
「最近、子どものまばたきや咳払いがすごく気になる。これって、もしかして私の育て方や叱り方が悪かったせいなの……?」
「本人に『その癖、やめなさい』と注意していいの?それとも、全く触れないほうがいいの?」
「この状態はいつまで続くんだろう。病院に行くべき目安も分からなくて、毎日不安で仕方ない」
お子さまの「チック症」のご相談において、太陽堂に駆け込んでこられる親御さんから寄せられるお悩みや深い不安は、驚くほど共通しています。
この記事では、新宿の漢方薬局「太陽堂」の店頭で、私たちが親御さんから実際にいただいている「3大質問」に対して、店頭でお答えしている言葉をできるだけそのまま、正直にお伝えします。
お子さまの体質を整える漢方の考え方とともに、親御さんの心の重荷を少しでも軽くするお手伝いができれば幸いです。
【この記事の結論:親御さんの「3大質問」への太陽堂の答え】
- 「私のせいでしょうか」への答え: 周りの環境が影響を与える可能性は否定できませんが、元々そのお子さんが持つ体質などで起こりやすくなる場合も多いのです。ご自身を責めるより、お子さんの症状が良くなるよう見守り、サポートしてあげることが大切です。
- 「指摘していいの?」への答え: お子さんと親御さんの性格によって答えが変わります。嫌がる場合は指摘せず「癖」として見守るのが正解ですし、嫌がらない・自覚できる年齢であれば「本人の自覚を助ける範囲での声かけ」ならOKとしています(※詳しくは本文で解説します)。
- 「いつ治まるの?」への答え: 漢方での体質ケアでは、子どもの場合「1〜2ヶ月」で改善の兆候が見えてくる方が多いです(個人差はあります)。実例では、9才のお子さまが1年1ヶ月で服用終了まで至っています。
なお、チック症という病気そのものの解説と症例はチック症・トゥレット症の専門ページにまとめています。この記事は「親御さんの関わり方」に絞ってお話しします。
親御さんからの質問トップ3——皆さん、同じことで深く悩んでいます
太陽堂の店頭で、チックのお子さまをお連れの親御さんから最も多くいただく質問は、以下の3つに集約されます。
- どのくらいの期間でこの症状は治まるのか?
- 日常生活で気を付けたほうが良い習慣や食べ物はあるか?
- どのような過程(順序)をたどって改善していくケースが多いのか?
そして、言葉にははっきりと出されないけれど、多くの親御さんの心の中に重くのしかかっているのが、「もしかして、私の育て方が悪かったのではないか」という強い自責の念です。まず一番最初に、ここからお答えしていきます。
【薬剤師コラム①】「親のせいでしょうか」——店頭でお答えしている言葉のまま
担当薬剤師:石川
「仕事でバタバタしていて、最近きつく叱りすぎていたからでしょうか。私の育て方が悪かったんでしょうか……」と、店頭で涙ぐみながら聞かれる親御さんは決して少なくありません。
そんな時、私はいつも患者さまの目を見て、こうお答えしています。
「周りの環境が影響を与える可能性は否定できませんが、元々そのお子さんが持つ体質などで起こりやすくなる場合も多いです。ご本人の症状が良くなるよう、親御さんが見守ってあげる・サポートしてあげることが大切ですよ」
チック症は、「育て方の失敗」や「愛情不足」で起こる病気ではありません。東洋医学の視点で言えば、お子さま自身がもともと持っている『体質(自律神経の過敏さ)』という土台の上に、日常の何気ない緊張や環境の変化がコップの水のように重なって、あふれ出た結果として症状が出ているだけなのです。
過去を振り返って「あの日叱ったからだ」と原因探しをするよりも、これからの見守り方とサポートに親御さんの気持ちを向けていただくこと——それが、お子さんにとっても親御さんにとっても、一番の解決への近道になります。
「指摘していい?」——お子さんのタイプ別の答え
「咳払いやまばたきをしている時、注意した方がいいですか? 無視した方がいいですか?」
