
「SLE(全身性エリテマトーデス)の定期検査で、主治医の先生から尿タンパクが出ていると指摘された。病気が腎臓にまで来ているのかと、頭が真っ白になった」
「最近、足のむくみと身体のだるさが全く取れない。腎臓がこれ以上悪くなって透析になったらどうしようと、毎日の検査結果が怖くてたまらない」
「病院のステロイド治療は絶対に続けるとして、自分の身体のために、不安をただ待つ以外に他にできることはないのだろうか」
「ループス腎炎」は、全身性エリテマトーデス(SLE)による自己免疫の炎症が、「腎臓」という極めて重要な臓器に強く出ている状態です。
腎臓は、一度細胞が大きく傷んでしまうと元に戻りにくい臓器だからこそ、患者さまの「これ以上悪くならないか」という恐怖感は、他のどの症状とも違う『命と直結した重さ』を持っています。
最初にはっきりと、そして正直にお伝えします。ループス腎炎の治療の「絶対的な主役」は、病院でのステロイドや免疫抑制剤による治療です。漢方薬はそれを置き換える(代わりになる)ものでは決してありません。漢方の役割は、病院の治療と安全に「並走」しながら、身体の土台を整えることです。
この記事では、その「並走の形」と「漢方にできること・できないことの線引き」について、薬剤師の視点から誠実に解説いたします。
【この記事の結論:「ループス腎炎・尿タンパクの不安」に対する漢方の考え方】
- 起こる理由(原因): 西洋医学ではSLEの自己抗体(免疫複合体)が腎臓の細かいフィルター(糸球体)に沈着して炎症を起こした状態とされます。漢方では、免疫が暴走しやすい体質に加えて、腎臓を支える生命力の低下と「水の巡り」の滞りがむくみ・だるさの背景にあると考えます。
- 漢方の解決策: 病院の免疫を抑える治療を主役に据えたまま、漢方で①腎臓を内側から保護する ②自己免疫のバランスを優しく調節する ③滞った水の巡りを整えてむくみを抜く——という3本柱で、腎臓に優しい身体の環境づくりをサポートします。
- 対象となる主な疾患・お悩み: ループス腎炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、尿タンパク・血尿・むくみ(ネフローゼ症候群)を指摘された方、腎臓がこれ以上悪くならないか不安な方、病院の治療と並行できるケアを探している方
ループス腎炎とは——SLEと腎臓のつながり
全身性エリテマトーデス(SLE)は、本来は外敵から身体を守るはずの免疫システムが、自分自身の身体を攻撃してしまう自己免疫疾患です。その攻撃の矛先が「腎臓の糸球体(血液をろ過して尿を作るフィルター)」に向かい、強い炎症を起こした状態が「ループス腎炎」と呼ばれます。
20〜30代の女性に多いとされ、SLEを発症した方の半数近くに起こると言われています。多くの場合、痛みなどの自覚症状はなく、SLEの経過の中で、定期検査の「尿タンパク」や「血尿」「足や顔のむくみ(浮腫)」をきっかけに見つかることがほとんどです。
腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、かなり機能が落ちて限界に近づくまで自覚症状を出しません。だからこそ病院では、尿検査や血液検査(クレアチニン・eGFR・補体など)で早めに異常を見つけ、腎臓の組織が破壊される前に、ステロイドや免疫抑制剤を使って炎症を「強力かつ速やかに抑え込む」治療が行われます。
腎臓のご相談で多い、2つの深い不安
太陽堂には腎臓に関するご相談が日々多く寄せられますが、その中心はいつも同じ「2つ」の不安です。
- 「腎臓がこれ以上悪くならないか不安」: 検査のたびにタンパクやクレアチニンの数値に一喜一憂し、悪化すれば透析になるかもしれないという、先の見えない恐怖を常に抱えている。
- 「むくみ・だるさが取れない」: パンパンに張った足や顔のむくみ、そして身体に重い鉛が入っているような強烈なだるさが、日常の質(QOL)を大きく下げている。
ループス腎炎の方が抱える不安も、まさにこの2つに重なります。ただ「次の検査結果を怯えながら待つ」のではなく、病院の治療と並行して『身体の側から土台を整える』——それが、漢方薬にできるサポートです。
【薬剤師コラム①】正直な立ち位置——主役は病院の治療です
担当薬剤師:林
ループス腎炎のご相談をお受けする際、私たちが患者さまと一番最初に共有し、大切にしている「正直な線引き」からお話しさせてください。
ループス腎炎は、放っておくと腎臓の働きが不可逆的に落ちてしまい、最終的に透析が必要になる危険性がある、SLEの合併症の中でも特に「慎重かつ急いで治療すべき状態」です。だからこそ、ステロイドパルス療法や免疫抑制剤を使って、今起きている火事(炎症)を強力に鎮火させる『病院の治療』が、何よりも最優先される絶対的な主役です。
