
「健康診断のたびに、クレアチニンの数値が少しずつ上がっていて不安だ」
「病院では『一度悪くなった腎臓は治らないから、悪くならないように食事に気をつけて様子を見ましょう』と言われただけ」
「クレアチニンを下げる漢方って、本当にあるの?」
クレアチニンの数値(腎機能低下)に関するご相談は、新宿の漢方薬局「太陽堂」でもとても多いお悩みのひとつです。
患者さまの状況も本当にさまざまで、基準値(1.0前後)を超えて心配し始めた初期の段階の方から、クレアチニンが6近くまで上がり「透析が目前に迫っている」と言われた方まで、幅広くいらっしゃいます。
今回は、「クレアチニンを下げる漢方はあるのか?」という切実な問いに対し、期待させすぎず、諦めさせすぎない「太陽堂の正直な答え」と、腎臓を守るための具体的な漢方アプローチについて、薬剤師の視点から解説いたします。
【この記事の結論:「クレアチニンと腎機能低下」に対する漢方の考え方】
- 痛みの正体(原因): 西洋医学では腎臓のろ過装置(糸球体)の不可逆的な破壊とされますが、漢方では腎臓周囲に溜まった老廃物と過剰な熱(湿熱・炎症)、血流の滞り(瘀血)、および生命力(腎気)の根本的な低下が原因と考えます。
- 漢方の解決策: すでに完全に壊れた糸球体を元通りにすることはできませんが、漢方で「くすぶる炎症を抑え、血流を巡らせる」ことで、まだ力を出せる残りの腎臓組織の負担を減らし、働きを引き出します。
- 対象となる主な疾患・お悩み: 慢性腎不全(CKD)、糖尿病性腎症、クレアチニン・BUN(尿素窒素)の高値、透析を少しでも遅らせたい方
クレアチニンとは?なぜ病院で「下がりにくい」と言われるのか
クレアチニン(Cr)は、筋肉を動かした後に必ず発生する「老廃物(ゴミ)」の一種です。血液中に溶け出したクレアチニンは、通常であれば腎臓の「糸球体(しきゅうたい:毛細血管の塊でできた高性能なろ過フィルター)」で綺麗にろ過され、尿として体外へ排出されます。
しかし、糸球体のろ過機能が落ちてくると、クレアチニンが尿へ排泄されずに血液中に溜まってしまいます。そのため、血液中のクレアチニン数値が上がっている=腎臓のろ過機能が落ちているというサイン(指標)として使われます。
病院で「腎臓は治らない」と言われる理由
西洋医学の常識において、腎臓のろ過装置(糸球体)は「一度完全に壊れてしまった部分は、二度と元(新しい細胞)には戻らない(不可逆的な変化)」とされています。これが、病院で「治らないから現状維持に努めましょう」と言われる理由です。
- 病院での主な治療と西洋薬: 降圧薬(血圧を下げて腎臓への圧力を減らす)、利尿薬(尿を出しやすくする)、尿毒症の毒素を吸着する薬(クレメジン等)、貧血を改善する注射などが処方されます。これらはすべて「残った腎臓の負担を減らし、悪化を遅らせる」ための対症療法です。
完全に壊れた部分と「休眠している部分」が混在している
しかし、ここで非常に重要な事実があります。
クレアチニンの数値が上がっている患者さまの腎臓の中には、「すでに完全に壊れてしまった部分」と、「周囲の炎症や血流の悪さが原因で、まだ生きているのに本来の力を出せずに休眠している部分」が混在しているということです。
漢方が働きかけ、力を引き出すことができるのは、まさにこの「後者の部分(まだ余力のある組織)」なのです。
【薬剤師コラム①】石川先生が解説:期待させすぎない、諦めさせない
担当薬剤師:石川 満理奈
「クレアチニンを下げたいのですが、漢方でどうにかなりますか?」というご相談をお受けする時、私たちは最初に「正直な線引き(できることとできないこと)」をしっかりとお伝えしています。
実際のところ、太陽堂の漢方ケアで「クレアチニンの数値が下がった」方も、「透析が心配な状態から踏みとどまり、透析に至らずに過ごせている」方もいらっしゃいます。
