
「健康診断で指摘されて降圧剤を出されたとき、『先生、この薬は一生飲むものですか?』と聞いたら、先生は曖昧に頷くだけだった」
「確かに薬を飲めば数値は下がる。でも、やめたら元に戻るのは分かっている。この先30年、40年、ずっと薬に頼るしかないの?」
「毎日きちんと薬を飲んでいるのに、なぜか血圧が下がりきらない。次は薬の種類が増えると言われて、不安になってきた」
高血圧と診断され、初めて降圧剤(血圧を下げる薬)を飲み始めたときに、多くの方が抱く不安がこれです。「一生飲み続けるのか」という気持ち。太陽堂には、この不安を抱えてご相談にいらっしゃる方が多くいらっしゃいます。
この記事では、その一番聞きたい質問に店頭でお伝えしている答えと、お薬を減らせた方に共通していたこと、安全に減らすための「順番」、そして血圧を押し上げている身体の側を整える漢方の考え方を、実際の記録とともに薬剤師の視点からご説明します。
(※降圧剤で数値は正常なのに、頭痛やめまいなどの自覚症状が残る方は、記事末尾でご案内する別の記事もあわせてご覧ください。)
【この記事の結論:「降圧剤を一生飲むのか」に対する漢方の考え方】
- 血圧が上がる理由: 西洋医学では、血管の硬さ・塩分過多・肥満・ストレスなどで血圧が上がり、降圧剤で数値を管理して血管の事故を防ぐ病気とされます。漢方では、血の巡りの滞り(血管の老化=瘀血)、ストレスによる緊張と熱(肝火)、余分な水分が血管を圧迫すること(水毒)——身体が「血圧を上げざるを得ない理由」があると考えます。
- 漢方の考え方: 病院の降圧剤は続けたまま、漢方で①血の巡りを整えて血管の負担を減らす ②自律神経の緊張と熱を鎮める ③余分な水をさばく——という組み立てで、血圧が落ち着いてくれば、主治医の先生と相談して降圧剤を減らしていくことも可能です。順番は必ず「病院の薬から減らし、その後に漢方を減らす」です。
- 対象となる主なお悩み: 高血圧症(本態性高血圧)、降圧剤(アムロジピンなど)を一生飲むのか不安な方、薬を飲んでいても血圧が下がりきらない方、薬の量が増えていくのが怖い方、薬に頼りきらずに血圧を落ち着けたい方
「降圧剤は一生飲まないといけないのですか?」——店頭での答え
この一番多い質問に、太陽堂の店頭ではこうお答えしています。
「血圧が落ちてくれば、もちろん減らすことは可能ですよ」
ただし、これには必ず守っていただきたい『順番』があります。
「漢方を始めたから」といって、降圧剤を自己判断で急にやめるのは危険です。血圧が急に上がり、脳卒中などの引き金になることがあります。
血圧は、何の意味もなく上がっているわけではありません。血管の負担、ストレスによる自律神経の緊張、余分な水の蓄積——身体が生命を維持するために「血圧を上げざるを得ない理由」があって、やむを得ず上がっているのです。
この「理由」の側を、漢方薬と生活習慣で整えて、毎日の血圧が自然と落ち着いてきたら、主治医の先生と相談して「病院のお薬(降圧剤)」から先に減らしていく。そして、薬がなくても安定するようになったら、その後に「漢方薬」も減らしていく。
「病院の薬から減らして、その後に漢方を減らす」——この順番が、いちばん安全な道です。
【薬剤師コラム①】減らせた方に共通していたのは「ストレスを抱えすぎないこと」でした
担当薬剤師:石川
太陽堂で漢方薬を続け、結果的に降圧剤を減らせた方のお話を並べてみると、ある共通点が見えてきます。
それは、もともとの体質や年齢よりも、「ストレスを一人で抱えすぎないこと」を日常生活で意識できた方が、いちばんスムーズに血圧が落ち着いていったということです。
強いストレスや怒り、緊張がかかると、自律神経(交感神経)が張り詰め、血管が縮んで血圧が上がります。これは命を守るために誰にでも起こる正常な反応ですが、真面目すぎて「一人で全部背負い込む」性格の方などは、この張り詰めた状態から戻らなくなり、血圧も高いまま定着してしまうのです。
漢方薬で身体の緊張と熱を鎮めることに加えて、「まあいいか、と少し手を抜く」「一人で全部背負わずに誰かに頼る」という心の側(生活の側)の変化が、血圧の落ち着きに効いてきます。
もう一つ欠かせないのが「運動」です。ウォーキングなどで身体を動かすと、血の巡りが良くなり、血管への負担が減ります。「漢方薬・ストレスの整え・運動」の三本柱で、お薬を減らせる身体を作っていきましょう。
降圧剤との付き合い方——「減らす順番」を知っておいてください
降圧剤(アムロジピン、オルメサルタンなど)は、高すぎる血圧による血管や心臓、腎臓の傷みを防ぐための、命を守る大切なお薬です。繰り返しになりますが、自己判断でやめたり減らしたりしないでください。血圧が急に上がって脳梗塞などを起こす危険があります。減らす判断は、必ず毎日の血圧手帳を見ながら、主治医の先生と相談して進めます。
そのうえで、両者の役割の違いと、減らすときの順番を知っておいてください。
【比較表】西洋医学(病院)と漢方薬(太陽堂)のアプローチの違い
