
「子宮筋腫の治療でリュープリンの注射を打ってから、更年期のような激しいほてりと汗が止まらなくてつらい」
「副作用の気分の落ち込みがひどく、これから半年間もこの治療を続けられるか本当に不安……」
「注射の打ち始めの頃、かえって症状(痛みや出血)が強くなった気がしてすごく怖かった」
「半年の注射治療が終わったあと、また筋腫がすぐに育ってこないか心配」
こんにちは。新宿の漢方薬局「太陽堂」です。
リュープリン(注射薬)は、子宮筋腫や子宮内膜症の治療において非常に有効な選択肢として使われる「偽閉経療法(女性ホルモンを抑えて生理を一時的に止める治療)」のお薬です。
筋腫を小さくする効果が期待できる一方で、身体を「人工的に閉経に近い状態」へと急激に切り替えるため、「副作用が想像以上につらくて、治療を続けられるか不安」「注射のあとの反動が心配」というお悩みが非常に多い治療でもあります。
このページでは、リュープリンの副作用がなぜあんなにつらく感じられやすいのか、その西洋医学的な仕組みを分かりやすく整理したうえで、「治療の真っ最中」と「治療が終わった後」のそれぞれの身体を、漢方でどうやって土台から支えていくのかを、薬剤師の視点から詳しく解説いたします。
※【ご注意】リュープリンは、手術前など医師の綿密な治療計画に沿って行われる重要なお薬です。副作用がつらいからといって、注射を続ける・やめる・打ち方を変えるといったご判断を自己判断で行わず、必ず主治医(婦人科の先生)とご相談ください。この記事は病院の治療を否定するものではなく、治療中・治療後の身体を漢方で安全に支えるための考え方をご紹介するものです。
【この記事の結論:「リュープリンのつらさ」に対する漢方の考え方】
- 不調の正体(原因): 西洋医学では、注射によって女性ホルモンが急激に低下し「人工的な更年期状態」になるためとされます。漢方では、この急激なホルモン変動が「気(自律神経)」を揺さぶり、身体の中に「熱(ほてり)」を生み出している状態と考えます。
- 漢方の解決策: 病院の注射治療は計画通り続けながら、漢方で①治療中=自律神経の揺らぎを整え、上った熱(ほてり)を鎮める ②治療後=筋腫の土台である「血の滞り(瘀血)」を整える ③注射後=乱れやすい生理周期の回復を支える——という3本柱で並走します。
- 対象となる主な疾患・お悩み: リュープリンの副作用(ホットフラッシュ、多汗、気分の落ち込み、不眠、関節痛)がつらい方、半年の治療を完走できるか不安な方、治療終了後の筋腫の再発や生理不順が心配な方、スプレキュア等の点鼻薬を使用中の方
リュープリンとは?——「打ち始めが一番つらい」ことがある理由
リュープリンは、脳の視床下部にある「ホルモンの指令塔」に直接働きかける注射薬です(一般的に月1回、または3ヶ月に1回、皮下に注射します)。
このお薬は、ホルモンの指令を「直接ストップさせる」のではなく、「指令を過剰に出させ続けて、脳を疲れさせることで、結果的に指令そのものを止めさせる(ダウンレギュレーション)」という、少し変わった仕組みを持っています。
指令が止まることで、卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減り、身体が「閉経に近い状態(偽閉経)」になります。女性ホルモンをエサにして育つ子宮筋腫や子宮内膜症は、エサがなくなることで縮小し、生理が止まることで過多月経や貧血も改善されます。
なぜ「打ち始め」に症状が悪化したように感じるのか?