一方で、「クレアチニンが5や6まで上がってしまった数値を、正常値である1以下まで完全に元通りに戻す」というような回復は非常に難しいのが現実です。完全に壊れ、硬くなってしまった糸球体組織(線維化)は、漢方でも戻せないからです。
ですから、太陽堂での漢方ケアの目標設定は、患者さまのお身体(数値)の段階によって大きく2つに変わります。
- まだ余力が残っている段階: くすぶっている炎症と血流の悪さで力を出せていない部分を立て直し、機能の底上げ(数値の改善)を目指します。
- かなり進行してしまっている段階: 残っているわずかな腎臓の組織を全力で守り、悪化のスピードを少しでも緩やかにして、「透析を開始するまでの時間を1日でも長く延ばすこと」を現実的な目標とします。
どちらの段階であっても、やれることはあります。「治らないと言われたから、何もできない」ではないということを、ぜひ知っていただきたいのです。
【比較表】西洋医学(病院の治療)と漢方薬(太陽堂)のアプローチの違い
| 比較項目 | 西洋医学(病院のアプローチ) | 漢方薬(太陽堂の体質ケア) |
| 主な目的 | 腎臓への負担軽減(血圧管理)、老廃物の強制排出、合併症予防 | 腎臓の炎症沈静化、血流(瘀血)改善、残存組織の機能底上げ |
| 得意なこと | 血液検査による正確な病期分類、透析導入、血圧の強力なコントロール | 休眠している腎組織への働きかけ、炎症の火種を鎮める、全身の疲労感の同時ケア |
| 代表的な手段 | 降圧薬(ARB・ACE阻害薬等)、利尿薬、吸着炭(クレメジン)、食事療法 | 清熱解毒薬(炎症を抑える)、活血薬(血流改善)、補腎薬(土台を養う) |
| お互いの関係性 | 腎臓のこれ以上の破壊を防ぐ「最前線の防衛ライン」 | 残された腎臓の力を引き出し、守り抜く「頼もしい土台作り」 |
漢方の組み立て:炎症・血流・保護の「3方向」
太陽堂において、慢性腎不全やクレアチニン上昇に対する漢方の組み立ては、お一人おひとりの体質に合わせて、大きく以下の3つの方向性を組み合わせて行います。
① 腎臓でくすぶる炎症を取る(清熱解毒・湿熱除去)
- 漢方的見解: 腎臓の中でくすぶっている慢性的な炎症(火種)は、まだ生きている健康な腎臓の組織を少しずつ傷めつけていきます。
- アプローチ: 腎臓にこもった過剰な熱と不要な湿気(湿熱)を取り除き、炎症の火種を鎮める生薬(黄芩、黄連、茵蔯蒿など)を用います。
② 腎臓への血流を良くする(活血化瘀:かっけつかお)
- 漢方的見解: 腎臓は、全身の血液を毛細血管のフィルターでろ過する「血の臓器」です。そのため、腎臓に流れ込む血液の「質」と「量(血流)」が、ろ過機能を大きく左右します。
- アプローチ: 滞った血液をスムーズに巡らせる生薬(川芎、牡丹皮、丹参など)を用いて、腎臓の毛細血管の隅々まで酸素と栄養を届け、老廃物の回収を助けます。
③ 腎臓の土台を補い、保護する(補腎・健脾)
- 漢方的見解: 長年の酷使によって、腎臓そのものを動かす生命力(腎気)や、栄養を吸収する胃腸(脾)の働きが衰え、残っている組織に過重な負担がかかっている状態です。
- アプローチ: 「腎」を養う生薬(地黄、山茱萸など)や、胃腸の働きを助ける生薬を組み合わせ、残された腎機能がこれ以上疲弊しないように優しく保護します。
【薬剤師コラム②】林先生が解説:糖尿病があるかどうかは、必ず教えてください
担当薬剤師:林 泰太郎
クレアチニンの数値上昇に関するご相談をお受けする際、私たちが必ず最初に確認している重要なポイントがあります。それは、「糖尿病(または高血糖)の持病をお持ちかどうか」ということです。
なぜなら、糖尿病の三大合併症の一つが「糖尿病性腎症」——つまり、高血糖は腎臓の毛細血管を傷め、クレアチニンを上昇させる大きな原因だからです。
