
「生理の1週間くらい前になると、胃がキリキリ痛くなる。しかも年々ひどくなっている……」
「胃カメラまで受けたのに『異常なし』。胃薬を飲んでも、ひどいときは効かない」
「胃が張る、ガスがたまる、便秘になる。同じ時期にイライラやニキビ、顔のむくみも出てくる。これってPMSと関係あるの?」
太陽堂の店頭でも、こうしたご相談をいただきます。検査で異常がないのに生理前だけ胃が痛くなるのは、気のせいではなく、生理のリズムにともなう体の変化と関係していることがあります。
この記事では、PMS(月経前症候群:生理の前に心や体の不調が出て、生理が始まると軽くなる状態)と胃痛の関係、病院を受診したい目安を整理したうえで、新宿の漢方薬局「太陽堂」が店頭でお伝えしている漢方の考え方を、薬剤師の視点でまとめました。
※【ご注意】この記事は、病院での検査や治療に代わるものではありません。吐血や黒い便、体重が減ってきた、痛みが強い、生理と関係なく痛みが続くといった場合は、まず消化器内科を受診してください。病院で処方されたお薬は自己判断でやめず、必ず主治医とご相談ください。
【この記事の結論:生理前の胃痛と漢方の考え方】
- 痛む理由(原因): 生理前は女性ホルモンが大きく揺れる時期です。その影響で自律神経や胃腸の動きが乱れ、胃の張り・便秘・痛みとして出ることがあると言われています。
- まず確かめたいこと: 胃カメラなどで胃そのものに病気がないかを確かめておくことが前提です。吐血・黒い便・体重減少・激しい痛みは、すぐ受診を。
- 漢方の解決策: 検査で異常がない胃痛は、「筋肉の緊張」「血の巡り」「水の巡り」と自律神経の乱れが重なって起きていると考え、それぞれを整える組み立てを考えます。
- 対象となる主なお悩み: 生理前に胃が痛くなる方、胃カメラで異常なしと言われた方、PMS(イライラ・肌荒れ・むくみ)や生理痛も気になる方
生理前に胃が痛くなるのはなぜ?PMSと胃痛の関係
PMSは、生理の3〜10日ほど前から心や体に不調が出て、生理が始まると軽くなっていくものです。イライラや気分の落ち込み、頭痛、むくみ、肌荒れがよく知られていますが、胃の痛み・張り・吐き気・便秘や下痢といったお腹の不調も、PMSの症状の一つとして挙げられています。
一般的には、次のようなことが関係していると考えられています。
- 女性ホルモンの揺れ: 排卵のあとに増える黄体ホルモン(プロゲステロン)には、腸の動きをゆるやかにする働きがあるとされ、生理前は便秘やお腹の張りが起きやすくなります。
- 自律神経の乱れ: 胃腸の動きは自律神経がコントロールしています。ホルモンの揺れに、寝不足や忙しさ、ストレスが重なると、胃が緊張して痛みが出やすくなります。
- 痛みを感じやすくなる: 生理前は、ふだんなら気にならない胃の動きや張りを、痛みとして感じやすくなるとも言われています。
PMSそのものの漢方での考え方は、PMS(月経前症候群)の漢方のページで詳しくご紹介しています。
生理前の胃痛セルフチェック
当てはまるものが多いほど、生理のリズムと胃の不調がつながっている可能性があります。店頭でもこうした点をうかがっています。
| チェック項目 | 漢方での見方の一例 |
| 生理の1週間ほど前から胃痛が強くなり、生理が来ると軽くなる | 生理のリズムと連動した不調。女性ホルモンの揺れの影響を考えます。 |
| ストレスや緊張が続くと、胃が差し込むように痛む | 「気」の巡りが滞り、胃の筋肉が緊張しやすいタイプ。自律神経との関係も見ます。 |
| 同じ時期に胃の張り・ガス・便秘が出る | お腹の巡りが滞っているサインの一つ。 |
| 生理前にイライラ・ニキビ・顔のむくみが出る | PMSの症状が重なっている状態。 |
| 生理痛は1〜2日目がピークで、塊が毎回混じる | 「血」の巡りの滞り(瘀血:おけつ)が出やすいサイン。 |
| 舌の縁に歯の跡(ヒダヒダ)がつく・むくみやすい | 「水」の巡りの滞りが出やすいサイン。 |
| 手足は冷えるのに、顔だけほてる | 巡りが偏って、熱が上にこもりやすい状態。 |
