
「肝硬変が進んで腹水が溜まり、お腹が張って食事が全く入らなくなってしまった」
「病院の利尿剤を飲んでいるのに腹水が減らず、腎臓の数値まで悪くなってきて心配だ」
「主治医に『これ以上は良くならないので、うまく付き合っていくしかない』と言われ、どうすれば良いのか分からない」
「食道静脈瘤(しょくどうじょうみゃくりゅう)があると言われて、突然の出血が怖くてたまらない」
太陽堂へ寄せられる肝臓のトラブルに関するご相談の中で、最も重篤であり、かつ最も多いお悩みが「肝硬変」です。担当薬剤師がお受けする肝臓相談のうち約8割が肝硬変であり、さらにその中の約7割の方が「腹水」を抱え、「まずこの苦しいお腹の張りを何とかしたい」と切実な思いでご相談に来られます。
今回は、「肝硬変による腹水に対して、漢方で何ができるのか?」という疑問に対する薬剤師としての正直な答えと、太陽堂が大切にしている「水の流れを整えながら、身体に必要な栄養を補う」という体質ケアの考え方を、実際の改善例を交えて詳しく解説いたします。
【この記事の結論:「肝硬変の腹水」に対する漢方の考え方】
- 腹水の正体(原因): 西洋医学では肝臓の線維化による門脈圧亢進とアルブミン(タンパク質)低下が原因とされますが、漢方では水の流れの滞り(水毒)と、身体を支える栄養・体力の極度な不足(気血両虚・脾虚)、血の滞り(瘀血)が根本原因と考えます。
- 漢方の解決策: 病院の利尿剤で強制的に水を出しながら、漢方で「自分自身で水を動かす力」を整え、不足した栄養を補うことで「利尿剤に頼りきらずに腹水をコントロールできる身体の土台」を育てます。
- 対象となる主な疾患・お悩み: 肝硬変、腹水、お腹の張り・むくみ、食道静脈瘤、利尿剤が効きにくい・減らしたい方、腹水による食欲不振
肝硬変で腹水が溜まるメカニズムと、病院でのお薬・検査
肝硬変とは、長年のウイルス性肝炎や脂肪肝、アルコールの過剰摂取などによって肝臓の細胞が破壊と再生を繰り返し、徐々に硬く縮んでしまった(線維化)状態です。
この硬くなった肝臓が、お腹に「腹水」を溜め込んでしまう背景には、西洋医学的に大きく2つの理由があります。
- アルブミンの低下: 肝臓の機能が落ちると、血液中に水分を留めておく役割を持つ「アルブミン」というタンパク質が作れなくなります。その結果、血管からお腹の空間(腹腔)へ水分が漏れ出してしまいます。
- 門脈圧亢進(もんみゃくあつこうしん): 肝臓がカチカチに硬くなることで、胃腸から肝臓へ向かう太い血管(門脈)に血液が流れ込みにくくなり、血圧が異常に上がります。この圧力で、水分が血管から押し出されたり、血の逃げ場として「食道静脈瘤」ができやすくなったりします。
病院での検査と処方薬(西洋薬)
病院(消化器内科)では、血液検査(AST、ALT、アルブミン、ビリルビン等)や腹部エコー、CT検査などで肝臓の硬さや腹水の量を評価し、以下のような治療が行われます。
- 利尿剤(ラシックス、アルダクトン、サムスカなど): 尿の量を強制的に増やし、身体から余分な水分を排出させます。
- アルブミン製剤の点滴: 血液の水分保持力を高めるために、不足しているアルブミンを直接血管に入れます。
- 腹水穿刺(ふくすいせんし)やCART(腹水濾過濃縮再静注法): お腹に直接針を刺して水を抜き、苦しさを和らげる物理的な処置です。
これらの西洋医学のアプローチは、苦しい腹水を急いで減らし、命をつなぐために非常に理にかなった重要な治療です。
なぜ「利尿剤だけ」では限界が来るのか?