血液中の糖分が高い状態が続くと、腎臓の繊細なろ過フィルター(糸球体)は傷つき、目詰まりを起こしやすくなってしまいます。
糖尿病をお持ちの方の場合は、先ほどの「腎臓の炎症・血流・保護」の3つのアプローチに加えて、大元である「糖の代謝」も含めた全体の組み立てを考えます。腎臓だけを一生懸命綺麗にしようとしても、上の蛇口から汚れた水(高血糖)が流れっぱなしでは追いつかないからです。
ご相談にお越しになる際は、クレアチニンの数値だけでなく、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)などの血糖の数値も一緒にわかる血液検査の結果をお持ちください。全体像を見渡した組み立てを一緒に考えていきましょう。
【サポート実例】太陽堂での体質ケアのエピソード
①【慢性腎不全・クレアチニン2.55】炎症+血流の組み立てで、2.2前後で安定
10年ほど前に病院で「慢性腎不全」と診断され、クレアチニンの数値が上がってきたためご相談に来られた方。ご相談時の数値はクレアチニン2.55で、尿蛋白や身体の痒みも気になっていらっしゃいました。
お身体の状態から、①腎臓の炎症を取る漢方薬 ②血流を良くする漢方薬 の2種類をお渡ししました。
- 4ヶ月後: 血液検査にてクレアチニンが2.26まで下がり、検査数値が良くなってきました。
- 7ヶ月〜1年1ヶ月後: 数値が2.2前後で安定した状態を維持。体調良く過ごせているとのことでした。
②【慢性腎不全・クレアチニン2.77】波はありながらも、11ヶ月で落ち着いた状態へ
1年ほど前に病院で「腎不全」と診断され、自覚症状は特にないものの、数値が上がってきて心配になりご相談に来られた方。ご相談時の数値はクレアチニン2.77でした。
①腎臓の炎症を改善する漢方薬 ②血流を整える漢方薬 の2種類をお渡ししました。
- 2ヶ月後: クレアチニンが2.41まで改善。
- 5ヶ月後: 1.79まで改善し、大分良くなってきました。
- 8ヶ月後: 2.01と少し上がったものの、当初の2.77に比べると大分落ち着いた状態をキープ。数値は一直線に下がるわけではなく、波を打ちながら徐々に落ち着いていくのが実際の経過です。
- 11ヶ月後: 数値に大きな変わりはなく、調子も良いとのことでした。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。
今日からできる腎臓を守るための生活養生・食養生
病院での食事指導(タンパク質・塩分・カリウム制限)を守りつつ、以下の日常の養生を心がけることで、腎臓への負担をさらに減らすことができます。
- 血圧の管理を徹底する: 高血圧は腎臓の細い血管に強い圧力をかけ、悪化のスピードを速めます。自宅で毎日血圧を測定し、医師の指示通りの血圧コントロール(塩分制限等)を心がけましょう。
- 「水分補給」はこまめに、ただし無理のない量を: 水分が不足すると血液がドロドロになり腎臓への血流が悪化します。ただし、一気に大量に飲むと逆に腎臓に負担がかかるため、コップ1杯の常温の水を1日の中でこまめに分けて飲みましょう(※水分制限の指示がある方はそちらを優先してください)。
- 疲労を溜め込まず「冷え」を防ぐ: 過労や睡眠不足は「腎」のエネルギーを消耗させます。また、身体の冷えは腎臓への血流を悪化させるため、入浴や腹巻などで下半身を温かく保ちましょう。
- 自己判断で市販薬(特に痛み止め)を飲まない: ロキソニンやイブなどの市販の解熱鎮痛薬(NSAIDs)は、腎臓の血流を低下させる副作用があり、腎機能を悪化させることがあります。お薬を飲む際は必ず主治医や薬剤師に相談してください。
よくあるご質問(FAQ)
病院の先生から「透析が近い」と言われている段階でも、漢方相談はできますか?
