
「血の混じった痰が出るたびに、病院で止血剤(トランサミンなど)を出してもらって、なんとかその場をしのいでいる」
「止血剤をこんなに長く飲み続けていて、身体に負担はないのだろうか、大丈夫なのだろうか」
「薬を飲んで一度血が止まっても、またしばらくすると血の混じった痰が出る。いつまでこの繰り返しが続くのか、不安でたまらない」
こんにちは。新宿の漢方薬局「太陽堂」です。
気管支拡張症というご病気では、毎日の咳や痰だけでなく、「血痰(けったん)」や「喀血(かっけつ:血を咳とともに吐くこと)」が非常に繰り返しやすく、そのたびに病院で止血剤が処方されることが多くあります。
太陽堂の店頭でも、抗生剤を続けることへの不安と並んで、「止血剤を長く飲み続けることの不安」や「止血剤だけではまたぶり返してしまう行き止まり感」について、患者さまからお話しいただく機会が非常に多い、深く切実なテーマです。
このページでは、病院の止血剤の「受け持ち(役割)」と「限界」を分かりやすく整理したうえで、「血の混じった痰が出にくい状態」を体質の側から根本的に育てる漢方の考え方を、薬剤師の視点から詳しくお話しします。
※【ご注意】まとまった量(コップ半分など)の喀血があるときや、鮮血が止まらないときは、命に関わるため漢方のご相談より先に、すぐに救急か呼吸器内科の病院を受診してください。また、処方されている止血剤をやめる・減らすご判断は、必ず主治医の先生とご相談のうえで行ってください。
【この記事の結論:「止血剤を飲み続ける不安」に対する漢方の考え方】
- 不調の正体(原因): 西洋医学では気管支の拡張による毛細血管の破綻(出血)とされますが、漢方では、炎症が慢性化することで傷ついた気道周辺の「血流の滞り(瘀血)」が、組織を脆くして出血を繰り返す原因と考えます。
- 漢方の解決策: 止血剤(西洋薬)で出血を物理的に止めることと並走しながら、漢方薬で「気道の慢性的な炎症を鎮め、滞った血流を整える」ことで、血管が破れにくい・血痰が出にくい丈夫な気道の土台を育てます。
- 対象となる主な疾患・お悩み: 気管支拡張症、非結核性抗酸菌症(NTM)、血痰・喀血を繰り返している方、トランサミンやアドナ等の止血剤を長く飲み続けるのが不安な方、薬に頼らない体質改善を探している方
なぜ血痰を繰り返すのか——止血剤が「守り」で、体質ケアが「土台」
気管支拡張症は、肺の中の空気の通り道である気管支が、炎症によって破壊され、一度広がったまま元に戻らなくなってしまうご病気です。
広がってしまった気道(へこんだ地形)には、細菌やカビが溜まって慢性的な炎症を起こしやすく、その周りを走る細い毛細血管が非常に傷つきやすくなっています。つまり、常に「血の混じった痰が出やすい地形・環境」ができあがってしまっているのです。
病院で処方される止血剤(トランサミン、アドナなどの名前で知られています)は、「出てしまった血を速やかに止める」ための、非常に大切で頼りになる『守り』のお薬です。
ただ、このお薬はあくまで出血を止める対症療法であり、「気道が荒れて出血しやすい地形(環境)そのもの」を修復して変えるお薬ではありません。そのため、止血剤で一旦は止まっても、根本的な環境が変わっていないため、また少しの炎症や咳をきっかけに血が出る——という辛い繰り返しに陥りやすいのです。
「守り」のお薬を何ヶ月も長く続けることが気になる(不安に思う)場合は、まずそのお気持ちを処方している主治医の先生に正直に伝えてみてください。そのうえで、私たち太陽堂(漢方薬)が受け持つのは『土台』の側です。血の巡りと炎症を根本から整えて、「出血しにくい状態」をご自身の身体で育てていくことです。
【薬剤師コラム①】店頭でよくお話しするのは、実は「止血剤」のことです
担当薬剤師:林
気管支拡張症のご相談をお受けしていると、「抗生剤(マクロライド系など)を何年も飲み続けるのが不安だ」というご相談と同じくらい、実は「止血剤との付き合い方」についてお話しする機会が多いのです。
「飲めばその時は止まるけれど、またしばらくすると赤い痰が出るんです」
「この止血剤を、一生のお守りとしてずっと飲み続けていいのか、身体に悪くないか不安です」
この2つの深いお悩みは、根っこで繋がっています。
止血剤は「出た血を強制的に止める」お薬、漢方薬は「血管が破れにくい・血が出にくい身体の状態を育てる」お薬です。受け持ち(働きかける場所)が全く違うため、基本的にはお互いの邪魔をせず、併用しながら安全に進められます。
漢方薬で気道の血の巡りが整い、粘膜が丈夫になって「血の混じった痰の出ない期間」が確実に延びてくれば、結果として、不安だった止血剤の『出番そのもの』が自然と減っていく。「そういえば最近、トランサミンを飲んでいないな」と気づく。——それが、私たちが患者さまと一緒に目指す『一番安心できる形』なのです。
現在飲んでいるお薬は、ご相談の際にすべてお薬手帳などでお知らせください。安全な飲み合わせをしっかり確認いたします。
漢方の考え方——「血の巡り」を軸に、体の土台ごと支える
太陽堂では、気管支拡張症の繰り返す血痰に対して、ただ血を止める生薬を使うだけでなく、以下の「2つの柱」を組み合わせて根本から土台を支えます。
①血の巡りを整える——出にくい状態を育てる第一の柱(活血化瘀)
