効いている時間帯での散歩やストレッチは、残っている筋力とバランス感覚を守るために極めて大切です。転倒にだけは十分に気をつけて、手すりや杖も恥ずかしがらずに味方につけましょう。
- 便秘を絶対に放置しない: 便秘はパーキンソン病の患者さまで非常に多い悩みであり、腸に便が溜まるとお薬(レボドパ)の吸収が悪くなり、ウェアリングオフを悪化させます。水分と食物繊維を意識して摂ることに加え、便秘の解消は漢方の最も得意とする分野ですので、遠慮なくご相談ください。
よくあるご質問(FAQ)
パーキンソン病は、漢方薬で治りますか?
正直にお伝えします。太陽堂では「治る」という言葉は使いません。現時点の医学において、進行も視野に入れて考えていく病気だからです。
その上で私たちが目指すのは、震えや筋肉の動かしにくさ・便秘などの症状を和らげ、可動域が広がることで日常生活の行動範囲を広げていくこと、そして安定した精神状態を支えることです。
メネシットなどの病院のお薬と、漢方薬は併用できますか?
はい、併用できます。ご相談に来られる方の8〜9割はレボドパ製剤を服用しており、お薬は続けたまま漢方が並走します。
病院のお薬は動きを支える治療の要です。自己判断でやめたり減らしたりせず、量や種類の調整は必ず主治医の先生と相談してください。お薬手帳をお持ちいただければ、飲み合わせを確認いたします。
薬の効く時間が短くなってきました(ウェアリングオフ)。漢方にできることはありますか?
お薬の効き方そのものの調整は主治医の領分ですが、「身体の側」を整えることで支えられる部分があります。
漢方では、自律神経や筋肉の緊張を鎮め、血流を整え、活力を補うことで、震え・こわばり・だるさといった症状を体質の側から和らげることを目指します。「効く時間が短くなった」「量が増えて不安」という段階こそ、土台づくりの始めどきです。
便秘がつらいのですが、これも相談できますか?
はい、ぜひご相談ください。便秘はパーキンソン病でとても多い悩みで、漢方の得意分野です。
腸に便がたまると、お薬(レボドパ)の吸収にも影響すると言われています。お通じが整うと体調全体が底上げされるため、震えなどのケアと一緒に組み立てていきます。
本人の代わりに、家族が相談に行ってもよいですか?
はい、もちろんです。店頭でのご相談の1〜2割は、ご家族からのご相談です。
「いつ・身体のどこが・どんな時(薬が切れた時など)に」症状が強く出るのかを、できる範囲でメモしてお越しいただけると、漢方の組み立ての大切な手がかりになります。
どのくらいの期間で変化を感じられますか?
まずは「3ヶ月」を一区切りの目安としてお願いしております。
実例①のように4ヶ月で震えの変化を感じた方もいらっしゃいますが、個人差があります。長いお付き合いになる病気だからこそ、「昨日より今日、和らいだこと・できたこと」を一緒に数えながら、じっくりと腰を据えて進めていきましょう。
まとめ:お薬と漢方の二人三脚で、「動ける毎日」を守る
パーキンソン病の進行や、お薬の効き目が悪くなっていくことへの不安は、ご本人にしか分からない深く暗いものです。だからこそ、目標をしっかりと定めて、できることから始めていきましょう。
- レボドパ製剤などの病院の治療は、主治医の指示どおり必ず続ける(勝手に減らさない)
- 「治る」ではなく、「症状を和らげ、今の行動範囲を広げる・維持する」を目標に置く
- 漢方薬で筋の緊張・血流・活力・便秘を支え、動ける毎日の土台を身体の内側から育てる
「薬の効く時間がどんどん短くなって、この先どうなるのか不安だ」
「歩くのが辛くなってきた。自分でできることが減っていくのが怖い」
そんな深いお悩みを抱えている方は、ご本人様でもご家族様でも、どうぞ一人で抱え込まずに太陽堂へご相談ください。
症状の出方やお薬の内容(飲む時間帯の波など)を丁寧にお伺いし、あなたに合わせた漢方ケアをご提案いたします。
ご遠方の方には、ヒアリングシートのやり取りによるご相談も全国から承っておりますので、まずはお気軽にお声がけください。
【ご相談をご希望の方へ】
パーキンソン病に対する具体的な漢方アプローチについては、こちらのページにて詳しく解説しております。
関係性の深い病気;ご相談も多数いただいております。
パーキンソン病だけでなく、神経に関するさまざまなお悩みについても、太陽堂では数多くのご相談をいただいております。気になる方は、以下のページもあわせてご覧ください。
本態性振戦(緊張からくる手の震え)震えだけが気になる方はこちらも。
てんかん(癲癇)発作のご相談に。
自律神経失調症自律神経の乱れ全般のご相談に。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。