利尿剤は初期にはよく効きますが、長期間使い続けると、腎臓に大きな負担がかかって腎機能の数値(クレアチニン等)が悪化したり、電解質バランスが崩れたりすることがあります。さらに、腹水でお腹が圧迫されて食事がとれなくなり、体力が落ちて「これ以上強いお薬を使えない」という八方塞がりの段階になり、太陽堂へご相談に来られる方が少なくありません。
【薬剤師コラム①】「もう良くならない」と言われた方への正直な期待値
担当薬剤師:林 泰太郎(調剤薬局・漢方専門薬局での勤務経験あり)
肝硬変のご相談は、私たちが日々お受けする肝臓疾患の中で最も重いお悩みであり、「病院の先生から『これ以上は良くならない』とはっきり言われてしまいました」と肩を落としてご来店される方が数多くいらっしゃいます。
薬剤師として正直にお伝えすると、カチカチになった肝臓を元通りにすることや、腹水がどこまで改善するかについては、「実際に漢方薬の服用を始めてみないと分からない」というのが嘘偽りない本当のところです。
しかし、太陽堂の漢方ケアによって「お腹の張りが楽になり、腹水が減った・消えた方」や、「予断を許さない状態で来られたものの、漢方薬の継続によって体調が持ち直し、病院での『経過観察』に戻ることができた方」は実際に大勢いらっしゃいます。ですから、一定の変化や生活の質の向上は十分に期待できると考えています。
太陽堂がまず目標にしているのは、「利尿剤に過度に頼らなくても、腹水をコントロールできる身体の状態」です。
利尿剤に頼り切ると腎臓の数値が下がりやすくなり、腹水が進行すれば食事が摂れず「栄養失調」が命に関わります。病院の治療は絶対にそのまま続けながら、身体の側から「水の流れ」と「体力」を支える。それが太陽堂の漢方の役割だと考えています。
【比較表】西洋医学と漢方薬(太陽堂)のアプローチの違い
| 比較項目 | 西洋医学(病院のアプローチ) | 漢方薬(太陽堂の体質ケア) |
| 主な目的 | 腹水の物理的な排出、合併症の予防、生命維持 | 水を自力で巡らせる力の回復、体力の底上げ、血管の保護 |
| 得意なこと | 即効性のある利尿、穿刺による除水、食道静脈瘤の手術処置 | 食欲不振の緩和、腎臓の負担軽減、身体全体の「巡り」の改善 |
| 代表的な手段 | 利尿剤(ラシックス等)、アルブミン点滴、腹水穿刺、CART | 利水薬(水を流す)、補気健脾薬(胃腸と体力を補う)、活血薬(血流を整える) |
| お互いの関係性 | 溺れそうな状態から強制的に水を抜き命を守る「緊急の消水ポンプ」 | ポンプを動かすための電力を補い、水が溜まりにくい環境を作る「土台の再建」 |
漢方から見た「肝硬変・腹水」の体質タイプ別の解説
漢方では、腹水を「水が多すぎるから捨てる」という単純な問題とは考えません。「なぜ水が正しい場所(血管内)を流れず、お腹に漏れ出て溜まってしまうのか」という身体の機能低下と、水を動かすための「体力(栄養)」の両方に目を向けます。
太陽堂では、患者さまの腹水の状態や体力に合わせて、主に以下の3つの方向性を組み合わせてサポートを行います。
① 腹水でお腹が張る・足がむくむ(水毒:すいどく)
- お身体の状態: お腹がパンパンに張って苦しい、少し食べただけでお腹がいっぱいになる、足のむくみがひどい、尿が出にくい。
- 漢方的見解: 水が本来の通り道を外れてお腹や足に停滞し、行き場を失っている状態です。
- アプローチ: 【水の巡りを良くする漢方】を用いて、滞った水を本来のルートへ戻し、尿としてスムーズに外へ出すよう促すことで、お腹の張りとむくみを和らげます。
② だるい・食事が摂れず体力が落ちた(気血両虚・脾虚)
- お身体の状態: 血液検査でアルブミン値が低い、食が細くて食べられない、横になっていたいほどの倦怠感、顔色が悪い。
- 漢方的見解: 腹水で胃が圧迫されて食事が摂れないことに加え、長年の病で肝臓を回復させるための「栄養(血)」と「体力(気)」という土台が極度に低下している状態です。
