
「頭全体に霧がかかったように一日中ボーッとして、考えが全くまとまらない。本や書類を読んでも、文字がただすり抜けるだけで頭に入ってこない……」
「会話の途中で『あの、あれが……』と、知っているはずの言葉がすっと出てこない。仕事で2つ以上のことを同時に進められなくなり、ミスが増えた……」
「病院で検査をしても『何も異常はない、疲れているだけ』と言われた。決して怠けているわけじゃないのに、頭がどうしてもクリアにならない……」
こうした「頭に霧がかかったような状態」は、最近「ブレインフォグ(脳の霧)」と呼ばれるようになりました。これは正式な病名ではなく、症状の呼び名です。
新宿の漢方薬局「太陽堂」の店頭でも、この「頭がボーッとする」「モヤがかかって思考が止まる」というご相談は確かにあり、新型コロナやインフルエンザなどの感染症にかかったあとからずっと続いているという方もいらっしゃいます。
太陽堂では、ブレインフォグを「単なる集中力不足」とは考えず、「思考が止まってしまう、クリアにならない、いろいろなことを考えられない状態」としてとらえ、頭(脳)だけの問題ではなく、「身体全体の余力(エネルギー)」と「血の巡り」の問題として整えていきます。
このページでは、頭にモヤがかかる状態が起きる理由と、漢方薬で晴らしていく考え方、実際の記録を薬剤師の視点からご説明します。
【この記事の結論:「頭にモヤがかかる・ブレインフォグ」に対する漢方の考え方】
- モヤが起こる理由: 脳は、身体の中でもっとも多くのエネルギーと血流を使う場所です。西洋医学の検査では脳に異常は出ませんが、漢方では、過労や強いストレス、睡眠不足、感染症のあとの消耗等によって身体の余力(気血)が減り、脳に新鮮な血と栄養が届かなくなった状態と考えます。
- 漢方の考え方: 栄養ドリンク等で脳を無理に興奮させるのではなく、漢方で①身体の余力を補う(補気健脾) ②自律神経の緊張を優しく整える(理気) ③脳の働きを助ける血流を促す(活血・補血)——という方向で、考える土台を立て直します。
- 対象となる主な疾患・お悩み: ブレインフォグ、頭がボーッとして考えがまとまらない方、集中力が続かず仕事のミスが増えた方、言葉が出てこない方、感染症のあとから頭がスッキリしない方、慢性的な疲れと一緒に頭のモヤがある方、病院の検査で異常なしと言われた方
「頭にモヤがかかる」状態が起きる理由
人間の脳の重さは体重のたった2%ほどしかありませんが、身体全体のエネルギーの「約20%」を消費すると言われています。
つまり、身体全体のエネルギー(余力)が減ったとき、生命を維持するために真っ先に節約されるのが、生きていくのに直接関係ない「考える力」なのです。
太陽堂の店頭でお話を伺うと、頭のモヤの背景には、多くの場合、次のような「エネルギーが減る要因」が重なっています。
- 過労と睡眠不足: 長年働きづめで、常に眠りが浅い。休日も寝だめするだけで回復せず、毎日のバッテリーがゼロのまま出社している。
- 強いストレス・緊張: 人間関係やプレッシャーで自律神経が張り詰め、頭が24時間休まらない。不安な考えが同じところをぐるぐる回り、脳がオーバーヒートを起こしている。
- 感染症のあと: 新型コロナなどの感染症にかかったあと、身体の体力(気)が戻りきらないまま、頭のモヤとだるさだけが長く残っている。
- 胃腸の弱り・栄養不足: 食が細い、胃もたれしやすいなど、そもそもエネルギー(気血)を作り出す工場である胃腸が弱っている。
- もともとの特性: 発達の特性(ASDなど)を持つ方の中に、脳の疲労から思考に霧がかかった状態を訴える方がいらっしゃいます。
まず、病院で確かめておいてほしいこと
頭のモヤの裏に、実は貧血、甲状腺機能低下症、睡眠時無呼吸症候群、うつ病などが隠れていることがあります。まだ一度も受診していない方は、自己判断せず、まずは内科(かかりつけ医)で一般的な血液検査を受けることから始めてください。「異常なしですね」という結果の紙は、私たちが漢方薬を選ぶためのとっても大切な材料になります。
※「急に物忘れが激しく進んだ」「ろれつが回らない」「手足の力が入らない・しびれる」「ハンマーで殴られたような強い頭痛を伴う」——こうした場合は、脳梗塞などの脳の病気の可能性があります。漢方の相談より先に、必ずすぐに医療機関(神経内科・脳神経外科・救急)を受診してください。
