
「健康診断の血液検査やエコーで『脂肪肝』と言われたけれど、お医者様からは『痩せましょう、運動してください』と言われただけで、特にお薬も出ず治療はなし。どうしていいか分からない」
「最近、朝起きてもだるさや疲労感がずっと抜けない。身体全体や腰もどんよりと重い気がする」
「この抜けない疲れは脂肪肝と関係があるの? それともただの年齢のせい?」
脂肪肝そのものには、初期の段階では痛みなどの自覚症状がほとんどありません。しかし、太陽堂の店頭で脂肪肝のご相談をお受けしていると、検査の数値の異常とともに「倦怠感や疲労感」「背中や腰のどんよりとした重だるさ」を一緒に訴える方が多いという実感があります。
今回は、「脂肪肝と、この抜けないだるさや腰の重さは関係があるのか」という疑問への漢方の見方と、肝臓の働きを底上げして血流を整え、「だるさの抜けやすい身体」をつくる漢方の考え方を、数値と倦怠感の両方に変化が見られた実例とともに、薬剤師の視点から詳しく解説いたします。
【この記事の結論:「脂肪肝 × だるさ・身体の重さ」に対する漢方の考え方】
- 起こる理由(原因): 西洋医学では自覚症状がないとされますが、漢方では代謝と解毒を担うエネルギー工場である「肝臓」が脂肪で目詰まりを起こして疲労し、全身の血流(栄養)と老廃物の処理が滞ることで「だるさ」が生じると考えます。
- 漢方の解決策: 病院の「痩せましょう」という指導だけでなく、漢方で①肝臓の働きを助ける ②血流を良くし老廃物を流す——ことで、まずは「動ける身体(体調)」を取り戻し、そこから運動や食事の養生を後押しします。
- 対象となる主な疾患・お悩み: 脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/NASH)、健診で肝機能の数値(ALT、AST、γ-GTPなど)が高いと言われた方、中性脂肪が高い方、抜けないだるさ・疲労感にお悩みの方
「沈黙の臓器」の疲れは、だるさに出る——漢方の見方
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、脂肪が肝細胞の30%以上に溜まった脂肪肝の段階になっても、痛みなどのはっきりとした危険信号(症状)をほとんど出しません。そのため、健診で指摘されても「痛くないし、実感がないから大丈夫だろう」と放置されがちです。
しかし、東洋医学(漢方)の視点から見ると、少し捉え方が変わってきます。
漢方では、肝臓(肝)は、全身に栄養(血)を蓄えて巡らせ、代謝と解毒を担う「身体の巨大なエネルギー工場」と考えます。この工場に余分な脂肪がドロドロと溜まって「目詰まり」気味になれば、工場自体の働き(代謝能力)が極端に落ちます。
すると、身体を動かすための新しいエネルギーは作られにくくなり、逆に処理しきれない古い老廃物(水や脂肪)は身体の中にどんどん溜まりやすくなります。その結果が、「寝ても抜けないだるさ」「慢性的な疲労感」「身体全体が鉛のように重い」といった全身の不調として現れる——というのが、漢方の見方です。
「腰の重さ」との関係は?
