
「朝はスッと普通に履けた靴が、夕方帰るころにはパンパンに食い込んで痛い。ふくらはぎを指で押すと、へこんだ跡がしばらく戻らない……」
「脚は冷たいのに、むくんで重だるい。靴下の跡がくっきりついて、ひどい時は翌朝になっても抜けきらない日がある……」
「会社の健診では腎臓も心臓も異常なし。病院に行くほどでもないと言われて、結局どうしていいか分からずそのままにしている……」
新宿の漢方薬局「太陽堂」の店頭やオンライン相談では、「夕方になると靴がきつい」「脚がむくんで重い」という悩みを、疲れや冷え、胃腸の弱さなど、別のご相談と一緒に「実は、むくみもあるんです」という形でよく伺います。「むくみだけ」を入口に来られる方は多くありませんが、他の不調とセットで出ている方はとても多いお悩みです。
むくみ(浮腫)とは、身体の中の「水」が本来あるべき場所(血管内など)に戻れず、重力で脚の細胞の間に漏れ出して溜まっている状態です。ただし、同じ「脚のむくみ」でも、水はけ(代謝)そのものが弱い方、冷えで血流が滞って水を上に押し戻せない方、疲れで土台の力が落ちている方がいて、漢方で整える順番とアプローチが違います。
このページでは、夕方のむくみが起きる理由を3つのタイプに分け、病院で先に確かめておく目安、漢方の考え方、自宅でできる養生、実際の改善経過を薬剤師の視点からご説明します。
(※「夏の暑さと冷房、冷たい飲み物によるむくみ」については、夏の養生の記事で別にまとめています。このページは「季節を問わず、一年中夕方になると繰り返す」むくみのお話です。)
【この記事の結論:「夕方になると靴がきつい・脚がむくむ」に対する漢方の考え方】
- 起こる理由(原因): 日中に重力で脚へ下りた水分は、本来ならふくらはぎの筋肉のポンプと血液・リンパの流れで身体の中心へ戻ります。漢方では、①胃腸が弱く水をさばく力が弱い(水毒・水滞) ②冷えて血流が滞り、水を上に押し戻せない(瘀血・寒邪) ③疲れで土台の力が落ち、水を持ち上げる力がない(気虚)——のどれか、あるいは重なりでむくみが毎夕繰り返されると考えます。
- 漢方の解決策: 病院で腎臓・心臓・甲状腺などに病気がないことを確かめたうえで、タイプに合わせて「水はけを整える」「下半身を温めて巡りを戻す」「土台の力を補う」漢方薬を組み合わせます。あわせて、夕方のむくみをためない養生(ふくらはぎの動かし方・冷やさない・水の摂り方)を一緒に作ります。
- 対象となる主な疾患・お悩み: 夕方になると靴がきつい方、脚が冷えてむくむ方、靴下の跡がくっきり残る方、翌朝もむくみが抜けきらない方、利尿剤が合わない方、健診で異常なしと言われたが繰り返す方
「夕方になると脚がむくむ」が起きる理由
立っていても座りっぱなしでも、日中は重力によって、水分は自然と脚(下半身)へ下りていきます。そのため、夕方に「少しむくむ」こと自体は、誰にでも起きる自然な現象です。問題になるのは、下りた水分を上に「戻す力(ポンプ機能)」が弱くなり、毎日のように靴がきつくて痛くなる、翌朝まで重さを持ち越す、冷えとセットで悪化するという状態です。
店頭でお話を伺うと、むくみが戻せない理由は次の3つのどれか(あるいは複数)に分かれます。
- 水をさばく力が弱い(水毒・水滞): 飲んだ水分を尿として出す力や、身体の中で水を動かす力がもともと弱く、余分な水が下に溜まりやすい状態。むくみに加えて、身体全体が重だるい、雨の日に不調が出る、めまいや頭痛を伴うことがあります。
- 冷えて巡りが滞っている(血流の滞り・瘀血): 脚が冷たく、血液の流れがゆっくりになると、水分を上に押し戻す力も落ちます。「脚は冷たいのにむくむ」「靴下の跡が消えない」「冬や夏の冷房で悪化する」という方は、このタイプが多いです。
- 疲れて土台の力が落ちている(気の不足・気虚): 水を下から上へ持ち上げるのにも、力(気)が要ります。長時間の立ち仕事やデスクワーク、睡眠不足、過労が続くと、夕方には水を戻すための余力が残っていません。むくみと一緒に、だるさや夕方の電池切れを伴います。
