
「せっかくお薬が減って寛解したと喜んでいたのに、また尿タンパクが出た。『再発ですね』という主治医の一言で、頭が真っ白になった」
「再発のたびに、またステロイドの量が増える。ムーンフェイスや不眠などの副作用に耐えるこの繰り返しを、いったいいつまで続ければいいんだろう」
「数値が落ち着いている今この時も、『次はいつまた来るのか』『風邪をひいたら再発するんじゃないか』と考えると、心が休まらない」
ネフローゼ症候群、特に良くなっては再発を何度も繰り返す「頻回再発型」の辛さは、むくみやだるさといった症状そのものだけではありません。
「またいつ再発するかもしれない」という恐怖と、「この強いステロイド薬をいつまで繰り返すのか」という将来への絶望感——この2つが、本来は穏やかで安心できるはずの寛解(かんかい)の時期の心まで、深く削り取っていくことです。
この記事では、再発の波と付き合いながら、病院の治療と並走して「腎臓を支える身体の土台」を根本から整えていく漢方の考え方を、薬剤師の視点から一番正直に解説いたします。
【この記事の結論:「ネフローゼの再発・ステロイドの不安」に対する漢方の考え方】
- 起こる理由(原因): 西洋医学では腎臓のフィルター(糸球体)の異常(免疫の乱れ等)で大量のタンパクが尿に漏れ、血液中の水分が血管外に出て強いむくみが生じる状態とされます。漢方では、腎臓を支える生命力の低下と「水の巡り」の滞り、そして疲労やストレスで再発しやすい免疫の乱れが土台にあると考えます。
- 漢方の解決策: 病院のステロイド治療を主役に据えたまま、漢方で①腎臓の働きを内側から保護する ②疲労を回復し再発しにくい身体の環境を整える ③滞った水の巡りを整えてむくみを和らげる——という3本柱で並走し、土台を支えます。
- 対象となる主な疾患・お悩み: ネフローゼ症候群(微小変化型・膜性腎症など)、頻回再発型、ステロイド依存性、再発を繰り返して将来が不安な方、ステロイドの副作用が心配な方、むくみ・だるさが辛い方
ご相談の実像——悩みは「再発」と「ステロイドの将来」に集まる
ネフローゼ症候群は小児(子ども)に多いご病気としても知られていますが、太陽堂にご相談に来られるのは、仕事や家事・育児に追われる大人の方が中心です。そしてお話を深く伺うと、悩みの中心はいつも同じ「2つ」に集まります。
- 「再発の繰り返しへの恐怖」: 尿検査でマイナス(寛解)になっても、心から安心できない。朝の尿の泡立ちを見るたびに、定期検査のたびに「またタンパクが出ていないか」と身構えてしまう。
- 「ステロイドの将来への不安」: 再発のたびにプレドニン(ステロイド)の増量と再開の繰り返し。ムーンフェイス(顔の丸み)、骨粗鬆症、感染症への怯えなどの副作用の蓄積と、「一生このまま薬から離れられないのか」という出口の見えなさが重くのしかかる。
実際、ステロイドや免疫抑制剤と長く付き合いながら、再発の波を何度も繰り返している方が、ご相談に来られます。
「病院の治療は命を守るためにきちんと続ける。そのうえで、自分の身体と未来のために、他にできることはないのか」——その切実な問いへの私たちの答えが、この記事です。
【薬剤師コラム①】正直な立ち位置——主役は病院の治療です
担当薬剤師:石川
ネフローゼ症候群のご相談をお受けする際、私たちが患者さまと一番最初に共有し、大切にしている「一番正直な線引き」からお話しさせてください。
ネフローゼ症候群の治療の絶対的な主役は、ステロイドや免疫抑制剤によって、大量のタンパクの漏れを速やかに止める「病院の治療」です。
だからこそ、「漢方薬を飲めば必ず再発を防げます」「漢方薬だけでステロイドをすぐに減らせます」——そういった無責任なお約束は、私たちには決してできません。ステロイドの減薬の判断は、尿検査の数値を見ながら主治医の先生が慎重に行うものです。
そのうえで、私たち漢方薬が受け持てるのは、「主役の治療を決して邪魔せずに、腎臓を取り巻く身体の環境(血流や水はけ)を整える『並走役(サポーター)』」です。
お薬がタンパクの漏れを食い止めて腎臓を守ってくれている間に、身体の側の土台(疲れにくさ、免疫の安定)を整えておく。再発の波と付き合う『長い道のり』だからこそ、この「土台を整えて並走する」ことに大きな意味があると考えています。
【比較表】西洋医学(病院)と漢方薬(太陽堂)のアプローチの違い
| 比較項目 | 西洋医学(病院のアプローチ) | 漢方薬(太陽堂の体質ケア) |
| 主な目的 | ステロイド等でタンパク尿を強力に抑え、速やかに寛解へ導く | 腎臓を支える身体の環境(体力・免疫バランス・水の巡り)を整える |
| 得意なこと | 尿検査・血液検査による正確な把握、再発時の確実な治療 | むくみ・だるさなど、治療中も続く辛い自覚症状への体質からのアプローチ |