腰の重さや痛みについても、漢方では「肝臓の極度な疲れが、全身の筋肉の疲労やこわばりを引き起こしている(肝は筋を司るため)」という繋がりを考えることがあります。
もちろん、椎間板ヘルニアなど腰そのものの病気(整形外科的な問題)が隠れていることもあるため、まずは病院の検査で「明らかな骨や神経の異常がないか」を確認したうえで、特に原因が見当たらない場合に「肝臓の疲れ・体質から整える」という選択肢を考えるのが、正しい順番となります。
【薬剤師コラム①】「痩せましょう」の先の話をしましょう
担当薬剤師:林
健康診断で脂肪肝を指摘された患者さまの多くは、病院の先生から「体重を落としましょう」「食事のカロリーを減らして、運動してください」「お酒を控えましょう」と指導されて、それで診察は終わり、というケースがほとんどです。(脂肪肝そのものを治す特効薬の西洋薬はまだ存在しないためです)。
その医学的な指導自体は全く正しいのですが、太陽堂の店頭でお話を伺っていると、「運動しなきゃいけないのは分かっているけれど、身体がだるすぎて休日は動けないんです」という悲痛な声を本当によくお聞きします。
だるいから運動できない。動けないから脂肪が燃えず脂肪肝が進む。脂肪肝が進むからもっと代謝が落ちてだるくなる——。この負の悪循環を、気合いや根性ではなく、身体の機能としてどこかで断ち切る必要があります。
漢方薬の最大の受け持ちは、弱った肝臓の働きを内側から助け、ドロドロの血流を流して、まずは『運動できる・動ける体調(元気)』を取り戻すことです。
実例の患者さまも、漢方を始めて3ヶ月ほどで「疲労感・倦怠感」が和らぎはじめ、身体が動くようになった結果、ご自身の努力(食事や運動)の成果が出やすくなり、そこから血液検査の数値の改善へと繋がっていく経過がはっきりと見られます。体調が底上げされてくると、食事と運動の見直しも無理なく続けられるようになる。漢方薬と生活養生は、その順番で噛み合うのです。
【比較表】西洋医学(病院)と漢方薬(太陽堂)のアプローチの違い
| 比較項目 | 西洋医学(病院のアプローチ) | 漢方薬(太陽堂の体質ケア) |
| 主な目的 | 数値の経過観察と生活指導(脂肪肝そのものへの特効薬は存在しない) | 肝臓の働きと血流を整え、だるさの抜けやすい『動ける身体』をつくる |
| 得意なこと | 血液検査・エコー等による正確な診断、肝硬変などへ進行した場合の治療 | 「お薬は出ないが不調はある」段階での、体質の側からのアプローチ |
| 代表的な手段 | 食事指導、運動指導、定期的な血液・画像検査 | 肝臓の働きを良くする漢方薬、血流を整える漢方薬、老廃物を流す漢方薬 |
| 気になる点 | 「痩せましょう」で終わり、具体的にどうすればいいか分からず放置しがち | 数値の改善を確認するためには、数ヶ月単位での継続と病院の検査が必要 |
| 両者の関係性 | 肝機能の正確な検査と経過把握の「軸」 | 「様子見」の期間にできる、体質づくりと自覚症状改善の「サポートの軸」 |
漢方から見た脂肪肝×だるさ——組み立ての方向性
太陽堂では、脂肪肝によるだるさや数値の異常に対して、ただ体重を落とす下剤のようなものを出すのではなく、以下の「2つの軸」を組み合わせて身体の土台を整えます。
軸① 肝臓の働きを助ける(疎肝・清肝)
- 狙い: 悲鳴を上げている「エネルギー工場」である肝臓そのものの働きを助け、炎症や負担から保護しながら立て直すのが最大の軸です。後述する実例でも「肝臓を保護して血流を整える漢方薬」や「肝臓の働きを良くする漢方薬」が中心の組み立てとなっています。
軸② 血流と老廃物の排出を整える(活血化瘀・利水)
- 狙い: 脂肪肝の背景にあるドロドロの血液(瘀血:おけつ)や、身体に溜まりがちな余分な老廃物(水や脂肪の塊=痰湿)を排出しやすくし、全身の血流を整えることで、だるさ・重さの「抜け道」を作ります。体重、中性脂肪、コレステロールなどの血液検査の数値と、日々の体調の両方を見ながら、患者さまの体質に合わせて細かく調整します。
【薬剤師コラム②】腰が心配な方は、「腰を痛めない運動」から
担当薬剤師:石川
脂肪肝は、お酒の飲み過ぎだけでなく、運動不足や糖質・脂質の多い食生活が原因で発生すること(非アルコール性脂肪性肝疾患:NAFLD)が非常に多いお悩みです。ですから店頭でも、漢方のご提案と併せて、まずは食生活の見直しと運動習慣の見直し(養生)をお伝えしています。