| 比較項目 | 西洋医学(病院のアプローチ) | 漢方薬(太陽堂の体質ケア) |
| 主な目的 | 降圧剤で数値を管理し、血管・心臓・腎臓の事故を防ぐ | 血圧を上げざるを得ない理由(血の滞り・緊張・水)を整える |
| 得意なこと | 即効性のある数値のコントロール。合併症の予防 | 「薬を減らせる身体」への土台づくり。薬でも下がりきらない方へのアプローチ |
| 代表的な手段 | 降圧剤(カルシウム拮抗薬、ARBなど)の内服 | 血流を流す漢方薬、神経の熱を鎮める漢方薬、水をさばく漢方薬 |
| 気になる点 | やめるとすぐ元に戻りやすく、「一生飲む」不安が残る | 体質からの変化のため、効果実感までに月単位で取り組む必要がある |
| 両者の関係性 | 命を守るための「治療の主役(対処の軸)」 | 対立ではなく併用OK。「薬を減らせる土台」を作る並走の軸 |
【減らす順番】
① 漢方薬と生活習慣の改善で、血圧の数値が自然と落ち着いてくる
② その血圧手帳を持って主治医と相談し、「病院の降圧剤」を減らしてもらう
③ 降圧剤がなくても安定したら、最後に「漢方薬」も減らしていく
漢方の組み立て——「血圧を上げざるを得ない理由」を整える3つの視点
太陽堂では、高血圧に対して「ただ血圧の数字を下げる」という一つの見方ではなく、患者さまが「なぜ血圧を上げなければならないのか」を紐解き、以下の3つの視点で漢方を組み立てます。
軸① 血の巡りを整えて、血管の負担を減らす漢方薬(活血化瘀)
- 狙い: 血の巡りが滞ると、血管は硬くなり(動脈硬化)、身体は隅々まで血を届けるために、ポンプ(心臓)の圧を上げて血を送ろうとします。血流を改善し、血管の熱と炎症を取って、血管の負担そのものを減らします。高血圧の組み立ての中心です。
軸② ストレスによる緊張と熱を鎮める漢方薬(平肝熄風・清熱)
- 狙い: 自律神経の張り詰めが血管を縮め、血圧を押し上げます。イライラしやすい、顔が赤くなる、頭痛がするといった方は、この「気(熱)」が頭に上っている状態(肝陽上亢)です。緊張をほぐし、上がった熱を鎮めて、血圧が跳ねにくい状態を目指します。ストレスで上がりやすい方は、ここが要になります。
軸③ 余分な水をさばく漢方薬(利水)
- 狙い: 余分な水分が身体に滞ると、それが血管を外から圧迫し、むくみとともに血圧を上げます。水の巡りを整えて尿として流すことで、血管への圧を軽くします。
この3つの視点を、血圧の上がり方の特徴(朝高いか夜高いか、ストレス時か)・体質・現在飲んでいるお薬に合わせて調整します。変化の物差しは「毎日の血圧の記録(血圧手帳)」です。
【改善実例】血圧が落ち着き、薬を減らしていったエピソード
太陽堂に実際にご相談に来られた方の実例を、記録からご紹介します。
①【最高血圧200まで上昇】70代 男性|1ヶ月で130/70に、8ヶ月で治療終了
【ご相談時の状態】 何年か前から血圧が上がり、最近になってさらに高くなったことに悩んでご相談に来られました。いちばん高いときで「最高血圧が200くらい(最低血圧90くらい)」という高い状態でした。自覚症状は特にないとのことでした。
【太陽堂の提案】 加齢による血流障害(瘀血)と血管の熱ととらえ、①血流を改善する漢方薬 ②血管の熱を取る漢方薬 の2種類を組み合わせてお出ししました。
- 1ヶ月後: 最高血圧130/最低血圧70前後まで下がっているとのこと。体調も問題ありませんでした。
- 3ヶ月後: 血圧は安定。主治医の先生の指示により、少しずつ病院の血圧のお薬(降圧剤)を減らし始めているとのことでした。
- 4ヶ月後: 降圧剤を減らしても、引き続き130/70前後で安定しています。
- 8ヶ月後: 病院の薬がなくても血圧は安定し、再び高くなることはなくなったとのことで、漢方薬も治療終了となりました。
②【降圧剤を飲んでも下がらない】50代 女性|1ヶ月で150まで上がらなくなり、5ヶ月で124/72に安定
【ご相談時の状態】 1年ほど前から血圧が上がるようになり、ご相談に来られました。最高血圧は150くらいまで上がり、病院のお薬(アムロジピン)を毎日飲んでいるのにもかかわらず、下がってこないというご不安を抱えていらっしゃいました。
【太陽堂の提案】 更年期のホルモンバランスの乱れと血管の炎症ととらえ、①血管の炎症と熱を取る漢方薬 ②女性ホルモン(血の巡り)を調節する漢方薬 の2種類をお出ししました。
- 1ヶ月後: 血圧を測っても「150まで上がることはなくなった」とのこと。調子良く過ごせています。
- 5ヶ月後: 毎日の血圧は「124/72」まで落ち着いたとのこと。引き続き調子良く過ごせており、薬を減らす相談をする土台が整いました(現在も継続中です)。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。数値の改善を保証するものではありません。お薬の変更は主治医の判断で行ってください。
よくあるご質問(FAQ)
降圧剤は一生飲まないといけないのですか?