| 寝る時間が遅い・外食が多い・冷たい飲み物が多い | 胃腸を疲れさせやすい生活。養生で見直したいところです。 |
※表は一般的な目安で、診断の代わりにはなりません。
まず病院で確かめたいこと——すぐ受診したい胃痛の目安
「生理前だから」と決めつける前に、胃そのものの病気がないかを確かめておくことが大切です。胃カメラなどの検査で胃潰瘍や胃炎などの異常が見つからず、胃の痛みや張りが続く状態は、機能性ディスペプシア(FD)と呼ばれることもあります。
一度「異常なし」と言われていても、吐血・黒い便・体重の減少・冷や汗が出るほどの激しい痛み・生理と関係なく続く痛みがあるときは、漢方で様子を見ずに、早めに消化器内科を受診してください。
| こんな症状があるとき | 受診の目安 |
| 血を吐いた・コーヒーのかすのようなものを吐いた | すぐに医療機関へ(救急も検討) |
| 黒くてドロッとした便が出る | 早めに消化器内科へ |
| 冷や汗が出るほどの激しい痛み・お腹が板のように硬い | すぐに医療機関へ(救急も検討) |
| 食べる量は変わらないのに体重が減ってきた | 早めに消化器内科へ |
| 痛みが生理と関係なく続く・だんだん強くなる | 消化器内科で再度相談を |
| 飲み込みにくい・吐き気や嘔吐をくり返す・熱がある | 消化器内科へ |
| 生理痛が年々強くなる・痛み止めが効きにくい | 婦人科へ |
| 妊娠の可能性がある | 妊娠検査のうえ婦人科へ |
胃薬や胃酸を抑えるお薬、婦人科の低用量ピルなど、病院の治療はつらい症状から体を守るための大切な選択肢です。漢方は、病院の検査や治療と並行しながら、体質の側から支える役割と太陽堂は考えています。
漢方では「筋肉の緊張」と「巡りの滞り」から見る
漢方では、体を「気(エネルギー)」「血(けつ:血液とその働き)」「水(すい:体の水分)」の3つの巡りで見ていきます。生理前の胃痛のご相談では、この3つに加えて、胃そのものの緊張を一緒に見ます。
検査で何もないなら、胃の筋肉の「キュッ」とした緊張を考える
担当薬剤師の石川は、店頭でこうお伝えしています。「激しい痛みなのに、検査で組織的に何もないとなってくると、筋肉がキュッと緊張していることで起きていることもあるので、そこを緩めてあげるような内容を考えます」。
胃は筋肉でできた袋のような臓器です。検査で潰瘍や炎症が見つからなくても、筋肉がこわばって差し込むように痛むことがあります。漢方では、生理前に「気」の巡りが滞りやすく、その影響が胃に出ることを「肝(かん)と胃のバランスの乱れ」と表すことがあります。
ストレスで痛むなら、自律神経との関係も
「ストレスのある時期に痛みやすい」というお話があったときには、石川は「ストレス時に症状が出やすいというお話もあったので、どうしても自律神経との関連性も少しあるかな」と見立てます。胃の緊張をゆるめることと、自律神経のバランスを整えることは、セットで考えるところです。
生理痛と塊は「血の巡り」、舌の歯の跡は「水の巡り」のサイン
胃の痛みのご相談でも、生理のようすは必ずうかがいます。石川は、「生理痛が1日目、2日目に出やすかったり、塊が毎回混じるというのは、滞りがあると出てきやすいサイン。少し巡りを整えてあげることは必要かな」とお伝えしています。
また、舌の縁に歯の跡のようなヒダヒダがある方には、「水の巡りが滞ってくると出やすいサインですね。むくみとか」とお話ししています。舌の裏の筋がはっきり見えるときは、血の巡りの滞りも考えます。
| 見るところ | 体のサイン | 組み立ての軸 |
| 胃の緊張・気の巡り | 差し込むような痛み。ストレスで悪化。張り・ガス・イライラ。 | 筋肉の緊張をゆるめ、気の巡りを整える漢方薬を中心に考えます。 |
| 血の巡り | 生理痛が1〜2日目にピーク。塊が混じる。舌の裏の筋がはっきり。 | 巡りを流す内容を組み合わせます。 |
| 水の巡り | 舌の縁の歯の跡。顔のむくみ。胃がチャポチャポする。 | 水の巡りを整える漢方薬を考えます。 |