- アプローチ: 【栄養を補い体力を支える漢方】を用いて消化吸収の働き(脾)を助け、自力で水を動かすためのエネルギーと回復力をしっかりと支えます。
③ 食道静脈瘤がある・肝臓の硬化が進んでいる(瘀血:おけつ)
- お身体の状態: 病院で食道静脈瘤を指摘されている、突然の吐血が怖い、皮膚に赤い斑点(クモ状血管腫)がある。
- 漢方的見解: カチカチになった肝臓に血液が流れ込めず、血流が強烈に滞って(瘀血)、食道の弱い血管などに大きな負担と圧力がかかっている状態です。
- アプローチ: 補助として【血流を整え、出血を予防する漢方】を加え、血管を保護しながら肝臓の硬化(線維化)の進行を少しでも抑え込むサポートを行います。
【薬剤師コラム②】塩分・便秘・小分け——腹水の食事で守りたい3つのルール
担当薬剤師:石川 満理奈(調剤薬局での勤務経験あり)
腹水でお悩みの方やそのご家族の方に、私たちが日々の生活で必ずお伝えしている「3つの大切なルール」があります。
- 塩分を徹底して控える: 塩分(ナトリウム)は、身体に水分を強力に引き寄せて溜め込む性質があります。せっかく利尿剤や漢方で水を出そうとしても、塩分を摂りすぎてはイタチごっこになってしまいます。病院の指示通りの減塩を徹底してください。
- 便秘を絶対にさせない: 肝硬変の方が便秘になると、腸の中で発生した「アンモニア」という毒素が肝臓で解毒しきれず、脳に回って意識障害(肝性脳症)を起こす危険があります。食物繊維を積極的に摂り、毎日お通じをつけることが非常に大切です。
- 食事は「小分け」にしてこまめに摂る: 腹水でお腹が圧迫されていると、一度にたくさんの量は食べられません。「食べられないから」と諦めると、一気に栄養失調に陥り体力が尽きてしまいます。1回の量を減らし、1日5〜6回に小分けにしてこまめに栄養を摂り入れるようにしてください。
この3つの土台が守られてこそ、漢方薬が「水を動かす力」を存分に発揮できるようになります。
【サポート実例】太陽堂での体質ケアのエピソード
①【腹水による吐き気・食欲低下】昭和50年生 男性|2ヶ月で病院の検査で腹水の消失を確認
【ご相談時の状態】 3年ほど前から病院で肝硬変の治療を続けられている方です。最近になって腹水が目立つようになり、水で胃が圧迫されることによる吐き気や食欲低下、身体全体のむくみが強く気になるとのことでご相談に来られました。
【太陽堂の提案】 お腹に停滞した水の処理(水毒)と、胃腸を動かすエネルギーの不足と見立て、①水の巡りを整える漢方薬 ②利水作用(尿として出す力)を助ける漢方薬 の2種類を組み合わせてお渡ししました。
- 1ヶ月後: 漢方を飲み始めてから、気になっていた胃の不快感や吐き気が少しずつ楽になってきました。
- 2ヶ月後: 病院での定期検査を受けたところ、エコーで「腹水の消失」が確認できたとのことでした。現在もさらなる体調安定に向けて継続中です。
②【アルコール性肝硬変・腹水】昭和41年生 男性|6ヶ月で腹水がほぼなくなり数値も安定
【ご相談時の状態】 病院でアルコール性肝硬変と診断されていた方です。腹水がひどくなってお腹がパンパンに張り、胃が圧迫されて食欲が落ち、強いだるさと体力の低下が気になるとのことでご相談に来られました。
【太陽堂の提案】 アルコールによる長年の肝臓の負担(湿熱・瘀血)と、水を捌く力の低下と見立て、①水の巡りを良くする漢方薬 ②利水と体力を支える漢方薬 の2種類をお渡ししました。
- 3ヶ月後: 腹水が楽になってきたとのこと。お腹の水も取れ、楽になっているとのことでした。
- 6ヶ月後: 腹水はほぼ目立たなくなり、血液検査の数値も安定しているとのことでした。その後も現在の良い状態を維持するために服用を継続されています。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。他の症例は症例紹介(肝臓・胆のう疾患)にも掲載しています。
「肝硬変の腹水と漢方」に関するよくあるご質問(FAQ)
病院の利尿剤(ラシックスなど)と漢方薬は一緒に飲めますか?
