
「毎日お風呂上がりに保湿剤を塗っているのに、数時間経つとまた、すねや背中が粉をふいてかゆくなる……」
「夜、布団に入って身体が温まると、かゆくてたまらず、掻いてしまって何度も目が覚める……」
「かゆみ止めの飲み薬を飲むと、日中までぼんやりする。血圧のお薬なども多いので、これ以上増やしたくない……」
年齢とともに皮膚の水分と脂が減り、湿疹などの目立った変化がないのに強いかゆみが出る状態を、老人性(乾燥性)皮膚掻痒症(ろうじんせいひふそうようしょう)と呼びます。空気が乾く秋から冬にかけて強くなりやすく、乾燥が本格的になる前に整え始めることをおすすめしています。
このページでは、保湿してもかゆい理由、漢方の考え方、お薬が多い方の注意点、お風呂と衣類の養生、実際の経過をご説明します。ご家族の方が読まれる場合にも、参考にしていただける内容です。
(※老人性皮膚掻痒症の説明や、他の皮膚の病気との見分け方の表は、本体ページにまとめています。このページは「保湿しても夜かゆい」方に向けた考え方です。)
【この記事の結論:保湿しても続くかゆみに対する漢方の考え方】
- 起こる理由(原因): 保湿剤は、皮膚の表面にふたをして水分を逃がさないお薬です。身体の内側の潤いが足りないと、ふたをしても乾いてしまいます。漢方では、①皮膚を養う潤いと栄養の不足 ②潤い不足によるほてり ③胃腸の弱りで潤いを作れないの3つから見ます。
- 漢方の解決策: 保湿剤やかゆみ止めは続けながら、漢方で内側から潤いと栄養を補います。お薬が多い方は、お薬手帳を確認したうえで、負担の少ない形でお作りします。
- 対象となる主なお悩み: 保湿してもかゆい方、夜中にかゆみで目が覚める方、かゆみ止めで眠くなる方、掻きこわして跡が残る方、お薬が多くて増やすのが不安な方
保湿しても、夜にかゆくなる理由
皮膚は、表面の脂の膜と、その下の水分によって、外からの刺激から守られています。年齢とともにこの守りが弱くなると、かゆみを感じる神経が皮膚の表面近くまで伸びてきて、衣類がこすれる、身体が温まる、といったわずかな刺激でもかゆみを感じるようになります。
夜、布団に入って身体が温まるとかゆくなるのは、温まることで血の巡りが増え、表面近くまで伸びた神経が敏感に反応するためです。保湿剤は外からふたをするお薬で、内側の潤いを増やすお薬ではありません。内側が乾いたままだと、塗っても数時間で戻ってしまいます。
病院のお薬との付き合い方・先に受診してほしいとき
保湿剤、かゆみ止めの飲み薬(抗ヒスタミン薬)、ステロイドの塗り薬は、漢方と併用できます。病院のお薬を自己判断でやめる必要はありません。
ご高齢の方は、血圧・糖尿病・コレステロールなど、他のお薬を飲んでいる方がほとんどです。お薬手帳を必ずお持ちください。飲んでいるお薬の種類と数、腎臓の働きについて病院で言われていることを伺ったうえで、お作りします。
※念のため:赤いブツブツや水ぶくれが出ている/かゆみが全身に急に広がった/皮膚や白目が黄色い(黄疸)・理由なく体重が減ってきた・尿の色が濃い——こうした場合は、皮膚以外の病気(肝臓・腎臓・血液など)が隠れていることがあります。漢方の相談より先に、内科を受診して血液検査を受けてください。
老人性皮膚掻痒症の説明は、本体ページをご覧ください。
漢方の考え方|外からふたをし、内側から潤す
漢方では、年齢とともに、皮膚を養う「血(けつ)」と、身体を潤す水分が減っていくと考えます。外からの保湿に加えて、内側から潤いのもとを補うことで、乾きにくい皮膚を目指します。
【比較表】あなたはどれ? 3つのタイプと漢方アプローチ
| タイプ | 皮膚の様子・体質 | 太陽堂の漢方アプローチ(働き) |
