
「病院の薬と食事制限を頑張って、HbA1cの数値は落ち着いてきたと先生に褒められた。なのに、足の裏のしびれと感覚の鈍さだけが、ずっと取れない」
「砂利の上を歩いているような、靴下を二重に履いているような違和感。夜になると足先がジンジンと痛んで、眠りが浅くて辛い」
「病院で『一度傷んだ神経は元には戻りません。一生付き合っていくしかないですね』と言われて、目の前が真っ暗になった」
「しびれの薬(リリカ)を出されたけれど、ふらつきと眠気が辛くて、仕事にならず続けられない」
糖尿病神経障害(糖尿病性神経障害)は、糖尿病の三大合併症の中でも早く現れやすいもので、高血糖が長く続くことで足先などの細い神経が傷み、しびれ・感覚の鈍さ・痛みが起こるご病気です。
太陽堂には「血糖の数値は落ち着いてきたのに、しびれだけが残っている」方も、「数値もまだ高く、しびれも出てきて不安」という方も、どちらもご相談にいらっしゃいます。店頭でお話を伺っていると、血糖のコントロールができても、しびれはなかなか改善されないと感じている方が少なくありません。
この記事では、「血糖が落ち着いてもしびれが取れないのはなぜか」、病院で「神経は戻らない」と言われたときに店頭で薬剤師がお伝えしていること、そして血流から神経を支える漢方薬の考え方と、一番のセルフケアである「筋トレ」についてご説明します。
【この記事の結論:「血糖は落ち着いたのに足裏のしびれが取れない」に対する漢方の考え方】
- しびれが起こる理由: 西洋医学では、高血糖によって細い血管(毛細血管)が傷み、末梢神経に栄養や酸素が届かずダメージを受けた状態とされます。漢方では、糖尿病にまつわる不調は基本的に全身の「血流の滞り(瘀血)」が関係していると考え、足先まで血が届かない冷えた状態がしびれを長引かせているととらえます。
- 漢方の考え方: 病院の血糖コントロール(お薬)は続けながら、漢方で①足先まで血を届ける ②神経を養う栄養(胃腸の力)を補う ③神経を圧迫する老廃物を流す——という組み立てで、しびれが少しずつ和らいでいく土台を作ります。あわせて「筋トレ」を行うことが一番のお勧めです。
- 対象となる主なお悩み: 糖尿病神経障害、血糖値が落ち着いたのに足裏・足先のしびれが残る方、感覚が鈍い(靴下を履いているような違和感)、夜の足のジンジンする痛みで眠りが浅い方、リリカ・タリージェの副作用で続けにくい方
「一度傷んだ神経は戻らない」と言われた方へ——店頭での答え
糖尿病神経障害のご相談で、患者さまからよく耳にするのがこの言葉です。「病院で、一度傷んでしまった神経はもう戻らないから、このしびれとは一生付き合っていくしかないと言われました……」。
太陽堂の店頭では、こうお答えしています。
「そんなことはありません。糖尿病にまつわる不調(合併症)は、基本的に『血流』が関係しています。血流を整えると、しびれが和らいで良くなることも多いですよ」
もちろん、傷んでしまった神経そのものを「元通りに作り直す」とお約束するわけではありません。
ただ、私たちの足先の神経は、そこに張り巡らされた細い血管(毛細血管)から「栄養と酸素」を受け取って働いています。
お薬で血糖の数値だけが下がっても、長年の高血糖で「足先まで血が届かない状態(血行障害)」がそのまま続いていれば、神経は回復のための材料を受け取れないままです。
逆に言えば、漢方薬で血の巡りを整え、足先の末端まで温かい血が届くようになれば、しびれや痛みが少しずつ和らいでいく方は少なくない——これが、私たちが店頭で感じている実感です。
【薬剤師コラム①】血糖が下がったのにしびれが残る理由
担当薬剤師:石川
「HbA1cの数値はあんなに良くなっているのに、どうして足のしびれは全然変わらないのですか?」——この患者さまの疑問に、私は「血糖の数値と、足先の血の巡りは、別々の物差しで動くからです」とお答えしています。
病院のお薬や食事制限で血糖の数値を下げることは、「これ以上、別の神経や血管を傷めないため」にとても大切で、続けなければならないことです。
ただ、それは「新しい傷を増やさない(ストップをかける)」働きであって、「すでに傷んでしまった神経に栄養を届けて修復する」働きではないのです。
足先の細い血管は、長い高血糖の間に傷つき、通りが悪くなっています。ここに再び血を通わせ直すのが、漢方薬の受け持ちです。
そして、もう一つ店頭で私が必ずお伝えしている一番のお勧めが「筋トレ」です。筋肉を動かすと、筋肉自体が糖を消費して代謝が進み、足先の血流も増えます。かかとの上げ下げ(カーフレイズ)やスクワットのような、家の中でできる無理のない範囲で構いません。「漢方薬で血流の道を整え、筋トレで血を足先に送り込む」。この両輪で、足先の神経に栄養を届けていきましょう。
血糖の薬・リリカ・タリージェ——病院治療との付き合い方
病院では、血糖を下げるお薬で「これ以上神経を傷めない(合併症を進行させない)」ことを最優先にし、今出ているしびれや痛みに対しては、リリカ・タリージェ(神経の過剰な興奮を抑える薬)やメチコバール(ビタミンB12)が対症療法として使われます。