そのうえで、私たち漢方薬が受け持てるのは、「主役の治療を決して邪魔せずに、腎臓を取り巻く身体の環境(血流や水はけ)を整える」という『並走(サポーター)』の役割に徹することです。
【比較表】西洋医学(病院)と漢方薬(太陽堂)のアプローチの違い
| 比較項目 | 西洋医学(病院のアプローチ) | 漢方薬(太陽堂の体質ケア) |
| 主な目的 | 免疫の暴走(炎症)をお薬で強力に抑え、腎臓を破壊から守る | 腎臓を支える身体の環境(体力・免疫バランス・水はけ)を整える |
| 得意なこと | 尿検査・血液検査による病状の正確な把握、急性期の炎症の制圧 | むくみ・だるさ等、治療中も続く辛い自覚症状への体質からのアプローチ |
| 代表的な手段 | ステロイド、免疫抑制剤、降圧薬(腎保護目的)などの内服・点滴 | 腎臓を保護する漢方薬、自己免疫を調節する漢方薬、水の巡りを整える漢方薬 |
| 気になる点 | 免疫を抑えることによる感染症等の副作用、精神的な負担 | 体質の根本からの変化のため、月単位〜年単位でじっくり取り組む必要がある |
| 両者の関係性 | 命と腎臓を守り抜く「絶対的な治療の主役」——続けることが大前提 | 主役を邪魔せず、身体の土台を陰から支える「頼もしい並走のサポーター」 |
「漢方薬を飲めばステロイドをすぐに減らせる」「漢方だけで透析を100%避けられる」——そういった無責任なお約束は、私たちには決してできません。
できないことを「できない」と正直にお伝えしたうえで、できること(身体の土台づくりと辛い症状の緩和)を丁寧に積み重ねる。それが太陽堂の揺るぎない立ち位置です。
漢方の組み立て——「腎臓を守る」3本柱
太陽堂では、ループス腎炎の患者さまに対して、以下の「3本柱」を基本に、病院の治療と並走できる安全なオーダーメイドの漢方を調合します。
軸① 腎臓を内側から保護する漢方薬(補腎:ほじん)
- 狙い: 東洋医学では、腎臓は生命力の土台である「腎(じん)」の中心と考えます。強い炎症や強力なお薬によって負担がかかっている腎臓を支えるため、腎のエネルギーを優しく補い、負担から保護する方向の漢方薬を組み立ての軸に据えます。
軸② 自己免疫のバランスを調節する漢方薬
- 狙い: 腎臓を攻撃している大元の火種は、SLEによる「免疫の乱れ・暴走」です。病院のお薬が免疫を強力に「抑制」するのに対し、漢方薬は免疫を「強める」のでも「無理に止める」のでもなく、自律神経を整えながら『暴走しにくい落ち着いた状態へ優しく調節する』方向を組み合わせます。(※単純に免疫力を上げるような健康食品は、かえって自己免疫の攻撃を強めてしまう恐れがあるため太陽堂では絶対に使用しません)
軸③ 水の巡りを整える漢方薬(利水:りすい)
- 狙い: 腎臓の働き(ろ過機能)が揺らぐと、身体のあちこちに余分な水分が溜まりやすくなります。この「水の巡りの滞り」を整えることで、患者さまが一番辛いと感じている『足や顔のむくみ』と『重いだるさ』を和らげる方向をあわせて組み立てます。今ある不快な自覚症状を漢方で軽くすることは、検査を待つ日々の『不安』をやわらげることに直結します。
【薬剤師コラム②】腎臓を守る食事——「良かれと思って」に落とし穴
担当薬剤師:前原
腎臓の機能に不安を抱える方からのご相談で、毎日の食事について必ずお伝えしている、非常に大切なことがあります。
大前提として、「塩分」や「タンパク質」の制限については、病院の主治医や管理栄養士の指導が『絶対の最優先』です。腎臓の状態(ステージ)によって適切な制限量が全く変わるため、ネットの情報などを信じて自己判断で厳しくしすぎるのも、逆に緩めるのも危険です。
そのうえで、多くの方が陥りがちな「良かれと思ってやっている食事の落とし穴」を一つ知っておいてください。
「健康のために」と、生野菜サラダや生の果物、100%ジュースなどを毎日たくさん摂りすぎるのは、腎臓の状態によっては『逆効果』になることがあります。生野菜や果物には「カリウム」というミネラルが豊富に含まれていますが、腎臓の働きが落ちている時はこのカリウムを尿として排泄しにくくなり、身体に溜まってしまうこと(高カリウム血症)があるためです。
「身体に良いはず」の食習慣が、今のあなたの腎臓には合わないことがある——ここが腎臓の食養生の難しいところです。ご自身の検査値と治療段階に合わせた食べ方を、主治医の指導をベースに、私たちも一緒に考えてサポートします。
【重要】こんな時は、漢方の相談より先に「すぐ病院へ」
次の変化が出た時は、迷わず早めに主治医の先生へ連絡(受診)してください。
- 急に足や顔がパンパンにむくんできた
- 一日の尿の量が明らかに減った/目に見える血尿(赤い尿)が出た
- 高熱が出た/数日間で急激に体重が増えた
これらは、腎臓の状態が動いているサインかもしれません。病院での医学的な確認と処置が最優先です。
よくあるご質問(FAQ)
SLEの治療中(ステロイド・免疫抑制剤の服用中)でも、漢方の相談はできますか?
