
その「抜けない疲れ」、沈黙の臓器からのSOSかもしれません
「健康診断で数値の乱れを指摘され、ずっと気になっている」
「お酒を控えて休肝日を作っているのに、体がだるくて疲れが抜けない」
「顔や体がカーッとほてりやすく、イライラしてしまうことが多い」
太陽堂には、このような漠然とした不調や、健康診断をきっかけとしたご相談が数多く寄せられます。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、多少のダメージを受けても文句を言わずに働き続ける、非常に我慢強い臓器です。そのため、明確な自覚症状が出にくいものの、日々のストレス、食生活の乱れ、睡眠不足、お薬の負担などによって、知らず知らずのうちに負担が蓄積されていきます。
漢方では、西洋医学のように「血液検査の数値だけ」を見るのではなく、体質や全身のバランスを総合的に判断して、肝臓が本来持っている「解毒」や「代謝」の働きを後押しする体質づくりを行っていきます。
東洋医学から見た「肝(かん)」の重要な役割とは?
東洋医学において、「肝(かん)」は単なる一つの臓器ではなく、全身のエネルギー(気)や栄養(血)の巡りをコントロールする、非常に重要なシステムとして捉えられています。
肝臓が疲れて「肝」の働きが乱れると、血液検査の数値に表れる前から、体に様々なSOSサインが発信されます。
- 感情の乱れ(イライラ・憂鬱): 肝は自律神経や感情のコントロールと密接に結びついています。肝が疲れると気が滞り、些細なことで怒りっぽくなったり、逆に深く落ち込んだりしやすくなります。
- 目のお悩み: 「肝は目に開竅(かいきょう)する」と言われ、肝の疲れはダイレクトに「目」に表れます。ドライアイ、かすみ目、眼精疲労が抜けない方は、肝臓がSOSを出しているサインかもしれません。
- 筋肉のつり・こわばり: 肝は筋肉に栄養(血)を届ける役割も担っています。夜中に足がつりやすい、肩や首の筋肉がガチガチにこわばるといった症状も、肝の潤い不足が関係しています。
【コラム】薬剤師 石川の視点「西洋薬(ロキソニンなど)の長期服用と肝臓への負担」
頭痛、肩こり、関節痛などで、日常的に『ロキソニン』などの鎮痛消炎剤を手放せない方は多いと思います。これら西洋のお薬は、今ある痛みをスピーディに抑える『対症療法』として非常に優秀です。
しかし、口から入ったお薬の成分を最終的に分解し、解毒するのは『肝臓』の役割です。ロキソニン等の鎮痛剤や、複数のお薬を長期間飲み続けることは、胃腸が荒れるだけでなく、肝臓にも休む間を与えず、大きな負担をかけてしまうことがあります。
西洋薬で急な辛さをしのぎつつ、漢方で『酷使された肝臓をいたわり、体の中の不要なものを処理する力』を根本からサポートしていく併用スタイルは、将来的な体への優しさを考えると大変おすすめです。
肝臓をサポートする代表的な「3つの漢方薬」
肝臓の働きを整える際、漢方では主に「柴胡(サイコ)」という生薬を中心とした処方(柴胡剤)が多く用いられます。柴胡には、ストレスで滞った気を巡らせ、こもった熱を冷ます働きがあります。
ここでは、代表的な3つの漢方薬をご紹介します。
(※太陽堂では完全オーダーメイドを推奨しているため、あくまで一般的な体質の目安としてご覧ください)
【表】肝臓をいたわる漢方薬3選と適した体質
| 漢方薬名 | 適している体質・サイン | 特徴とアプローチ |
| ① 小柴胡湯 (しょうさいことう) | 体力は中程度で、疲れやすい、食欲不振、口が苦い、胃腸の不調がある方 | 肝臓と胃腸のバランスを優しく整え、ストレスや疲労による体のダメージを和らげます。 |
| ② 大柴胡湯 (だいさいことう) | がっちり体型で体力が比較的あり、便秘がち、イライラしやすい方 | みぞおちから脇腹にかけての強い張りをほぐし、こもった熱を冷ましながら巡りを良くします。 |
| ③ 黄連解毒湯 (おうれんげどくとう) | のぼせ、顔の赤み、イライラなど、体に強い「熱」がこもっている方 | 肝臓に負担をかける余分な熱(炎症のサイン)を強力に冷まし、心身の過剰な興奮をクールダウンさせます。 |
詳しい説明は各漢方薬のページをご覧になってみて下さい。
一人ひとりに合わせる「太陽堂のブレンド術」