副作用(眠気・ふらつき・めまい)で続けにくい方も少なくありませんが、血糖のお薬もしびれのお薬も、漢方を始めたからといって自己判断で急にやめないでください。血糖のコントロールは続けたほうがよく、減らす判断は主治医の先生と相談して進めます。
そのうえで、役割の違いを知っておいてください。
【比較表】西洋医学(病院)と漢方薬(太陽堂)のアプローチの違い
| 比較項目 | 西洋医学(病院のアプローチ) | 漢方薬(太陽堂の体質ケア) |
| 主な目的 | 血糖を下げて神経の傷みを進ませない。痛みの薬で症状を抑える | 足先まで血を届け、神経を養う栄養と老廃物の流れを整え、しびれを和らげる |
| 得意なこと | 血糖値の管理と、これ以上の合併症の進行を食い止めること | 「数値は落ち着いたのにしびれが残る」段階の、血流からのアプローチ |
| 代表的な手段 | 経口血糖降下薬、リリカ・タリージェなどの鎮痛薬、メチコバール | 足先の血流を流す漢方薬、胃腸を整える漢方薬、老廃物を流す漢方薬 |
| 気になる点 | しびれの薬は眠気・ふらつきなどの副作用で続けにくいことがある | 体質からの変化のため、実感までに3ヶ月〜の期間が必要 |
| 両者の関係性 | 進行を食い止める「治療の主役(守りの軸)」 | 対立ではなく併用OK。「神経の回復」は漢方と筋トレで支える二段構え |
漢方の組み立て——「足先まで血を届ける」ための3つの視点
太陽堂では、糖尿病神経障害のしびれに対して、痛み止めではなく、患者さまの体質に合わせて以下の3つの視点で漢方薬を組み立てます。
軸① 足先の細い血管まで血を届ける漢方薬(活血化瘀・温経通絡)
- 狙い: 組み立ての中心です。全身の血の巡りを促し、通りの悪くなった足先の細い毛細血管まで温かい血を届けて、神経が酸素と栄養を再び受け取れる状態を目指します。足の冷えが強い方、冬にしもやけができやすい方は、この「血流(活血)」が要になります。
軸② 神経を養う栄養(胃腸の力)を整える漢方薬(補気健脾)
- 狙い: 厳しい食事制限や長い病気で胃腸の力(脾気)が落ちていると、そもそも血流に乗せて足先まで運ぶ「血を作る材料(栄養)」そのものが不足してしまいます。胃腸の働きを支えて、神経の細胞に届ける栄養を作り直す方向を組み立てに入れます。
軸③ 神経を圧迫する老廃物を流す漢方薬(利水・化痰)
- 狙い: 水分代謝が滞ると、老廃物(水毒や湿熱)が足元に溜まり、むくみとなって神経の通り道を外から圧迫し、しびれや重だるさをさらに強めます。水の巡りを整えて、神経のまわりをすっきりさせ、圧迫を減らします。
この3つの視点を、しびれの部位(足裏か指先か等)・現在の血糖の状態・体質に合わせて調整します。
【改善実例】血流が整い、しびれが落ち着いていったエピソード
太陽堂に実際にご相談に来られた方の実例を、記録からご紹介します。
【足先のしびれと冷え】60代 女性|3ヶ月で足先が温かくなり、6ヶ月でしびれが気にならない日が増える(継続中)
【ご相談時の状態】 数年前に糖尿病と診断され、病院のお薬でHbA1cは6.0台まで下がりました。しかし、「両足の裏の砂利を踏んでいるようなしびれ」と「夜の足先のジンジンする痛みと冷え」が良くならず、リリカを飲んでも眠気が辛いため、ご相談に来られました。
【太陽堂の提案】 末梢の血流障害(瘀血)と冷えととらえ、①足先まで血流を流して温める漢方薬 ②溜まった老廃物を流す漢方薬 の2種類を組み合わせてお出ししました。あわせて、自宅でできるスクワット(筋トレ)をお勧めしました。
- 1ヶ月後: 「冷たかった足先が、少し温かく感じるようになってきた」とのことでした。
- 3ヶ月後: 夜のジンジンする痛みが和らぎ、眠りが深くなってきたとのこと。靴下を二重に履いているような違和感も少し薄れてきました。
- 6ヶ月後: 筋トレも習慣になり、砂利を踏むようなしびれが「日中は気にならない日が増えてきた」とのご報告。歩くことへの不安が減り、現在も継続中です。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状の改善を保証するものではありません。
【薬剤師コラム②】「数値が高くて不安」の段階から始まる方が多いのです
担当薬剤師:林
糖尿病のご相談は、実は「すでに足のしびれが辛くて」という方よりも、「健診で数値が高くて、このまま合併症(しびれや失明)が出たらどうしようと不安で」という入口から来られる方のほうが多いのです。
しびれ(神経障害)は、高血糖の過程で起こる三大合併症の最初のサインです。ですから、数値が高いと分かった「合併症が出る前」の段階でご相談いただければ、しびれが出る前に血流を整えておくことができます。
もちろん、すでにしびれが出ている方も、遅すぎることはありません。皆さんが一番恐れる「足の切断」といった深刻な合併症は、数値が相当高い状態が何年も続いた方に起こるものです。
病院で血糖を管理しながら、漢方薬と筋トレで足先の血流を整えていく。不安を一人で抱えるのではなく、数値としびれの両方を、私たちと一緒に見ていきましょう。
よくあるご質問(FAQ)
病院で「傷んだ神経は戻らない」と言われました。漢方で良くなりますか?