店頭では「血圧が落ちてくれば、もちろん減らすことは可能ですよ」とお伝えしています。
ただし必ず順番を守ってください。漢方薬と生活習慣(運動・ストレスの整え)で血圧が落ち着いてきたら、主治医の先生と相談して「病院のお薬」から減らし、安定したらその後に「漢方薬」を減らしていきます。自己判断での中止は命に関わるため危険です。
降圧剤(アムロジピン等)と漢方薬は併用できますか?
はい、併用いただけます。降圧剤は続けたまま漢方を始めてください。
使用中のお薬はご相談時にすべてお薬手帳などでお知らせください。漢方が効いてきて血圧が下がりすぎないよう(立ちくらみ等を防ぐため)、毎日の血圧記録を必ずお願いしています。
薬を減らせた方に共通していることはありますか?
いちばんは「ストレスを一人で抱えすぎないこと」。あわせて「運動(ウォーキングなど)」を習慣にできた方です。
漢方で緊張と熱を鎮めることに加えて、抱え込みすぎない生活と、身体を動かして血の巡りを良くすることが、血圧の落ち着きに効いてきます。
どのくらいの期間で変化が出ますか?
実例のように1ヶ月ほどで血圧の数値が落ち着き始めた方もいらっしゃいますが、減薬の相談まで含めると「月単位〜年単位」でじっくり進めていくのが一般的です(※個人差があります)。
毎日の血圧記録を一番の物差しに、「そろそろ減らせそうか」を主治医の先生に相談するタイミングを、私たちと一緒に見ていきましょう。
費用はどのくらいかかりますか?
目安として、1週間あたり5,000円前後〜(1ヶ月で2万円前後〜)とお考えください。相談料は無料です。
体質や組み合わせる漢方の種類によって金額が変わるため、お作りする前に必ず金額をお伝えし、ご納得いただいてからスタートします。ご予算のご希望も遠慮なくお聞かせください。
まとめ:「一生飲む不安」ではなく、「減らせる身体」を作る目標へ
「このままずっと、毎日薬を飲み続けるしかないのか」
その終わりの見えない不安な気持ちを、「自分で努力して薬を減らせる身体を作る」という前向きな目標に変えていきませんか。
- 「血圧が落ちてくれば、減らすことは可能」。ただし自己判断は絶対にしない。順番は「病院の薬から減らし、その後に漢方を減らす」。
- 漢方薬は「血の巡り + 緊張と熱 + 余分な水」の3軸で、身体が『血圧を上げざるを得ない理由』の側を整える。
- 減らせた方の共通点は「ストレスを抱えすぎないこと」と運動。毎日の血圧記録が何よりの物差しになる。
もうこれ以上薬を増やしたくない、いつか薬を減らしたい——そう思われた方は、どうぞ一人で抱え込まずに太陽堂へご相談ください。
最近の血圧の経過と記録、飲んでいるお薬、ストレスや生活のリズム、そしてあなたの体質を丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、あなたの身体を土台から立て直す漢方ケアをご提案いたします。
【ご相談をご希望の方へ】
高血圧に対する具体的な漢方アプローチについては、こちらのページにて詳しく解説しております。全国対応のオンライン相談も承っておりますので、まずはお気軽にお声がけください。
関係性の深い病気;ご相談も多数いただいております。
血圧・生活習慣病に関するさまざまなお悩みについて、以下のページもあわせてご覧ください。
▼高血圧に伴う症状——降圧剤で数値は正常なのに頭痛・めまいが残る方へ
▼「コレステロールの薬、一生飲み続けるの?」——スタチンの不安と漢方
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
太陽堂がはじめての方へ
ご相談を考え始めた方は、まずこちらをどうぞ。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。