| ①潤いと栄養が足りないタイプ (血虚) | 粉をふくほど乾燥する、布団に入るとかゆい、皮膚が薄くなった。 | 【皮膚を養い、かゆみをなだめる漢方薬】 皮膚を養う栄養と潤いを補い、乾燥によるかゆみを和らげます。 |
| ②ほてるタイプ (陰虚) | 手足がほてる、口が渇く、掻くと熱っぽくなる、寝汗をかく。 | 【潤いを補い、ほてりを冷ます漢方薬】 身体を潤す水分を補い、こもった熱を穏やかに冷まします。 |
| ③胃腸が弱いタイプ (脾虚) | 食が細い、疲れやすい、皮膚にツヤがない。 | 【胃腸を整え、潤いを作る力を助ける漢方薬】 食べたものから潤いと栄養を作る力を立て直します。 |
(※ご自身でどれか分からなくても大丈夫です。「いつ、どこがかゆいか」「食事と睡眠の様子」「飲んでいるお薬」を伺いながら、こちらで整理します。)
秋の乾燥によるかゆみについては、季節の養生の記事でもまとめています。
【薬剤師コラム①】保湿剤は「ふた」、漢方は「潤いのもと」
担当薬剤師:石川
「保湿剤を毎日たっぷり塗っているのに、数時間経つとまた粉をふいてかゆくなります」というご相談をよくお受けします。
保湿剤は、皮膚の表面にふたをして水分を逃がさない、大切なお薬です。ただ、身体の内側の潤いが足りないと、ふたをしても乾いてしまいます。漢方では、外からの保湿は続けていただきながら、内側から潤いのもとを補うことをご提案しています。
何を目安に見るか・お風呂と衣類の養生
太陽堂では「まず3ヶ月」を一つの単位として、次の変化を一緒に確認します。
- 夜のかゆみと眠り(かゆみで目が覚める回数が減ったか、眠れるようになったか)
- 皮膚の乾き(服を脱いだときの粉ふき、つっぱり感が和らいだか)
- 掻きこわし(新しい掻き傷や、血のにじみが減ったか)
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状の改善を保証するものではありません。
養生|洗いすぎない・温めすぎない
- お風呂はぬるめ(38〜39度)に: 熱いお湯は、皮膚に残った脂を流してしまいます。
- こすらない: ナイロンのタオルは使わず、綿のタオルか、石けんを泡立てて手のひらで、なでるように洗ってください。
- お風呂から上がったら、すぐ保湿: 皮膚がまだ湿っているうちに塗ると、水分を保ちやすくなります。
- 肌着は綿に: ちくちくする素材(化学繊維など)や、締めつける下着は避けてください。
- 暖房の効いた部屋は加湿を: エアコンの風が直接当たるのを避け、加湿器を使ってください。電気毛布やこたつの使いすぎも、乾燥を強めます。
【薬剤師コラム②】お風呂での「洗いすぎ」を見直してください
担当薬剤師:前原
乾燥によるかゆみでお悩みの方に、まず見直していただきたいのが、お風呂の習慣です。「かゆいから、熱いお湯に入ってゴシゴシ洗うと気持ちがいい」という方がいらっしゃいますが、これは皮膚に残ったわずかな脂まで流してしまいます。
お湯はぬるめ、洗うときは綿のタオルか手でなでるように。これだけで汚れは十分に落ちます。漢方薬と合わせて、皮膚を守る生活の習慣も一緒に整えていきましょう。
【改善実例】全身のかゆみが落ち着いていったエピソード
店頭の記録のうち、ご高齢の方の「全身のかゆみ」の経過を2件ご紹介します。記録上の病名は「全身の痒み」「身体の痒み」で、老人性皮膚掻痒症と診断された方に限った記録ではありません。
【背中を中心とした全身のかゆみ】60代 女性|1ヶ月でかゆみが7割ほど減少
【ご相談時の状態】 かゆみが強くなり、病院でステロイドの塗り薬を出された方です。塗っていても変化が見られず、ご相談に来られました。背中を中心に全身がかゆく、一度かゆみが出ると止まらないとのことでした。
【太陽堂の提案】 ①炎症を取る漢方薬 ②解毒の働きを助ける漢方薬 の2種類を組み合わせてお渡ししました。