リュープリンの「指令を過剰に出させて疲れさせる」という仕組み上、注射を打ち始めた直後の数日間〜数週間は、女性ホルモンが一時的に急上昇(フレアアップ)します。
そのため、治療を始めたばかりの頃に「かえって生理の出血が増えた」「痛みが強くなった」「ほてりが激しい」といった症状が強く出ることがあるのです。
「治療のために打ったのに、悪化した気がする」と感じるのは決して気のせいではなく、この治療特有の仕組みからくる「切り替わりの揺れ」なのです。不安になると思いますが、多くは時間が経ってホルモンが下がり始めると落ち着いていきます。ただし、つらい時は我慢せず、必ず主治医の先生に状況を伝えてくださいね。
「半年まで」と厳格に決められている理由——骨密度の話
リュープリンの連続使用は、原則として「最長6ヶ月まで」と厳しく定められています。
これは、女性ホルモン(エストロゲン)が極端に低い状態が半年以上長く続くと、「骨密度が低下する(骨粗しょう症のリスクが高まる)」という副作用があるためです。期間が区切られているのはこのためであり、裏を返せば「この半年の間に、筋腫を小さくして手術をするか、閉経まで逃げ切るか等、その先どうするかをあらかじめ考えておく必要がある」という、戦略的な治療でもあるのです。
【比較表】レルミナ(飲み薬)との違い
同じ「偽閉経療法」のお薬ですが、飲み薬の「レルミナ」と注射の「リュープリン」では、効き方に違いがあります。
| 比較項目 | リュープリン(注射薬) | レルミナ(飲み薬) |
| 効き方の仕組み | 指令を過剰に出させて「疲れさせて」止める | ホルモンの指令を直接「ブロックして」止める |
| 打ち始め(飲み始め) | 一時的にホルモンが急上昇(フレアアップ)する | 急上昇せず、最初からホルモンが下がる |
| 副作用の出方 | 打ち始めに一時的な症状の悪化やほてりを感じやすい | 飲み始めから速やかにほてり等の更年期症状が出やすい |
| 投与のメリット | 月1回または3ヶ月に1回で済み、飲み忘れがない | 毎日飲む必要があるが、副作用が辛い時はすぐ中止できる |
※レルミナの副作用でお悩みの方には、専用の解説記事をご用意しております。
漢方の考え方——「治療中」「治療後」「周期の回復」の3本柱
太陽堂では、リュープリン治療における漢方サポートを、患者さまの「現在の治療段階」に合わせて、以下の3つの柱でオーダーメイドに切り替えて組み立てます。
柱① 【治療中】ホルモンの急変動で揺れる自律神経を整える(清熱・疏肝)
ほてり(ホットフラッシュ)、大量の発汗、気分の激しい落ち込み、イライラ、不眠。リュープリン治療中のこれらのつらさは、いわゆる「更年期障害」の症状と全く同じものです。
漢方ではこれを、「ホルモンの急降下という嵐によって、自律神経(気)が激しく揺さぶられ、身体に異常な熱が上っている状態」と捉えます。この高ぶりを優しく鎮め、上った熱をスッと冷まし、心身を安定させる漢方薬(加味逍遙散ベースなど)を用いて、つらい治療期間を身体の下からしっかりと支えます。
柱② 【治療後】筋腫の根本的な土台である「瘀血(おけつ)」を整える
リュープリンで生理を止め、筋腫を小さくしている半年間は、いわば「時間を稼いでいる」期間です。東洋医学では、子宮筋腫や子宮内膜症が育つ土台には「血の巡りの滞り(瘀血)」があると考えます。この注射で稼いだ時間のうちに、漢方薬で血の巡りを整える体質ケア(活血化瘀)を並行して始めておくことが、「注射終了後に筋腫がまた育ってしまうのでは」という不安への備えになると、私たちは考えています。
柱③ 【注射終了のあと】乱れやすい生理周期の回復を支える(補気血・調経)
半年のリュープリン使用が終わった後は、無理やり止めていたホルモンが再び動き出すため、生理周期が激しく乱れたり、なかなか生理が戻ってこなかったりすることがあります。
止まっていた生理が自然なリズムで戻ってくる時期の身体を、失われた血を補い巡りを整える漢方薬で優しく支え、周期が落ち着いていくのを後押しします。
【薬剤師コラム①】リュープリンと漢方薬は、作用の仕方が違うから併用できる
担当薬剤師:前原
「リュープリンの注射をしている間は、漢方薬は飲んではいけない(効果がぶつかってしまう)のでしょうか?」——店頭で非常によくいただくご質問です。
