
「仕事が立て込むと、気づけば無意識に机の引き出しのチョコレートに手が伸びている。夕方のコンビニやスーパーで、必ず甘いお菓子を一つ買ってしまう……」
「今日こそはやめようと決めても、イライラした夜や疲れた週末にはどうしても我慢できない。食べたあとに『あぁ、また負けた、自分はなんてダメなんだ』と深く自分を責めてしまう……」
「会社の健診で血糖値や体重を指摘されているのに、甘いものだけがどうしてもやめられない。私の意志が弱いのだろうか……」
新宿の漢方薬局「太陽堂」の店頭やオンライン相談では、「甘いものがやめられない」というご相談を、はっきりとした病名がつく前の段階の深い悩みとして本当によく伺います。そして店頭でお話を伺うと、その多くに共通しているのが「ストレスと過労」です。
太陽堂では、甘いものがやめられない状態を「あなたの意志の弱さや怠け」とは考えません。
「長年のストレスと過労で気(エネルギー)が消耗し、身体が『手っ取り早く補える糖分』を求めている状態」としてとらえています。これは脳と身体からの『要求』なので、意志の力や気合いだけで我慢して押さえ込もうとしても、なかなか続かないのです。
このページでは、ストレスで甘いものに手が伸びる理由と、漢方薬で身体の土台から立て直す考え方、そして「無理な我慢」ではない減らし方を、薬剤師の視点からご説明します。
(※「冬になると甘いものが止まらない・眠くて仕方ない」という冬限定(季節性)の方は、冬季うつの記事で別にまとめています。このページは季節を問わず、一年中ストレスで甘いものに向かう方の話です。)
【この記事の結論:「甘いものがやめられない」に対する漢方の考え方】
- やめられない理由: ストレスが続くと、身体は緊張を保つために気(エネルギー)を使い続けます。減った分を一番早く補えるのが糖分なので、脳が甘いものを要求します。①ストレスで自律神経が張り詰め、その反動で「ほっとしたい」と手が伸びる(自律神経型・一番多い) ②気が消耗して糖分で埋めている(疲れ型) ③胃腸が弱く、食事から十分なエネルギーが作れていない(胃腸型)——のどれかが土台にあります。店頭では「ストレスによる過食」、つまり自律神経の話としてとらえることがほとんどです。
- 漢方の考え方: 甘いものを根性で「禁止(我慢)」するのではなく、太陽堂では要求の元になっている「ストレスによる自律神経の緊張」と「気の消耗」を整えます。気の巡りを整えて緊張をゆるめる漢方薬、気を補う漢方薬を組み合わせ、あわせて「我慢しないで済む養生」を一緒に見つけます。
- 対象となる主な疾患・お悩み: ストレスがかかると甘いものが増える方、夕方や夜に甘いものが止まらない方、やめようとして繰り返し挫折している方、健診で血糖値(HbA1c)や体重・脂肪肝を指摘されているのに減らせない方
「甘いものがやめられない」が起きる理由
甘いお菓子に無意識に手が伸びるとき、あなたの頭の中では「食べたい・美味しい」という気持ちより先に、「糖分を入れたい」という身体からの要求が起きています。
仕事のプレッシャー、人間関係の悩み、終わらない家事。ストレスがかかっている間、身体は戦闘モード(交感神経)の緊張を保つために、エネルギー(気)を使い続けます。それが何時間も、何ヶ月も続くと、身体のエネルギーの残量(バッテリー)が減り、脳は「一番手っ取り早くエネルギーを補給できるもの」を要求します。それが『糖分』です。
だから、忙しい日の夕方、張り詰めた緊張が解けた夜、クタクタに疲れた週末に、甘いものが無性に欲しくなるのです。
店頭でお話を伺うと、甘いものがやめられない方の土台は次の3つに分かれます。
- ストレスによる過食(自律神経型): 夜、仕事が終わって家に帰り、ホッとした瞬間にタガが外れて止まらなくなる。イライラした日ほど増える。「今日頑張ったご褒美だ」と食べているが、食べたあとで自分を責める。太陽堂の店頭で一番多いのがこのタイプです。
- 気が消耗している(疲れ型): 夕方になると甘いものが欲しくなる。チョコレートを食べると一瞬シャキッと元気になるが、すぐにまた落ちてダルくなる。夕方に電池が切れる方、寝ても疲れが取れない方に多いです。