はい、ご相談いただけます。病院の治療を「続けること」が大前提となります。
現在飲んでいるすべてのお薬(ステロイド・免疫抑制剤・降圧薬など)をお薬手帳でお知らせいただき、飲み合わせ(相互作用)をしっかりと確認したうえで漢方の組み立てを考えます。病院薬の自己判断での減量・中止は、絶対に避けてください。
漢方薬を飲めば、ステロイドの量を減らせますか?
薬剤師として、「漢方で必ずステロイドを減量できる」と無責任なことは言えません。ステロイドの量をどうするか判断するのは、尿検査や血液検査の数値を見て主治医の先生が行うものです。
漢方薬の役割は、お薬が腎臓の炎症を抑えて守ってくれている間に、「腎臓に優しい身体の土台」を整えておくことです。減薬は、そのしっかりと整った土台の上で、主治医の先生と慎重に進めていくべきものです。
漢方薬で、将来透析になるのを避けることはできますか?
「必ず透析を避けられる」というお約束は、決してできません。
腎臓の機能状態(eGFRなど)の評価と最終的な治療方針は、病院の検査と主治医の判断がすべての基準となります。漢方薬はあくまで「腎臓に負担をかけない身体の環境を整えるための並走役」として、できること・できないことを正直に線引きしたうえでご提案いたします。
改善した実例(症例)はありますか?
正直に申し上げて、「ループス腎炎」という病名でのご相談実績は、太陽堂ではまだありません。
ただ、腎臓のご相談(腎機能低下・慢性腎臓病・蛋白尿など)と、SLEを含む自己免疫疾患(膠原病など)のご相談は、それぞれ数多くお受けしてまいりました。近縁の実例として、膠原病(多発性筋炎)で病院の治療と並走しながら経過が安定していった記録等を公開しておりますので、向き合い方の参考としてぜひご覧ください。
食事はどう気をつければいいですか?
コラムでもお伝えした通り、塩分・タンパク質の制限は、病院(主治医・管理栄養士)の指導が「絶対の最優先」です。
それに加えて、生野菜・果物の摂りすぎによる「カリウム」にも注意が必要です。こちらも病院の指導に従いつつ、健康のためと称した過剰な摂取は控えてください。迷ったら自己判断せず、ご相談ください。
どんな時は、漢方より先に病院へ連絡すべきですか?
急なむくみ・尿量の減少・血尿・高熱・数日間での急激な体重増加が出た時は、迷わず早めに主治医の先生へ連絡してください。
腎臓の状態が動いているサインかもしれず、病院での確認が最優先です。定期的な尿検査・血液検査は必ず続けながら、漢方はその上に並走させてください。
まとめ:不安を「ただ待つだけの時間」にしないために
「尿タンパクが出ている」「クレアチニンが上がっている」——その数字を見て、腎臓がこれ以上悪くならないかという恐怖を抱えながら、次の検査結果をただ待つだけの時間は、どんどん不安ばかりが大きくなっていきます。
- 治療の絶対的な主役は病院のステロイド・免疫抑制剤。漢方はそれを置き換えず、並走して土台を整える
- 漢方の組み立ては「腎臓の保護 + 自己免疫の調節 + 水の巡り(むくみ改善)」の3本柱
- 食事は病院の指導が最優先。生野菜・果物(カリウム)の「良かれと思って」の摂りすぎにも注意。急な変化はすぐ主治医へ
病院の治療を一生懸命続けながら、自分の身体と腎臓を守るために「できることをもう一つ増やしたい」——そう思われた方は、どうぞ一人で抱え込まずに太陽堂へご相談ください。
直近の検査の数値、お薬の内容、そしてあなたの体質を丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、あなたの腎臓をいたわりながら優しく支える漢方ケアをご提案いたします。
【ご相談をご希望の方へ】
ループス腎炎に対する具体的な漢方アプローチについては、こちらのページにて詳しく解説しております。全国対応のオンライン相談も承っておりますので、まずはお気軽にお声がけください。
関係性の深い病気;ご相談も多数いただいております。
腎臓・自己免疫に関するさまざまなお悩みについて、以下の記事もあわせてご覧ください。
▼SLE——寛解と再燃を繰り返す不安に
▼健診で蛋白尿・血尿を指摘された方へ
▼近縁の実例:膠原病(多発性筋炎)で治療と並走した記録
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
太陽堂がはじめての方へ
ご相談を考え始めた方は、まずこちらをどうぞ。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。