答えは「基本的には安全に併用可能です」です。
リュープリンは、脳の視床下部というピンポイントな場所に働きかけ、ホルモンの分泌を強力にストップさせることで「局所的」に筋腫を抑える西洋薬です。一方の漢方薬は、胃腸を整え、自律神経を和らげ、全身の血流を良くするという「身体全体の体質バランス」を整えるアプローチです。
作用する仕組みや狙う場所が異なるため、役割分担ができる関係です。
病院での注射の治療計画はそのまま絶対に崩さず、その強力な治療に耐えうるように、副作用のつらい時期の身体を漢方で「土台から支える」という、非常に理にかなった役割分担ができるのです。「注射を入れているから、漢方にはもう頼れない」ということは決してありませんので、どうぞご安心ください。
「続けるかどうか迷っている」方へ——太陽堂の考え方
この記事を読んでくださっている方の多くは、「副作用がつらすぎて、このまま半年も続けられるか不安だ」「次の注射を打つべきか迷っている」という段階だと思います。太陽堂の答えはシンプルです。
続ける・やめる・治療法を変えるの最終判断は、必ず主治医の先生とご相談ください。漢方薬は、あなたがどの選択をされても、全力で並走し支えることができます。
- 副作用に耐えながら「治療を続ける(完走する)」ことを選んだ方: ほてり・気分の波・不眠などのつらさを、漢方薬で和らげながら、無事に半年間を完走できるように支えます。
- 「治療がつらくてやめたい・別の方法を探したい」方: まず、そのつらさをそのまま主治医に伝えてください(伝えることも大切な治療のうちです)。そのうえで、注射を中止した後の身体の立て直しや、筋腫そのものへのアプローチを、漢方でサポートいたします。
【薬剤師コラム②】「半年のその後」まで、一緒に考えます
担当薬剤師:石川
リュープリンは「最長半年まで」と厳格に期間が区切られている治療です。だからこそ、治療のゴール(半年)が近づくにつれて、「注射が終わったら、またすぐに筋腫が大きくなって、元の過多月経と痛みに戻ってしまうのではないか」という不安が、どんどん大きくなりがちです。
漢方の立場から見ると、このリュープリン中の半年間は、単に副作用に耐えるだけの期間ではなく、「体質を根本から整えるための、極めて貴重な準備期間」でもあります。
お薬の力で生理が止まり、出血による深刻な貧血や、生理痛の激しい消耗の負担が減っている間に、漢方でたっぷりと「血」を補い、瘀血を流す体質改善をコツコツと進めておく。そうして身体の土台を整え切った状態で、注射が終わったあとの身体を万全の態勢で迎えにいく——。
そんな、未来を見据えた戦略的な組み立てができるのが、漢方薬の素晴らしいところです。治療中のつらい最中でも、治療が終わった後でも、どの段階からでもご相談いただけますよ。
【改善実例】リュープリンで副作用が強く出た方の、その後のエピソード
※実際に太陽堂へご相談いただいた方の実例です(効果の感じ方や必要な期間には個人差があります)。
【多発性子宮筋腫】注射の副作用が強く出た女性|1年4ヶ月で生理周期も順調になり、服用終了に
【ご相談時の状態】 3年半前に病院で多発性子宮筋腫と診断され、経過観察で様子を見ていたところ、その後の検査で筋腫が大きくなっていたため、注射治療(リュープリン)を行った方です。副作用が強く出てしまったため、漢方薬で改善できればとご相談に来られました。筋腫は6.6cmが1つと、小さいものが数個。冷えと少量の出血が気になるとのことでした。
【太陽堂の提案】 ①筋腫や瘀血を改善する煎じ薬 をお渡ししました。
- 1ヶ月後: 身体が暖かくなっているとのこと。気になる出血もないとのことでした。
- 2ヶ月後: 以前よりも生理の状態が良くなっているとのこと。
- 4ヶ月後: 体調は良く、生理や不正出血も気にならなくなってきたとのことでした。
- 10ヶ月後: 寒い中でも生理が乱れることもないとのこと。
- 1年4ヶ月後: 冷えや出血もなく生理周期も順調とのことで、服用終了となりました。
※こちらの方は「リュープリン使用中」ではなく、注射治療のあとに漢方を始められた方です。
よくあるご質問(FAQ)
リュープリンの注射をしている間、漢方薬を飲んでも大丈夫ですか?
