
「背中がゾクゾクして寒気がするのに、体温を測ると36度台。風邪なのか、そうでないのか分からない……」
「熱はないのに、体がだるくて、厚着をしても寒い。でも病院に行くほどでもない気がする……」
「毎年冬になると、こういう日が何日も続く。葛根湯を飲んでも、すっきりしない……」
「寒気がするのに熱はない」は、冬の太陽堂の店頭で「風邪の相談」と「冷えの相談」のちょうど境目にあるご相談です。風邪のひき始めのこともあれば、熱が出る力の弱い「冷えの悪寒」のこともあり、見分け方で対処が変わります。
ご相談の悩みで多いのは、順に「寒気とだるさが何日も続く」「厚着をしても温まらない」「熱が出そうで出ない」「葛根湯が合わない気がする」「毎年冬に同じことを繰り返す」です。
このページでは、熱が出ない寒気の正体、風邪のひき始めとの見分け方、受診の目安、過ごし方、漢方の考え方をご説明します。
(※熱が出たあとに咳やだるさが残っている方は「風邪・インフルエンザのあと、咳とだるさが残る」の記事に、平熱そのものが低い方は「平熱が35度台」の記事にまとめています。このページは、「寒気はあるのに熱が出ない・だるい」という状態に向けた考え方です。)
【この記事の結論:寒気がするのに熱はない・だるい方への漢方の考え方】
- 起こる理由(原因): 寒気は「体が熱を作ろうとしている」サインです。風邪のひき始めなら数時間から半日で熱に変わりますが、熱を作る力が足りない方は、寒気とだるさだけが続きます。漢方では①風邪のごく初期(喉や鼻のサインがある) ②体を温める力が弱い「冷えの悪寒」(いつも寒がり・温めると楽) ③疲れで熱を作れない(寝不足・過労のあと) ④ホルモンの波(生理周期・更年期)を見分けていきます。
- 漢方の解決策: 風邪のひき始めなら「温めて発散させる」方向、冷えの悪寒なら「温める力そのものを補う」方向。同じ寒気でも、熱が出るか出ないか、普段から寒がりかどうかで、使う漢方の方向が変わります。
- 対象となる主なお悩み: 寒気とだるさが続くのに熱が出ない方、葛根湯が合わないと感じる方、毎年冬に同じ状態を繰り返す方、冷えやすく風邪をひきやすい方
寒気がするのに、熱が出ない理由
寒気(悪寒)は、体が「これから熱を上げる」ために筋肉をふるわせ、血管を縮めて熱を逃がさないようにしている状態です。風邪のひき始めでは、この寒気のあとに体温が上がります。ところが熱を作る力が足りない方は、寒気のままで体温が上がりきらず、だるさだけが残ります。
漢方ではこれを、体を温めるエネルギー(陽気)が足りない「冷えの悪寒」と考えます。もともと寒がり、手足が冷たい、お腹が冷える、朝がつらい、という方に多く、冬に強く出ます。寝不足や過労のあとに出る寒気も、エネルギーを使い果たして熱を作れない同じ仕組みです。
先に受診してほしいとき
寒気の翌日に38度以上の熱が出た、強い関節痛や頭痛がある、息苦しい・胸が痛い、水分がとれないときは、インフルエンザなどの感染症を考えて受診してください。インフルエンザの検査は、熱が出てから12〜24時間たつと正確になります。高齢の方は熱が出にくく、寒気と食欲低下だけで肺炎になっていることがあるので、ぐったりしていたらその日のうちに病院へ。寒気と一緒に、強い動悸・体重の変化・むくみ・ひどい疲れが数週間続くときは、甲状腺の検査を一度受けてください。
漢方の考え方|「発散させる」寒気と、「温める力を補う」寒気
葛根湯に代表される風邪の漢方は、体を温めて汗をかかせ、入ってきたものを外へ追い出す「発散」の漢方です。これは熱を作る力がある方が、ひき始めに使うと力を発揮します。熱を作る力が弱い方が同じものを飲むと、発散に体力を使って、かえってだるくなることがあります。寒気を4つに分けて、方向を決めます。
【比較表】どの寒気か? 4つのタイプと漢方の方向性
| タイプ | よくあるサイン | 漢方の方向性 |
| ① 風邪のごく初期タイプ | 寒気に、喉のイガイガ・鼻水・くしゃみ・首筋のこわばりが伴う/数時間〜半日で熱が出る | 温めて発散させ、早い段階で追い出す |
| ② 冷えの悪寒タイプ(店頭で多い) | いつも寒がり/手足とお腹が冷たい/温めると楽になる/熱は出ない/朝がつらい | 体を温める力そのものを補う |