店頭では「そんなことはありません。糖尿病の不調は基本的に『血流』が関係していて、血流を整えると良くなることも多いですよ」とお伝えしています。
傷んだ神経を元通りにすることをお約束するものではありませんが、足先の毛細血管に温かい血が届くようになると、しびれや痛みが少しずつ和らいでいく方は少なくありません。
血糖の薬やリリカ(しびれの薬)と、漢方薬は併用できますか?
はい、併用いただけます。血糖のお薬もしびれのお薬も、自己判断で絶対にやめないでください。
血糖のコントロール(これ以上の進行を止めること)は続けたほうがよく、リリカなどの減薬の判断は、しびれが和らいできた段階で主治医の先生と相談して進めます。使用中のお薬はお薬手帳などでご相談時にすべてお知らせください。
どのくらいの期間で変化が出ますか?
目安は「まず3ヶ月」です。少しずつ良くなってくる形が多いです(※個人差があります)。
「しびれる範囲(足先だけになった等)」「感覚の鈍さの度合い」「夜の痛みの強さ」のどれから変わるかを、3ヶ月ごとに私たちと一緒に確認していきます。
運動は何をすればいいですか? ウォーキングだけでいいですか?
太陽堂が一番お勧めしているのは「筋トレ(筋肉に負荷をかける運動)」です。
筋肉を動かすと糖の代謝が進み、足先の血流も増えます。ウォーキングに加えて、スクワットやかかとの上げ下げ(カーフレイズ)など、椅子につかまって安全にできる範囲で取り入れてください。※足に傷や潰瘍がある場合は無理をせず、必ず主治医の先生に相談してください。
実際に改善した例はありますか?
はい、あります。この記事では、足先のしびれと冷えでご相談に来られた60代女性の記録をご紹介しています。糖尿病の数値が整っていった記録は、記事末尾の症例一覧でご覧いただけます。
お一人おひとり経過は異なりますので、「こういう道筋もある」という参考としてご覧ください。
費用はどのくらいかかりますか?
目安として、1週間あたり5,000円前後〜(1ヶ月で2万円前後〜)とお考えください。相談料は無料です。
体質や組み合わせる漢方薬の内容によって金額が変わるため、お作りする前に必ず金額をお伝えし、ご納得いただいてからスタートします。ご予算のご希望も遠慮なくお聞かせください。
まとめ:数値は病院で管理し、足先の血流は「漢方と筋トレ」で取り戻す
「数値は良くなったのに、足の裏の砂利を踏むようなしびれだけが治らない」
一生付き合っていくしかないのかと、諦めかけているあなたへ。
- 血糖が落ち着いてもしびれが残るのは、足先の「血の巡り」が戻っていないからです。「神経は戻らない」と言われても、血流を整えると良くなることは多いです。
- 血糖のお薬・しびれのお薬は自己判断でやめないでください。漢方薬は「足先まで血を届ける + 神経を養う + 老廃物を流す」の3軸で土台を作ります。
- 変化の目安はまず3ヶ月。一番のセルフケアは「筋トレ」です。
これ以上しびれが進んだらどうしようという不安を、今日からできる前向きなケアに変えていきましょう。
血糖のこれまでの経過、しびれの部位と具体的な出方(夜痛むか等)、飲んでいるお薬、そしてあなたの体質を丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、あなたに合った漢方ケアをご提案いたします。
【ご相談をご希望の方へ】
糖尿病神経障害に対する具体的な漢方アプローチについては、こちらのページにて詳しく解説しております(店頭記録もこちらに掲載しています)。全国対応のオンライン相談も承っておりますので、まずはお気軽にお声がけください。
関係性の深い病気;ご相談も多数いただいております。
血糖・生活習慣病に関するさまざまなお悩みについて、以下のページもあわせてご覧ください。
▼境界型糖尿病——「予備軍」と言われた方へ
▼糖尿病の店頭記録(症例一覧・数値の経過)
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
太陽堂がはじめての方へ
ご相談を考え始めた方は、まずこちらをどうぞ。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。











