
「何度も尿検査を受けても『菌はいませんね』と言われるのに、膀胱の激しい痛みと頻尿がずっと続いている」
「抗生物質を飲んでも全く効かない。普通の膀胱炎を何度も繰り返して、とうとう『間質性膀胱炎』と診断された」
「病院でジムソ(膀胱内注入)や膀胱水圧拡張術を受けて一度は落ち着いたのに、またあの痛みが再発してしまった……」
間質性膀胱炎のご相談で太陽堂に来られる方の多くは、まさにこの「行き止まり」の経緯をたどって来られます。
最初は菌感染を伴う普通の膀胱炎だったのが、そのうち「菌がいないのに痛い膀胱炎」を繰り返すようになり、最終的に「間質性膀胱炎」と診断される。治療を受けてしばらくは落ち着いてもまた再発する、もしくは強いお薬を飲んでも効果を感じられない——。
今回は、店頭のご相談から見えてきた間質性膀胱炎の辛い実像と、「血流・症状の鎮静・自律神経」という3本柱で膀胱の環境を根本から立て直す漢方の考え方を、長年の痛みが落ち着いていった実例とともに、薬剤師の視点から詳しく解説いたします。
【この記事の結論:「菌はいないのに膀胱が痛い」に対する漢方の考え方】
- 痛みの正体(原因): 西洋医学では膀胱の粘膜のバリア機能が壊れて尿がしみ込み炎症を起こす状態とされますが、漢方では骨盤内の「血流障害(瘀血)」と、ストレスによる「自律神経の過度な乱れ(気滞)」が膀胱を過敏にし、炎症を慢性化させていると考えます。
- 漢方の解決策: 西洋薬(抗生物質など)では治らないため、漢方で①血流を整える ②痛み・頻尿・出血などの症状を鎮める ③自律神経を整える——この3本柱で、膀胱がいじめられ続けている「環境そのもの」に向き合い、粘膜の再生を後押しします。
- 対象となる主な疾患・お悩み: 間質性膀胱炎(ハンナ型・非ハンナ型)、膀胱痛症候群、非細菌性膀胱炎、菌がいないのに排尿痛や残尿感がある方、ジムソや水圧拡張術後に再発した方、抗生物質が効かない方
「菌がいない膀胱炎」を繰り返す——ご相談の典型的な経緯
普通の膀胱炎(急性細菌性膀胱炎)は、大腸菌などの細菌が原因で起こるため、病院で処方される抗生物質を飲んで菌を退治すれば、数日でスパッと治まります。
ところが間質性膀胱炎は、「膀胱の中に菌がいない」のに、膀胱の内側の壁(粘膜)が傷ついてバリア機能が壊れ、そこに尿がしみ込んで激しい炎症や痛み・頻尿がずっと続いてしまう状態です。
抗生物質を飲んでも全く効かないのは、そもそもあなたの今の敵は「菌ではないから」です。
太陽堂の店頭で伺う患者さまの経緯は、驚くほど共通しています。
- 最初は「疲れが溜まると普通の膀胱炎になる」という繰り返しだった。
- そのうち、病院の尿検査で「菌はいません」と言われるのに、排尿痛や下腹部の痛み・頻尿が続くようになる。
- 泌尿器科で精密検査(膀胱鏡検査など)を受けた結果、「間質性膀胱炎」と診断される。
- ジムソ(膀胱内注入療法)や膀胱水圧拡張術という手術を受け、しばらくは症状が落ち着く。
- しかし、しばらくしてまた再発する。もしくは、お薬(アイピーディーやリリカ等)を飲んでも効果を感じられない。
この「再発」の段階で、「もう打つ手がないのではないか」と不安を抱えてご相談に来られる方が大半です。ただ、身体の『体質の側』からできるアプローチは、まだ残っています。
【薬剤師コラム①】タイプによって、漢方の組み立ては変わります
担当薬剤師:前原
間質性膀胱炎には、大きく分けて2つのタイプがあることをご存知でしょうか。膀胱鏡検査をした際に、膀胱の内側に炎症の強い特徴的な病変(ハンナ病変)ができるタイプ(ハンナ型)と、検査では病変がはっきりしないタイプ(非ハンナ型・膀胱痛症候群と呼ばれます)の2つです。
太陽堂での漢方の組み立ても、患者さまがどちらのタイプかによって明確に方向性を変えます。
- ハンナ型(出血や強い炎症を伴いやすいタイプ): 膀胱粘膜の物理的な損傷と出血が激しいため、まずは止血(血熱を冷ます)と消炎の働きを持つ漢方薬をメインに据えて、痛みの鎮静を最優先に組み立てます。
- 非ハンナ型(炎症や出血が基本的にないタイプ): 痛覚の過敏さや自律神経の乱れが原因となっていることが多いため、痛みや頻尿などの「知覚的な症状の鎮静」と「自律神経のケア」を中心に考えます。
ご自身がどちらのタイプなのかは、病院での内視鏡検査の結果が一番の手がかりになります。お薬手帳とあわせて、診断名や検査結果が分かる紙をお持ちいただけると、漢方薬の組み立ての精度が格段に上がりますので、ご相談の際はぜひ私たちにお知らせください。
【比較表】西洋医学(病院)と漢方薬(太陽堂)のアプローチの違い
| 比較項目 | 西洋医学(病院のアプローチ) | 漢方薬(太陽堂の体質ケア) |
| 主な目的 | 膀胱内の病変を物理的に焼灼・拡張する等の直接的な治療 | 膀胱が敏感になっている体質(血流・自律神経)の環境立て直し |
| 得意なこと | 正確な診断(ハンナ型の判定)、病変への強力な直接的処置 | 治療後に「再発を繰り返す」背景の土台への根本アプローチ |
| 代表的な手段 | ジムソ(膀胱内注入)、膀胱水圧拡張術、内服薬(アイピーディー等) | 血流を整える漢方薬、症状(痛み・頻尿)を鎮める漢方薬 |
