
「がんの放射線治療を無事に乗り越えたのに、今度は毎日のように続く血尿と排尿の痛みに悩まされている」
「病院で相談しても『放射線の影響ですね、様子を見ましょう』と対症療法をされるだけ。この辛い血尿がいつまで続くのか不安だ」
「がんの治療からもう何年も経ってから、突然症状が出てきた。もう元の膀胱には戻らないのだろうか」
前立腺がんや膀胱がんなどの放射線治療(放射線照射)の影響で、膀胱の粘膜がダメージを受け、血尿や排尿痛、蓄尿痛(尿が溜まる時の痛み)が出てくる「放射線性膀胱炎」。
この病気の大きな特徴は、放射線治療が終わって数ヶ月後に出てくる方もいれば、数年という時間が経ってから現れる方もいるということです。
今回は、太陽堂の店頭でのご相談から見えてきた放射線性膀胱炎の実像と、西洋薬の対症療法だけでは行き詰まりを感じている方に向けた、「まず止血と痛みの鎮静、落ち着いたら血流と自律神経の立て直し」という二段構えの漢方の考え方を、血尿が治まっていった実例とともに、薬剤師の視点から詳しく解説いたします。
【この記事の結論:「放射線治療後の血尿・痛み」に対する漢方の考え方】
- 痛みの正体(原因): 西洋医学では放射線の影響で膀胱の粘膜がもろくなり毛細血管から出血している状態とされますが、漢方では膀胱にこもった「強い炎症(湿熱)」と、傷ついた粘膜に栄養が届かない「血流障害(瘀血)」が原因と考えます。
- 漢方の解決策: すぐに粘膜を再生させる魔法はありません。だからこそ漢方では、①まず「出血を止め、痛みを鎮める」ことを最優先し、②その後「膀胱の血流を良くして粘膜の回復を促す」という二段構えで身体の土台を整えます。
- 対象となる主な疾患・お悩み: 放射線性膀胱炎、前立腺がん・膀胱がん等の放射線治療後の後遺症、続く血尿・排尿痛・蓄尿痛でお悩みの方、病院の治療(高圧酸素療法など)と並走できるケアをお探しの方
なぜ、治療のあとに膀胱の症状が出るのか(メカニズム)
放射線治療は、がんの病変にねらいを定めて精密に行われますが、骨盤内にある「膀胱」や「直腸」は、前立腺や子宮のすぐ隣にぴったりと隣接している臓器です。そのため、いくら注意深く照射しても、どうしても放射線の影響を受けてしまいます。
放射線を浴びた膀胱の粘膜や毛細血管は、細胞がダメージを受けて非常に脆く(もろく)なります。そして、照射から数ヶ月、あるいは数年という時間が経ってから、脆くなった血管から出血(血尿)や炎症(痛み)を引き起こすことがあるのです。これが放射線性膀胱炎です。
店頭でのご相談では、実例①の方のように「治療から7年経ってから症状が出はじめた」という方も珍しくありません。「いつ出るか」に非常に大きな幅があるのがこの症状の特徴で、だからこそ「今さら数年前の治療のことを相談していいのか」と迷う必要は全くありません。
病院(泌尿器科)では、止血剤(トランサミン等)の処方や、重症の場合は高圧酸素療法、膀胱内への薬液注入などが行われますが、多くの場合は対症療法で「経過観察(様子を見ましょう)」となるケースが多く、「血尿が出るたびに不安になるが、打つ手がない」という行き止まり感を抱えて太陽堂へ来られる方がほとんどです。
【薬剤師コラム①】「出血過多」と「尿閉」だけは、すぐ病院へ
担当薬剤師:前原
漢方薬での体質ケアのお話をする前に、薬剤師として一番大事な「線引き」からお伝えさせてください。
毎日の少量の血尿であれば漢方でじっくり対応できますが、「便器が真っ赤になるほどの大量の出血(出血過多)がある時」と、「血の塊(凝血塊)が尿道に詰まって、尿が全く出なくなった時(尿閉:にょうへい)」は、迷わず、すぐに救急や泌尿器科の病院へ行ってください。
尿が出なくなると、急を要する状態になり得ます。ここは漢方の出番ではなく、病院での処置が最優先です。
その緊急対応のうえで、日々続く少量の血尿や排尿痛との付き合い——つまり「脆くなった粘膜と血管を、身体の血流から時間をかけて立て直す」部分は、体質から整える『漢方の担当分野』だと私たちは考えています。病院での高圧酸素療法や膀胱内注入といった治療とも、基本的に併用して問題ありません。
【比較表】西洋医学(病院)と漢方薬(太陽堂)のアプローチの違い
| 比較項目 | 西洋医学(病院のアプローチ) | 漢方薬(太陽堂の体質ケア) |
| 主な目的 | 出血・症状への対症療法、重症時の物理的・外科的な処置 | 脆くなった膀胱の粘膜・血管の「環境」を身体の血流から立て直す |
| 得意なこと | 緊急時(出血過多・尿閉)の対応、内視鏡による状態の正確な把握 | 止血と痛みの鎮静 → 血流・自律神経という『段階的』な体質ケア |
| 代表的な手段 | 止血剤、高圧酸素療法、膀胱内への薬液注入、電気凝固術 | 出血を鎮める漢方薬、膀胱の炎症を取る漢方薬、血流を促す漢方薬 |
