
「50歳を過ぎたころから、布団に入っても寝つけない。やっと眠れても、夜中に何度も目が覚める……」
「朝の4時や5時に目が覚めて、そのまま眠れない。日中は眠くてだるいのに、夜になると目が冴える……」
「婦人科で『更年期ですね』と言われ、睡眠薬も出された。でも、このまま薬を増やしていくのは不安……」
更年期の眠りの悩みは、「眠れない」だけで来ることは少なく、ほてりや動悸、気分の落ち込みと一緒に出てきます。太陽堂の店頭でも、更年期のご相談の多くに「夜中に目が覚める」「眠りが浅い」というお話が重なります。
このページでは、更年期に眠れなくなる理由、眠れ方の3つのタイプ、睡眠薬やホルモン治療との付き合い方、漢方の考え方と夜の養生をご説明します。
(※更年期障害そのものの説明と症例は本体ページに、大量の汗やほてりで目が覚める方に向けては別の記事にまとめています。このページは「寝つけない・夜中に目が覚める・早く目が覚める」という、眠りそのものに絞った内容です。)
【この記事の結論:更年期の眠れない悩みに対する漢方の考え方】
- 起こる理由(原因): 女性ホルモンの減少で自律神経の切り替えがうまくいかず、夜になっても「休むモード」に入れなくなります。漢方では、①高ぶった熱が頭に昇ったまま降りてこない ②心を養う「血」が足りない ③ストレスで気が滞っているの3つから見ます。
- 漢方の解決策: 病院の睡眠薬やホルモン治療は続けながら、漢方で「頭の熱を冷ます」「血を補う」「気を巡らせる」方向で、自分の力で眠れる土台を整えます。お薬を減らすかどうかは、主治医と相談しながら進めます。
- 対象となる主なお悩み: 寝つけない方、夜中に何度も目が覚める方、朝早く目が覚めてしまう方、睡眠薬を増やしたくない方、ほてり・動悸・気分の落ち込みと一緒に眠りの悩みがある方
更年期に眠れなくなるのはなぜ?
更年期には、女性ホルモン(エストロゲン)が急に減ります。ホルモンの司令塔である脳の視床下部は、自律神経の司令塔でもあるため、ホルモンの乱れがそのまま自律神経の乱れにつながります。
眠るためには、日中の「活動モード」から夜の「休むモード」へ、自律神経が切り替わる必要があります。更年期は、この切り替えがうまくいかず、夜になっても体と頭が休むモードに入れないことが起こります。寝ても浅い、夜中に目が覚める、早く目が覚める、といった形で現れます。
太陽堂の店頭で多い更年期のご相談は、順にホットフラッシュ、気分の落ち込み、動悸、めまい、太る、汗、むくみです。眠りの悩みは、これらと一緒に出てくることがほとんどで、「眠れないから気分が落ち込む」「動悸で目が覚める」と、お互いに影響し合っています。
こんなときは、漢方より先に病院へ(受診の目安)
更年期の症状と似ていても、別の病気が隠れていることがあります。次のような場合は、漢方の相談より先に、婦人科や心療内科で診てもらってください。
- 不正出血や生理不順が続いている
- 激しい動悸や息苦しさで目が覚める
- めまいがある、急激に体重が変わった
- 眠れない日が続き、気分の落ち込みが強く、何もする気が起きない(心療内科へ)
- 大きないびきや、寝ている間に呼吸が止まると言われた(睡眠時無呼吸の検査へ)
更年期障害そのものの説明、3つの原因、改善症例は、本体ページをご覧ください。
あなたはどれ? 更年期の「眠れない」3つのタイプ
店頭では、「眠れない」を一つにまとめず、「いつ眠れないのか」で分けて伺います。寝つけないのか、夜中に目が覚めるのか、朝早く目が覚めるのかで、体の中で起きていることが違うからです。
【比較表】眠れ方の3つのタイプと漢方アプローチ
| タイプ | 出方・体質 | 太陽堂の漢方アプローチ(働き) |
| ①寝つけないタイプ (気の高ぶり) | 布団に入っても頭が冴える、今日のことや明日の不安が頭を巡る、肩や首が張る、イライラしやすい。 | 【高ぶった気を鎮め、頭の熱を冷ます漢方薬】 上がったままの気と熱を下ろし、体が休むモードに入りやすくします。 |
| ②夜中に目が覚めるタイプ (熱・自律神経の乱れ) | 決まった時間に目が覚める、嫌な夢を見る、目が覚めると心臓がドキドキしている、ほてりや汗を伴うこともある。 | 【自律神経を整え、こもった熱を冷ます漢方薬】 夜中に頭に昇る熱を冷まし、途中で起こされにくい眠りを目指します。 |
| ③早く目が覚めるタイプ (血の不足) | 朝4〜5時に目が覚めてそのまま眠れない、疲れているのに眠りが浅い、日中はだるく気分が沈む、顔色が白っぽい。 | 【心を養う「血」を補う漢方薬】 消耗した血(栄養・潤い)を補い、眠りを最後まで保つ力を支えます。 |