この質問に対する太陽堂の答えは「一つ」ではありません。お子さんご本人と親御さんの性格、そしてご兄弟との関係性によって、店頭でも答えを変えてアドバイスしています。
パターンA:本人や親御さんが、話題に出されるのを嫌がる(気にする)場合
【答え:指摘は控えます】
このタイプのご家庭には、お子さまの前で「チック」という言葉は使わず、「ちょっとした癖(くせ)」という表現を使うことが多いです。
「癖」が出ているときは、「やめなさい」と指摘して直させるのではなく、「今、ストレスの原因や生活習慣の乱れがないか?」を親御さんの側でこっそり確認していただき、思い当たる因子(睡眠不足や疲労など)があれば、お子さんのプレッシャーにならない範囲でそっと減らしてあげるサポートに徹します。
パターンB:本人や親御さんが、話題に出すのを嫌がらない場合
【答え:自覚を助ける範囲での声かけならOKです】
ある程度ご本人が自分の症状を理解し、漢方などで少し症状を抑えられるようになった段階では、「声かけ」の範囲での指摘はOKとお伝えしています。ご兄弟の仲が良く、お互いにフラットに指摘し合えるような場合も、こちらのケースに当てはめることが多いです。
ただし、あくまで「叱って直させる」のではなく、「今、癖が出ているよ」とご本人が自覚するのを優しく助ける範囲まで——ということを、親御さんには事前にお願いしています。
病院受診・学校との連携の「目安」
「いつ病院に連れて行くべきか」「学校の先生に言うべきか」も迷うポイントです。太陽堂では以下の目安をお伝えしています。
- 病院受診の目安: 首振りなどの運動症状が強くなって首や肩を痛めてしまう場合や、チック以外の精神面の症状が強く出てきた場合は、受診をおすすめしています。
- 学校・園との連携の目安: 学校や園にいる時(集団生活や授業中)に特に症状が強く出るケースでは、連携が必要と判断してご提案しています。「こういう症状(癖)が出る体質です」と担任の先生に事情を伝えておくだけでも、お子さんが注意されるリスクが減り、精神的な負担は大きく変わります。
【薬剤師コラム②】「親の関わりが変わって良くなった」は、本当によくあります
担当薬剤師:前原
ご家庭でできるセルフケアを聞かれたら、私が店頭でお伝えするのは2つだけです。「過度に心配しないこと(心配しすぎないこと)」と、「食事や睡眠などの生活環境を整えてあげること」です。
ここで正直にお伝えしてしまうと、チックのご相談に来られる親御さんは、お子さんを思う愛情が深すぎるあまり、お子さんへの関わり方が少し「過干渉気味(心配しすぎて常にお子さんの顔色を監視してしまう状態)」になっている方が多い印象を受けます。それは、それだけ真剣に我が子と向き合っておられる証拠でもあります。
でも、私たちがアドバイスをして、こんな流れを本当によく見るのです。
親御さんが「私のせいじゃないんだ」と安心し、漢方薬で症状が少しずつ改善してくる過程で、親御さん自身の心の余裕(安心感)が生まれ、落ち着いてくる。
↓
すると、常に心配の目で見られていたお子さんが、安心感から自発的に発言や行動ができるようになる。
↓
親子の関係性が安定して、チックの症状もさらに落ち着いていく——という好循環です。
漢方薬はお子さんの体質(自律神経)を直接整えますが、この好循環の入り口を作るのは、親御さんの「少し肩の力を抜いた、安心感のある見守り」なのです。一人で抱え込まず、私たち専門家と役割分担をしていきましょうね。
【比較表】西洋医学(病院)と漢方薬(太陽堂)のアプローチの違い
| 比較項目 | 西洋医学(病院のアプローチ) | 漢方薬(太陽堂の体質ケア) |
| 主な目的 | 症状が非常に強い場合に、お薬で脳の神経伝達を抑える | 自律神経の過緊張と気の詰まりを整え、チックが出にくい体質を育てる |
| 得意なこと | 症状の強力な抑制、他の脳疾患との鑑別・見分け | 体質からの根本ケア、親御さんへの関わり方や生活のアドバイス |
