
「インフルエンザの熱は下がったのに、立ち上がるとフワッとして、まっすぐ歩けない……」
「風邪が治って1週間。頭の中がふわふわして、仕事中も体が揺れている感じがする……」
「寝込んでいた間は平気だったのに、動き出したらめまいが始まった。耳鼻科では異常なしと言われた……」
風邪やインフルエンザのあとに出るめまい・ふらつきは、熱が下がって動き出した頃に始まるのが特徴です。寝込んでいる間は気づかず、仕事や家事に戻ってから「立つとフワッとする」「体が揺れている気がする」と気づいて、太陽堂にご相談に来られる方が増えます。
ご相談の悩みで多いのは、順に「立ち上がるとフワッとする」「頭がふわふわして集中できない」「歩くと体が揺れる」「疲れると強くなる」「耳鼻科で異常なしと言われて困っている」です。
このページでは、感染のあとにめまいが出る理由、受診の目安、過ごし方、漢方の考え方をご説明します。
(※ぐるぐる回るめまいとフワフワするめまいの見分け方は「私のめまい、どれ?」の記事に、咳やだるさが残っている方は「風邪・インフルエンザのあと、咳とだるさが残る」の記事にまとめています。このページは、風邪・インフルエンザのあとに「めまい・ふらつきだけ」が残った方に向けた考え方です。)
【この記事の結論:風邪・インフルエンザのあとのめまい・ふらつきに対する漢方の考え方】
- 起こる理由(原因): 寝込んでいる間に失った水分と体力、熱で乱れた自律神経、そしてウイルスの影響で一時的に弱った「平衡感覚の神経」が重なって、立ったときに体を支える力が足りなくなります。漢方では①戦いで気と血を使い切っている(立ちくらみ・疲れると強い) ②体の中の水の巡りが乱れている(フワフワ・頭が重い・吐き気) ③冷えて巡りが鈍い(寒がり・軟便・手足が冷たい) ④緊張がほどけていない(動悸・眠りが浅い)を見ていきます。
- 漢方の解決策: めまい止めで感覚を抑える方向ではなく、回復期に使う「失った気と血を補い、乱れた水の巡りを整える」方向の漢方で、体を支える力を底から戻します。
- 対象となる主なお悩み: 熱が下がってからめまい・ふらつきが出た方、耳鼻科で異常なしと言われた方、動き出すと悪化する方、毎年冬の感染症のあとに体調が長引く方
熱が下がったあとに、めまいが出る理由
感染のあとのめまいには、いくつかの道筋があります。ひとつは、発熱と食欲低下で水分と塩分、体力が減ったまま動き出すことによる立ちくらみ。ひとつは、熱で乱れた自律神経が、立ったときの血圧の切り替えに追いつかないこと。もうひとつは、ウイルスが平衡感覚をつかさどる内耳や神経に影響して、回転性のめまいが数日続く「前庭神経炎」と呼ばれる状態です。
さらに、鼻づまりが残っていると耳の奥の圧が変わって、フワフワ感が続くこともあります。どの道筋でも共通しているのは、「体を支える力が、まだ戻っていない」ということです。
先に受診してほしいとき
ぐるぐる回るめまいで吐き気が続く、片方の耳が急に聞こえにくい・耳鳴りが出た、手足のしびれ・ろれつが回らない・激しい頭痛・物が二重に見えるときは、漢方で様子を見ずにその日のうちに受診してください。片方の耳の症状は突発性難聴、しびれやろれつは脳の病気を先に除く必要があります。回転性のめまいが3日以上続くときも、耳鼻科で前庭神経炎や良性発作性頭位めまい症を調べてもらいましょう。
漢方の考え方|「抑える」から、「支える力を戻す」へ
感染のあとのめまいに、めまい止めだけで向き合うと「薬を飲んでいる間だけ楽」になりがちです。漢方では、めまいを「体を支える気と血が足りない」「頭に余分な水が上がっている」のどちらか、または両方と考え、残っている症状で4つに分けて整える方向を決めます。
【比較表】どんなめまいか? 4つのタイプと漢方の方向性
| タイプ | よくあるサイン | 漢方の方向性 |
| ① 気と血を使い切ったタイプ(店頭で多い) | 立ち上がるとフワッとする/疲れると強くなる/顔色が白い/食欲も戻っていない | 気と血を補い、体を支える力を底から戻す |
| ② 水の巡りが乱れたタイプ | 頭がふわふわ・重い/乗り物酔いのような吐き気/むくむ/雨の日に悪化 | 頭に上がった余分な水をさばいて、巡りを整える |
| ③ 冷えて巡りが鈍いタイプ | 寒がり/手足が冷たい/軟便/朝がつらい | 温めて、水と血の巡りを動かす |
| ④ 緊張がほどけないタイプ | 動悸/眠りが浅い/肩や首がこる/音や光に敏感 | 高ぶった神経をゆるめ、巡りを整える |
【セルフチェック】あなたのめまいは、どのタイプ?
