
「話し始めの声が詰まってしまい、息を振り絞るようにしか話せない。特に仕事の電話が一番つらい」
「病院でボトックス注射を勧められたけれど、効果が切れるたびに打ち続けるのかと思うと、受けるべきか迷っている」
「先生には『原因はストレスや心因性』と言われた。じゃあ、ストレスをなくせない私はどうすればいいの?」
声帯の筋肉が意志とは無関係に痙攣(けいれん)してしまい、声が詰まったり震えたりする「痙攣性発声障害(けいれんせいはっせいしょうがい)」。
太陽堂にご相談に来られる方の多くが、コミュニケーションに直結するこの深い苦痛と、治療法の選択に対する迷いを抱えていらっしゃいます。そして、ネットの検索で最も多く見られるのが「本当に治った人はいるの?」という切実な問いです。
先にお答えいたします。太陽堂の店頭の実感として、この病気は、漢方でのケアで良くなっている方が多くいらっしゃいます。なぜなら、この病気の背景には「自律神経の乱れ」が深く関わっており、そこは漢方の得意とする領域だからです。
今回は、痙攣性発声障害の西洋医学的なメカニズムとボトックス治療の役割を整理したうえで、太陽堂が考える「自律神経から立て直す漢方アプローチ」について、服用終了まで至った2件の実例とともに、薬剤師の視点から詳しく解説いたします。
【この記事の結論:「痙攣性発声障害」に対する漢方の考え方】
- 正直な答え: 「治った人はいますか?」——良くなっている方は多くいらっしゃいます。声のつまり・かすれがほとんど出なくなり、服用終了まで至った実例をこの記事でご紹介します。
- 不調の正体(原因): 西洋医学では脳の神経回路の異常による声帯の過緊張とされますが、漢方では長期のストレスや緊張で「気」の巡りが滞り(気滞)、喉まわりの筋肉を過剰に収縮させている状態と考えます。
- 漢方の解決策: 声帯(局所)に直接働きかける病院の治療とは役割を分け、漢方は「自律神経の過緊張を解きほぐす」「喉の炎症や違和感を和らげる」という土台側から、声が詰まりにくい身体を育てます。
- 対象となる主な疾患・お悩み: 痙攣性発声障害(内転型・外転型・混合型)、声が詰まる・かすれる・震える方、電話や接客など特定の場面が辛い方、ボトックス注射を迷っている方
なお、病気そのものの解説(内転型・外転型の分類表など)は痙攣性発声障害の専門ページにまとめています。この記事では「診断された後の向き合い方」に絞ってお話しします。
痙攣性発声障害とは?「ボトックスで迷う」が生まれる理由
痙攣性発声障害は、声を出すときに声帯の筋肉が自分の意思とは関係なく異常に収縮してしまい、声が詰まる、震える、あるいは途切れてしまう病気です。
患者さまの約9割は、声帯を閉じる筋肉が過剰に働いてしまう「内転型(ないてんがた)」であり、「あ」や「お」などの特定の音が出しにくい、電話や大きな声を出さなければならない緊張する場面で特に悪化しやすい、という特徴があります。
病院で行われる主な治療
病院(耳鼻咽喉科など)では、主に以下の治療が行われます。
- ボツリヌス療法(ボトックス注射): 首の外側から声帯の筋肉に直接ボツリヌス毒素を注射し、筋肉を一時的に麻痺させて過緊張を和らげる、現在の標準治療です。即効性があり効果を感じる方も多いです。
- 音声訓練(リハビリ): 言語聴覚士の指導のもと、喉に負担をかけない発声法を練習します。
- 甲状軟骨形成術などの外科手術: 声帯を支える軟骨の形を変えて、声帯が過剰に閉じるのを物理的に防ぐ手術です。
なぜ「ボトックスで迷う」のか
ボトックス注射は有効な治療ですが、太陽堂には「注射を打ち続けるべきか迷っている」という方が多く来られます。その理由は、効果が数ヶ月で薄れるため繰り返し受ける方が多いことと、注射の直後にしばらく声がかすれる時期がある方もいること——この2つです。