「健診は異常なし」と言われた方のむくみは、多くの場合この3つのどれかです。それは臓器が壊れた病気ではなく、身体の「戻す力」が今の生活の負荷に追いついていないサインととらえます。
まず、病院で確かめておいてほしいこと
「ただの夕方のむくみだろう」と思っていても、そのむくみの裏に、腎臓病、心不全、甲状腺機能低下症、肝臓の病気、下肢静脈瘤や深部静脈血栓症などが隠れていることがあります。一度は内科で、血液検査と尿検査を受けておいてください。異常がなければ、それが漢方薬を安全に選ぶための材料になります。
※【重要】片脚だけが急に赤く腫れて痛む(血栓の疑い)/顔やまぶた、全身までむくむ、尿の量が減った、泡立つ尿が何日も続く(腎臓の疑い)/少し動いただけで息切れや動悸がする、夜横になると息苦しい(心臓の疑い)/数日で体重が急に増えた——こうした場合は、漢方の相談より先に、内科(必要に応じて循環器内科・腎臓内科)を早めに受診してください。
漢方の考え方|「出す」だけでなく「戻す力」を整える
病院で処方される利尿剤は、余分な水を尿として「出す」お薬です。必要な場面ではとても大切ですが、身体の「戻す力」そのものが弱いままだと、「薬をやめるとまた溜まる」という繰り返しになりがちです。
漢方では、まず身体全体の「水の巡り」を見ます。水の巡りが良くなると、それだけでむくみが落ち着く方が多いからです。そのうえで、冷えが強い方には下半身を温めて巡りを戻す、疲れが強い方には土台の力を補う、というアプローチをタイプに合わせて重ね、「夕方になっても溜まりにくい身体」を目指します。
【比較表】あなたはどれ? 3つのタイプと漢方アプローチ
| タイプ | むくみの出方・体質 | 太陽堂の漢方アプローチ(働き) |
| ①水はけが弱いタイプ (水毒・水滞) ※最初に見るのはここ | 身体全体が重だるい、雨や台風の日に不調、めまいや頭重感を伴う。水を飲むとそのまま溜まる感じがする。 | 【水の巡りを整え、余分な水をさばく漢方薬】 身体の中で水を動かし、自然な尿として出す力を整えます。水の巡りが良くなるとむくみが落ち着く方が多いです。 |
| ②冷えて滞るタイプ (血流の滞り・寒邪) | 脚が冷たいのにむくむ、靴下の跡が残る、冬や冷房で悪化。肩こりや生理痛を伴うことも多い。 | 【温めて巡りを戻し、水を上に押し戻す漢方薬】 下半身を芯から温め、血液の流れを戻すことで、水を身体の中心へ戻すポンプの力を助けます。 |
| ③土台の力が落ちているタイプ (気の不足・気虚) | 夕方に一気にむくんで鉛のようにだるい、立ち仕事や寝不足で悪化、朝はましだが夕方につらい。 | 【胃腸を助け、水を持ち上げる力を補う漢方薬】 疲れた土台を立て直し、夕方まで「戻す力」が続く身体にします。 |
(※実際には、②の冷えに①や③が重なっている方がほとんどです。ご自身でどれか分からなくても大丈夫です。「いつむくむか」「冷えはあるか」「疲れとの関係」を丁寧に伺いながら、こちらで整理します。)
冷えそのものの考え方は、冷え性のページで詳しくまとめています。
【薬剤師コラム①】「水を極端に控えれば治る」ではありません
担当薬剤師:前原
「むくむのが怖いから、日中はなるべくお水やお茶を飲まないように我慢しています」というお話をよく伺います。そのお気持ちは分かるのですが、店頭では逆のことをお伝えすることが多いです。
むくみは、「身体の中の水分量そのものが多すぎる」というより、「水分が血管の外に漏れ出して、本来の場所に戻れない」状態です。むくみを恐れて水を極端に控えると、身体はかえって入ってきた水を溜め込もうとし、巡りもさらに悪化します。冷たい飲み物を一気に飲むのではなく、「常温のお水や温かい白湯を、こまめに少しずつ」が基本です。
そのうえで、「なぜ水分を上に戻せないのか」を見ます。冷えが強ければ温める、疲れが強ければ土台を補う。同じ「むくみ」でも、お出しする漢方薬の方向は人によって違います。
3ヶ月で何を目安に見るか
太陽堂では「まず3ヶ月」を一つの単位として、次の変化を一緒に確認しながら進めます。