はい、ご相談いただけます。
実際に、クレアチニン6前後の透析間近の状態でご相談に来られる方もいらっしゃいます。この段階での目標は「数値を正常に戻すこと」ではなく、「残っている腎臓の機能を全力で守り、透析までの時間を少しでも延ばすこと」です。病院の治療と並行しながら、今できるケアを一緒に考えていきます。
病院で処方された血圧の薬や糖尿病の薬と一緒に、漢方薬を飲んでも大丈夫ですか?
はい、基本的には安心して併用いただけます。
太陽堂へご相談に来られる方のほとんどが、病院のお薬(降圧薬や血糖降下薬など)を服用されています。病院のお薬を自己判断でやめることは絶対にしないでください。お薬手帳と、直近の血液検査の結果を一緒にお持ちいただければ、飲み合わせを確認し、より正確な漢方の組み立てができます。
どのくらいの期間、漢方薬を継続すれば変化が分かりますか?
お身体の状態によりますが、まずは「3ヶ月」を一区切りの目安としてお願いしております。
3ヶ月で治るという意味ではなく、血液検査の数値や身体のだるさといった体調面に「少し変化を感じられる可能性が出てくる目安」です。腎臓は定期的な血液検査で客観的に経過を追うことができるため、検査結果を一緒に確認しながら、二人三脚で進めてまいります。
まとめ:「治らない」と「何もできない」は違います
「病院で『治らないから様子を見ましょう』と言われ、検査のたびに上がっていく数値をただ黙って見ているだけなのが一番不安です」——。
多くの方が抱えるその深い不安に対して、私たち太陽堂がお伝えしたいことは以下の3つです。
- 漢方は「炎症を取り、血流を良くし、腎臓を守る」アプローチで、残された腎臓の力を引き出すことを目指せる
- 実際に数値が下がった方、透析に至らずに過ごせている方もいる(ただし「5→1」のような回復は難しい)
- 「完全に治るわけではない」けれど、「何もできないわけではない」
糖尿病をお持ちかどうか、血圧はどうなっているか、クレアチニンは今いくつなのか。ご自身の直近の血液検査の結果とお薬手帳をご用意いただき、どうぞお気軽に太陽堂へご相談ください。
あなたの今の腎臓の段階を丁寧に見極め、「今の段階で、身体の側からできること」を誠実にご提案いたします。不安な気持ちを一人で抱え込まず、一緒に大切な腎臓を守っていきましょう。
【ご相談をご希望の方へ】
慢性腎臓病(CKD)に対する具体的な漢方アプローチについては、こちらのページにて詳しく解説しております。全国対応のオンライン相談も承っております。
関係性の深い病気;ご相談も多数いただいております。
ご自身の状態に近いものを下の表から選んで、詳しいページをご覧ください。
| こんな方は | 病気・記事 | 詳しいページ |
| クレアチニン・eGFRの数値が気になり、腎臓を体質から守りたい | 慢性腎臓病(CKD) | 👉 慢性腎臓病でお悩みの方へ |
| 糖尿病をお持ちで、腎臓の数値も気になり始めた | 糖尿病性腎症 | 👉 糖尿病性腎症でお悩みの方へ |
| IgA腎症と診断され、数値の推移が気になる | IgA腎症 | 👉 IgA腎症でお悩みの方へ |
| 「経過観察」と言われた期間に、できることを探している | 腎機能低下と経過観察(記事) | 👉 経過観察中にできることの記事へ |
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。