| ③ 疲れの寒気タイプ | 寝不足・過労のあとにゾクゾクする/だるい・眠い/声に力がない/食欲が落ちる | 気を補い、熱を作る燃料から戻す |
| ④ ホルモンの波タイプ | 生理前や更年期に寒気とほてりが交互に来る/汗のあとに冷える | 血の巡りを整え、体温の切り替えをなめらかにする |
【セルフチェック】風邪のひき始めか、冷えの悪寒か
今日の寒気について、当てはまるものを数えてください。
- ☐ 喉のイガイガ・痛みがある
- ☐ 鼻水・くしゃみが出る
- ☐ 首筋や肩がこわばる
- ☐ もともと寒がりで、手足が冷たい
- ☐ 温めると楽になり、冷えると戻る
- ☐ 熱を測っても36度台のまま
- ☐ 寝不足や過労のあとに出た
- ☐ 朝がつらく、午後に力が抜ける
- ☐ 以前、葛根湯を飲んでだるくなったことがある
- ☐ 毎年冬に、同じ状態を繰り返す
読み方:上の3つのどれかがあれば、風邪のひき始め(①)として今日と明日を大事にしてください。上の3つが無く、4番目以降が3個以上なら、冷えや疲れの寒気(②③)です。7〜8番目が中心なら③疲れの寒気、9〜10番目が当てはまる方は、温める力を補う方向が合いやすいタイプです。
【薬剤師コラム①】「葛根湯を飲んだのに、だるくなった」という方へ
担当薬剤師:林
冬に「寒気がするので葛根湯を飲んだら、汗が出ただけでだるくなった」という方がいらっしゃいます。こういう方に普段の様子をお聞きすると、もともと寒がりで、手足が冷たく、熱が出にくいことがほとんどです。
熱を作る力が弱い方の寒気には、発散ではなく「温める力を補う」方向の漢方が合います。同じ寒気でも、汗をかかせて追い出す方と、温めて守る方で、使うものが変わります。葛根湯で楽にならなかった経験は、大事な手がかりなので、ぜひお伝えください。
寒気がする日の過ごし方
- 首の後ろと背中を温める: 寒気は首筋と背中から入ると考えます。マフラーや蒸しタオル、カイロは首の付け根と肩甲骨の間に。厚着で汗をかかせるより、この2か所を温める方が効きます。
- 温かい飲み物を、ゆっくり: 生姜やねぎを入れた汁物、温かいお茶。冷たい飲み物とカフェインは控えます。
- その日は早く寝る: 熱を作る力は眠っている間に戻ります。寒気がした日の夜更かしは、翌日のだるさに直結します。
- 汗をかいたら、すぐ着替える: 湿った肌着が体を冷やし、寒気をぶり返させます。
- お風呂はぬるめに短く: 寒気がある日の長風呂は、出たあとに体温を奪われます。湯冷めしないうちに布団へ。
【薬剤師コラム②】風邪のひき始めなら、勝負は最初の2日
担当薬剤師:前原
寒気に喉のイガイガや首筋のこわばりが伴うなら、風邪のひき始めです。この場合は寒気を感じた当日と翌日が勝負で、温めて早く寝るだけで、熱を出さずに抜ける方も多いです。
逆に、寒気だけが3日以上続いて熱も出ない、喉や鼻のサインもないなら、風邪ではなく冷えや疲れの寒気を考えます。この見分けができると、飲む漢方の方向が決まります。
よくある勘違い3つ
勘違い①「寒気がしたら、厚着をして汗をかかせれば治る」
汗をかかせて追い出すやり方は、熱を作る力のある方の、風邪のひき始めにだけ合います。熱を作れない方が無理に汗をかくと、体温と体力を一緒に失って、翌日のだるさが増えます。首の後ろと背中を温めて早く寝る、が共通の正解です。
勘違い②「熱がないなら、病気ではない」
高齢の方は、肺炎でも熱が出ないことがあります。甲状腺の働きが落ちているときも、熱は出ずに寒気とだるさが続きます。寒気に、息苦しさ・食欲の急な低下・むくみ・動悸・体重の変化が重なるときは、「熱がないから」で済ませないでください。
勘違い③「寒気といえば葛根湯」
葛根湯は、体力があり首筋がこわばる風邪のひき始めの漢方です。寒がりで熱が出にくい方、汗をかきやすい方、胃腸が弱い方には合わないことがあり、同じ寒気でも使うものが変わります。飲んで楽にならなかった経験は、次に選ぶときの大事な手がかりです。
よくあるご質問(FAQ)
寒気だけで熱が出ない日が3日続いています。風邪ですか?