漢方の考え方|「考えるためのエネルギー」と「巡り」から整える
漢方医学には、「頭(脳)だけを切り離して診る」という発想がありません。「何も考えられない」「思考が止まる」というお悩みは、東洋医学で見ると、考えるためのエネルギー(気)と、脳に届くはずの栄養(血)が枯渇してしまっているサインとしてとらえます。あなたが怠けているわけではありません。
太陽堂の店頭では、モヤの背景を大きく3つのタイプに分けて、どこから先に整えるかを決めています。
【比較表】あなたのモヤはどれ? 3つのタイプと漢方アプローチ
| モヤのタイプ | あなたの主な症状・体質 | 太陽堂の漢方アプローチ(働き) |
| ①エネルギー不足タイプ (気・血の不足) | 疲れやすく、夕方になると電池が切れてモヤが濃くなる。顔色が悪い、立ちくらみ。長く働きづめ、または感染症のあと。 | 【身体の余力を補い、脳に栄養を届ける漢方薬】 胃腸の働きを助けてエネルギーを作れる身体にし、脳に新鮮な血と栄養を運ぶ巡りを促します。 |
| ②自律神経・緊張タイプ (気の巡りの滞り) | ストレスが強く、頭が常に休まらない。眠りが浅い。不安な考えが同じところを回る。動悸・胃の張りを伴う。 | 【自律神経を整え、頭の緊張をほどく漢方薬】 張り詰めた交感神経を優しくゆるめ、眠りを深くして、オーバーヒートした脳を休ませます。 |
| ③水の停滞タイプ (頭が重く、水毒) | 頭全体が重い、雨の日や湿気の多い日にモヤがひどくなる。めまい(ふわふわ)、むくみ、胃もたれ。 | 【余分な水をさばき、胃腸を整える漢方薬】 頭に停滞した余分な水(水毒)を流し、頭をスッキリさせます。 |
※実際の患者さまでは、複数のタイプが混ざっている方も少なくありません。ご自身でどれか分からなくても全く大丈夫です。お話を丁寧に伺いながら、私たちのほうで整理します。
【薬剤師コラム①】「頭」ではなく「身体の余力」から見る理由
担当薬剤師:前原
「最近、頭がボーッとして仕事にならないんです」というご相談で、私が一番最初に伺うのは、実は「頭」のことではありません。
「夜はぐっすり眠れていますか?」「ご飯は美味しく食べられていますか?」「身体の疲れは一日のどの時間帯に一番強く出ますか?」という、身体の土台についての質問です。
なぜなら、頭のモヤは、身体全体の余力(バッテリー)が減ったときに「命に関わらないから最初に節約される場所」として出ているだけで、原因はたいてい頭(脳)の外にあるからです。
眠りが浅ければ脳の疲労は取れませんし、胃腸が弱って食べられていなければ脳に届けるエネルギーがそもそも作られません。
太陽堂では、「ただ頭をシャキッとさせる薬」を出すのではなく、自律神経を整える漢方薬と、脳に栄養と血流を送り込む漢方薬を組み合わせてご提案することが多くあります。実際に、店頭では「身体の疲れが取れてきたら、少しずつ頭のモヤが取れてクリアになってきた」とおっしゃる方もいらっしゃいます。
「自分の気合いが足りないからだ」「最近集中力がないダメな人間だ」と自分を責めている方ほど、身体の余力がゼロに近いところで気合いだけで踏ん張っています。自分をいじめるのはやめて、まずは身体のほうから休ませてあげてください。
【実際の記録】頭のモヤが、漢方で少しずつ晴れていった2つのケース
太陽堂に実際にご相談いただいた方の記録から、2つのケースをご紹介します。(※効果の感じ方には個人差があります)
ケース①:30代男性|「思考と行動がついてこない」——考えようとすると頭にモヤがかかる
【ご相談時の状態】 数年前から自分の思考と行動がどうしてもついてこないことで悩み、病院を受診したところ、ASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群)と診断されました。特別な治療方法はないと言われ、漢方薬で少しでも改善できればとご相談に来られました。何か物事を考えようとすると頭にモヤがかかる、いわゆるブレインフォグの状態を訴えていらっしゃいました。
【太陽堂の提案】 ①自律神経を整える漢方薬 ②脳の働きを活性化する漢方薬 の2種類をお渡ししました。
- 経過: 服用開始から1ヶ月で、「少しずつ頭のモヤが取れてきている」とのことでした。(経過の続きは、アスペルガー症候群のページでご紹介しています。)
ケース②:40代女性|規則正しい生活でも残る疲労感と、「脳の疲れ(物事を考えられなくなる)」
