
「股の付け根(会陰部)の奥が、ずっと重だるく痛い。仕事で座っていると、夕方にはつらくなる……」
「泌尿器科で何度検査をしても『細菌はいない、異常なし』。それなのに、念のためと出された抗生物質をもう何ヶ月も飲んでいる……」
「痛み止めを飲んでも痛みは変わらず、最近は胃だけが荒れてきた。どこに相談すればいいのか分からない……」
慢性前立腺炎(まんせいぜんりつせんえん)は、一般には20〜50代に多いとされますが、太陽堂の店頭では60代以上の方が多く、お仕事の種類はあまり関係ありません。細菌が見つからないのに痛みや不快感が続くタイプは、慢性骨盤内痛症候群(CPPS)とも呼ばれます(こちらのご相談は多くありませんが、50代以上の方が中心です)。命に関わる病気ではありませんが、「うまく付き合うしかない」と言われ、1〜2軒の病院を回ってから来られる方がほとんどです。
ご相談の悩みで多いのは、順に「残尿感・頻尿」「痛み止めが効かず、胃だけが荒れた」「会陰部の重だるい痛み」「『異常なし』と言われて行き場がない」「抗生物質を何ヶ月飲んでも変わらない」です。
このページでは、検査で異常がないのに痛みが続く理由、泌尿器科のお薬との付き合い方、漢方の考え方、座り方と入浴の養生をご説明します。
(※慢性前立腺炎の説明や、前立腺肥大症との違いの表は、本体ページにまとめています。このページは「検査は異常なし・抗生物質を飲んでも変わらない」方に向けた考え方です。)
【この記事の結論:検査で異常がないのに続く痛みに対する漢方の考え方】
- 起こる理由(原因): 検査で分かるのは、細菌の有無や前立腺の大きさです。血の巡りの悪さや体力の落ち込みは、検査に映りません。漢方では、まず①骨盤の中の血流が滞っている ②熱と老廃物がこもっている を見て、その次に③胃腸と気(体力)が不足しているを見ていきます。
- 漢方の解決策: 泌尿器科のお薬は続けながら、漢方で「血流を整える」「こもった熱を流す」「胃腸を整えて気を補う」方向で整えます。抗生物質を続けるか・やめるかは、主治医と相談して決めます。
- 対象となる主なお悩み: 残尿感や頻尿が続く方、会陰部や下腹部の重だるい痛みが続く方、検査で異常なしと言われた方、抗生物質を飲んでも変わらない方、痛み止めで胃が荒れた方、座り仕事で悪化する方
「異常なし」なのに痛みが続く理由
慢性前立腺炎でお悩みの方の多く(約9割)は、検査をしても細菌が見つからないタイプです。長時間の座り仕事や運転による圧迫、ストレス、冷えが重なり、骨盤の底の筋肉(骨盤底筋)や前立腺のまわりの血の巡りが悪くなることで、じわじわとした痛みや残尿感が続くと考えられています。
抗生物質は、細菌を抑えるお薬です。細菌がいないタイプでは、飲み続けても変化を感じにくいことがあります。「異常なし」は、細菌や大きな病気ではないという確認が済んだ、ということです。そこから先の「巡りの悪さ」や「体力の落ち込み」は、漢方が見ていく部分です。
泌尿器科のお薬との付き合い方・先に受診してほしいとき
泌尿器科で処方されるお薬(前立腺の炎症を和らげるセルニルトン、尿の通りを良くするハルナールなど、痛み止め)は、漢方と併用できます。抗生物質を含め、処方されたお薬を自己判断でやめないでください。「何ヶ月も飲んでいるが変わらない」「胃が荒れてきた」ということは、そのまま主治医に伝えてください。お薬手帳をお持ちいただければ、飲み合わせを確認します。
※念のため:38度以上の発熱や寒気がある(急性前立腺炎のことがあります)/尿に目で見て分かる血が混じる/尿が出にくい・出ない/急に強い痛みが出た/睾丸が赤く腫れて痛む——こうした場合は、漢方の相談より先に、泌尿器科を受診してください。まだ検査を受けていない方も、別の病気と見分けるため、一度、泌尿器科で診てもらってください。
慢性前立腺炎の説明や、前立腺肥大症との違いは、本体ページをご覧ください。
漢方の考え方|骨盤の中の血流と、こもった熱を整える
漢方では、慢性前立腺炎を「骨盤の中で血の巡りが滞り、熱と老廃物がこもっている状態」ととらえます。ストレスで骨盤まわりの筋肉が緊張していると、さらに巡りが悪くなります。太陽堂では、まず骨盤の血流(瘀血)とこもった熱(湿熱)を見て、その次に胃腸と気の不足を見ていきます。長引いて体力が落ちている方、お薬で胃が荒れている方は、土台から整える必要があるからです。
【比較表】あなたはどれ? 3つのタイプと漢方アプローチ
| タイプ | 痛みの出方・体質 | 太陽堂の漢方アプローチ(働き) |
| ①血流が滞るタイプ (瘀血) ※最初に見るのはここ | 会陰部や下腹部が重だるく痛む、座っていると午後から夕方に悪化する。 | 【血流を整える漢方薬】 下半身の滞った血の巡りを整え、重だるい痛みを和らげます。 |
| ②熱と老廃物がこもるタイプ (湿熱) ※①と合わせて最初に見ます | 残尿感がある、排尿時に違和感がある、お酒や脂っこい食事が多い。 | 【こもった熱を冷まし、流す漢方薬】 骨盤の中にこもった熱を冷まし、尿と一緒に流しやすくします。 |
| ③胃腸と気が不足するタイプ (気虚・脾虚) ※①②の次に見ます | 疲れやすい、食が細い、抗生物質や痛み止めで胃が荒れている、長引いて体力が落ちている。 | 【胃腸を整え、気を補う漢方薬】 消化吸収を助けて体力を立て直し、巡りを整える土台をつくります。 |
(※ご自身でどれか分からなくても大丈夫です。「いつから」「どんなときに痛むか」「お仕事の姿勢」「病院で言われていること」を伺いながら、こちらで整理します。)