実際の漢方相談では、上記の基本処方をそのままお出しするだけでなく、その方の体質に合わせて生薬を細かく調整することで、さらに深いサポートを目指します。
例えば、ベースとなる「柴胡剤」に、茵蔯蒿(インチンコウ)という生薬をちょい足しすることで、肝臓の解毒を助ける働き(利胆作用のサポート)をさらに高めることができます。
また、熱が強い方には「黄連解毒湯」を併用して炎症を和らげたり、血(栄養)が不足している方には当帰(トウキ)や芍薬(シャクヤク)などを加えたりと、組み合わせは無限大です。
【コラム】薬剤師 林の視点「思いがけない負担で数値が乱れた方のケース」
以前、『ある特定の水(井戸水)を長期間飲んでいたところ、健康診断で急に数値が乱れてしまった』という方がご相談に来られました。
この方には、体に入り込んだ不要なものを外へ出す力を後押しするため、『黄連解毒湯』を中心に解毒をサポートする生薬を細かくブレンドしてお出ししました。じっくりと飲んでいただいた結果、徐々に数値が落ち着き、ご本人の体調もだるさが抜けてスッキリと安定していきました。
何が原因で肝臓に負担がかかったかを完全に特定するのは難しいケースもありますが、『体内の不要なものを処理する力を底上げする』ことは、まさに漢方の得意分野だと実感した出来事です。
今日からできる!「肝」をいたわる3つの養生法
漢方薬による体質サポートに加えて、日常生活でのちょっとした工夫が肝臓の働きを大きく助けます。
- 「酸味」を取り入れる
東洋医学では「酸味」は「肝」を補うとされています。梅干し、お酢、レモン、柑橘類などを日々の食事に少しずつ取り入れることで、肝の疲れを優しく癒してくれます。 - 夜の11時~深夜3時は「必ず眠る」
東洋医学の時計(子午流注)では、夜23時〜深夜3時は「胆」と「肝」が活発に働き、血液を浄化して疲労を回復するゴールデンタイムとされています。この時間に起きていると肝臓が休まらず、ダメージが蓄積してしまいます。できるだけ早めの就寝を心がけましょう。 - 目を休める時間を意識する
前述の通り、肝と目は深く繋がっています。長時間のスマホやパソコン作業は、肝に蓄えられた栄養(血)を激しく消耗します。1時間に一度は遠くを見る、ホットアイマスクで温めるなど、目を休めることが肝臓を休めることにも繋がります。

肝臓をいたわる漢方に関するよくあるご質問(FAQ)
病院で処方されている肝臓のお薬や、市販の鎮痛剤(ロキソニン等)と一緒に飲めますか?
基本的には併用可能です。
西洋薬で現在の状態をコントロールしながら、漢方で根本的な解毒力・代謝力を育てていくアプローチはよく見られます。
お薬同士の相性を確認するため、事前にお薬手帳をご用意の上、専門家へご相談ください。
お酒を全く飲まないのに、数値が気になったり、脂肪肝と言われたりするのはなぜですか?
肝臓の負担はアルコールだけではありません。
過度なストレス、睡眠不足、甘いものや炭水化物(糖質)の摂りすぎ、さらには普段飲んでいるお薬の蓄積などが原因で、肝臓がオーバーワークになり、非アルコール性の負担(NAFLDなど)を抱えているケースは近年非常に増えています。
「数値が気になるから小柴胡湯を飲めばいい」というわけではないのですか?
はい、漢方薬は「〇〇の数値が高いからこの薬」という単純な選び方はしません。
同じ「数値の乱れ」でも、冷え性で胃腸が弱い方と、熱がこもって便秘がちな方では、全く違う漢方薬をご提案します。
体に合わない漢方を飲むと逆効果になることもあるため、専門家による見極めがとても重要です。
まとめ:沈黙の臓器の声に耳を傾け、スッキリとした体へ
「肝臓をいたわる漢方薬」について解説しました。
ポイントは以下の3つです。
- 肝臓は「解毒・代謝・エネルギー管理」を担う、我慢強い臓器
- 西洋薬(ロキソニン等)の長期服用や、ストレス、睡眠不足も負担に
- 体質に合わせて「熱を冷ます」「巡りを良くする」漢方で根本サポート
「健康診断のたびに数値が気になって不安」
「最近、たっぷり休んでもだるさが抜けず、目もかすみやすい」
そんな漠然とした不調やデリケートなお悩みは、一人で抱え込まずにぜひ太陽堂へご相談ください。初回は1時間以上かけて丁寧にお話を伺い、あなたの体にピタッと合う処方と、日常の養生法をご提案いたします。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。