はい、基本的には併用可能です。病院の治療は必ずそのまま続けてください。
利尿剤を自己判断でやめることは絶対にしないでください。太陽堂が目指すのは、漢方で身体の本来の「水を巡らせる力」と「体力」を支え、結果として主治医の先生から「利尿剤を減らしても大丈夫ですね」と言われる状態に導くことです。お薬手帳をご提示いただければ、飲み合わせをしっかり確認いたします。
病院で「これ以上はもう良くならない」と言われています。それでも漢方を始める意味はありますか?
薬剤師として正直に申し上げると「始めてみないと分からない」部分もありますが、変化が見られた方は実際に多くいらっしゃいます。
コラムでもお伝えした通り、腹水が減った方や、予断を許さない重篤な状態でご相談に来られ、漢方の継続によって病院での「経過観察」にまで持ち直した方もいらっしゃいます。どこまで改善するかを100%お約束することはできませんが、現状の苦しさを和らげるための「一定の効果」は期待できると考えています。まずは今の検査結果とお薬の状況をお持ちのうえ、諦める前にご相談ください。
お腹が張って苦しいのですが、食事はどんなことに気をつければ良いですか?
「塩分を控える」「便秘をさせない」「小分けに食べる」の3つを徹底してください。
塩分は身体に水を溜め込む最大の原因になります。また、便秘はアンモニアが溜まって肝臓の解毒負担を増やすため、食物繊維を意識して摂りましょう。腹水で一度に量が食べられない時は、栄養失調を防ぐために「1日5回」など小分けにしてこまめに栄養を補給することが、腹水のコントロールにも直結します。
どのくらいで変化を感じられますか?
お身体の状態によりますが、まずは「3ヶ月」を一区切りの目安としてお願いしております。
実例のように1〜2ヶ月でお腹の張りや吐き気に変化が出る方もいらっしゃいますが、肝硬変という病気は肝臓の細胞が長年かけて硬くなってしまった状態であるため、体質そのものを支えていくには「半年〜年単位」の長期的なお付き合いになることがほとんどです。病院の検査結果を一緒に見ながら、焦らず二人三脚で進めてまいります。
まとめ:「水を出す」だけでなく、「水を動かせる身体」を支えよう
肝硬変による腹水とのお付き合いで本当に大切なのは、ただ溜まった水を強制的に抜くことだけではなく、「自分自身で水を動かし、肝臓を支えるための体力(土台)」を絶対に落とさないことです。
「もう良くならない」とお医者様から言われて絶望してしまっても、身体の側からアプローチできる余地はまだ残されています。
- 病院の利尿剤や治療は絶対に勝手にやめず、安全を守る
- 「塩分制限」「便秘予防」「小分けの食事」で栄養失調を防ぐ
- 漢方薬で「水の流れを整える」+「身体に必要な栄養・体力を補う」
この3つを組み合わせることで、腹水に振り回されない穏やかな日常を取り戻すためのサポートを一緒に行っていきませんか?
「お腹の張りが苦しくて、食事がとれずに体力が落ちていくのが怖い」
「利尿剤が増えるばかりで、腎臓への影響が心配だ」
そんな深い不安を抱えている方やそのご家族の方は、どうぞ一人で抱え込まずにお気軽に太陽堂へご相談ください。
肝硬変・腹水への太陽堂の詳しいアプローチは、こちらの専門ページをご覧ください。
関係性の深い病気;ご相談も多数いただいております。
ご自身の状態に近いものを下の表から選んで、詳しいページをご覧ください。
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太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。










