
「クラリス・エブトール・リファンピシン——3種類のお薬を、これから1年以上も飲み続けられるだろうか…」
「飲み始めてから、お腹がゆるくなってつらい」
「目に副作用が出ることがあると聞いて、怖くて一歩が踏み出せない」
肺MAC症(非結核性抗酸菌症)のご相談で、太陽堂はこうした3剤のお薬への不安の声を数多くうかがっています。
実は、「副作用がつらい」というご相談と同じくらい——もしかするとそれ以上に多いのが、「これから飲むように言われたけれど、できれば飲みたくない」というご相談です。
今回は、3剤がどういうお薬なのかに触れながら、飲みたくない・続けられるか不安なときの考え方と漢方でできることについて、薬剤師の視点から解説いたします。
【この記事の結論:3剤の副作用と肺MAC症に対する漢方の考え方】
- 店頭で実際に多い声: 有名な「目の副作用」だけでなく、下痢などお腹の不調、そして尿の色の変化。どれか一つというより「3剤まとめての負担」として現れる方が多いのが実感です。
- 太陽堂の考え方: 漢方薬との併用は可能です。迷っている方には「まず漢方で体を整えてから、病院のお薬をどうするか決める」という進め方もご提案しています。
- 対象となる主な疾患: 肺MAC症(非結核性抗酸菌症)、気管支拡張症を合併している方
【太陽堂における「3剤とのつきあい方」への向き合い方】
- 飲む・飲まないは、主治医の先生とご本人が決めること: 私たちはその判断を尊重します。そして、どちらの選択をされても、漢方で体を支えることができます。
- 併用は大丈夫です: 漢方薬は食前、病院のお薬は食後。飲む時間が自然にずれるため、無理なく続けられる組み合わせです。
- 迷っている方への提案: 副作用が怖くて決めきれない方には、「まずは漢方薬を飲んでから、病院のお薬をどうするか決めては?」とお伝えすることがあります。
- やめたくなったら: 一般に強い離脱症状が知られているお薬ではありませんが、治療の計画に関わることなので、やめる前に主治医の先生へ一言ご相談をおすすめします。
肺MAC症そのものの原因や、太陽堂の漢方サポートの全体像については、こちらの疾患ページで詳しくご紹介しています。
3剤(クラリス・エブトール・リファンピシン)はどういうお薬か
肺MAC症の治療では、多くの場合3種類のお薬を組み合わせて、長い期間(1年以上になることが一般的です)飲み続けます。それぞれのお薬を、店頭でよくうかがう声と合わせてご紹介します。
| お薬 | どんなお薬か | 店頭でよくうかがう声 |
| クラリス (クラリスロマイシン) | 細菌の増殖を抑える抗生物質 | 「お腹がゆるくなる」「下痢が続く」という声が目立ちます |
| リファンピシン | 結核の治療にも使われる抗菌薬 | 「尿の色がオレンジ色っぽくなってびっくりした」——これは本当に多くの方がおっしゃいます |
| エブトール (エタンブトール) | 抗菌薬。目(視神経)への影響が知られ、定期的な眼科チェックが行われます | 「目がおかしくなるのが怖い」という不安の声 |
大事なのは、この3つをまとめて飲むということです。店頭の実感としては、どれか一つの副作用に悩むというより、「3剤あわせての負担」が下痢などお腹の不調として現れる方が多くいらっしゃいます。抗生物質を長く飲み続けると、お腹の調子を崩しやすくなるためです。
【薬剤師コラム①】3剤の副作用、店頭で一番多い相談は
担当薬剤師:林
「3剤のうち、どれが一番つらいお薬ですか?」と聞かれることがあります。ただ店頭でうかがっていると、「どれか一つ」というより、3つ合わせての負担を感じている方がほとんどです。
いちばん多いのは、下痢などお腹の不調ですね。抗生剤を長く飲むので、お腹が疲れてしまうのです。それから、尿の色の変化。これは本当に、みなさんおっしゃいます。事前に知っていれば慌てずにすみますが、初めてだと驚きますよね。
「エブトールで目がおかしくなるのが怖い」という声も、実際にあります。だからこそ、眼科の定期チェックは欠かさず受けてください。見え方に少しでも変化を感じたら、すぐに主治医の先生へお伝えいただきたいと思います。
「できれば飲みたくない」——太陽堂がお伝えしていること
実のところ、肺MAC症のご相談では「これから飲むように言われたけれど、飲みたくない」という方がとても多くいらっしゃいます。
そうした方に、太陽堂では次の順番でお伝えしています。
- 飲む・飲まないの判断に、私たちが立ち入ることはできません: それは主治医の先生とご本人が決めることです。ここだけは大前提です。
- そのうえで、どちらを選んでも漢方は使えます: 3剤を飲みながらでも、飲む前の迷っている期間でも、体の土台(体力・食欲・眠り)を漢方で支えることができます。
そして、副作用が怖くて迷い続けている方には、こうご提案することがあります。
「まずは漢方薬で体を整えてから、病院のお薬をどうするか決めてはいかがですか?」
迷ったまま不安だけが膨らんでいくより、体を整えながら、落ち着いて主治医の先生と相談する——そんな時間の使い方もあると考えています。
【薬剤師コラム②】治療が長くて、くじけそうなときは
担当薬剤師:椙田
このご病気の治療は、1年以上と長くなることがほとんどです。途中で「もう続けられないかもしれない」と、弱音がこぼれてしまう方も少なくありません。
そんなとき私たちは、「もう一度、病院の先生に相談してみませんか?」とお伝えしています。つらさを一人で抱えたまま、自分の判断だけでやめてしまうのが、一番もったいないからです。お薬の量や進め方など、先生に相談できることは意外とあります。
