
「冷え対策には生姜が良いと聞いて、毎日頑張って摂っているけれど、なかなか手足の冷たさが和らがない…」
「美容のために毎朝スムージーや生野菜サラダを欠かさないのに、冬になると体が芯から冷えてつらい…」
そんなご経験はありませんか?
実は、漢方(東洋医学)の世界には「医食同源(いしょくどうげん)」という言葉があり、毎日の食事がそのまま体を整える大切な役割を果たすと考えられています。
あなたが良かれと思って続けているその食事習慣が、もしかすると冬の「冷え」を長引かせている原因になっているかもしれません。
今回は、冬本番の厳しい寒さに負けないための食材の選び方と、忙しい日でも5分でサッと作れる「簡単薬膳レシピ」を、太陽堂の薬剤師が詳しく解説いたします。
【太陽堂が教える、冬本番の冷え対策・養生まとめ】
まずは、当薬局が考える「冬の冷え」へのアプローチを簡潔にまとめました。
- 漢方の見立て(原因): 西洋医学では「寒冷刺激による自律神経の乱れと血管収縮による血行不良」とされる冬の冷えですが、漢方では、冬本番の厳しい寒さ(寒邪)が体内のエネルギーを奪い、熱を作り出すボイラーである「胃腸(脾:ひ)」の働きが低下して、手足の末端まで温かさが届かなくなった状態に注目して原因を探ります。
- アプローチ(対策): 根菜類や発酵食品など「体を温める食材(陽の食材)」を取り入れた食事ケアや簡単薬膳レシピ(養生)と、お一人おひとりの体質に合わせたオーダーメイドの煎じ薬を通じて、冬の寒さに負けない「自ら熱を生み出す体の土台づくり」をサポートします。
- 今後のステップ(根本ケア): 一時的にカイロや厚着で外から温める対症療法だけでなく、「いくら温めてもすぐ冷える」「胃腸が弱く疲れやすい」といった根本的な体質(気虚・血虚など)を見極め、長期的な視点で揺らぎにくい体質と向き合っていきます。
【薬剤師 林の視点】「冷え」が起こるメカニズムと、西洋医学・漢方のアプローチ
こんにちは、薬剤師の林です。
なぜ、いくら外から着込んでも体が冷えてしまうのでしょうか。食事と冷えの関係を知るために、まずは体の中で起きているメカニズムを紐解いてみましょう。
西洋医学の視点:寒さによる自律神経の緊張と血行不良
西洋医学の観点から見ると、冬本番の厳しい寒さにさらされた体は、大切な深部体温(内臓の温度)を逃がさないようにするため、自律神経(交感神経)を緊張させて手足の末端の血管をギュッと収縮させます。
これにより、血流が滞り、温かい血液が手足の先まで行き渡らなくなることで「末端の冷え」が生じます。
また、運動不足による筋肉量の低下や、冷たい飲食による胃腸の冷えが重なると、体全体の基礎代謝(熱を作り出す力)が落ちてしまいます。病院では、血流を促すビタミンE製剤や血行改善薬などが処方されることがありますが、日常生活の中で「自ら熱を作り出せる体」を保つことが基本となります。
漢方の視点:胃腸は「体という部屋を暖めるボイラー」
漢方では、私たちの体を動かすエネルギー(気)や栄養(血)は、すべて胃腸(脾:ひ)で毎日の食事から作られると考えます。
つまり、胃腸はいわば「体という部屋を暖めるボイラー」のようなものです。
ここに氷水のような冷たい飲み物や、体を冷やす性質の食べ物を入れ続けると、ボイラーの火が弱まってしまい、結果として手足の先まで温かい熱が届かなくなってしまいます。
冷えの悩みを和らげるためには、まずこの「ボイラー(胃腸)」を温め、熱を生み出す力を内側から取り戻すアプローチ(温補脾陽:おんぽひようなどの考え方)が最優先となります。漢方では、お一人おひとりの冷えのタイプを見極め、このボイラーの火力を優しく底上げするサポートを行っていきます。
【薬剤師 椙田の視点】内側から整える、冷え対策の食事と生活養生
薬剤師の椙田です。
冷えから体を守るためには、「毎日の食事の選び方」がとても重要になります。スーパーで買える身近な食材を使った、無理のない養生のコツをご紹介します。
スーパーで買える!体を温める「陽の食材」リスト