| 代表的な手段 | お薬の処方(ハロペリドール等)、経過観察 | 筋肉の緊張を鎮める漢方薬、気の巡りや体質を整える漢方薬 |
| 気になる点 | 「とりあえず経過観察で」と言われ、家でどうすればいいか分からない | 体質の変化を実感するまでに一定の期間(子どもは1〜2ヶ月)が必要 |
| 両者の関係性 | 診断と、重度な症状を直接支える「主治療」 | 体質と家庭環境の側から優しく支える「並走のサポーター」 |
漢方から見た子どものチック——太陽堂の「組み立て」
お子さまのチックに対して、太陽堂では主に以下の2つの方向性から漢方を組み立てます。
- 筋肉の過緊張と、自律神経の高ぶりを鎮める(平肝熄風・理気): まばたきや首振り、咳払いといった「症状」そのものの引き金になっている、神経の過剰な高ぶりや気の詰まりを優しく解きほぐします。
- 体内にこもった「熱」を冷ます(清熱): チックのお子さまは、エネルギーが有り余って体内に「熱」がこもりやすい体質(肝火上炎など)であることが多く、この熱が神経を刺激します。これを冷ますことで、精神的な落ち着きを取り戻します。
【改善実例】お子さんの症状が落ち着いていったエピソード
①【首振り・咳払い・汚言】9才 男の子|7ヶ月で頻度が10→1に、1年1ヶ月で服用終了
【ご相談時の状態】 6年前から言葉や動きが気になり、病院でチック症と診断。経過観察で様子を見ていたものの、最近は症状が強く出てきたためご相談に来られました。首振りや咳払いなどの運動チック、高い声で叫ぶような音声チックがあり、「バカ」のような言葉を抑えられない「汚言(おげん)」も気になるとのことでした。
【太陽堂の提案】 ①筋肉の緊張を鎮める漢方薬 ②気の巡りや体質を整える漢方薬 の2種類をお渡ししました。
- 2ヶ月後: 咳払いや首振りが減ってきているとのこと。3ヶ月後には音声チックや汚言も減ってきました。
- 7ヶ月後: 当初の頻度に比べて「10→1」程度しか出ていないとのこと。
- 1年1ヶ月後: 症状はほぼ出ておらず、調子よく過ごせているとのことで、服用終了となりました。
②【声と身体の動き】3歳から症状のあった男の子|2ヶ月で症状が2割程度に
【ご相談時の状態】 3歳頃からまばたきの症状が出始め、年々ひどくなるためご相談に来られたお子さんです。「ん!」と声が出てしまう、顔や身体を動かすのが気になるとのことでした。
【太陽堂の提案】 ①筋の緊張を和らげる煎じ薬 ②気の巡りを整える煎じ薬 をお渡ししました。
- 1ヶ月後: 運動・音声の症状ともに半分ほどに。感情の起伏も少なくなったと喜ばれておりました。
- 2ヶ月後: 全ての症状が2割程度まで減っているとのこと。調子良く過ごされています。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状の改善を100%保証するものではありません。
ご家庭でできる、チックを遠ざける暮らしの基本
- 「過度に心配しない(監視しない)」こと: 親御さんの不安や焦りは、鏡のようにお子さんに伝わります。「成長の過程でよくあること。体質を整えていけば大丈夫」という大きな構えでいることが、何よりの家庭環境づくりになります。
- 睡眠と食事の環境を整える: 睡眠不足や疲労はチックの最大の引き金です。就寝時間を決める、食事のバランスを整える、寝る前のゲームや動画メディアとの距離を置くなど、特別なことではなく「基本の生活リズム」を整えてあげてください。
- 症状の出る場面を「そっと」観察しメモする: どんな時(疲れた日の夕方、行事の前の日、叱られた直後、ゲーム中など)に症状が増えるのか。このメモは、親御さんが悪化の因子を減らす手がかりにも、太陽堂での漢方組み立ての大きな手がかりにもなります。
よくあるご質問(FAQ)
子どものチックは、親のせいでしょうか?