実際には、いくつかが重なっていることがほとんどです。店頭では舌や手の温かさ、生理の記録、生活のリズムをうかがいながら、その方の比重に合わせて組み立てます。
生理前の胃痛でよくある勘違い3つ
勘違い①「検査で異常なし=気のせい」
異常なしは「胃に傷や腫れなどの病気が見つからなかった」という意味で、痛みがないという意味ではありません。胃の動きや緊張、自律神経の乱れは、検査の画像には写りにくいものです。安心材料として受け止めたうえで、体のリズムの側から見直していきましょう。
勘違い②「胃薬や痛み止めを増やせばしのげる」
市販の胃薬を重ねて飲んだり、頭痛や生理痛のたびに痛み止めを飲んだりしていると、かえって胃に負担がかかることがあります。痛み止めの中には胃を荒らしやすいものもあるため、飲む回数が増えてきたら、医師や薬剤師に一度ご相談ください。
勘違い③「生理前だから仕方ない」
毎月のことなので、我慢が当たり前になりがちです。けれど、年々痛みが強くなっている、外出先で動けなくなるほど痛むという場合は、体からの見直しのサインと考えます。婦人科・消化器内科とも相談しながら、体質の面からも整えていきましょう。
【薬剤師コラム】店頭でこんなご相談がありました
担当薬剤師:石川
20代の女性の方が、「生理前の胃の痛みがPMSと関係あるんじゃないか」とご相談にいらっしゃいました。もともとストレスがあると胃が痛むことがありましたが、生理の1週間ほど前から痛みが強くなり、年々つらくなってきたそうです。内科で胃カメラなどの検査を受けても、異常はなし。前回の生理の前には、朝から痛くて、出かける途中で立てなくなってしまったとのことでした。
お話をうかがうと、生理前には胃の張りやガス、便秘気味になることに加えて、イライラやニキビ、顔のむくみも出ていました。生理痛は1〜2日目がピークで、毎回塊が混じります。舌を見せていただくと、縁に歯の跡があり、裏の筋もしっかり見えました。胃の緊張に、血と水の巡りの滞りが重なっていると考えました。
帰宅が遅く、外食が多い毎日だったので、続けやすさを優先して粉薬を選んでいただきました。筋肉の緊張をゆるめ、巡りを整える内容を、朝食前と夕食前の1日2回。補助の漢方を足す選択肢もお伝えしたうえで、「まずはメインの粉薬からしっかり続けていただく」形で始めています。
これからの経過は、生理前の痛みの強さや、塊・生理痛の変化を、何回かの生理をまたいで一緒に確かめていきます。生理は月に1回なので、1回の結果だけで判断しなくて大丈夫です。
毎日の養生——忙しい人でもできる「温め」と「水分のとり方」
胃の緊張や巡りの滞りは、毎日の過ごし方の影響も受けやすいところです。石川が店頭でお伝えしている工夫を中心にご紹介します。
- 湯船は「休みの日だけ」でもOK: 石川は、帰宅が遅い方には「お休みの時だけでもいいので、10分20分ぐらい湯船に浸かって」とお伝えしています。毎日でなくても、まずはできる日から始めましょう。
- シャワー派は「足湯をしながら洗う」: 「お風呂の桶にお湯を張って、足をつけた状態で顔や首を洗っていただくと、冷えない状態で洗える。全くシャワーで済ませるよりはいいかな」(石川)。
- 水分は「ちょこちょこ飲み」: 一度にたくさん飲むより、「少し口を潤す程度で、ちょこちょこ飲む。トータルして1日ずっと水分がある程度入っている状態」を目指します。舌に歯の跡がつく方やむくみやすい方は、特に意識してみてください。
- 冷たい飲み物はほどほどに: スポーツドリンクや氷入りの飲み物が多い方は、常温や温かい飲み物を混ぜていきましょう。
- 生理前の1週間は胃を休める: 脂っこいもの、甘いもの、コーヒーは「ゼロ」ではなく「減らす」。外食なら、温かい汁物や消化のよい定食を選ぶのがおすすめです。
- 寝る時間を少しでも前に: 睡眠不足は自律神経の乱れにつながります。生理前の1週間だけでも、30分早く布団に入ることから始めてみてください。
よくあるご質問(FAQ)
胃カメラで異常なしと言われたのに、生理前になると胃が痛くなります。なぜですか?