漢方(薬膳)では、すべての食材は体を温める性質を持つ「陽(よう)の食材」と、冷やす性質を持つ「陰(いん)の食材」に分けられます。冷えが気になる方は、お買い物や外食の際に「陽」の食材を選ぶクセをつけてみましょう。
- 1. 土の中で育つ「根菜類」: ニンジン、ゴボウ、レンコン、山芋、カボチャなど。地面の下でじっくり育つ野菜は水分が少なく、ビタミンやミネラルが凝縮されています。冬の食卓に並ぶ豚汁や煮物が体を芯から温めてくれるのは、この根菜たちのおかげです。
- 2. 発酵食品と赤いお肉: 味噌、納豆、キムチ、チーズなどの発酵食品は、酵素の働きで体を内側から活発にしてくれます。また、お肉を選ぶなら、脂肪分の多いものよりも、熱を作る筋肉の材料になる「赤身のお肉(ラム肉や鶏肉など)」がおすすめです。
- 【見分け方のコツ】 色が「赤・黒・橙」などの濃い暖色系の食材や、寒い地域・冬に旬を迎える食材は体を温め、「青・白・緑」の食材や、南国育ち・夏が旬の食材は体を冷やす傾向にあります。
実は逆効果? 冷え性さんが注意したい食事習慣
「体に良さそう」と思って続けている習慣が、実はボイラーの火を弱めていることがあります。
- 朝一番の「生野菜サラダ」と「スムージー」: ビタミン補給に人気ですが、生のレタスや南国のフルーツは強力な「陰の食材」です。体温が最も低い朝にこれらを摂ると、一日中体温が上がりにくくなります。→ 【対策】 温野菜や蒸し野菜、温かいスープに置き換えましょう。
- 白砂糖たっぷりのスイーツ: 精製された白砂糖は、血糖値を急上昇させた後、急降下する際に体温も一緒に奪ってしまいます。→ 【対策】 甘みが欲しい時は、精製されていない「黒砂糖」や「てんさい糖」、「ハチミツ」を選ぶのがコツです。
忙しくても5分で完成!太陽堂流・簡単「薬膳」レシピ
特別な生薬は必要ありません。いつもの食材の組み合わせを変えるだけで、立派な「漢方ごはん」になります。
朝のスイッチON!「黒糖生姜紅茶」
- 材料: 紅茶ティーバッグ、すりおろし生姜(チューブでも可)、黒砂糖
- 作り方: 熱い紅茶に生姜と黒砂糖を入れるだけ。
- ポイント: コーヒー派の方も、冬の朝の一杯だけはこれに変えてみてください。発酵茶である紅茶と、温め食材のダブル効果で、お腹の中からポカポカしてきます。
夜のコンビニ飯でもOK!「ネギたっぷり納豆味噌スープ」
- 材料: インスタント味噌汁、納豆、長ネギ(たっぷり)、七味唐辛子
- 作り方: いつものお味噌汁に納豆と刻んだネギを入れ、仕上げに七味を振るだけ。
- ポイント: 「ネギ×味噌×唐辛子」のトリプル温め効果に加え、納豆のタンパク質が熱を作る材料になります。
【比較表】冬の不調を防ぐ!OK・NG行動リスト
| カテゴリ | 〇 おすすめ(体を温め、陽気を育てる食べ方) | × 要注意(胃腸を冷やし、陽気を奪う食べ方) |
| 朝食のメニュー | 具だくさん味噌汁・温野菜サラダ・白湯 (冷えた胃腸のボイラーを優しく温め、一日の熱を作るスイッチを入れる) | 冷たいスムージー・生野菜サラダ・冷蔵庫から出した牛乳 (起き抜けの胃腸が冷え切り、一日中体温が上がらない原因になる) |
| 果物の選び方 | リンゴ・みかんを「常温」で。焼きリンゴも◎ (寒い地方・冬が旬の食材を選び、内臓に冷たい刺激を与えない) | バナナ・パイナップルなど南国フルーツを毎朝食べる (体を冷ます性質が非常に強く、冬の冷えやむくみを長引かせる) |
| 飲み物とお酒 | 紅茶・ほうじ茶・生姜湯・熱燗・赤ワイン (発酵茶や温かいお酒で体の芯から温め、気血の巡りをスムーズに保つ) | コーヒー・緑茶・キンキンに冷えたビールを一晩中飲む (不発酵茶や麦が原料のお酒は体を冷やし、血管を収縮させる) |
| おやつと甘味 | 黒砂糖・てんさい糖・ハチミツなど自然の甘み (血糖値の波を穏やかにし、胃腸を労わりながら満足感を得る) | 白砂糖がたっぷりのケーキやアイスクリーム (精製された砂糖と冷たさのダブルパンチで体を内側から冷やす) |
冬の冷えと食事に関するよくあるご質問(FAQ)
コーヒーが好きでやめられません。冬は絶対に飲んではダメですか?