漢方の東洋医学的な視点では、同じところから何度も繰り返す出血の背景には、必ず「血の巡りの深い滞り(瘀血:おけつ)」があると考えます。 血流がドロドロに滞ると、傷んだ気道粘膜への栄養が届かず修復が進みにくいため、いつまでも脆く出血しやすい状態が続いてしまうのです。実例の患者さまたちも、この「血流を整える(活血する)漢方薬」を組み立ての太い軸にしたことで、血の混じった痰の出ない期間が延びています。
②炎症・菌・免疫の土台をあわせて整える(清熱・排膿・補気)
気管支拡張症では、気道の慢性的な炎症(火事)や、溜まった痰での菌の繁殖が、血管を破る(血痰が出る)直接的な引き金になります。 そのため、患者さまの体質に応じて、気道の強い炎症の熱を冷ます漢方薬、ドロドロの痰(菌の温床)を出しやすくする漢方薬、そして肺の免疫力(バリア機能)を底上げする漢方薬を組み合わせます。これにより、出血の「引き金そのもの」を減らす方向で身体の土台を力強く支えます。 (※この菌や免疫の土台づくりの詳しいお話は、抗生剤との付き合い方の記事でも解説しています。)
【薬剤師コラム②】「まとまった出血」は、迷わず病院へ
担当薬剤師:椙田
漢方のご相談をお受けする前に、命に関わる大切なことなので、はっきりとお伝えします。
「コップ半分ほどのまとまった量の喀血があるとき」や「鮮血の血痰が何日もなかなか止まらないとき」は、漢方の出番ではありません。ご相談より先に、今すぐ救急や呼吸器内科の病院へ行ってください。
気管支の太い血管が破綻している可能性があり、カテーテルによる止血術(BAEなど)といった緊急の外科的処置が必要になることがあります。これは、病院の西洋医学にしかできない、命を守る受け持ちです。
私たち太陽堂がお手伝いできるのは、そうした緊急時「ではない」平時の時期の、「再出血を防ぐための土台づくり」です。
ご相談では、「どのくらいの頻度で」「どんな色(鮮血か、茶色っぽいか)の痰が」「どんなとき(朝か、疲れた時か)に出るか」を丁寧に伺います。そして、「前は毎週出ていたのに、今月はまだ1回も出ていない」「血痰が出ない期間が前より延びている」という成功体験を、一つずつ確実に積み重ねていくこと。長く付き合っていく病気だからこそ、この着実な積み重ねを私たちは一番大切にしています。
【改善実例】血の混じった痰・喀血が落ち着いていったエピソード
※以下は、実際に太陽堂へご相談いただいた気管支拡張症の方の実例です。効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状の改善を保証するものではありません。
①【咳・喀血】60代女性|血流を整える軸で、半年近く血痰なしに安定
【ご相談時の状態】 5〜6年前に気管支拡張症と診断され、最近になり症状が頻繁に気になってきた方です。激しい咳と「喀血(血の混じった痰)」が気になり、たまに透明の痰も出るとのことでした。いつ血が出るか分からない不安を抱えていらっしゃいました。
【太陽堂の提案】 ①血流を整える漢方薬 ②免疫(肺気)を上げる漢方薬 ③菌や痰を除去する(排膿する)漢方薬 の3種類を組み合わせてお渡ししました。
- 1ヶ月後: 漢方を始めてすぐ、ごく薄い血痰だけは出たものの、「まとまった喀血はなく過ごせた」とのこと。
- 5ヶ月後: 最初のうちはたまに血が出てしまっていたものの、ここ最近は出なくなり、「この2ヶ月間は血痰もなく過ごせている」とのこと。
- 8ヶ月後: 半年近く血痰が全く出ない状態で、安心して過ごせているとのことでした。
- 11ヶ月後: 引き続き血痰・喀血なく、非常に安定して過ごせているとのこと。(※この方の経過は、2年1ヶ月後まで再出血なく安定している記録が残っています)
②【一番気になるのは血痰】40代女性|1ヶ月で血痰が出なくなり、5ヶ月継続
【ご相談時の状態】 15年前に気管支拡張症と診断され、長い間付き合ってきたものの、最近になって症状が酷くなってきた方です。痰・咳のほか、ご本人が「一番気になる、不安だ」と仰ったのは『血痰』が出ることでした。
【太陽堂の提案】 血痰を止める(再出血を防ぐ)ことを最優先の目標として、血流を整え血管を丈夫にする漢方薬を1種類、シンプルにお渡ししました。
- 1ヶ月後: 飲み始めてすぐ、「血痰は全く出ていない」とのこと。調子は非常に安定しているとのことでした。
- 5ヶ月後: 痰そのものはあるものの、引き続き「血痰(赤い痰)は全く出ていない」とのこと。調子の良い日が続いているとのことでした。
ご自宅でできるセルフケア・食養生
- 激しい咳込みを避ける・喉を潤す: 激しい咳は、気管支の脆い血管を直接破る最大の物理的ダメージになります。咳を長引かせないよう、部屋の加湿(湿度50〜60%)を心がけ、こまめに水分を摂って喉と気道を潤し、痰を出しやすく柔らかく保つことが血痰予防の基本です。
- 「冷え」と「極度の疲労」を避ける: 身体が冷えたり、過労で免疫力が落ちたりすると、血流が滞り気道の炎症がすぐに悪化します。睡眠不足は血痰の大敵です。身体の声をよく聞き、疲れを感じたら無理をせず休む習慣をつけてください。
- 血痰が出た日と色をメモする: 「いつ、どんな色の血痰が、どのくらい出たか」を手帳やカレンダーに記録しておいてください。これは、漢方薬の効き目(出ない期間が延びているか)を確かめるためにも、主治医に状態を正確に伝えるためにも、最高のデータになります。
よくあるご質問(FAQ)
病院の止血剤(トランサミンやアドナなど)と、漢方薬は併用できますか?