生理前の女性ホルモンの揺れや自律神経の乱れで、胃の筋肉が緊張して痛むことがあると考えています。
検査で組織的な異常が見つからない場合、漢方では、胃の筋肉の緊張や「気・血・水」の巡りの滞りを手がかりに見ていきます。ただし、生理と関係なく痛みが続く場合は、もう一度消化器内科にご相談ください。
生理前の胃痛は、PMS(月経前症候群)の症状ですか?
胃の痛みや張り、便秘などのお腹の不調も、PMSの症状の一つとして挙げられています。
生理が始まると軽くなる、毎月同じ時期にくり返す、という特徴があれば、PMSとの関係が考えられます。2〜3か月ほど、痛みの出た日と生理の日を記録しておくと、医療機関でも漢方の相談でも役立ちます。
胃の痛みなのに、なぜ生理痛や塊のことまで聞かれるのですか?
漢方では、生理のようすが体の巡りを知る大切な手がかりになるからです。
生理痛が1〜2日目にピークになる、塊が毎回混じるといったことは、血の巡りの滞りが出やすいサインと見ています。胃だけでなく、体全体の巡りを合わせて組み立てるために、うかがっています。
病院の胃薬や市販の胃薬と、漢方は一緒に飲めますか?
多くの場合、併用していただけます。
お薬手帳や、飲んでいる市販薬の箱をお持ちいただければ、飲み合わせを確認します。病院から出ているお薬は、自己判断でやめたり量を変えたりせず、主治医の先生にも漢方を飲んでいることをお伝えください。
漢方を飲み始めたら、便がゆるくなりました。大丈夫ですか?
巡りを整える内容の漢方では、飲み始めに便がゆるくなる方がいらっしゃいます。
石川は飲み始めの方に、「1か月以内に収まってくれば、そこまで大きな問題はないので、可能性としてあるということを頭の片隅に」とお伝えしています。気になるときは自己判断で続けたり量を変えたりせず、お店にご連絡ください。強い腹痛や血の混じる便があるときは、医療機関を受診してください。
忙しくて煎じ薬を作る時間がありません。粉薬でも相談できますか?
はい、粉薬でもご相談いただけます。
帰宅が遅い方、外出が多い方は、続けやすい形を優先して選んでいただいています。生活のリズムをうかがいながら、飲む回数やタイミングもご一緒に決めます。ご来店が難しい方には郵送も承っています。
どのくらいの期間で変化を見ていきますか?
生理は月に1回なので、1回だけでは判断しにくく、数か月かけて見ていきます。
太陽堂では、まず3か月をひとつの区切りとして、生理前の痛みの強さ、張りや便通、生理痛、舌のようすを確かめながら内容を調整しています(変化の出方には個人差があります)。
費用はどのくらいかかりますか?
漢方薬の費用は、週5,000円前後〜(月2万円前後から)が目安です。相談料は無料です。
体質や、組み合わせる漢方薬の種類によって変わります。ご予算のご希望も含めて、率直にお伝えください。
▼あわせて読みたい:胃カメラで異常なしと言われた胃痛・胃もたれが続く方へ
まとめ——生理前の胃痛は、体のリズムからのサインです
「検査では異常なし。でも、毎月この時期になると胃が痛い」
- 生理前の胃の痛みや張り、便秘は、PMSの症状の一つとして起きることがあります。ただし、吐血・黒い便・体重減少・激しい痛み・生理と関係なく続く痛みがあるときは、早めに消化器内科を受診しましょう。
- 漢方では、検査で異常がない胃痛を「胃の筋肉の緊張」と「気・血・水の巡りの滞り」、自律神経の乱れから見て、その方の比重に合わせて組み立てます。
- 湯船は休みの日だけでも、シャワー派は足湯をしながら、水分はちょこちょこ飲み。無理なく続けられる養生を、漢方と一緒に積み重ねていきましょう。
「生理前だから仕方ない」と、毎月の痛みを一人で抱え込まないでください。
痛みの出る時期や生理のようす、病院での検査の結果や飲んでいるお薬を丁寧にお伺いし、新宿の漢方薬局「太陽堂」が、あなたの体質に合わせた漢方ケアをご提案いたします。
ご遠方の方には、ヒアリングシートのやり取りによるご相談も全国から承っておりますので、まずはお気軽にお声がけください。
【ご相談をご希望の方へ】
生理前の胃痛と一緒に出やすい、イライラやむくみ、肌荒れなどのPMSへの漢方アプローチは、こちらのページで詳しく解説しています。
関係性の深いお悩み;ご相談も多数いただいております。
▼生理前のイライラや涙が止まらない方
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。