| 気になる点 | 対症療法中心で「様子を見ましょう」の期間が長くなりがち | 粘膜の回復という体質の変化の目安は「3〜6ヶ月」と時間がかかる |
| 両者の関係性 | 緊急対応と経過把握の「主治療の軸」 | 日々の症状の苦痛を和らげ、体質を立て直す「並走のサポーター」 |
漢方から見た放射線性膀胱炎——「止血から」の二段構え
太陽堂では、放射線性膀胱炎に対して「いきなり粘膜を強くする」ことはできないと考え、以下の『二段構え(順番)』で漢方薬をオーダーメイドに組み立てます。
第一段階:出血の有無を確認し、「止血」を中心に痛みを鎮める(清熱・止血)
- 狙い: ご相談では、まず現在の「出血(血尿)の有無と程度」を一番に確認します。血尿がある場合は、出血を鎮める漢方薬(止血作用のある生薬)を中心に、膀胱の炎症と痛みを取る漢方薬を組み合わせるのが「最初の一手」です。後述する実例でもこの組み合わせが中心となっています。
第二段階:症状が鎮まったら、血流・膀胱・自律神経を立て直す(活血・理気)
- 狙い: 漢方によって血尿や痛みの自覚症状の鎮静がしっかりと見られたら、今度は骨盤内の血流や膀胱そのものの働き、自律神経へのアプローチに軸足を移します。血流を良くすることで、脆くなった粘膜に栄養を届けて立ち直りやすい環境を作り、症状が「ぶり返しにくい状態(再発予防)」を目指す、根本改善の段階です。
【薬剤師コラム②】経過は「年単位」で見てあげてください
担当薬剤師:石川
放射線性膀胱炎という病気は、放射線によって「長い時間をかけてジワジワと脆く(もろく)なった粘膜と血管」が相手です。普通の膀胱炎(細菌感染)のように、抗生物質を飲んで3日で治るようなものでは決してありません。
ですから、患者さまには一番最初にお伝えしています。「漢方を始めてからの変化の目安は、3〜6ヶ月を見てください」と。
実例の方々も、1〜3ヶ月でようやく血尿や痛みが治まりはじめ、その後は1年〜1年半という長い時間をかけて、漢方を少しずつ減らしながら安定させていく、という『年単位の経過』をたどっています。
その長い経過の途中で、疲れた時などに「微量の出血が見られる(ぶり返す)」など、症状の波が出ることがあります。そこで「やっぱり漢方は効いていないんだ」と不安になってやめてしまう方が多いのですが、どうか焦らないでください。
「波はあっても、一番ひどかった時に比べれば、全体の流れとして治まってきているか?」を私たちと一緒に確認しながら、波に合わせて漢方の量を増やしたり減らしたりして微調整していきます。
がんという大きな治療を乗り越えた後の、頑張った身体です。早く治したい気持ちは分かりますが、焦らせず、ご自身の身体をいたわりながら、じっくりと一緒に立て直していきましょうね。
【改善実例】血尿と痛みが治まっていったエピソード
①【治療の7年後に発症・血尿と痛み】70代 男性|3ヶ月でほとんどの症状がなくなった
【ご相談時の状態】 7年前に放射線治療を受けてから症状なく過ごしていたものの、5年前から症状が出始め、病院で「放射線性膀胱炎」と診断された方です。対症療法で様子を見ていましたが症状が強くなってきたため、ご相談に来られました。排尿痛・蓄尿痛(尿が溜まる時の痛み)・血尿が気になるとのことでした。
【太陽堂の提案】 ①膀胱の炎症を取る漢方薬 ②出血を鎮める漢方薬 をお渡ししました。
- 1〜3ヶ月後: 徐々に痛みや血尿が治まり、3ヶ月でほとんどの症状がなくなったとのこと。漢方量を少し減らして様子を見ることに。
- 10ヶ月後: 少し症状が出てきたため、漢方量を少し増やして調整。
- 1年6ヶ月後: 微量の出血が見られたりもするが、全体的には治まっているとのことでした。
②【治療の1ヶ月後から血尿・排尿痛】60代 男性|5ヶ月で出血がほぼなくなり、減量して安定
【ご相談時の状態】 1ヶ月前に放射線治療を受けてから症状が出始め、病院で放射線性膀胱炎と診断された方です。対症療法で様子を見ていましたが改善が見られず、ご相談に来られました。排尿痛・血尿があり、夕方になると蓄尿痛も出てくるとのことでした。
【太陽堂の提案】 実例①と同様に、①膀胱の炎症を取る漢方薬 ②出血を鎮める漢方薬 をお渡ししました。
- 3〜5ヶ月後: 排尿痛や血尿が治まってきて、出血もほぼなくなったとのことでした。
- 8ヶ月〜1年2ヶ月後: 排尿痛や痛みのない状態が保てているので、漢方量を減らして様子を見ることに。
- 1年6ヶ月後: 減量しても痛みは治まっているとのことでした。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状の改善を保証するものではありません。
▼放射線性膀胱炎の改善実例をもっと見る
よくあるご質問(FAQ)
病院の治療(高圧酸素療法・膀胱内注入など)と漢方薬は併用できますか?
