
大根・白菜・梨で叶える、漢方流「食べる乾燥対策」
12月7日頃は、二十四節気の「大雪(たいせつ)」にあたります。 北国からは雪の便りが届き始め、平地でも朝晩の冷え込みがいっそう厳しくなる頃。本格的な冬の到来です。
この時期、多くの方が悩まされるのが「乾燥」です。
「朝起きると喉がイガイガする」
「肌がカサカサして粉をふく」
「リップクリームが手放せない」
こうした不調は、単に空気が乾いているからという理由だけではありません。
漢方の視点で見ると、五臓のバランスが「冬仕様」に追いついていないサインかもしれません。
今回は、大雪の時期に弱りやすい「肺(はい)」を守り、乾燥知らずで冬を過ごすための養生法をご紹介します。
冬の乾燥は「肺(はい)」を直撃する
漢方では、秋から冬にかけての乾燥した季節は、五臓の「肺(はい)」に負担がかかりやすいと考えます。
漢方でいう「肺」は、呼吸機能だけでなく、「皮毛(ひもう=皮膚やうぶ毛)を司る」とされており、皮膚のバリア機能や水分代謝をコントロールしています。
また、肺は「嬌臓(きょうぞう)」とも呼ばれ、五臓六腑の中でも最も弱い臓器と考えられ乾燥を嫌う性質があります。
空気が乾燥すると、まず鼻や喉(呼吸器)が乾き、肺の潤いが奪われます。
肺が乾燥して機能が低下すると、その影響はダイレクトに肌へと現れます。
つまり、「肌の乾燥は、肺の潤い不足」であり、「喉のイガイガは、肌荒れの予兆」でもあるのです。
この負の連鎖を断ち切るキーワードが、「潤肺(じゅんぱい)」。 肺を潤すことで、喉の免疫力を保ち、内側からしっとりとした肌を作ることができます。
カギは「白い食材」!大根と白菜のパワー
では、どうやって肺を潤せばよいのでしょうか?
漢方の「五行説(ごぎょうせつ)」では、肺は「白」の色に対応しています。
そのため、白い食材には肺を潤し、体を整える力があるとされています。
スーパーで手軽に買える、この時期に美味しい「白い食材」を積極的に取り入れましょう。
1. 大根(だいこん):天然の消化薬&喉のケア
大根は、体にこもった余分な熱を冷まし、肺を潤して咳や痰(たん)を鎮める働きがあります。 また、年末に向けて胃腸が疲れやすい時期ですが、大根に含まれる酵素は消化を助け、胃の不快感を和らげてくれます。
- おすすめの食べ方: 喉が痛いときは、角切りにした大根をハチミツに漬け込み、出てきたシロップを飲む「大根飴(だいこんあめ)」が特効薬になります。
2. 白菜(はくさい):冬の養生野菜の王様
水分が約95%を占める白菜は、まさに「食べる水分補給」。体の熱を取り除きながら、不足した潤いを補います。ビタミンCも豊富で、風邪予防にも最適です。
- おすすめの食べ方: 鍋料理やスープにして、溶け出した栄養ごと汁まで飲むのがベストです。豚肉(潤いを補う食材)と一緒に煮込めば、乾燥対策の最強メニューになります。
3. その他の白い食材
- 梨(なし): 喉の渇きを癒やし、咳を止めるフルーツ。
- レンコン: 粘り成分が粘膜を保護します。
- 豆腐・豆乳: 体液を補い、空咳(からせき)を鎮めます。
- 百合根(ゆりね): 精神を安定させ、不眠にも効果的。
加湿器だけじゃない?「潤い」を保つ生活の工夫
食材で内側から潤すと同時に、外側の環境を整えることも大切です。
寝ている間の「喉ガード」
朝起きたときの喉の痛みは、睡眠中の口呼吸が原因であることが多いです。 加湿器を使うのはもちろんですが、「マスクをして寝る」のも非常に効果的です。
自分の呼気が天然のスチームとなり、喉と鼻を保湿し続けます。シルクや綿など、通気性の良い天然素材のマスクがおすすめです。
水分補給は「ちょこちょこ飲み」で
一度に大量の水を飲んでも、体は吸収しきれず排出してしまいます。
コップ1杯の白湯(さゆ)や常温の水を、1時間おきになどこまめに飲むのが、細胞を潤すコツです。
コーヒーや緑茶などカフェインを含む飲み物は利尿作用があるため、飲みすぎるとかえって乾燥を招くことがあります。
この時期はノンカフェインの麦茶やハーブティー、温かいほうじ茶などがおすすめです。
お風呂上がりの「即保湿」
入浴後、肌の水分は急速に蒸発します。バスタオルで拭いたら、「5分以内」に保湿クリームを塗りましょう。
漢方の考えでは、肌に潤いを与えることは、肺を守ることにもつながります。
まとめ:潤いは「防御力」
大雪の時期の乾燥対策は、単なる美容のためだけではありません。
喉や鼻の粘膜、そして皮膚が潤っていることは、ウイルスや細菌を跳ね返す「バリア機能(免疫力)」そのものだからです。
「白い食材」をたっぷり食べて、部屋と喉をしっかり加湿する。 このシンプルな養生が、風邪やインフルエンザが流行する真冬を元気に乗り切るための土台となります。
「しっかり対策しているのに、どうしても肌が乾く」
「空咳が長引いて止まらない」
もしそんな症状でお悩みなら、体の潤いを生み出す力そのものが弱っている可能性があります。
太陽堂では、あなたの冬の健康をサポートするお手伝いをさせていただきます。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
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当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
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記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。