はい、基本的には安全に併用可能と考えています。
止血剤は「出た血を一時的に止める」お薬、漢方薬は「血が出にくい状態(体質)を育てる」お薬で、受け持ち(役割)が異なるためです。現在飲んでいるお薬の名前を、ご相談の際にすべてお知らせください。
止血剤を長く飲み続けることが不安です。勝手にやめてもいいですか?
自己判断でお薬をやめることは絶対におすすめできません。不安な気持ちごと、処方している主治医の先生に相談してください。
止血剤は、いざというときに出血の悪化を防ぐ「大切な命の守り」です。漢方薬で体質を整えて「血痰が出ない期間」が確実に延びてくると、結果として主治医の先生から「じゃあ止血剤は一旦やめて様子を見ましょうか」と言われる(出番が減っていく)——この順番で考えるのが最も安全な道すじです。
血の混じった痰が出たら、その時どうすればいいですか?
まとまった量の出血や、鮮血が止まらないときは、漢方薬で粘らずにすぐに病院を受診してください。
少量であっても、「頻度が明らかに増えている」「色が濃くなっている(ドス黒い)」と感じたら、気道で炎症や感染が悪化しているサインですので、主治医の先生に伝えて検査を受けてください。漢方のご相談は、その医学的な安全確認が取れたうえでいつでもお受けできます。
どのくらいの期間で変化を感じられますか?
まずは「3ヶ月」を一区切りの目安としてお願いしております。
実例の女性のように1ヶ月で血痰が止まり変化を感じた方もいらっしゃいますが、慢性的な気道の炎症や血流の滞りを整えるには個人差があります。「血痰が出ない期間が前より確実に延びている」ことを、焦らず一つずつ確かめながら進めていきましょう。
まとめ——「止める」と「出にくくする」の二本立てで
「血が止まっては、また出る。この不安な繰り返しに、心底疲れてきた」
「病院の守りの薬だけでなく、身体の側から根本的にできることを始めたい」
その終わりの見えない不安を軽くするために、今日からできることを整理しましょう。
- 止血剤は「出た血を止める」守りのお薬。勝手にやめず、不安は必ず主治医の先生と共有する。
- 漢方薬は「血の巡りを整えて、出血しにくい状態を育てる」土台のケア。守り(西洋薬)と土台(漢方)は併用できる。
- まとまった出血・止まらない出血は、迷わずすぐに病院を受診する(命を守るための絶対ルール)。
そんな深いお悩みは、どうぞ一人で抱え込まずに太陽堂へご相談ください。
現在の血痰の状態や頻度、お薬の内容、そしてあなたの体質を丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、あなたの体質にピタリと合わせた漢方ケアをご提案いたします。まずはお気軽にお声がけください。
【ご相談をご希望の方へ】
血の混じった痰そのものへの漢方の考え方は、こちらの専門記事で詳しく解説しております。
関係性の深いお悩み;ご相談も多数いただいております。
気管支拡張症・肺のお悩みは、以下のページもあわせてご覧ください。
抗生剤をずっと飲むのが不安な方へお腹の負担と繰り返す発熱の話はこちら。
肺MAC症(非結核性抗酸菌症)合併が多い病気です。菌の除去と免疫の話はこちら。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
太陽堂がはじめての方へ
ご相談を考え始めた方は、まずこちらをどうぞ。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。
記事作成者 薬剤師 椙田 彩純

担当疾患;循環器、身体の痛み
臨床検査技師の両親の影響で、幼い頃から医療に関心を持つ。
大学卒業後、病院薬剤師として勤務。
対症療法が中心の現場で、繰り返す入退院や長期投薬を目の当たりにし、「もっと力になれる方法はないか」と模索する中で漢方と出会う。
現在は漢方の持つ幅広さと可能性に魅了され、一人ひとりの体質に寄り添った根本改善を追求している。