(※タイプは重なることが多く、ご自身でどれか分からなくても大丈夫です。「何時に寝て、何時に目が覚めるか」「目が覚めたとき、汗やドキドキがあるか」「日中の眠気や気分」を伺いながら、こちらで整理します。)
汗やほてりで目が覚める方は、別の記事へ
「滝のような汗で夜中に目が覚める」「寝汗で着替えないといけない」という方は、眠りよりも先に、汗とほてりを整えるのが近道です。こちらの記事で詳しくお話ししています。
漢方の考え方|頭の熱を冷まし、血を補い、気を巡らせる
漢方では、不眠を「脳の興奮」だけでは考えません。「気(エネルギー)」「血(栄養)」「水(体液)」のバランスの乱れとしてとらえます。たとえば、ストレスで気が頭に上ったまま降りてこない状態や、脳に十分な血(栄養)が届かず不安が募る状態です。
更年期では、ここにホルモンの波が加わります。ほてりや汗として出る「熱」が夜も頭にこもり、眠りを邪魔します。そのため、更年期の眠りの相談では、自律神経を整えることと、こもった熱を冷ますことを、一緒に考えます。
「不眠の漢方」として有名な薬を市販で試した方もいらっしゃると思います。太陽堂では、「とりあえず不眠だから」と決めるのではなく、その不眠が「血の不足」なのか、「考えすぎて頭が冴える」のか、「音や光に敏感で眠りが浅い」のかを見分けたうえで、熱や自律神経を整える漢方と組み合わせます。市販の薬で変わらなかった方は、漢方が効かないのではなく、タイプの見分けがまだできていなかっただけかもしれません。
【薬剤師コラム①】更年期の眠りは、ホルモンの波と自律神経から見ます
担当薬剤師:石川
更年期のつらい発汗やほてりに対して、婦人科では女性ホルモンを補う治療(HRT)が行われることがあります。それに伴う不眠や頭痛には、睡眠薬や鎮痛剤が処方されることも多いでしょう。
西洋薬は、不足したホルモンを直接補ったり、脳の興奮を素早く抑えたりするのにとても優れています。一方で漢方は、「なぜ夜になっても体が休むモードに入れないのか」という、自律神経と体温調節のアンバランスに着目します。
薬で無理やり眠らせるのではなく、自律神経の過緊張をやさしく解きほぐし、体温のリズムを本来の働きに戻していく。これが、更年期の眠りに対する漢方ならではのアプローチです。
睡眠薬・HRT・市販薬との付き合い方と、期間の目安
睡眠薬:多くの場合、漢方と併用できます。長年飲んでいるお薬をいきなりゼロにすると、反動でまったく眠れなくなることがあります。まずは病院のお薬でしっかり休息を取りながら、漢方で「自然に眠れる体の土台」を育て、自信がついてきたら、主治医と相談しながら少しずつ減らしていく。これが、負担の少ない進め方です。
HRT(ホルモン補充療法):ホルモンを直接補う治療なので、漢方との併用は問題ありません。HRTを続けながら、残っている眠りの悩みを漢方で整える方もいらっしゃいます。
命の母・市販の漢方薬:これらは生薬でできているため、太陽堂の漢方と重なります。飲んでいる方には、太陽堂の漢方に切り替えていただくことをおすすめしています。
期間の目安:他のご相談と同じく、まず3ヶ月続けていただき、寝つくまでの時間、夜中に目が覚める回数、朝の目覚めの変化を一緒に確かめてから、状態を判断します(※個人差があります)。
【薬剤師コラム②】睡眠薬は「スイッチを切る」お薬。漢方は「土台」を育てます
担当薬剤師:前原
不眠で心療内科や内科を受診すると、脳の神経の働きを抑えて眠りに導く睡眠導入剤などが処方されます。これらは、今すぐ眠りにつきたいつらい夜を素早く助けてくれる、欠かせない治療です。
ただ、「なぜこれほど脳が興奮して、自分の力でリラックスして眠れないのか」という根っこに目を向けると、体質的な「気の滞り・偏り」や「自律神経の高ぶり」が背景にあることが多くあります。更年期では、そこにホルモンの波が重なります。
病院のお薬でつらい夜をしっかりカバーしつつ、漢方で「内側から高ぶりを鎮め、自分の力で自然な眠りにつける土台」を育てていく。この併用の形は、将来的に睡眠薬を減らしていきたい方におすすめしています。お薬を減らす時期は、必ず主治医と相談してください。
夜の養生|頭を冷やし、足を温め、休むモードへ切り替える
更年期の眠りは、「頭に熱がこもり、足元が冷えている」状態で悪くなりがちです。頭は涼しく、足元は温かく(頭寒足熱)を、夜の過ごし方で意識してみてください。
- 寝る1〜2時間前に湯船につかる: 熱すぎないお湯で、足腰まで温めます。お風呂上がりに体温がゆっくり下がるタイミングで、眠気が来やすくなります。
- 足元を冷やさない: 冷えると熱が上に昇りやすくなります。レッグウォーマーや湯たんぽで、足首から下を温めてください。
- 寝る前のスマートフォンとパソコンを減らす: 光と情報は頭の熱をあおります。布団の中で見ないことから始めてみてください。