- 夕方の靴のきつさ(「帰りに靴が食い込んで痛い日が減ったか」)
- 翌朝の抜け方(「朝起きた時には、脚がスッキリ元に戻っているか」)
- 脚の温度(「夕方の脚が冷たくなくなってきたか」)
- だるさとの連動(「むくむ日と疲れる日が重なっていたのが、少しずつずれてきたか」)
「夕方むくまなくなった」というゴールより先に、「翌朝にはスッキリとむくみが抜けるようになった」という変化が出ることが多いです。それが、身体の「戻す力」が動き始めた最初のサインです。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状の改善を保証するものではありません。
夕方のむくみをためない養生|自宅でできること
漢方薬の服用と同時に、以下の養生を取り入れることで、むくみの抜け方が変わってきます。
- 1時間に1回、ふくらはぎを動かす: デスクワーク中、座ったままかかとの上げ下げを20回してください。ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれる、水を上に押し戻すポンプです。動かさないとポンプは働きません。
- 足首と脚を冷やさない: 夏の冷房の下ではひざ掛けをする、素足にサンダルは避ける。脚が冷えると血管が縮んで巡りが止まり、水が上に戻れません。
- 水は「常温・少しずつ」: 水分を控えるのではなく、氷の入った冷たいものを一気に飲んで胃腸を冷やさないことです。
- 帰宅後は湯船で脚を温める: シャワーだけで済ませず、湯船でふくらはぎまでしっかり温めてから、下から上へ軽くさすり上げてください。
- 塩分の強い夕食を続けない: 外食やコンビニ食が続く週は、翌日の朝食は塩分を控えて軽めにしてください。
【薬剤師コラム②】むくみと冷えは、同じ根から出ています
担当薬剤師:石川
むくみのご相談で、太陽堂がまず見るのは「水の巡り」です。余分な水をさばいて水の巡りを良くすると、それだけでむくみが落ち着く方が多いからです。そのうえで、脚が冷えている方には、「温める」方向を重ねます。
脚が冷えると血液の流れがゆっくりになり、水を押し戻す力が落ちる。すると水が下半身に溜まり、その溜まった水が冷えて、脚はさらに冷たくなる——この輪が回っている方は、水と冷えの両方から整えたほうが戻りやすいからです。
漢方でむくみが軽くなると、多くの方が「脚が温かくなりました」「疲れが抜けやすくなりました」と一緒におっしゃいます。むくみ・冷え・だるさは別々の悩みではなく、同じ「巡りの悪さと余力不足」という根から出ているサインなのです。
【改善実例】むくみが落ち着いていったエピソード
太陽堂で実際にご相談をお受けした、むくみの方の改善記録です。(※効果の感じ方には個人差があります)
【足のむくみ・利尿剤の副作用が心配】40代 女性|2ヶ月でむくみが減り、7ヶ月で服用終了
【ご相談時の状態】 むくみが気になり病院で利尿剤を出してもらったものの、副作用(耳の聞こえづらさ)が出たため心配になり、ご相談に来られました。一番気になるのは「足のむくみ」。お酒を飲む機会が多い方でしたが、飲んだ日にむくみが強くなるわけではないとのことでした。
【太陽堂の提案】 ①水の流れを良くする漢方薬 ②お酒の代謝を良くする漢方薬 の2種類を組み合わせてお出ししました。
- 1ヶ月後: むくみは少なくなっているとのこと。二日酔いもしなくなったとおっしゃっていました。
- 2ヶ月後: 先月よりさらにむくみが少なくなったとのこと。疲れも取れている感じがあるとのことでした。
- 5ヶ月後: むくみの調子も体調も良いので、煎じ薬の分量を半分に。
- 7ヶ月後: むくむことも少なくなり調子が良いので、ご本人の希望により服用終了。体調も良いとのことでした。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状の改善を保証するものではありません。利尿剤の中止・変更は主治医の判断のもとで行ってください。
よくあるご質問(FAQ)
病院の利尿剤を飲んでいます。漢方薬と一緒に使えますか?