ただ、ここで一つ注意点があります。
「腰の重さや痛み」「膝の痛み」を感じている方に、「痩せるために、とにかく走ったり激しい筋トレをしてください」とは私たちは言えません。体重がある状態で無理に運動をして腰や膝に負担がかかると、今度は整形外科のお世話になることになり本末転倒だからです。
関節に不安がある場合は、「腰や膝を痛めない運動」をおすすめしています。例えば、体重の負担がかからない「水中ウォーキング(市民プールなど)」や、クッション性の高い靴を履いての「平地の軽い散歩・ウォーキング」のような、身体への衝撃が少ない動きから始めるのが安心です。
漢方で体調が上がってきて少し身体が軽くなったら、少しずつ運動量を増やしていく形が安全です。「今の自分の身体の状態なら、何の運動なら大丈夫か?」も、体質を伺いながらご相談に乗りますので、遠慮なく聞いてくださいね。
【改善実例】だるさと数値に変化が見られたエピソード
①【疲労倦怠感・脂肪肝】50代 男性|3ヶ月でだるさが和らぎ、1年3ヶ月で中性脂肪が基準値内に
【ご相談時の状態】 半年前から体調の優れない日が続くようになり、病院の検査で「脂質異常症」と診断された方です。病院薬を飲まずに体を変えていきたいと、ご相談に来られました。疲労倦怠感・体重増加・脂肪肝が気になり、中性脂肪の数値は180前後とのことでした。
【太陽堂の提案】 ①老廃物を排出しやすくする漢方薬 ②肝臓を保護して血流を整える漢方薬 をお渡ししました。
- 3ヶ月後: 少しずつ疲労倦怠感が和らいできたとのことでした。
- 6〜10ヶ月後: 血液検査で中性脂肪が150前後まで下がり、体重にも減少傾向。倦怠感もほぼなくなっているとのこと。
- 1年3ヶ月後: 中性脂肪値が基準値内に収まっているとのことでした。ご本人も食事や運動に気を配っておられました。
②【健診で脂肪肝・数値高め】50代 女性|1年で数値が基準値内になり、1年6ヶ月で服用終了
【ご相談時の状態】 ここ数年、人間ドックで肝臓の数値を指摘されるようになり、健康診断で脂肪肝と診断された方です。γ-GTPが100と高めで、血圧・コレステロールも高めの数値。食事に気をつけているのに体重も落ちなくなっているとのことでした。
【太陽堂の提案】 ①女性ホルモンを調節する漢方薬 ②肝臓の働きを良くする漢方薬 の2種類をお出ししました。
- 3〜6ヶ月後: 体重が少しずつ減り、検査でγ-GTPが70まで改善。血圧・コレステロールの数値も動きはじめました。
- 1年後: γ-GTP・コレステロールともに基準値内に。漢方薬の分量を半分に。
- 1年6ヶ月後: 量を減らしても数値は正常を維持できているとのことで、服用終了となりました。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状や数値の改善を保証するものではありません。
▼脂肪肝の改善実例をもっと見る
ご自宅でできるセルフケア・食養生
- 「休肝日」を作る・アルコールを見直す: お酒を飲む習慣がある方は、肝臓を休ませる「休肝日」を設けてください。アルコールの過剰摂取は肝臓に大きな負担をかけます。
- 糖質と脂質の摂りすぎに気をつける(お酒を飲まない方): お酒を飲まないのに脂肪肝になる方では、糖質の摂りすぎが原因になりやすいと言われます。甘いお菓子やジュース、炭水化物の摂りすぎに気をつけ、腹八分目を心がけましょう。
- 健診の血液検査の結果は、捨てずに必ず保管する: 漢方の効果を確かめる最大の通信簿は「血液検査の数値(ALT、AST、γ-GTP、中性脂肪など)」です。検査の紙はファイルに保管し、太陽堂でのご相談の際に必ずお持ちください。
よくあるご質問(FAQ)
脂肪肝で、だるさや腰の重さといった症状は本当に出るのですか?
脂肪肝のご相談では、腰の痛みに限定したお悩みは多くありませんが、「抜けない倦怠感・疲労感」を訴える方は多くいらっしゃいます。
肝臓の代謝・解毒の働きが落ちると、全身に疲労が溜まりやすくなります。腰の重さについても、肝臓の疲れが筋肉の疲労や痛みにつながっている可能性はあります。まずは整形外科などで骨に明らかな異常がないかを確認し、血液検査でも明らかな原因が見つからない場合に、体質から整えるのが安全な選択肢です。
病院では「痩せましょう」とだけ言われました。それだけでいいのでしょうか?