- 胃腸が弱い(胃腸型): 普段の食事(ご飯やおかず)の量は少ないのに、なぜかケーキなど甘いものは別腹で入る。食後に眠くなる、胃もたれしやすい。食事から十分なエネルギーが作れず、その足りない分を甘いもので埋めています。
「やめられない」のは、あなたが怠け者で意志が弱いからではなく、「身体の要求が、意志の力より強い状態だから」です。要求の元(自律神経の緊張と気の消耗)が減れば、歯を食いしばって我慢しなくても、自然と手が伸びる回数は減っていきます。
まず、病院の検査は受けておいてください
甘いものが急に止まらなくなった裏に、血糖の乱れ(糖尿病やその一歩手前)、甲状腺機能の異常、うつ病、女性では重い生理前の症状(PMS・PMDD)が隠れていることがあります。
太陽堂ではご相談の際に、「一度、内科で一般的な血液検査は受けておいてくださいね。もし異常が無ければ無いで、それも漢方薬を選ぶための『とっても大切な材料』になりますから」とお伝えしています。
※健診で血糖値やHbA1cを指摘されている方は、まず内科で数値の確認を(※糖尿病予備軍の記事もご覧ください)/「異常にのどが渇く・尿の量が急に増えた・食べているのに体重が急に減った」場合は内科をすぐに/「甘いものを大量に食べたあとに吐いてしまう」「食べることに罪悪感が強すぎて食事の量を極端に減らしている」場合は摂食障害の可能性があります(心療内科へ)——こうした場合は、漢方の相談より先に、必ず該当する科をすぐに受診してください。
漢方の考え方|「禁止」ではなく「要求の元」を減らす
太陽堂では、患者さまの疲れを「肝臓の負担」「体力の低下」「自律神経の乱れ」の3つに大きく分けて考えています。甘いものがやめられない方は、このうち「自律神経の乱れ」が中心です。ストレスによる過食、というのが店頭での実感で、そこに「体力の低下(気の消耗)」が重なります。
私たちが漢方薬で目指すのは、「甘いものをずっと我慢できる強い意志」を作ることではありません。「身体がそもそも甘いものを要求しなくて済むように、張り詰めた自律神経の緊張を優しくゆるめ、消耗した気(エネルギー)を補うこと」です。要求が減れば、我慢は要らなくなります。
【比較表】あなたはどれ? 3つのタイプと漢方アプローチ
| タイプ | 甘いものが欲しくなる場面・体質 | 太陽堂の漢方アプローチ(働き) |
| ①自律神経型 (ストレスによる過食) ※一番多い | 夜、ホッとした瞬間に止まらない。イライラした日ほど増える。ため息が多い、首肩がこる、眠りが浅い。 | 【自律神経の緊張をゆるめ、気の巡りを整える漢方薬】 張り詰めた自律神経をほぐし、甘いものの「ご褒美」で無理やり緩める必要をなくします。 |
| ②疲れ型 (気の消耗) | 夕方(15〜16時)に欲しくなる。食べると一瞬元気になり、すぐ落ちる。夕方の電池切れ、寝ても疲れが取れない。 | 【胃腸を助け、気(エネルギー)を補う漢方薬】 糖分で埋めていた分を身体の中から作れるようにし、夕方の要求を減らします。 |
| ③胃腸型 (エネルギーが作れない) | 食事は少ないのに甘いものは入る。食後に眠い、胃もたれ、朝食が入らない。 | 【胃腸の消化吸収の働きを整える漢方薬】 毎日の食事からエネルギーを作れる身体にし、甘いもので隙間を埋める必要をなくします。 |
※実際の患者さまでは、複数のタイプが混ざっている方も少なくありません。ご自身でどれか分からなくても全く大丈夫です。「いつ、どんなときに欲しくなるか」を丁寧に伺いながら、私たちのほうで整理します。
【薬剤師コラム①】「何時に欲しくなりますか」と最初に聞く理由
担当薬剤師:前原
「先生、甘いものがどうしてもやめられなくて困っているんです」というご相談で、私が一番最初に伺うのは「一日のうち、何時ごろに一番甘いものが欲しくなりますか?」ということです。
「夕方4時ごろですね」と答える方は、気が消耗してバッテリーが切れかけているサイン。「夜、家に帰ってご飯を食べた後です」と答える方は、一日の緊張が解けた反動(ストレス)のサイン。欲しくなる時間帯を聞くだけで、あなたの身体のどこが足りないかの見当がつきます。そして、ほぼ全員に共通しているのが「逃げ場のないストレス」です。