- 1ヶ月後: かゆみの7割ほどがなくなり、調子良く過ごせているとのことでした。
【3年続く、眠れないほどのかゆみ】70代 男性|2ヶ月で半分以下に、5ヶ月で治療終了
【ご相談時の状態】 3年ほど前から身体のかゆみが気になるようになった方です。病院のかゆみ止めの飲み薬を飲んでも変化が見られず、ご相談に来られました。頭・胸・脇腹などに湿疹ができてかゆみが強く、ひどいときは眠れないとのことでした。
【太陽堂の提案】 ①かゆみを止める漢方薬 ②熱を鎮める漢方薬 の2種類を組み合わせてお渡ししました。
- 2ヶ月後: かゆみが最初の半分以下になり、夜も眠れるようになりました。
- 4ヶ月後: 頭のかゆみは残っていましたが、身体のかゆみはほとんどなくなりました。
- 5ヶ月後: かゆみがほとんどなくなり、治療終了となりました。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状の改善を保証するものではありません。病院のお薬の中止・変更は、主治医の判断のもとで行ってください。
よくあるご質問(FAQ)
保湿剤やかゆみ止めと一緒に漢方を飲んでも大丈夫ですか?
はい、多くの場合、併用していただけます。外からの保湿は続けながら、漢方で内側から潤いを補います。
高齢で、お薬をたくさん飲んでいます。漢方を足しても大丈夫ですか?
お薬手帳を確認したうえで、負担の少ない形でお作りします。飲んでいるお薬の種類と数、腎臓の働きについて病院で言われていることをお聞かせください。
ご家族の方からのご相談もお受けしています。
いつ頃から始めるのが良いですか?
毎年、秋から冬にかゆみが強くなる方は、乾燥が本格的になる前に始めることをおすすめしています。
内側から潤いを補うには、少し時間がかかるためです。すでにかゆみが出ている方も、そのままご相談ください。
どのくらいの期間で変化を感じられますか?
まず「3ヶ月」を一つの単位として、夜のかゆみ、皮膚の乾き、掻きこわしを一緒に確認します(※個人差があります)。
費用はどのくらいかかりますか?
漢方薬の費用は、週5,000円前後〜(月2万円前後〜)が目安です。相談料は無料です。
お作りする前に必ず金額をお伝えします。ご予算のご希望も含めて率直にお伝えください。
まとめ|外からの保湿に、内側の潤いを足す
「塗っても塗っても、夜になるとかゆい。年だから仕方ないのだろうか」
- 保湿剤は外からふたをするお薬です。内側の潤いが足りないと、塗ってもまた乾きます。漢方では、潤いと栄養の不足・ほてり・胃腸の弱りから見ます。
- 保湿剤やかゆみ止めは続けながら、漢方で内側から補います。お薬が多い方は、お薬手帳を必ずお持ちください。
- お風呂はぬるめ、こすらない、上がったらすぐ保湿。乾燥が本格的になる前に始めることをおすすめしています。
「年のせいだから」と、眠れない夜を我慢し続けないでください。
いつ・どこがかゆいか、飲んでいるお薬、食事と睡眠の様子を丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、新宿の漢方薬局「太陽堂」があなたのタイプに合った漢方ケアをご提案いたします。
関連するお悩み
乾燥によるかゆみは、他の皮膚のお悩みと重なっていることもあります。ご自身の症状に近いページもぜひご参照ください。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
太陽堂がはじめての方へ
ご相談を考え始めた方は、まずこちらをどうぞ。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。