はい、基本的に併用して問題ありません。
病院の治療は続けながら、漢方薬で「出血を鎮め、膀胱の環境を立て直す」並行アプローチが現実的です。受けている治療や飲んでいるお薬(止血剤など)は、飲み合わせを確認しますのでご相談の際にお知らせください。
放射線治療からもう何年も経っています。今からでも相談できますか?
はい。実例①のように、治療の7年後に症状が出はじめた方の経過があります。
放射線性膀胱炎は、照射から時間が経ってから現れることのある症状です。「今さら数年前の治療のことを相談しても遅いのでは」とためらわず、血尿や痛みが気になった時点でご相談ください。
血尿が出ています。漢方薬だけで大丈夫でしょうか?
出血が多すぎる場合と、血の塊が詰まって尿が出なくなった場合(尿閉)は、漢方より先に、すぐ病院へ行ってください。
そこまでの緊急性ではない、日々続く血尿や痛みについては、止血を中心とした漢方の組み立てでご相談を承ります。ご相談時には、まず現在の出血の状態を詳しくお聞かせください。
どのくらいの期間で変化を感じられますか?
「3〜6ヶ月」を一つの目安として見ていただいております。
実例では1〜3ヶ月で血尿や痛みが治まりはじめた方もいますが、その後も漢方量を調整しながら年単位で安定を目指す経過が一般的です。効果の出方には個人差がありますので、焦らず進めていきましょう。
症状に波があります。良くなったり悪くなったりするのは普通ですか?
波が出ることはあります。実例でも、途中で症状が少し出て、漢方量を増やして調整した経過があります。
一度の波で「効いていない」と判断せず、全体の流れとして治まってきているかを一緒に確認しながら調整していきましょう。
本人の代わりに、家族が相談してもよいですか?
はい、ご家族からのご相談も承っています。
症状の出方(血尿の頻度など)・放射線治療の時期と経緯・現在飲んでいるお薬の内容(お薬手帳など)が分かるものをご用意いただけると、組み立てを考えやすくなります。全国対応のオンライン相談もご利用ください。
まとめ:まず「止血」、それから「立て直し」の二段構えで
「大きな治療を乗り越えたのに、まだこんな辛い痛みが続くのか」——その不安は、一人で抱えるには重すぎます。
- 放射線治療後の血尿・排尿痛は、数ヶ月後にも、数年後にも突然出ることがある
- 漢方薬は「止血と痛みの鎮静 → 血流・膀胱の環境の立て直し」という二段構え。病院の治療と基本的に併用可能
- 出血過多と尿閉はすぐ病院へ。それ以外の日々の症状は、3〜6ヶ月を目安に年単位でじっくり向き合う
その辛さを抱えている方は、どうぞ一人で我慢せずに太陽堂へご相談ください。
現在の出血の状態、これまでの治療の経緯、お薬の内容を丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、あなたの身体をいたわりながら立て直す漢方ケアをご提案いたします。
【ご相談をご希望の方へ】
放射線性膀胱炎に対する具体的な漢方アプローチについては、こちらのページにて詳しく解説しております。全国対応のオンライン相談も承っておりますので、まずはお気軽にお声がけください。
関係性の深い病気;ご相談も多数いただいております。
膀胱や泌尿器に関するさまざまなお悩みについて、以下のページもあわせてご覧ください。
▼間質性膀胱炎(菌のいない膀胱の痛み)
▼過活動膀胱炎(急な尿意・頻尿)
▼健診で蛋白尿・血尿を指摘された方へ
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
太陽堂がはじめての方へ
ご相談を考え始めた方は、まずこちらをどうぞ。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。