| 代表的な手段 | ステロイド(プレドニン等)、免疫抑制剤、利尿剤の内服 | 腎臓を保護する漢方薬、水の巡りを整える漢方薬、疲労を回復する漢方薬 |
| 気になる点 | 再発のたびにステロイドの増量・再開を繰り返しやすい、副作用 | 体質の根本からの変化のため、効果の実感に月単位〜年単位が必要なこと |
| 両者の関係性 | 再発の波を抑え込む「絶対的な治療の主役」——続けることが大前提 | 主役を邪魔せず、再発しにくい土台を陰から支える「並走のサポーター」 |
漢方の組み立て——「再発の波に備える」3本柱
太陽堂では、ネフローゼの患者さまに対して、以下の「3本柱」を基本に、病院の治療と並走できるオーダーメイドの漢方を調合します。
軸① 腎臓を内側から保護する漢方薬(補腎:ほじん)
- 狙い: 東洋医学では、腎臓は生命力の土台である「腎(じん)」の中心と考えます。タンパクの漏出やお薬によって負担がかかっている腎臓を支えるため、腎のエネルギーを優しく補い、負担から保護する方向の漢方薬を組み立ての軸に据えます。
軸② 再発しにくい身体の環境を整える漢方薬(補気・健脾)
- 狙い: 頻回再発型の方のお話を伺うと、「仕事の過労・強いストレス・風邪などの感染症」をきっかけに再発の波が来る方が少なくありません。胃腸の働きを立て直して体力(気)を補い、免疫のバランスを整えることで、ちょっとした疲れでは『揺らぎにくい身体の環境』を育てます。(※注意:単純に免疫力を上げるような健康食品・サプリの自己判断での使用は、かえって免疫システムを刺激して再発を招く恐れがあるためお勧めしません。必ず専門家にご相談ください)
軸③ 水の巡りを整える漢方薬(利水:りすい)
- 狙い: 腎臓の働きが揺らぐと、血管の外に水分が漏れ出して強いむくみが生じます。「水の巡り」を整えることで、むくみと重いだるさを和らげる方向をあわせて組み立てます。今ある不快な自覚症状が軽くなることは、日々の「不安」をやわらげることに直結します。
【改善実例】再発の波を乗り越えていったエピソード
太陽堂に実際にご相談に来られた方の実例を、記録からご紹介します。
【ステロイド減量中の再発の繰り返し】40代 女性|3ヶ月で数値が安定し、1年6ヶ月で服用終了
【ご相談時の状態】 1年ほど前にネフローゼ症候群と診断され、病院のステロイド治療で寛解したものの、薬を減らしていく過程で再発を繰り返している方です。「また再発するのではないかという恐怖と、むくみやだるさが辛い」と、ご相談に来られました。
【太陽堂の提案】 ①腎臓を保護して支える漢方薬 ②疲労を回復し再発しにくい環境を育てる漢方薬 ③水の巡りを整える漢方薬 の3種類を組み合わせてお出ししました。
- 1ヶ月後: 気になっていた朝の顔や足のむくみが軽減し、身体の重だるさが取れてきたとのこと。
- 3ヶ月後: 病院の定期検査で尿タンパクはマイナスを維持。ステロイドの減量もスムーズに進み始めたとのことでした。
- 8ヶ月後: 途中で風邪を引いた時も、以前のように再発の波が来ず乗り越えられたとのこと。
- 1年6ヶ月後: 主治医の判断でステロイドの服用が終了。その後も再発なく安定した状態が続いているため、漢方薬も服用終了となりました。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状の改善を保証するものではありません。
【薬剤師コラム②】食事の注意と、「すぐ病院へ」の大切なサイン
担当薬剤師:林
腎臓のご相談で、私たちが患者さまに食事について必ずお伝えしていることがあります。
大前提として、「塩分」や「タンパク質」の制限については、病院の主治医や管理栄養士の指導が『絶対の最優先』です。自己判断で厳しくしすぎるのも、逆に緩めるのも良くありません。
そのうえで、多くの方が陥りがちな「良かれと思って」の落とし穴を一つ。
「健康のために」と、生野菜サラダや生の果物、100%ジュースなどを毎日たくさん摂りすぎるのは、腎臓の状態(腎機能低下がある場合など)によっては逆効果になることがあります。生野菜や果物には「カリウム」というミネラルが豊富に含まれており、腎臓の働きが落ちている時はこのカリウムが身体に溜まりやすくなるためです。こちらも病院の指導に従いつつ、過量の摂取は控えるのが安心です。
【重要】こんな時は、漢方の相談より先に「すぐ病院へ」
次の変化が出た時は、迷わず早めに主治医の先生へ連絡(受診)してください。
- 急に足や顔がパンパンにむくんできた
- 一日の尿の量が明らかに減った/尿の泡立ちが急に強くなった・消えなくなった
- 高熱が出た/数日間で急激に体重が増えた(水分が溜まっているサイン)
これらは、ネフローゼが再発している(状態が動いている)サインかもしれません。病院での確認が最優先です。
よくあるご質問(FAQ)
ステロイドや免疫抑制剤の服用中でも、漢方の相談はできますか?