熱が下がってから、今も当てはまるものを数えてください。
- ☐ 立ち上がった瞬間に、目の前が暗くなる・フワッとする
- ☐ 疲れた日の午後に、めまいが強くなる
- ☐ 寝込んでいた間、ほとんど食べられなかった
- ☐ 頭がふわふわして、集中できない
- ☐ 乗り物酔いのような吐き気がある
- ☐ 顔や足がむくむ、雨の日に悪化する
- ☐ 寒がりで、手足が冷たい
- ☐ 眠りが浅く、動悸がある
- ☐ 肩や首がこる、音や光がつらい
- ☐ 鼻づまりがまだ残っている
読み方:上の3つが多ければ①気と血を使い切ったタイプ、4〜6番目が多ければ②水の巡りが乱れたタイプ。7番目は③の冷え、8〜9番目は④の緊張のサインです。3個以上当てはまり、2週間を越えて続くときがご相談の目安です。ぐるぐる回る・片耳の症状・しびれがあるときは、数にかかわらず先に受診を。
【薬剤師コラム①】「異常なし」は、「原因がない」ではありません
担当薬剤師:前原
感染のあとのめまいで来られる方の多くは、耳鼻科で「異常なし」「様子を見ましょう」と言われています。検査で異常がないのは良い知らせですが、それは「原因がない」という意味ではなく、「耳や脳に病気はない」という意味です。
こういう方に「寝込んでいた間、どのくらい食べられましたか」とお聞きすると、ほとんど食べていなかったという答えが返ってきます。体を支える燃料が戻る前に動き出したのが、めまいの正体であることが多いのです。補う方向の漢方で、支える力から戻していきます。
めまいが出ている間の過ごし方
- 水分と塩分を、少しずつ回数を分けて: 一度にたくさん飲むより、温かい汁物や経口補水液をこまめに。コーヒーやお酒は、戻るまで控えます。
- 急に立ち上がらない: 寝起きは布団の中で手足を動かしてから、座って、それから立つ。立ちくらみがするときは、しゃがんで待ちます。
- 画面を見る時間を短く: スマホやパソコンの画面は、目と平衡感覚を疲れさせます。戻るまでは意識して減らしてください。
- 首と肩を温める: 頭への血の巡りを助けます。熱いお風呂への長湯は逆効果なので、ぬるめに短く。
- 動く量は7割から: 熱が下がって1週間は、仕事も家事も7割に。めまいが強い日は休む日にしてください。
【薬剤師コラム②】水の飲み方で、フワフワが変わる方がいます
担当薬剤師:石川
「脱水が怖いので、水をたくさん飲んでいます」という方で、かえってフワフワが強くなっている方がいます。胃腸が弱っているときに一度に水を入れると、さばききれない水が頭に上がって、めまいや頭の重さになることがあるからです。
目安は「温かいものを、ひと口ずつ、回数を分けて」。このタイプの方には、余分な水をさばく方向の漢方が合います。お腹がポチャポチャ鳴る、雨の日に悪化する、という方は、ぜひお伝えください。
よくある勘違い3つ
勘違い①「耳鼻科で異常なしなら、放っておけば自然に治る」
「異常なし」は耳や脳に病気がないという意味で、支える力が戻ったという意味ではありません。食事と睡眠で戻る方も多いのですが、動き出す量が多いままだと、ふらつきは何週間も続きます。戻す方向を持つことが近道です。
勘違い②「脱水が怖いから、水をがぶ飲みする」
弱った胃腸に一度に水を入れると、さばききれない水が頭に上がって、ふわふわ感と頭の重さが強まります。温かい汁物や経口補水液を、ひと口ずつ回数を分けて。塩分も一緒にとることが大事です。
勘違い③「めまい止めを飲んでいれば大丈夫」
めまい止めは感覚を抑える薬で、失った体力と乱れた水の巡りを戻す薬ではありません。飲んでいる間だけ楽、を繰り返す方は、戻す方向を別に持つ必要があります。薬を減らす相談は、処方した医師と進めてください。
よくあるご質問(FAQ)
風邪のあとのめまいは、いつまで続きますか?