| 気になる点 | 治療(水圧拡張など)の後に再発するケースがある | 体質からの変化のため、効果の実感までに目安3ヶ月と時間がかかる |
| 両者の関係性 | 確定診断と、病変への「治療の軸」 | 繰り返しにくい体をつくる「土台の軸」——併用も可能です |
漢方から見た間質性膀胱炎——「3本柱」の組み立て
太陽堂では、間質性膀胱炎に対して以下の「3本柱」を基本に、患者さまお一人おひとりの症状に合わせてオーダーメイドで漢方を調合します。
軸① 血流を整える(活血化瘀:かっけつかお)
- 狙い: 膀胱の壁がバリア機能を失って敏感になり、炎症が長引く最大の背景には、骨盤内の「血流の慢性的な滞り(瘀血)」があると考えます。血流をサラサラに整えて、傷ついた膀胱の粘膜に栄養を届け、立ち直りやすい(修復されやすい)環境を作るのが第一の柱です。
軸② 痛み・頻尿・出血などの症状を鎮める(清熱・止痛)
- 狙い: 今ある辛い症状を放置して体質改善はできません。膀胱の炎症を冷ます漢方薬を用いて、痛みや頻尿、出血などをまずは鎮めていくアプローチを、血流の改善と同時に組み合わせていきます。後述する実例でも、この「痛みの鎮静」が初期の中心となっています。
軸③ 自律神経を整える(疏肝理気:そかんりき)
- 狙い: 「自律神経と膀胱の働きは極めて相関性が高い」——これは私たちが店頭で一貫してお伝えしていることです。強いストレスがかかった時や、睡眠不足が続いた時に痛みが激しく揺れる(再発する)方は非常に多いです。自律神経の過緊張を優しく整えることが、結果として膀胱の過敏さを和らげ、再発のしにくさに直結します。
【薬剤師コラム②】食べ物との「相性」を必ず見つけてください
担当薬剤師:石川
間質性膀胱炎のご相談で、私たちが患者さまに生活面で『必ず』お伝えしている非常に重要なお願いがあります。それは、「ご自身の症状を悪化させる『食べ物・飲み物との相性(NG食材)』を観察して見つけましょう」ということです。
間質性膀胱炎の方では、合わない飲食物を摂った後に症状が悪化する方が少なくありません。
- 店頭でお伝えしている観察対象: アルコール・刺激物(香辛料など)・油物・乳製品。摂取後に調子が悪くなるなど「合わないもの」がないか観察してみてください。
摂った後に「膀胱の調子が悪くなる」という、自分に合わないものがある場合は、それを避けていただくだけでも膀胱への負担は減ります。全員が同じもので痛くなるわけではないので、何を食べたか記録をつけて「ご自身の身体との相性」を客観的に観察するのが最大のコツです。
そしてもう一つが、「ストレスと睡眠不足の徹底的な解消」です。先ほどもお話しした通り、自律神経と膀胱は連動しています。「膀胱のために、とにかく夜はよく眠る」——これは遠回りに見えて、大切な養生(セルフケア)なのですよ。
【改善実例】長年の痛みが落ち着いていったエピソード
①【膀胱の激痛・病院薬でも悪化】70代 女性|1ヶ月で激痛がほとんどなくなり、1年6ヶ月で服用終了
【ご相談時の状態】 7年ほど前に症状が気になり、病院で「間質性膀胱炎(ハンナ型)」と診断された方です。病院のお薬(アイピーディー、カルバゾクロム、リリカなど)を飲んでも症状がひどくなってきたため、ご相談に来られました。膀胱の激痛が気になり、特に排尿時の痛みがひどく、排尿後も痛みが続いているとのことでした。
【太陽堂の提案】 ①粘膜の炎症を取る漢方薬 ②尿を調節する漢方薬 の2種類を組み合わせてお出ししました。
- 1ヶ月後: 激痛はほとんどなくなり、だいぶ楽になっているとのこと。排尿後の痛みも減り、生活が楽になったとのことでした。
- 3〜8ヶ月後: 痛みが全く出ない日も増え、寒くなっても良い状態を維持できているとのこと。
- 1年6ヶ月後: 疲れると痛みが出ることはあるものの調子の良い日が続いているとのことで、服用終了となりました。
②【1日20回近いトイレ・排尿痛】70代 女性|3ヶ月で排尿痛が半分以下に、3年8ヶ月痛みなく安定
【ご相談時の状態】 40年前の妊娠をきっかけに膀胱炎を繰り返すようになり、最近の検査で「間質性膀胱炎」と診断された方です。さまざまな病院薬を服用しても改善が見られず、ご相談に来られました。排尿痛・残尿感・尿意切迫感・頻尿があり、ひどい時は1日20回近くトイレに行くとのことでした。
【太陽堂の提案】 ①膀胱の炎症や痛みを取る漢方薬 ②膀胱の働きを整える漢方薬 をお渡ししました。
- 3〜6ヶ月後: 排尿痛が半分以下になり、頻尿が減ってトイレが気にならない時間帯も増えてきたとのこと。
- 1年3ヶ月〜1年10ヶ月後: お手洗いを気にする回数が減り、漢方量を減らしても調子よく過ごせているとのこと。
- 3年8ヶ月後: 漢方を最小量にして、痛みなく過ごせているとのことでした。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状の改善を保証するものではありません。
▼間質性膀胱炎の改善実例をもっと見る
よくあるご質問(FAQ)
菌がいないのに、なぜ抗生物質が効かないのですか?