【ご相談時の状態】 2〜3年前から、睡眠など規則正しい生活をしても疲労感が残るようになり、「脳の疲れ(頭がボーッとして物事を考えられなくなる)」、就寝時の足のつり、生理前の頭痛、むくみが気になるとのことでご相談に来られました。
【太陽堂の提案】 エネルギーと栄養の不足(気血両虚)と自律神経の緊張ととらえ、①活力を与えエネルギーを作る煎じ薬 ②血流を整え栄養を運ぶ煎じ薬 ③自律神経の緊張を緩める煎じ薬 の3種類を組み合わせてお渡ししました。
- 経過: 1ヶ月で足のつりが減ってむくみが取れ、2ヶ月で疲労感が少なくなって朝早く起きられるように。4ヶ月で一番辛かった「脳の疲れ」がだいぶ軽くなり、胃腸の状態も良く元気に過ごせているとのことで、漢方薬は服用終了となりました。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状の改善を保証するものではありません。
3ヶ月で何を目安に見るか
漢方薬は飲んで30分で頭が冴え渡るような「魔法の薬」ではありません。太陽堂では「まず3ヶ月」を一つの単位として、次の変化を患者さまと一緒に確認しながら進めます。
- モヤが晴れている時間帯(「午前中だけでも頭がクリアな時間が増えたか」「夕方まで持つようになったか」)
- 眠りの変化(寝つきが良くなった、夜中に目が覚める回数が減った、朝起きた時の頭の重さが違う)
- 読む・話すの感覚(「文章が頭にすっと入るようになった」「会話で言葉がスムーズに出る場面が増えたか」)
- 食欲と胃腸の調子(朝食が美味しく食べられるようになったか)
- 身体全体の疲れ(夕方の電池切れが遅くなった、休日に寝だめしなくても回復するようになった)
頭のモヤは、たいてい「身体の疲れ」や「眠りの質」が一番先に変わり、そのあとから徐々に晴れてきます。「モヤが完全に消えたか」ではなく、「頭がクリアに動く時間帯が、一日のうちどれだけ増えたか」を物差しにしてください。
自宅でできるセルフケア・養生
漢方薬の服用と同時に、以下の養生を少しでも取り入れることで、脳のエネルギーの回復が早まります。
- 「考える仕事」を午前中に寄せる: 身体の余力が減っているときは、夕方や夜に集中力を求めないでください(ミスが増えます)。重要な判断は午前中にまとめ、午後は手を動かすだけの単純作業に割り振ってください。
- 寝る1時間前のスマホをやめる: ブルーライトと情報のシャワーは、脳を興奮させます。脳が休む時間を意図的に確保し、シャワーで済ませず湯船に浸かると、頭に上った熱と緊張が下がりやすくなります。
- 朝食を温かいものにする: 脳のエネルギーは胃腸で作られます。冷たいスムージーや朝食抜きは、午前中のモヤをさらに濃くします。温かいご飯とお味噌汁が一番の養生です。
- 1日15分、外を歩く: ジムでの激しい運動は不要(かえって疲れます)です。太陽の光を浴びて外を少し歩くだけで、脳への血流が促され、自律神経の体内時計がリセットされやすくなります。
【薬剤師コラム②】「思考停止」は怠けではなく、身体からのサインです
担当薬剤師:石川
頭のモヤを訴える患者さまの多くは、「最近の自分がだらしなくなった」「集中力がなくなったダメな人間だ」と、ご自身を深く責めています。「仕事のミスが増えて、周りの人に迷惑をかけて申し訳ない」と泣き出してしまう方もいらっしゃいます。
でも、東洋医学の見方では、「何も考えられない」「思考が止まる」というのは、考えるためのエネルギー(気)と栄養(血)を使い切ってしまった身体からの、はっきりとしたサインです。
車のガソリンが空っぽの状態で「もっと走れ、気合いで考えろ!」と自分にアクセルを踏み続けても、エンジン(頭)は動きません。
感染症のあとから続いている方も、何年もの過労の末に出てきた方も、整えていく順番は同じです。
まずは「脳を動かす燃料と血」を身体に戻すこと。眠りと胃腸を整え、脳に栄養を届ける血流の道を作る。順番はそれだけなのです。
気分の落ち込みや意欲の低下が一緒に強くある方は、気分変調症のページも参考になります。どこから手をつければいいか分からない方は、無理に言葉をまとめようとせず、モヤがかかったままの状態で、私たちにそのままお話しください。
よくあるご質問(FAQ)
新型コロナなどの感染症にかかったあとから頭のモヤが続いています。相談できますか?