絶対にダメというわけではありません。「飲み方の工夫」でバランスを取りましょう。
無理にやめてストレスが溜まるのは体にも良くありません。漢方では「絶対禁止」よりも「バランス」を重視します。コーヒー(陰の飲み物)を飲む際は、「必ずホットで飲む(アイスは避ける)」「シナモンパウダーを振る(強力な温め食材です)」「体を温める発酵食品(チーズなど)と一緒に楽しむ」といった工夫を取り入れてみてください。
お酒を飲むと体が熱くなりますが、冷え性に良いですか?
お酒の種類によります。冷やして飲むお酒や麦が原料のものは注意が必要です。
ビールやハイボール、白ワインなどは、飲んだ直後は一時的に体が熱くなっても、その後急激に体を冷やしてしまいます。冬におすすめなのは、お米やブドウから作られ、常温や温めて飲む「日本酒(熱燗)」や「赤ワイン」、「紹興酒」です。これらは適量であれば、血の巡りを優しく助けてくれます。
「生姜」は生で食べるのと加熱するのと、どちらが良いですか?
冷え対策の土台づくりには、「加熱」または「乾燥」させた生姜がおすすめです。
生の生姜に含まれる成分(ジンゲロール)は、体の表面を温めて発汗を促すため、結果的に体の深部の熱を外へ逃がしてしまうことがあります。加熱や乾燥をさせると成分が変化し(ショウガオール)、体の芯(胃腸)から熱を作り出す働きが強くなります。お味噌汁に入れたり、炒め物や温かい紅茶に使うのがベストな取り入れ方です。
病院に行く目安や、西洋薬(病院の薬)と漢方薬の併用は可能ですか?
「片足だけ異常に冷たい」「しびれや痛みがある」場合は、まず医療機関をご受診ください。また、お薬の併用は原則として可能です。
ただの冷えだと思っていても、動脈硬化や神経の疾患、甲状腺の不調などが隠れている場合があります。不安な症状がある場合は、まず内科や整形外科などで西洋医学的な検査を受けてください。
検査で「異常なし」と言われた場合や、根本的な体質ケアをご希望の場合は漢方の出番です。病院の処方薬を服用中の方でも、飲み合わせを確認した上で漢方薬を併用していただくことは可能ですので、お気軽にご相談ください。
まとめ:冬の食養生は「我慢」ではなく、美味しく置き換えること
「冷えが辛いからといって、好きな食べ物を我慢するのはストレスになる…」
そう身構える必要はありません。冷え対策の食養生の基本は、好きなものをやめることではなく、「どちらを食べたら体が喜ぶかな?」と自分の体に問いかけながら、温かい形に置き換えていくことです。
生野菜を温かいスープに。白砂糖を黒砂糖に。コーヒーを時には生姜紅茶に。
これらを少し意識して選ぶだけで、あなたの「胃腸のボイラー」はしっかりと火力を取り戻し、手足の先まで温かい熱を届ける体の土台が出来上がっていきます。
「食事には気をつけているのに、手足の氷のような冷たさがどうしても抜けない」「食べているのに、すぐにお腹を下してだるくなってしまう」という方は、熱を作り運ぶ力(陽気)そのものが根本から不足しているタイミングかもしれません。
ぜひ太陽堂までお気軽にご相談ください。専門の薬剤師が、あなたの体質に寄り添い、無理なく続けられる養生プランと漢方をご提案いたします。
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ご相談の多い疾患・お問い合わせ
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
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そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
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記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。
記事作成者 薬剤師 椙田 彩純

担当疾患;循環器、身体の痛み
臨床検査技師の両親の影響で、幼い頃から医療に関心を持つ。
大学卒業後、病院薬剤師として勤務。
対症療法が中心の現場で、繰り返す入退院や長期投薬を目の当たりにし、「もっと力になれる方法はないか」と模索する中で漢方と出会う。
現在は漢方の持つ幅広さと可能性に魅了され、一人ひとりの体質に寄り添った根本改善を追求している。