体力の回復とともに1〜2週間でおさまる方が多いです。2週間を越えて続く、または強くなるときはご相談ください。
ぐるぐる回る、片耳が聞こえにくい、しびれやろれつの異常があるときは、期間にかかわらず先に受診してください。
耳鼻科で「異常なし」と言われました。それでも相談できますか?
はい。耳や脳に病気がないと分かってからが、漢方の出番です。
寝込んでいた間の食事、今の食欲、むくみや冷えの有無から、「支える力」と「水の巡り」のどちらが足りないかを見ていきます。
病院のめまい止めと漢方は、一緒に飲めますか?
多くの場合は一緒に飲めます。お薬の名前をお伝えください。
めまい止めは「感覚を抑える」役、漢方は「支える力を戻す」役です。症状が落ち着いてきたら、病院のお薬の減らし方は処方した医師と相談してください。
インフルエンザの薬を飲んでから、めまいが出ました。薬のせいですか?
お薬の影響かどうかは、処方した医師か薬局に必ず確認してください。
お薬が終わってもめまいが残るときは、体力と水の巡りの問題として、漢方で見ていくことができます。
車の運転や仕事は、していいですか?
ふらつきがある間は、運転は避けてください。座ってできる仕事は、いつもの7割からです。
立ち仕事や高い所の作業は、立ちくらみが消えてから。めまいが出た日は無理に続けず、その日は休む日にしてください。
子どもがインフルエンザのあとにふらつきます。どうすればいいですか?
水分と塩分を少しずつ、よく眠らせることが基本です。歩き方がおかしい・嘔吐が続く・呼びかけへの反応が鈍いときは、すぐ受診してください。
お子さんは体の水分が少なく、脱水からのふらつきが出やすいです。受診で心配がなくなってから、体力を戻す漢方をご提案します。
風邪をひくたびに、あとでめまいが出ます。体質ですか?
体力の土台が薄く、戦いのたびに底をつくタイプのことが多いです。
感染症が増える前の秋から土台を補っておくと、あとに残る不調が軽くなる方が多いです。毎回のことなら、季節をひとつ越える3か月で体質を見ていきます。
どのくらいで戻りますか? 費用は?
感染のあとのめまいは、合う方向で整えると1〜2週間で軽くなる方が多いです。もともとめまいを繰り返す方は、季節をひとつ越える3か月で体質を見ます。
費用は週5,000円前後から(月2万円前後から)で、相談料は無料です。短い期間の服用から始められます。
まとめ|めまいは、「まだ支える力が戻っていない」というサイン
「熱は下がったのに、どうして今になってふらつくのだろう」
- 感染のあとのめまいは、失った水分と体力、乱れた自律神経、弱った平衡感覚が重なって、動き出した頃に出ます。耳や脳の病気を先に除いてから、漢方の出番です。
- 「立つとフワッ」は支える力の不足、「頭がふわふわ・吐き気」は水の巡りの乱れ。どちらかで漢方の方向が変わります。抑える方向ではなく、支える力を戻す方向へ。
- 目安は2週間。回転性・片耳の症状・しびれは待たずに受診。水分は温かいものをひと口ずつ、急に立たない、画面を減らす、動く量は7割から。
「そのうち治まる」と、ふらつきを抱えたまま仕事に戻らないでください。
熱が下がった日からの経過、めまいの出方、寝込んでいた間の食事、むくみや冷えの有無を丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、新宿の漢方薬局「太陽堂」があなたのタイプに合った漢方ケアをご提案いたします。
関連するお悩み
めまいには、出方や時期で近いページがいくつかあります。ご自身の状況に近いページもぜひご参照ください。
太陽堂の特徴
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太陽堂がはじめての方へ
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記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。