そして迷いの根っこには、「そもそも、なぜ自分の声帯だけがこんなに勝手に緊張してしまうのか?」という、根本的な疑問に対する答えがないことへの不安があります。ここに、漢方薬の出番があるのです。
【薬剤師コラム①】なぜ「自律神経」が声を詰まらせるのか
担当薬剤師:前原
喉や声帯という器官は、私たちが思っている以上に「自律神経の影響を非常に受けやすい」という特徴を持っています。
大勢の人の前でスピーチをするときに極度に緊張して声が上ずる、頭が真っ白になって声が出なくなる——誰にでもあるそんな経験の、いわば「慢性化して固定されてしまった極端な形」が、この病気の土台だと考えると分かりやすいかもしれません。
漢方の考え方では、ストレスや極度の緊張、過労によって体内の「気(エネルギー)」の巡りが激しく滞る(気滞:きたい)と、その気が喉に詰まり、喉まわりの筋肉を過剰に収縮させてしまうと捉えます。
つまり、声帯の筋肉そのものが故障しているというより、声帯をコントロールしている「神経の指令系統(自律神経)」が乱れているのです。だからこそ、局所へのケアとあわせて、「自律神経を整える」という根っこの側からのアプローチに意味があるのです。
接客業や学校の先生、オペレーターなど「声を使うお仕事」の方のご相談は確かに多いです。ただ、そういう方だけの病気ではないのも事実です。声をあまり使わない事務職や主婦の方でも、ストレスの蓄積から発症する方はたくさんいらっしゃいます。「声を使いすぎた覚えがないのにどうして?」と不思議に思っている方も、どうぞご相談ください。
【比較表】西洋医学(病院)と漢方薬(太陽堂)のアプローチの違い
| 比較項目 | 西洋医学(病院のアプローチ) | 漢方薬(太陽堂の体質ケア) |
| 働きかける場所 | 声帯の筋肉そのもの(局所) | 背景にある自律神経の乱れ(根本的な土台) |
| 得意なこと | ボトックスによる声帯の過緊張の直接的な緩和 | 「なぜ過緊張するのか」という体質側の立て直し、再発しにくい土台づくり |
| 代表的な手段 | ボツリヌス療法(ボトックス注射)、音声訓練、外科手術 | 自律神経を整える漢方薬、喉の炎症・違和感を和らげる漢方薬 |
| 気になる点 | 注射直後のかすれ(副作用)と、数ヶ月で効果が切れるための繰り返しの通院 | 体質の変化を実感するまでに一定の期間(まずは3ヶ月が目安)が必要なこと |
| 両者の関係性 | 局所に直接働きかける「治療の軸」 | 自律神経を整え、緊張の悪循環を断つ「土台の軸」——並行することも可能です |
漢方から見た痙攣性発声障害——「2つの軸」で組み立てます
太陽堂では、痙攣性発声障害の患者さまに対して、「自律神経」と「喉の局所」の両方からアプローチする2つの軸で漢方をオーダーメイドに組み立てます。
軸① 自律神経を整える——「根っこ」へのアプローチ(理気・平肝)
- 狙い: 喉はストレスの直撃を受けやすい器官です。自律神経の過剰な高ぶりを鎮め、気の滞りをスムーズに流す漢方薬(柴胡や釣藤鈎など)で、喉の過緊張の大元にある心身のパニック状態を優しく解きほぐします。後ほどご紹介する実例2件とも、この軸が組み立ての中心となっています。
軸② 喉そのものを整える——「症状」に合わせた組み合わせ
- 狙い: 患者さまお一人おひとりの症状の出方に合わせて、以下のような漢方薬を組み合わせます。
- 声の使いすぎ等による喉の炎症を鎮める漢方薬(清熱)
- ヒステリー球のように「喉に何かが詰まっている感じ」を和らげる漢方薬(降逆)
- 筋肉の異常な収縮・痙攣をダイレクトに緩和する漢方薬(芍薬甘草湯ベースなど)
【薬剤師コラム②】「治った人はいますか?」への、正直な答え
担当薬剤師:石川
この病気でネットを検索される方の多くが、「治った」という希望の言葉を必死に探していらっしゃいます。それだけ、出口の見えない深い辛さと絶望感がある病気なのだと、店頭でお話ししていて痛いほど感じます。