食生活と運動習慣の見直しによる減量は、治療の大切な土台です。そのうえで「だるくて動けない」のであれば、漢方で体調の立て直しから始める選択肢があります。
漢方で肝臓の働きを助けて「動ける体調」を先に取り戻し、その元気で食事の見直しや運動を無理なく続けられるようにする。この順番で生活習慣と噛み合わせるのが、太陽堂の考え方です。
腰が痛いのですが、運動しても大丈夫ですか?
腰に負担がかかるようであれば、腰を痛めない運動を選びましょう。
水中ウォーキングやゆっくりした散歩など、腰への負担が少ない運動から始めるのがおすすめです。痛みが強い時は無理をせず、まず整形外科で腰の状態を確認してください。
お酒はやめないと駄目ですか?
お酒が原因(アルコール性)の方は、量と頻度の見直し(休肝日)が大切です。一方で、脂肪肝は「お酒を飲まない方」にも起こります(非アルコール性脂肪性肝疾患:NAFLD)。
お酒を飲まないのに脂肪肝になっている方は、甘いものや炭水化物(糖質)の摂りすぎや運動不足が背景にあることが多いと言われます。生活の状況を詳しく伺って、我慢ばかりではない「続けられる養生の形」をご提案します。
効果はどうやって確かめるのですか? 期間はどのくらいかかりますか?
日々の体調(だるさの抜け方・身体の軽さ)と、病院での血液検査・エコー検査の数値の両方で確かめます。
実例では、漢方を始めて3ヶ月ほどでだるさが和らぎ、その後半年〜1年ほどの検査で中性脂肪や肝機能の数値の変化が確認できた方がいらっしゃいます(※個人差があります)。月単位の時間がかかるお悩みですので、焦らずじっくり取り組んでいきましょう。
病院の薬やサプリメントと併用できますか?
はい、基本的には併用可能です。
コレステロールや血圧のお薬が出ている場合もご相談いただけます。飲んでいるお薬やサプリメントの内容は、ご相談時にすべてお知らせください。お薬手帳があるとスムーズです。飲み合わせを確認したうえで、漢方の組み立てを考えます。
まとめ:だるさの正体に、「肝臓の疲れ」から真っ直ぐに向き合う
「健康診断の数値も気になるけれど、何よりも毎日のこの鉛のようなだるさをどうにかしたい」
「痩せなきゃいけないのは分かっているけれど、身体が動かなくて自分を責めてしまう」
その抜けない疲労感は、あなたの気合いや根性が足りないからではありません。身体の巨大なエネルギー工場である「肝臓」が悲鳴を上げているサインなのです。
- 脂肪肝のだるさは、肝臓の代謝・解毒機能が低下しているサイン(腰の重さも関連あり)
- 漢方薬で「肝臓の働きを助ける + 血流と老廃物の排出を整える」ことで、動ける体調を取り戻す
- 動けるようになってから、無理のない食生活と運動習慣(養生)を後押しする
そんな深いお悩みを抱えている方は、どうぞ一人で抱え込まずに太陽堂へご相談ください。
健康診断の血液検査の結果、日々の生活習慣、そして体質を丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、あなたの身体を土台から立て直す漢方ケアをご提案いたします。
【ご相談をご希望の方へ】
脂肪肝に対する具体的な漢方アプローチについては、こちらのページにて詳しく解説しております。全国対応のオンライン相談も承っておりますので、まずはお気軽にお声がけください。
関係性の深い病気;ご相談も多数いただいております。
肝臓に関するさまざまなお悩みについて、以下の記事もあわせてご覧ください。
▼非アルコール性脂肪肝炎(NASH)と言われた方へ
▼原因不明の肝機能の数値に悩む方へ
▼肝臓に良い漢方の選び方(総合ガイド)
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
太陽堂がはじめての方へ
ご相談を考え始めた方は、まずこちらをどうぞ。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。