間質性膀胱炎は、「細菌感染」が原因ではないからです。
細菌がいないのに、膀胱の壁そのものが敏感になり、炎症や痛みが続いている状態です。菌を抑えるための抗生物質では対応しきれないからこそ、膀胱の環境(血流・粘膜・自律神経)の側から整えるアプローチに意味があるのです。
病院でジムソ注入や水圧拡張術を受けた後に再発しました。漢方は使えますか?
はい。実際、治療後の再発をきっかけに来られる方が多くいらっしゃいます。
病院の治療は局所への処置、漢方は「繰り返す背景(血流・自律神経・体質)」の側から土台を立て直す役割で、アプローチが違います。病院の治療との併用も可能です。
「ハンナ型」と言われました。相談できますか?
はい、ご相談いただけます。出血や炎症を伴いやすいタイプなので、止血・消炎の働きをあわせて組み立てを考えます。
実例①の方もハンナ型の診断を受けた方です。病院の検査結果や診断名が分かるものをお持ちいただけると、より正確に組み立てられます。
食事で気をつけることはありますか?
アルコール・刺激物・油物・乳製品のうち、摂った後に調子が悪くなる「合わないもの」を避けてください。
全員が同じもので悪くなるわけではないので、ご自身の体との相性を観察するのが大切です。あわせてストレス・睡眠不足の解消も、膀胱の安定につながります。
どんな症状が出た時は、すぐに病院に行くべきですか?
著しい血尿・我慢できないほどの強い痛み・熱感がある場合は、まず病院の受診をおすすめします。
他の深刻な病気や急性の細菌感染が隠れている可能性を先に確認することが大切です。そのうえで、続く痛みへの体質からの立て直しは漢方の出番です。
どのくらいの期間で変化を感じられますか?
まずは「3ヶ月」を一区切りの目安として見ていただいております。
実例①のように1ヶ月で変化を感じた方も、実例②のように3ヶ月で排尿痛が半分以下になった方もいらっしゃいますが、個人差があります。長く付き合ってきた症状ほど、焦らずじっくり取り組みましょう。
まとめ:敵は「菌」ではなく、膀胱の「環境」です
「いろいろな治療をしたのにまた再発してしまった。この激しい痛みと、一生付き合っていくしかないのか」
その不安は、一人で抱えるには重すぎます。視点を「菌」から「自分の身体の環境」へと変えれば、まだできることは残されています。
- 菌のいない膀胱炎を繰り返すのが間質性膀胱炎。抗生物質が効かないのは、敵が菌ではないから。
- 漢方薬は「血流改善・症状の鎮静・自律神経の調整」の3本柱で根本にアプローチ。タイプ(ハンナ型等)で組み立てを変える。
- ご自身に合わない飲食物(NG食材)を避け、ストレスと睡眠を徹底的に整える。まずは3ヶ月、じっくりと。
その痛みと頻尿を抱えている方は、どうぞ一人で我慢せずに太陽堂へご相談ください。
症状の出方、これまでの治療の辛い経緯、そして体質を丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、あなたの身体をいたわりながら立て直す漢方ケアをご提案いたします。
【ご相談をご希望の方へ】
間質性膀胱炎に対する具体的な漢方アプローチについては、こちらのページにて詳しく解説しております。全国対応のオンライン相談も承っておりますので、まずはお気軽にお声がけください。
関係性の深い病気;ご相談も多数いただいております。
膀胱に関するさまざまなお悩みについて、以下のページもあわせてご覧ください。
▼過活動膀胱炎(急な尿意・頻尿)
▼放射線性膀胱炎(放射線治療後の血尿・痛み)
▼健診で蛋白尿・血尿を指摘された方へ
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
太陽堂がはじめての方へ
ご相談を考え始めた方は、まずこちらをどうぞ。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。