周りの環境が影響を与える可能性は否定できませんが、元々そのお子さんが持つ体質などで起こりやすくなる場合も多いです。
「育て方の失敗」で起こるものではありません。過去を責めず、お子さんの症状が良くなるよう見守ってあげる・サポートしてあげることが大切です。
症状が出た時、本人に指摘してもいいですか?
お子さんと親御さんの性格、ご兄弟との関係によって答えが変わります。迷ったら「指摘しない」のが安全です。
嫌がる場合は指摘を控え、「癖」として見守りながら生活の因子を減らします。嫌がらない場合は、症状をある程度抑えられるようになった段階で、「自覚を助ける範囲の声かけ」までならOKとお伝えしています。
どのくらいの期間で症状は治まりますか?
漢方でのケアでは、お子さんの場合1〜2ヶ月で改善の兆候が見えてくる方が多いです。
実例のように2ヶ月で症状が2割程度まで減ったお子さんもいれば、1年かけてじっくり服用終了に至ったお子さんもいらっしゃいます。波がありますので、一喜一憂せず、ゆるやかに減っていく全体の流れを一緒に見ていきましょう。
家庭で気を付けることはありますか?
「過度に心配しないこと」と「食事や生活環境を整えてあげること」の2つです。
親御さんの関わり方が少し変わり、症状の改善とともに親御さん自身が落ち着いてくると、お子さんが自発的に発言・行動できるようになり、関係性が安定して症状も落ち着く——という好循環は、本当によくあります。
病院を受診したり、学校に伝えたりする目安はありますか?
受診の目安は、運動症状が強くなって首や肩を痛めてしまう場合や、チック以外の精神面の症状が強く出てきた場合です。
学校や園で特に症状が強く出る場合は、先生方との連携が必要と判断してご提案しています。事情を伝えておくだけでも、お子さんの負担は変わります。
病院のお薬と漢方は併用できますか?
はい、基本的には併用可能です。
病院のお薬を飲んでいる場合は、続けたまま漢方が並走できます。お薬の変更は自己判断せず、必ず処方している先生と相談してください。漢方薬の味がお子さまに合うかどうかも含めて、様子を見ながら丁寧に調整していきます。
まとめ:親御さんの「責める気持ち」を、「見守りとサポート」に変えていく
「私のせいかもしれない」「将来ずっとこのままだったらどうしよう」
親御さんが我が子を思うからこそ抱えるその深い不安は、痛いほどよく分かります。でも、もうご自身を責める必要はありません。
- チックは育て方の失敗ではない。お子さん自身の「体質の土台」の上に起こるもの
- 指摘は「お子さんのタイプ別」に。迷ったら一切控えて、生活の悪化因子をそっと減らす
- 親御さんが過度に心配しすぎず、漢方で体質側からケアすることで「親子の好循環」を作る
「子どものチックに、親としてどう向き合えばいいか分からず辛い」
「病院で経過観察と言われたけれど、ただ待つだけでなく何かしてあげたい」
そんな親御さんは、どうぞ一人で抱え込まずに太陽堂へご相談ください。お子さんの症状の出方・生活の様子を丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、お子さんの体質に合わせた漢方ケアと、ご家庭での関わり方をご提案いたします。
【ご相談をご希望の方へ】
チック症・トゥレット症に対する具体的な漢方アプローチについては、こちらのページにて詳しく解説しております。全国対応のオンライン相談も承っておりますので、まずはお気軽にお声がけください。
関係性の深いお悩み;ご相談も多数いただいております。
チックに関するさまざまなお悩みについて、以下の記事もあわせてご覧ください。
▼大人のチックと漢方
▼エビリファイとチックの漢方
▼抑肝散でチックが変わらなかった方へ
▼自律神経失調症
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
太陽堂がはじめての方へ
ご相談を考え始めた方は、まずこちらをどうぞ。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。