はい、基本的には併用可能と考えております。
リュープリンは脳の指令に働きかけるお薬、漢方は全身の体質バランスを整えるお薬で、作用の仕組みが異なるためです。注射を続ける・やめるのご判断は必ず主治医の先生と行っていただき、ご相談の際は「現在リュープリン治療中であること(何回目の注射か)」をお聞かせください。
注射を打ち始めてから、かえって症状(痛みや出血)が強くなった気がして不安です。
打ち始めの時期はホルモンが一時的に急上昇(フレアアップ)するため、ほてりや元の症状が強く出ることがあると知られています。
これはリュープリン特有の仕組みからくる切り替わりの揺れであり、多くは時間が経ってホルモンが下がり始めると落ち着いていきます。ただし、つらさが強い・長く続く場合は、我慢せずに必ず主治医の先生に伝えてください。
半年の注射治療が終わった「後」が、また大きくなりそうで不安です。
その「治療が終わった後」こそ、漢方の受け持ちどころです。
漢方では、筋腫や内膜症の土台には「血の滞り(瘀血)」があると考えます。注射で稼いだ時間のうちに体質ケアを始め、治療後の身体と生理周期の回復を支える——治療中から準備を始めておくのが一番のおすすめです。タイミングはお気軽にご相談ください。
骨密度が下がると聞いて、将来の骨粗しょう症が心配です。
女性ホルモンの低下による骨密度低下のリスクは指摘されており、これが連続使用が「通常6ヶ月まで」と定められている一番の理由です。
骨密度が気になる場合は、検査や対策について主治医の先生にご相談ください。漢方薬は骨密度の数値を上げることをお約束するものではありませんが、胃腸を整えて栄養の吸収を助け、治療期間の体調全体を底上げするお手伝いができます。
まとめ——つらさを「我慢だけ」で乗り切らないでください
リュープリンの激しい副作用のつらさは、ホルモンの急降下という「身体の嵐」によるものです。打ち始めに症状が強く出ることがあるのも、お薬の仕組みによるものです。
- 続ける・やめるの判断は必ず主治医の先生と。漢方薬はどの選択をされても並走できます。
- 治療中は自律神経とほてりのケア、治療後は瘀血の改善と生理周期の回復をサポートします。
- 注射をしている「半年間」は、ただ耐えるだけでなく「体質を根本から整えるための準備期間」にもなります。
「副作用が本当につらいけれど、手術を避けるために治療は最後までやり遂げたい」
「注射が終わったあとの再発の不安を、今からなくしておきたい」
そんな深いお悩みは、どうぞ一人で抱え込んで我慢せずに太陽堂へご相談ください。
副作用のつらさの出方や、これまでの治療の経緯、体質を丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、あなたに合わせた漢方ケアをご提案いたします。
【ご相談をご希望の方へ】
リュープリンが使われることの多い子宮筋腫そのものへの漢方アプローチは、こちらの専門ページで詳しく解説しております。
関係性の深いお悩み;ご相談も多数いただいております。
婦人科のお薬に関するお悩みは、以下のページもあわせてご覧ください。
▼レルミナの副作用・手術を避けたい方へ
▼ミレーナを勧められて迷っている方へ
▼子宮腺筋症
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。