はい。感染症のあとの頭のモヤのご相談も、店頭でお受けしています。
まずは、後遺症外来や内科で検査を受け、病院での治療と並行して進めてください。漢方では、感染で消耗した身体の余力(気・陰)を補い、脳に栄養を届ける巡りを整える方向でご提案します。だるさが中心の方は、感染症のあとの倦怠感の記事もあわせてご覧ください。
発達障害(ASD・ADHD)と診断されています。漢方薬は使えますか?
はい。診断のある方の頭のモヤ(脳の疲労)のご相談も、店頭でお受けしています。
漢方薬で発達障害の特性そのものを変えるのではなく、ストレスによる自律神経の緊張を優しく整え、脳の働きを助ける血流を促す方向で、日々の「考えにくさ・疲れやすさ」を少しでも軽くしていくことを目指します。病院のお薬を飲んでいる方は、飲み合わせを確認しますので、必ずお薬手帳をお持ちください。
何科に行けばいいですか?
まずはお近くの内科で一般的な血液検査を受けてください。
貧血・甲状腺機能低下症・睡眠時無呼吸症候群などが隠れていないかを医学的に確認するためです。物忘れが急激に進む、ろれつが回らない、手足のしびれや麻痺がある場合は、すぐに神経内科・脳神経外科へ。気分の落ち込みが強く続く場合は心療内科も選択肢です。「異常なし」なら、その結果をお持ちのうえで私たちにご相談ください。
どのくらいの期間で変化を感じられますか?
まず「3ヶ月」を一つの単位として、クリアな時間帯・眠りの深さ・身体の疲れを一緒に確認します(※個人差があります)。
1ヶ月ほどで「少しモヤが薄くなった気がする」と感じる方もいれば、身体の重だるさや胃腸が先に変わってから、最後に頭が晴れてくる方もいます。何年も続いた長い過労のあとの方は、半年単位でじっくりと腰を据えて余力を戻していく必要があります。
費用はどのくらいかかりますか?
漢方薬の費用は、週5,000円前後〜(月2万円前後〜)が目安です。相談料は無料です。
モヤのタイプや組み合わせる漢方薬の種類によって金額が変わりますので、お作りする前に必ず金額をお伝えします。ご相談時にご予算のご希望も含めて率直にお伝えください。
まとめ|頭のモヤは、「身体の余力」と「巡り」から晴らす
「怠けているわけじゃないのに、頭がどうしてもクリアにならない」
- 頭のモヤ(ブレインフォグ)は、身体の余力が底をついたときに「考える力」から真っ先に節約されている状態です。頭だけを何とかしようとせず、脳を動かすエネルギーと血流を、身体の土台から戻していきます。
- 「思考が止まる」は、考えるためのエネルギー(気・血)を使い切った身体からのサインです。自分を責めるより、まず身体を休ませて整えることが先です。
- まず内科で血液検査を。隠れた病気がないと分かれば、自律神経・身体の余力・巡りのどこを整えるかに集中できます。
仕事のミスや、言葉が出てこないもどかしさを、自分を責めながら一人で抱え込まないでください。
あなたの毎日の眠りの深さ、食事、身体の疲れの出方、そしてモヤが一番濃くなる時間帯を丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、新宿の漢方薬局「太陽堂」があなたのタイプに合った漢方ケアをご提案いたします。
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太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
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(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
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実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
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得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。