「私は本当に意志が弱くてダメなんです」と自分を責める方に、私がいつもお伝えしているのは、「もしそれが単なる意志の問題(性格)なら、仕事がヒマでストレスがない時期や、リラックスしている楽しい休日も同じように食べているはずですよ」ということです。
忙しい時期や疲れた夜に増えるなら、それは意志ではなく『身体の要求』です。気合いで我慢を続けるより、要求の元(自律神経)を漢方で整えるほうが、ずっと楽で、長続きします。
3ヶ月で何を目安に見るか
漢方薬は飲んで翌日に甘いものが要らなくなる「魔法の薬」ではありません。太陽堂では「まず3ヶ月」を一つの単位として、次の変化を患者さまと一緒に確認しながら進めます。
- 手が伸びる回数(「毎日食べていた」のが「週に何回か」に減ったか)
- 一回の量(「板チョコを1枚全部食べていた」のが「2〜3かけ」で満足できるようになったか)
- 欲しくなる時間帯の変化(夕方の要求が弱くなったか)
- 夕方の電池切れと眠りの深さ(身体の余力そのものが戻ってきたか)
- 食べたあとの気持ち(「あぁ、また負けた」という自責の念が減ったか)
「歯を食いしばって我慢したのではなく、気づいたら『あ、今日は別に欲しくないな』と自然と思えた日があった」——それが、身体の要求が減り始めたサインです。
「完全にゼロにできたか」という苦しい修行ではなく、「欲しくならない日が週に何日増えたか」を一番の物差しにしてください。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状の改善を保証するものではありません。
「我慢」ではない減らし方|自宅でできる養生
「甘いものを食べてはいけない」と禁止すると、脳は余計に執着して反動で食べ過ぎます。以下のルールは「禁止」ではなく「コントロール」するための養生です。
- 「禁止」を「時間指定」に変える: 「食べない」と決めるとストレスで反動が来ます。「食べるなら午後3時までにする」と時間を決めるほうが、夕方以降の要求が減り、夜の睡眠の質にも響きません。
- 夕方の要求が来る前に、温かいものを少しお腹に入れる: 疲れ型の方は、電池が切れる前(15時頃)におにぎり半分や温かいスープを。切れてから甘いもので埋めるより、切れる前に補うほうが要求そのものが小さくなります。
- 朝食を抜かない: 朝食を抜くと、午後のエネルギー切れが早まり、甘いものの要求が強くなります。温かいご飯と味噌汁で構いません。
- 「ご褒美」を甘いもの以外にも用意する: 自律神経型の方は、自分を緩める(リラックスする)手段が「甘いものを食べる」ことしかないと止まりません。少し良い入浴剤で湯船に浸かる、好きな音楽を一曲聴く、という『口に入れない別の緩め方』を一つ持っておいてください。
- 食べたあとに自分を責めない: 責めるストレスが、次の要求を大きくします。食べたら「今日は疲れていたんだな」で終わりにしてください。
【薬剤師コラム②】「食べたあとの自責」が、次の要求をさらに大きくする
担当薬剤師:石川
「甘いものを食べてしまったあとに、毎回『あぁ、また負けた、自分はなんてダメなんだ』と自分を責めてしまうんです」というお話を伺うたびに、私は「その自分を責めること自体が、次の『甘いものを食べたい要求』を作り出していますよ」とお伝えしています。
甘いものが欲しくなるのは、そもそもが「ストレス」からです。食べてしまったことを責めれば、それがまたあなたにとっての新たな「ストレス」になり、身体はまた気(エネルギー)を消耗して、また糖分を求めます。
「食べる → 自分を責める → ストレスでまた欲しくなる」という悪循環の中で、いちばん簡単に今日から切り離せるのは「自分を責める」のところです。
東洋医学の見方では、甘いものへの要求は、気(エネルギー)が減っているサインです。病院の血液検査で異常が出ないのは、この「気の残量」は数値に表れないからです。異常なしの結果の紙を持ってきていただければ、私たちは安心して「自律神経の緊張をゆるめる」「気を補う」「胃腸を整える」のどこから整えるかに集中できます。無理な我慢と自責の代わりに、身体のほうを漢方で優しく整えましょう。
よくあるご質問(FAQ)
漢方薬を飲めば、甘いものが全く食べたくなくなりますか? 食欲を抑える薬ですか?