はい、多くの場合、併用していただけます。利尿剤を自己判断で急にやめないでください。
利尿剤は「出す」、漢方薬は「戻す力を整える」という役割の違いがあります。お薬手帳をお持ちいただければ飲み合わせを確認します。むくみが落ち着いてきたら、利尿剤を減らす判断は主治医の先生と相談しながら進めます。
何科に行けばいいですか?
まずはお近くの「内科」で血液検査と尿検査を受けてください。片脚だけの急な腫れや痛みは「循環器内科・血管外科」へ。
腎臓・心臓・甲状腺・肝臓の病気や下肢静脈瘤が隠れていないかを確認するためです。「異常なしですね」と言われたら、その結果をお持ちのうえでご相談ください。
「夏だけ」むくむのですが、同じ考え方ですか?
土台は同じですが、夏のむくみは「冷房の冷えと、冷たい飲み物」が引き金になりやすく、別の記事でまとめています。
季節を問わず一年中夕方に繰り返す方はこのページの考え方で、夏に限って強くなる方は「夏の養生の記事」もあわせてご覧ください。
どのくらいの期間で変化を感じられますか?
まず「3ヶ月」を一つの単位として、夕方の靴のきつさ・翌朝の抜け方・脚の温度を一緒に確認します(※個人差があります)。
早い方では1〜2ヶ月で「翌朝にはスッキリ抜けるようになった」と感じる方もいます。何年も続いて冷えが定着している方は、半年単位でじっくりと戻していきます。
費用はどのくらいかかりますか?
漢方薬の費用は、週5,000円前後〜(月2万円前後〜)が目安です。相談料は無料です。
タイプによって組み合わせる漢方薬の内容が変わりますので、お作りする前に必ず金額をお伝えします。ご予算のご希望も含めて率直にお伝えください。
まとめ|「出す」より「戻す力」を育てる
「夕方になると靴がきついし痛い。でも健診は異常なしだから、体質だと諦めて仕方ないのだろうか」
- 夕方のむくみは「身体の水分が多すぎる」のではなく、「水分を上に押し戻す力が追いついていない」というサインです。水はけの悪さ・冷えによる巡りの滞り・土台の体力の不足の3つのどれかが背景にあります。
- まず内科で血液検査・尿検査を。異常がなければ、漢方薬ではまず「水の巡り」を整え、冷えが強ければ温める、疲れが強ければ土台を補うを重ねます。
- 水を極端に控えるのではなく、常温で少しずつ飲む。1時間に1回ふくらはぎを動かしてポンプを動かし、脚を冷やさない。
「たかがむくみくらいで」と、靴の食い込む痛い夕方を毎日一人で我慢しないでください。
あなたがいつむくむか、冷えはあるか、疲れとの関係、そして検査の結果を丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、新宿の漢方薬局「太陽堂」があなたのタイプに合った漢方ケアをご提案いたします。
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むくみは、冷え、水はけ、脚の血管、腎臓の働きと深く関わっています。ご自身の症状に近いページもぜひご参照ください。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
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太陽堂がはじめての方へ
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記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。