漢方はその間、食事や睡眠と同じように、体の土台を支える役割です。病院の治療と漢方は、奪い合うものではなく、一緒に使えるもの。そう考えていただければと思います。
太陽堂の漢方アプローチ|どんな働きの漢方を使うのか
基本となるのは、「菌を除去する漢方薬」と「免疫を上げる漢方薬」の併用です。菌を直接叩きながら、同時に菌を排除する体の力を高めていく——この二本柱で菌の除去を進めます。
「菌を除去する漢方薬」(いわば漢方薬での抗生剤)は、太陽堂には7種類あり、疾患や状態によって使い分けています。ピロリ菌やアスペルギルス菌などにも使うことの多い生薬です。
そのうえで、気になる症状に合わせて次のような漢方薬を組み合わせます。
| 気になる症状 | 組み合わせる漢方の働き |
| 咳や痰がひどい | 肺の炎症を取る漢方薬・排膿作用のある漢方薬を中心に組み立てます |
| 血痰・喀血がある | 血の巡りを調節する漢方薬で出血を防ぎます |
| だるさ・微熱・食欲不振が続く | 体力をつける漢方薬(脾虚=体の疲れを改善する漢方薬)で土台を立て直します |
| 改善が見えてきたら | 肺を潤す煎じ薬などで、肺の状態をきれいに整える段階へ進みます |
どの組み合わせを使うかは、症状・体質・治療の段階によって変わります。3剤を飲んでいる方も、飲んでいない方も、具体的な内容はご相談のうえで組み立てます。
【改善実例】3剤に悩んだ方が、漢方で良い方向に向かったケース
①「できれば病院のお薬を飲みたくない」——昭和26年生 女性
8年ほど前から肺に影があり、半年ほど前に肺MAC症と診断。「出来れば病院のお薬を飲みたくない」ということで、ご相談に来られました。軽い咳と痰・息苦しさがある状態です。
お渡ししたのは、①菌を除去する漢方薬 ②免疫を上げる漢方薬 の2種類です。
- 3ヶ月後: 痰と咳が減少。病院の検査でも「レントゲンの影が薄くなっている」と言われる。
- 6ヶ月後: さらに影が薄くなっていると言われる。息苦しさは週1回あるかどうかに。
- 1年後: 改善が見えてきたため2種類の量を減らし、肺を潤す煎じ薬へ。
- 2年後: 病院の検査でも異常なし。風邪も引かず順調に過ごせているため、治療終了。
②「3剤の副作用で、飲めなくなった」——昭和23年生 女性
3年ほど前に同じご病気と診断。病院のお薬(エタンブトール・リファンピシン)を飲んだものの、副作用が出て飲めなくなり、ご相談に来られました。咳と痰が続いている状態です。
同じく、①菌を除去する漢方薬 ②免疫を上げる漢方薬 の2種類をお出ししました。
- 1ヶ月後: 体力がついてきた感じがあり、咳や痰が出ない日が増える。
- 7ヶ月後: 咳・痰なく、風邪も引かずに元気に過ごせている。
- 1年4ヶ月後: 咳は忘れかけた頃に出る程度。痰は全く出ていない。
- 2年4ヶ月後: 体調良く過ごせているとのことで、治療終了。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。
肺MAC症の症例は、太陽堂に数多く蓄積されています。実際の経過は、ぜひこちらを参考にされてください。
3剤と漢方についてのよくあるご質問(FAQ)
3剤を飲みながら、漢方薬を一緒に飲んでも大丈夫ですか?
基本的には併用いただけます。
注意するのは飲む時間くらいです。同じタイミングでまとめて飲むことは避けていただきますが、漢方薬は食前、病院のお薬は食後が基本なので、自然に時間がずれます。お薬手帳をお持ちいただければ、飲み合わせを確認いたします。
副作用がつらくて3剤をやめてしまいました。漢方だけでも相談できますか?
はい、ご相談いただけます。
すでにやめてしまった方も、今の状態をそのままお聞かせください。これからやめようか迷っている方は、治療の計画に関わることなので、やめる前に主治医の先生へ一言ご相談されることをおすすめします。
治療が長くて、心が折れそうです。どうしたらいいですか?
まず、もう一度病院の先生に相談してみてください。
つらさを伝えれば、お薬の量や進め方を一緒に考えてもらえることがあります。そのうえで、漢方で体の土台(体力・食欲・眠り)を支えることができます。長い道のりを走り切るための伴走が、私たちの役割だと考えています。
まとめ|一人で抱え込まず、体を整えながら決めればいい
3剤の副作用は、「どれか一つ」より「3剤まとめての負担」として現れがちです。中でも下痢などお腹の不調と、尿の色の変化は、店頭で特に多くうかがう声です。
「できれば飲みたくない」と感じているなら、まず漢方で体を整えながら、主治医の先生と落ち着いて相談して決める——そんな進め方もあります。一人で抱え込まないでください。
肺MAC症についての太陽堂の考え方は、こちらのコラムでも詳しくお話ししています。
関連する肺のお悩みは、こちらでご紹介しています。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。
記事作成者 薬剤師 椙田 彩純

担当疾患;循環器、身体の痛み
臨床検査技師の両親の影響で、幼い頃から医療に関心を持つ。
大学卒業後、病院薬剤師として勤務。
対症療法が中心の現場で、繰り返す入退院や長期投薬を目の当たりにし、「もっと力になれる方法はないか」と模索する中で漢方と出会う。
現在は漢方の持つ幅広さと可能性に魅了され、一人ひとりの体質に寄り添った根本改善を追求している。