喉や鼻のサインがなく、熱も出ないまま3日続くなら、風邪のひき始めより「冷えや疲れの寒気」を考えます。
普段から寒がりか、最近の睡眠と疲れ、お腹や手足の冷えをお聞きして、温める力を補う方向か、気を補う方向かを決めます。途中で38度以上の熱が出たら、感染症として受診してください。
寒気がしたら、とりあえず葛根湯を飲んでいいですか?
喉や首筋のサインがある風邪のひき始めで、普段から熱を出せる体力のある方なら、早めに飲むのは理にかなっています。
もともと寒がりで熱が出にくい方、以前に葛根湯でだるくなった方は、発散ではなく温める力を補う方向の漢方が合います。葛根湯の飲み方は「葛根湯はいつ飲む?」の記事もご覧ください。
毎年冬になると、寒気とだるさが続きます。体質ですか?
体を温める力が弱い体質のことが多いです。冬だけ出るのは、外の寒さに温める力が追いつかないためです。
寒くなる前の秋から温める力を補っておくと、冬の寒気とだるさが軽くなる方が多いです。毎年のことなら、季節をひとつ越える3か月で体質を見ていきます。
甲状腺の病気の可能性はありますか?
寒気と一緒に、強い疲れ・むくみ・体重の増減・動悸が数週間続くなら、一度血液検査を受けてください。
甲状腺の働きが落ちていると、寒がり・だるさ・むくみが出ます。検査で異常がなければ、冷えや疲れの寒気として漢方で見ていきます。検査で見つかった方も、病院の治療と並行してご相談いただけます。
寒気と一緒に、頭痛や肩こりがあります。関係がありますか?
あります。首筋から冷えが入ると、首と肩の筋肉が縮んで、頭痛と肩こりが一緒に出ます。
風邪のひき始めのサインでもあるので、首の後ろを温めて早めに休んでください。翌日に熱が出なければ、冷えの寒気として見ていきます。
生理前になると寒気がします。これも同じですか?
生理前はホルモンの変化で体温の切り替えが乱れ、寒気とほてりが交互に来ることがあります。④のホルモンの波のタイプです。
毎月同じ時期に出るなら、血の巡りを整えて切り替えをなめらかにする方向で見ていきます。生理周期とあわせてお伝えください。
子どもが「寒い」と言うのに熱がありません。様子を見ていいですか?
お子さんの寒気は数時間で熱に変わることが多いので、夜にもう一度測ってください。ぐったりしている・水分がとれないときは、熱がなくても受診を。
熱に変わらず、翌日も元気がないときは、冷えや疲れの寒気として見ていきます。お子さんの量に合わせて調整します。
どのくらいで変化を感じますか? 費用は?
風邪のひき始めの寒気は数日で決着します。冷えや疲れの寒気は、合う方向で整えると2〜4週間で「ゾクゾクする日が減った」と感じる方が多いです。毎年繰り返す方は、季節をひとつ越える3か月で体質を見ます。
費用は週5,000円前後から(月2万円前後から)で、相談料は無料です。短い期間の服用から始められます。
まとめ|熱が出ない寒気は、「温める力」からのサイン
「風邪なのか、ただ寒いだけなのか、分からない」
- 寒気は体が熱を作ろうとしているサイン。熱に変われば風邪のひき始め、変わらなければ温める力の不足です。喉・鼻・首筋のサインの有無で見分けます。
- 風邪のひき始めなら「温めて発散」、冷えや疲れの寒気なら「温める力を補う」。同じ寒気でも漢方の方向は逆になります。葛根湯でだるくなった経験は手がかりです。
- 翌日の38度以上の熱・関節痛・息苦しさは受診。高齢の方は熱が出ないまま肺炎のことがあるので早めに。首と背中を温め、温かい飲み物で、その日は早く寝る。
「毎年のことだから」と、寒気とだるさを抱えたまま冬を越さないでください。
寒気の出方、熱の有無、普段の冷えと疲れ、これまでに飲んだ漢方の手応えを丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、新宿の漢方薬局「太陽堂」があなたのタイプに合った漢方ケアをご提案いたします。
関連するお悩み
寒気とだるさには、原因や時期で近いページがいくつかあります。ご自身の状況に近いページもぜひご参照ください。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
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特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
太陽堂がはじめての方へ
ご相談を考え始めた方は、まずこちらをどうぞ。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。