はい、ご相談いただけます。病院の治療を「続けること」が大前提となります。
現在飲んでいるすべてのお薬(ステロイド・免疫抑制剤・利尿剤など)をお薬手帳でお知らせいただき、飲み合わせ(相互作用)をしっかりと確認したうえで漢方の組み立てを考えます。病院薬の自己判断での減量・中止は、再発を招くため絶対に避けてください。
漢方を飲めば、再発を防げますか?ステロイドを減らせますか?
「必ず再発を防げる」「必ずステロイドを減らせる」とは言えません。減薬の判断は、尿検査の数値を見て主治医の先生が行うものです。
漢方薬の役割は、お薬が腎臓を守ってくれている間に、再発しにくい身体の土台を整えておくことです。減薬は、そのしっかりと整った土台の上で、主治医の先生と慎重に進めていくべきものです。
子どものネフローゼ(小児ネフローゼ)も相談できますか?
太陽堂へのご相談は大人の方が中心です。お子さまの場合は、まず小児科の主治医の先生の治療方針を最優先にしてください。
そのうえでご相談を希望される場合は、年齢・体格・現在の治療内容を詳しくお伺いした上で、漢方薬が飲めるかどうかも含めて、対応できるか正直にお答えします。無理におすすめすることはありません。
改善した実例(症例)はありますか?
はい、あります。この記事でも、ステロイド減量中の再発を繰り返していた方が1年6ヶ月で服用終了となった記録をご紹介しています。
また、近縁の実例として、ステロイド(プレドニン)を使いながら病院の治療と並走し、減量を経て治療終了に至った『膠原病(多発性筋炎)』の記録も公開しています(記事末尾のリンク)。あわせてご覧ください。
どのくらいの期間で変化が出ますか?
まずは「3ヶ月」を一つの目安として、むくみやだるさの軽減が見られるかを確認します(※個人差があります)。
そこから、体調の安定や、再発の波(間隔)が以前より延びているかなどを、年単位でじっくりと見ていく経過が一般的です。
どんな時は、漢方より先に病院へ連絡すべきですか?
急なむくみ・尿量の減少・尿の泡立ちの急な変化・高熱・数日間での急激な体重増加が出た時は、迷わず早めに主治医の先生へ連絡してください。
再発のサインかもしれず、病院での確認が最優先です。定期的な尿検査・血液検査は必ず続けながら、漢方はその上に並走させてください。
まとめ:再発に「怯えるだけの時間」を、「備え・土台を育てる時間」に
「また再発するかもしれない」と、毎朝の尿の泡立ちに怯えながら過ごす寛解期は、患者さまの心を深くすり減らします。その時間を、ただ怯えて待つだけの時間から、自分の身体のためにできることをする有意義な時間に変えていきましょう。
- 治療の絶対的な主役は病院のステロイド。漢方はそれを置き換えず、並走して土台を整える。
- 漢方の組み立ては「腎臓の保護 + 再発しにくい環境づくり(過労のケア) + 水の巡り(むくみ改善)」の3本柱。
- 食事は病院の指導が最優先。生野菜・果物(カリウム)の摂りすぎに注意。急なむくみや泡立ちはすぐ主治医へ。
病院の治療を一生懸命続けながら、自分の身体と未来のために「できることをもう一つ増やしたい」——そう思われた方は、どうぞ一人で抱え込まずに太陽堂へご相談ください。
直近の検査の数値、お薬の内容、そしてあなたの体質を丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、あなたの腎臓をいたわりながら優しく支える漢方ケアをご提案いたします。
【ご相談をご希望の方へ】
ネフローゼ症候群(頻回再発型)に対する具体的な漢方アプローチについては、こちらのページにて詳しく解説しております。全国対応のオンライン相談も承っておりますので、まずはお気軽にお声がけください。
関係性の深い病気;ご相談も多数いただいております。
腎臓・ステロイドに関するお悩みについて、以下の記事もあわせてご覧ください。
▼ループス腎炎——SLEで尿タンパク・むくみを指摘された方へ
▼近縁の実例:プレドニン減量を経て治療終了した膠原病(多発性筋炎)の記録
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
太陽堂がはじめての方へ
ご相談を考え始めた方は、まずこちらをどうぞ。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。