店頭での一番正直な実感をお伝えします。痙攣性発声障害は、漢方でのケアによって良くなっている方が多いご相談です。
実際に、声の詰まりやかすれがほとんど出なくなり、服用終了まで至った方がいらっしゃいます(次の項目で実例をご紹介します)。
なぜ漢方で良くなる方が多いのかといえば、この病気の背景には「自律神経の乱れと心の緊張」が深く関わっており、自律神経は漢方の得意とする領域だからです。
もちろん、効果の出方には個人差がありますし、「必ず」とは言えません。でも、「もう良くならないのでは」と諦めかけている方にこそ、体質の側から打てる手がまだ残っていることを知ってほしいのです。
すでにボトックスを受けている方も、これから受けるか迷っている方も、今の状態のままで大丈夫です。お薬や治療の内容を伺いながら、あなたに合う組み立てをご提案します。
【改善実例】声のつまりが治まっていったエピソード
①【声のつまり・震え・かすれ声】40代 女性|2ヶ月で変化、1年で症状ほぼなく服用終了に
【ご相談時の状態】 3年ほど前から調子が悪く、病院で痙攣性発声障害と診断。改善が見られないため、ご相談に来られました。声のつまり・声の震え・かすれ声が気になり、少し話しただけで声が出しにくくなってしまうとのことでした。
【太陽堂の提案】 ①自律神経を整える漢方薬 ②自律神経を整える補助剤 の2種類を組み合わせてお渡ししました。
- 2ヶ月後: 声のつまり・かすれ声が良くなっているとのこと。調子の良い日が増えています。
- 4ヶ月後: かすれ声はまだあるものの、声のつまりはほとんどなくなったとのこと。
- 1年後: 症状もほとんど出ていないとのことで、服用終了となりました。
②【かすれ声・出しにくさ】40代 女性|6ヶ月でほとんどかすれなくなり、その後服用終了に
【ご相談時の状態】 1年ほど前から症状が気になり、病院で痙攣性発声障害と診断された方です。かすれ声が気になり、声を出そうとしても上手く出ないとのことでした。
【太陽堂の提案】 ①自律神経を整える漢方薬 ②喉の炎症を取る漢方薬 の2種類を組み合わせてお渡ししました。
- 2ヶ月後: かすれ声も少し良くなってきて、声も出しやすくなっているとのこと。
- 6ヶ月後: 声はほとんどかすれなくなったとのこと。調子の良い日が増えています。
- 1年2ヶ月後: 声のかすれはほとんどなくなり、声の出しにくさもなくなったとのこと。調子良く過ごせており、その後、服用終了となりました。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状の完全な改善を保証するものではありません。
ご自宅でできる、声を守る暮らしの基本
- 「気にしすぎない」を一番大切にする: 発声の練習を頑張ることよりも、私たちが店頭でお伝えしているのは「自分の声の出方を気にしすぎないこと」です。「また詰まるかも」「変な声だと思われたらどうしよう」という過度な身構え(予期不安)が、喉の筋肉の緊張をさらに強めてしまいます。うまく話せない日があっても、決してご自身を責めないでください。
- 自律神経を乱さない「規則正しい生活」を: 睡眠のリズムを整える、ストレス源から物理的に距離を置く、夜はゆっくり湯船につかる。喉だけのケアに執着するより、こうした「自律神経を整える基本の生活」が、結果として最も力強く声を守ってくれます。
- つらい場面をメモしておく: 仕事の電話、上司との会話、特定の言葉(「あ」行など)——どんな場面で詰まりやすいかのメモは、あなたの自律神経が何に反応しているかを見極める、漢方組み立ての非常に大切な手がかりになります。
よくあるご質問(FAQ)
痙攣性発声障害は、漢方薬で治った人はいますか?