いいえ。漢方薬は「食欲を抑え込む薬(やせ薬)」ではありません。甘いものを要求している元(自律神経の緊張・気の消耗・胃腸の弱り)を整えることで、要求そのものが小さくなることを目指します。
コラムでお伝えした養生(時間指定・切れる前に補う等)と組み合わせることが前提です。漢方薬だけ飲んでいれば「全く我慢しなくていい状態」を作る魔法のものではありません。
会社の健診で血糖値(HbA1c)を指摘されています。漢方薬で下がりますか?
血糖値の数値そのものの管理・治療は、まず内科で医師の指導を受けてください。漢方相談でお受けするのは「甘いものに手が伸びる身体の状態(ストレス)」を整える部分です。
病院の治療や食事指導と並行して漢方薬を使う方は多くいらっしゃいます。糖尿病予備軍の段階での漢方の考え方は、別の記事で詳しくまとめています。
生理前(PMS)の時期だけ、甘いものが止まらなくなります。同じ考え方ですか?
生理前に限って増える場合は、自律神経の乱れに「女性ホルモンの変動」が重なっています。土台の考え方は同じですが、婦人科(血の巡り)の面もあわせて伺って漢方を組み立てます。
生理前の過食や気分の落ち込みが強く、生活に支障があるレベルの場合は、婦人科の受診もご検討ください。ご相談時に、生理周期との関係を教えてください。
どのくらいの期間で変化を感じられますか?
まず「3ヶ月」を一つの単位として、手が伸びる回数・一回の量・欲しくなる時間帯を一緒に確認します(※個人差があります)。
「切れる前に補う」「時間指定にする」という養生を実践するだけで、2〜3週間で夕方の要求が弱くなる方もいます。長年のストレスや過労が重なっている方は、半年単位でじっくりと腰を据えて戻していく必要があります。
費用はどのくらいかかりますか?
漢方薬の費用は、週5,000円前後〜(月2万円前後〜)が目安です。相談料は無料です。
患者さまのタイプによって組み合わせる漢方薬の内容が変わりますので、お作りする前に必ず金額をお伝えします。ご相談時にご予算のご希望も含めて率直にお伝えください。
まとめ|意志の弱さではなく、身体の「要求」を減らす
「甘いものがやめられない。自分はなんて意志が弱いのだろうか」
- ストレスで気(エネルギー)が消耗すると、身体は一番早く補える「糖分」を要求します。やめられないのは意志ではなく、身体からの要求が意志の力より強い状態だからです。
- 欲しくなる時間帯(夜か夕方か)で、自律神経型・疲れ型・胃腸型の見当がつきます。店頭で一番多いのは、ストレスによる過食=自律神経型です。漢方薬では「我慢(禁止)」ではなく「要求の元(ストレス)」を整えます。
- 「禁止」を「時間指定」に、夕方切れる前に温かいものを少し入れ、食べたあとに自分を責めない。この養生が漢方薬の働きを支えます。
「あぁ、また負けた」と、甘いものを食べたあとに自分を責めるのは今日で終わりにしてください。
甘いものが一番欲しくなる時間帯と場面、日々のストレス、眠りと食事、そして検査の結果を丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、新宿の漢方薬局「太陽堂」があなたのタイプに合った漢方ケアをご提案いたします。
関連するお悩み
甘いものへの要求は、疲れ、ストレス、血糖と深く関わっています。ご自身の症状に近いページもぜひご参照ください。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
太陽堂がはじめての方へ
ご相談を考え始めた方は、まずこちらをどうぞ。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。