【薬剤師コラム①】抗生物質と痛み止めで、胃が荒れてきた方へ
担当薬剤師:前原
「菌はいないと言われたのに、念のためと抗生物質を何ヶ月も飲んでいます」「痛み止めを飲んでも股の痛みが取れず、胃だけが痛くなってきました」というご相談をよくお受けします。
抗生物質も痛み止めも、胃腸に負担がかかることがあります。漢方では、胃腸が弱ると、身体の水分や老廃物をうまく処理できなくなり、それが骨盤の中にこもると考えます。胃の調子が悪いことは、そのまま主治医にも伝えてください。漢方は、胃腸の状態も伺いながらお作りします。
何を目安に見るか・座り方と入浴の養生
太陽堂では「まず3ヶ月」を一つの単位として、次の変化を一緒に確認します。長く続いている方は、数ヶ月〜年単位でじっくり整えていきます。
- 残尿感・トイレの回数(残った感じが軽くなったか、トイレに立つ回数が減ったか)
- 夕方の重だるさ(座っていられる時間が延びたか)
- 痛みを感じる時間(仕事中、痛みのことを忘れている時間が増えたか)
- 胃腸の調子(食欲、胃の痛み、便の状態)
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状の改善を保証するものではありません。
養生|座りっぱなしを区切る・温める
- 1時間に1回は立ち上がる: 太陽堂が必ずお伝えすることです。座っている間、体重は会陰部にかかり続けます。トイレに立つ、コピーを取りに行くなど、こまめに圧迫をゆるめてください。
- 円座クッション(ドーナツ型)を使う: 会陰部への圧迫を減らします。自転車やバイクは、サドルが患部を押すため、症状が強い時期は控えめに。
- 骨盤底筋を動かす運動を取り入れる: 太陽堂がお伝えしていることです。肛門をゆっくり締めて数秒おき、ゆるめる動きを、1日に数回。骨盤の底の筋肉を動かすと、そのまわりの巡りが良くなります。
- 湯船に浸かる: シャワーで済ませず、湯船で骨盤まわりを温めると、血の巡りが良くなります。
- お酒・辛いもの・脂っこいものを控える: 身体に熱をこもらせます。症状が強い時期は控えめに。
【薬剤師コラム②】座りっぱなしを区切り、骨盤の底を動かしてください
担当薬剤師:石川
慢性前立腺炎のご相談は、お仕事の種類にはあまり関係がありません。ただ、お仕事でも家でも、長く座り続ける時間があるかどうかは、必ず伺っています。
座っているとき、体重の多くは会陰部にかかり、前立腺は押され続けます。漢方薬で内側から血流を整えることと、「1時間に1回立つ」「湯船で温める」「骨盤底筋を動かす運動」という毎日の習慣は、両方あって進みやすくなります。
よくあるご質問(FAQ)
泌尿器科のお薬と一緒に漢方を飲んでも大丈夫ですか?
はい、多くの場合、併用していただけます。病院のお薬で症状を和らげながら、漢方で骨盤の中の巡りを整えていきます。
お薬手帳をお持ちいただければ、飲み合わせを確認します。
抗生物質を何ヶ月も飲んでいますが変わりません。やめてもよいですか?
自己判断ではやめず、「変わらない」ということを主治医に伝えて、相談してください。
漢方は、抗生物質を飲んでいる間から始められます。胃が荒れている方は、そのこともお聞かせください。
痛みより、頻尿やトイレの不安のほうが気になります。
緊張する場面でトイレが気になる方は、心因性頻尿についてまとめた記事をご覧ください。
慢性前立腺炎の実例はありますか?
慢性前立腺炎として、経過を詳しくご紹介できる店頭の記録(症例ページ)は、現時点ではまだありません。
ご紹介できる記録ができた時点で、このページに追記します。本体ページには、30代男性と40代男性のご相談の事例を載せています(店頭の記録どおりです)。
費用はどのくらいかかりますか?
漢方薬の費用は、週5,000円前後〜(月2万円前後〜)が目安です。相談料は無料です。
お作りする前に必ず金額をお伝えします。ご予算のご希望も含めて率直にお伝えください。
まとめ|「異常なし」の先を、巡りと体力から見る
「検査は異常なし。薬を飲んでも変わらない。うまく付き合うしかないと言われた」
- 検査で分かるのは細菌の有無や大きさで、血の巡りや体力の落ち込みは映りません。漢方では、まず骨盤の血流とこもった熱を見て、次に胃腸と気の不足を見ます。
- 泌尿器科のお薬は続けながら、漢方で巡りを整えます。抗生物質を続けるかどうかは、自己判断せず主治医と相談してください。
- 1時間に1回立つ、円座クッションを使う、骨盤底筋を動かす、湯船で温める、お酒と脂っこい食事を控える。長く続いている方は、数ヶ月〜年単位で整えていきます。
「異常がないのだから仕方ない」と、痛みを抱えたまま過ごし続けないでください。
いつから続いているか、どんなときに痛むか、お仕事の姿勢、病院で言われていることを丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、新宿の漢方薬局「太陽堂」があなたのタイプに合った漢方ケアをご提案いたします。
関連するお悩み
下腹部や排尿のお悩みには、似た症状のものがいくつかあります。ご自身の症状に近いページもぜひご参照ください。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
太陽堂がはじめての方へ
ご相談を考え始めた方は、まずこちらをどうぞ。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。