店頭での一番正直な実感として、良くなっている方は多くいらっしゃいます。
実例のように、声のつまりやかすれがほとんど出なくなり、服用終了まで至った方もいらっしゃいます。背景にある「自律神経の乱れ」が漢方の得意とする分野だからです。ただし、効果の出方や期間には個人差があります。
病院でボトックス注射を勧められています。受けるべきでしょうか?
受ける・受けないの最終判断は、主治医の先生とよくご相談ください。どちらを選んだとしても、漢方薬は並走できます。
ボトックスは声帯の筋肉に直接働く局所の治療、漢方は自律神経という根っこ側に働きかける体質ケア。働きかける場所が違うため、並行する形も、迷っている間に体質側から始める形も可能です。
原因は「ストレス」と言われました。ストレスをなくせば治りますか?
ストレスをゼロにするのは現実的ではありません。目指すのは「ストレスがあっても乱れにくい自律神経」です。
漢方薬で自律神経の土台を育てながら、「気にしすぎない」「睡眠を守る」といった暮らしの工夫を重ねることで、ストレスを受けても声が詰まりにくい状態を育てていきます。
声を使う仕事ではないのに、なりました。おかしいですか?
おかしくありません。声を使うお仕事の方のご相談は確かに多いですが、そういう方だけの病気ではないのも事実です。
ストレスや緊張の蓄積など、声の使用量とは別の要因から発症する方もいらっしゃいます。心当たりがなくても、症状の出方から体質を見極めてご提案できます。
セルフケアで、発声練習は毎日した方がいいですか?
店頭でお伝えしているのは、無理な発声練習よりも「気にしすぎないこと」「自律神経を乱さない生活」の2つです。
「また詰まるかも」という身構え自体が、喉の緊張を強めてしまうからです。音声訓練を病院で受けている方は無理のない範囲で続けながら、心と生活の側にある力みを抜いていきましょう。
どのくらいの期間で変化を感じられますか?
まずは「3ヶ月」を一区切りの目安としてお願いしております。
実例のように2ヶ月で声の出しやすさに変化を感じる方もいらっしゃいますが、個人差があります。「今日は楽に話せた」という日を一つずつ増やしていくイメージで、じっくりと進めていきましょう。
まとめ:声帯だけを見るのではなく、「自律神経」から立て直そう
声が出ない、詰まるという苦しみは、見た目には分からず、周囲に理解されにくい本当に辛いものです。しかし、決して諦める必要はありません。
- 痙攣性発声障害の背景には「自律神経の過緊張」があり、そこは漢方の得意とする分野です
- ボトックスは局所、漢方は土台のケア。役割が違うので、迷っている間も並行して始められます
- 無理な発声練習よりも「気にしすぎない」「自律神経を乱さない生活」が何よりのセルフケア
「電話が鳴るたびに、声のことを考えるだけで憂うつになる」
「一生ボトックスを打ち続けるしかないのかと諦めかけている」
そんな深いお悩みを抱えている方は、どうぞ一人で抱え込まずに太陽堂へご相談ください。声の詰まり方・つらい場面・現在受けている治療を丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、あなたに合わせた漢方ケアをご提案いたします。
【ご相談をご希望の方へ】
痙攣性発声障害に対する具体的な漢方アプローチ(内転型・外転型の分類表つき)は、こちらのページにて詳しく解説しております。全国対応のオンライン相談も承っておりますので、まずはお気軽にお声がけください。
関係性の深いお悩み;ご相談も多数いただいております。
声やのどに関するさまざまなお悩みについて、以下のページもあわせてご覧ください。
▼喉の違和感・声の震えはストレスのサイン?
▼不安神経症
▼自律神経失調症
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
太陽堂がはじめての方へ
ご相談を考え始めた方は、まずこちらをどうぞ。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。