- 夕方以降のカフェインとお酒を控えめに: お酒は寝つきを良くしても、夜中に目が覚めやすくなります。
- 朝は同じ時間に起きて光を浴びる: 夜眠れなかった日も、起きる時間は変えないほうが、自律神経のリズムが整いやすくなります。
- 眠りのメモをつける: 「何時に寝て、何時に目が覚めたか」「目が覚めたとき、汗やドキドキがあったか」を書いておくと、ご相談の大切な手がかりになります。
太陽堂の実例|ホットフラッシュと不眠、イライラが重なっていた50代女性
2年前から症状が出て、病院で更年期障害と診断された方です。「薬はない」と言われて様子を見ていましたが、ホットフラッシュ・不眠・突発的なイライラ・無気力が強くなり、ご相談に来られました。自律神経を整える煎じ薬と、ホルモンバランスを整える煎じ薬の2種類を組み合わせました。
- 3ヶ月後: ホットフラッシュとイライラが落ち着いてきました。
- 6ヶ月後: 睡眠もとれるようになってきました。
- 10ヶ月後: さまざまな症状が治まり、無気力も改善。心身ともに調子が良いとのことでした。
- 2年後: 症状なく過ごせているため、漢方を終了しました。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状の改善を保証するものではありません。
よくあるご質問(FAQ)
睡眠薬を飲んでいますが、漢方と一緒に飲めますか?
はい、多くの場合、併用していただけます。お薬手帳をお持ちください。
長年飲んでいるお薬を自己判断で急にやめると、反動で眠れなくなることがあります。減らす時期は、主治医と相談しながら決めてください。
更年期の不眠は、HRT(ホルモン補充療法)で良くなりますか?
HRTで眠りが楽になる方もいらっしゃいます。HRTを受けるかどうかは、婦人科の主治医とご相談ください。
HRTと漢方は併用できます。HRTを続けても眠りの悩みが残る方、HRTができない・したくない方は、漢方でご相談いただけます。
市販の「不眠の漢方」を飲んでも変わりませんでした。
漢方が効かないのではなく、不眠のタイプの見分けがまだできていなかっただけかもしれません。
太陽堂では、「血の不足」「考えすぎて頭が冴える」「敏感で眠りが浅い」のどれかを見分けたうえで、更年期の熱や自律神経を整える漢方と組み合わせます。
夜中に汗をかいて目が覚めます。このページの考え方でよいですか?
汗やほてりで目が覚める方は、眠りより先に、汗とほてりを整えるのが近道です。
上でご紹介した「更年期の大汗と不眠」の記事をご覧ください。汗は少ないのに眠れない方は、このページの3つのタイプから考えます。
どのくらいの期間で変化を感じられますか?
まず「3ヶ月」を一つの単位として、寝つくまでの時間・夜中に目が覚める回数・朝の目覚めを一緒に確認します(※個人差があります)。
眠りの変化は、ほてりや気分の変化と一緒に出てくることが多いので、全体の調子もあわせて見ていきます。
費用はどのくらいかかりますか?
漢方薬の費用は、週5,000円前後〜(月2万円前後から)が目安です。相談料は無料です。
お作りする前に必ず金額をお伝えします。ご予算のご希望も含めて率直にお伝えください。
まとめ|薬で眠らせる前に、休むモードに入れる体へ
「更年期だから仕方ない」「睡眠薬を増やすしかない」と、あきらめていませんか。
- 更年期の不眠は、ホルモンの波で自律神経の切り替えがうまくいかず、夜になっても休むモードに入れないことで起こります。
- 「寝つけない」「夜中に目が覚める」「早く目が覚める」の3つのタイプで分け、頭の熱を冷ます・血を補う・気を巡らせる方向で整えます。
- 睡眠薬やHRTは続けながら漢方を併用し、減らす時期は主治医と相談。頭は涼しく、足元は温かく、夜を過ごしてください。
「夜が来るのが怖い」と感じる毎日を、一人で抱え込まないでください。
何時に寝て何時に目が覚めるか、目が覚めたときの汗やドキドキ、ほてりや気分の様子、今お使いのお薬を丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、新宿の漢方薬局「太陽堂」があなたのタイプに合った漢方ケアをご提案いたします。
関連するお悩み
更年期の眠りの悩みは、ほかの症状と重なっていることがほとんどです。ご自身の症状に近いページもぜひご参照ください。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
太陽堂がはじめての方へ
ご相談を考え始めた方は、まずこちらをどうぞ。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。















