「家族から『いびきがひどいし、時々呼吸が止まっているよ』と指摘されて検査を受けたら、睡眠時無呼吸症候群(SAS)と言われた……」
「病院で言われた通りにCPAP(シーパップ)は毎晩使っているけれど、そもそも自分のいびきの原因は何なんだろう……」
「昔から鼻が詰まりやすい。最近太ってきた。仕事のストレスも多い。どれが本当の原因なのか分からない……」
いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、「気道(空気の通り道)が寝ている間に狭くなる」という結果は同じでも、狭くなる理由は患者さまお一人おひとりの体質や生活習慣によって違います。
新宿の漢方薬局「太陽堂」にご相談に来られるのは、すでに病院で検査を受け、CPAP(寝ている間に空気を送るマスクの治療)を使っている方が多くいらっしゃいます。
そうした方に店頭で私たちが最初にお伝えしているのが、「原因によりますが、漢方で体質を整えることで、良くなる方も多いですよ」という言葉です。
このページでは、いびき・無呼吸の原因を「鼻」「自律神経(ストレス)」「体重」の3つのタイプに分け、それぞれに対する漢方の考え方を薬剤師の視点からご説明します。
(※CPAPの装着の苦痛や日中の強い眠気・疲労感そのものでお困りの方は、こちらの本体ページも合わせてご覧ください。)
【この記事の結論:「いびき・睡眠時無呼吸」に対する漢方の考え方】
- いびきが起こる理由: 西洋医学では、首周りの脂肪や扁桃肥大等で睡眠中に気道が塞がる状態とされます。漢方では、肥満だけでなく、蓄膿などによる「鼻の炎症・水はけの悪さ」、ストレスによる「自律神経の緊張」、過食による「老廃物(痰湿)の蓄積」がいびきを強める背景にあると考えます。
- 漢方の考え方: 病院のCPAP治療は続けながら、原因に合わせて①鼻の通りと炎症を整える ②自律神経の緊張をほぐし眠りを深くする ③余分な水や脂肪(老廃物)を流す——という漢方のアプローチで、気道が狭くなりにくい身体の土台を作ります。
- 対象となる主なお悩み: 睡眠時無呼吸症候群(SAS)、いびき、CPAPを使用中の方、日中の眠気が抜けない方、鼻炎や副鼻腔炎をお持ちの方、ストレスの多い方、肥満傾向の方
いびき・無呼吸の「原因」は一つではない
睡眠時無呼吸症候群の多くは、寝ている間に喉の奥(気道)が塞がってしまう「閉塞性(OSAS)」です。
気道が塞がる理由には、首まわりの脂肪、舌の付け根の落ち込み、扁桃腺の肥大、もともとの顎の小ささなどがあります。さらに、鼻が詰まって口呼吸になっていること、強いストレスで眠りが浅く筋肉の緊張が乱れていることも、いびきを強める要因になります。
同じ「いびき」でも、それが鼻から来ているのか、ストレスから来ているのか、体重(脂肪やむくみ)から来ているのかで、漢方薬で身体を整える順番が変わってきます。
※睡眠中の激しい胸の痛み、起きた時の強い息苦しさ、脈の乱れ(不整脈)を伴う場合は、心筋梗塞や心不全など心臓の病気が隠れていることがあります。漢方ではなく、すぐに医療機関(循環器内科や救急)を受診してください。
病院での検査と治療(西洋医学の役割)
病院(呼吸器内科や耳鼻科)ではまず、自宅でできる簡易睡眠検査を行い、必要に応じて一晩入院して脳波や呼吸状態を測る「終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)」を行います。
中等症以上の無呼吸ではCPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)、軽症では下顎を前に出すマウスピースが第一選択として使われます。鼻炎や副鼻腔炎がある場合は、耳鼻科で鼻の治療が行われます。
CPAPは、寝ている間の無呼吸(酸欠)を防ぎ、高血圧や脳卒中から命を守るための大切な治療です。漢方薬を始めたからといって、CPAPを自己判断で外したり、使用回数を減らしたりは絶対にしないでください。
漢方薬の役割は、CPAPで夜の安全を守ってもらっている間に、「そもそも気道が狭くなりやすい原因(体質)」のほうを内側から整えていくことです。
漢方の考え方|原因の「タイプ別」に整える
店頭でいびき・無呼吸のご相談を受けるとき、私たちはまず「鼻」「ストレス」「体重」のどれが一番強く関わっているかを伺います。
「鼻が原因なら鼻の治療、自律神経ならストレスの改善、肥満ならこれが一番大変で時間がかかる」。薬剤師がそのまま患者さまにお伝えしている、一番正直な整理です。
【比較表】あなたの原因はどれ? 3つのタイプと漢方アプローチ
| 原因のタイプ | あなたの主な症状・体質 | 太陽堂の漢方アプローチ(働き) |
| ①鼻タイプ (鼻づまり・副鼻腔炎等で口呼吸になっている) | 鼻が詰まりやすい。朝起きると口が乾いている。鼻水が喉の奥に落ちる(後鼻漏)。花粉症や蓄膿症の持病がある。 | 【鼻の通りを整える漢方薬】 鼻の粘膜の腫れや溜まった膿・鼻水をさばき、『鼻で呼吸できる状態』を土台から整えます。耳鼻科の治療と並走します。 |
| ②自律神経タイプ (ストレス・緊張で眠りが浅い) | 寝つきが悪く、夜中に何度も目が覚める。仕事のストレスが強い。歯ぎしりや食いしばりがある。日中の眠気だけでなく疲れが抜けない。 | 【気の巡りを整え、眠りを深くする漢方薬】 張り詰めた自律神経(交感神経)をほぐし、筋肉の緊張を緩めて眠りの質そのものを整えます。 |
| ③体重タイプ (首まわりの脂肪・むくみで気道が狭い) | ふくよかな体型。体が重だるく、むくみやすい。脂っこい食事や毎晩の飲酒が多い。健診で血圧が高めと言われている。 | 【余分な水と老廃物をさばく漢方薬】 体に溜まった余分な水分や脂質(痰湿)を流し、気道まわりの脂肪とむくみを和らげます。※食事と運動の併用が必須です。 |
※店頭でご相談が一番多いのは「ふくよかな方」ですが、体重タイプと鼻タイプ、体重タイプと自律神経タイプのように、複数の原因が重なっている方も少なくありません。
【薬剤師コラム①】「体重が一番大変」と正直にお伝えする理由
担当薬剤師:前原
「漢方薬を飲めば、いびきはすぐに軽くなりますか?」と聞かれたとき、私は「原因によりますが、良くなる方も多いですよ」とお答えしています。
鼻が原因の「鼻タイプ」の方は、漢方で鼻の通りが良くなると口呼吸が自然に減るため、いびきの音の変化が比較的早く出やすい傾向があります。ストレスが原因の「自律神経タイプ」の方も、眠りが深くなるにつれて朝のスッキリ感が変わってきます。
一方で、「体重(肥満)」が原因の方は、正直に申し上げて一番大変です。
漢方薬は身体の余分な水や脂質(老廃物)をさばく手助けはできますが、体重そのものは、ご本人の「食事と運動(生活習慣)」が変わらなければ落ちないからです。
だからこそ、体重タイプの方には「漢方薬だけで何とかしよう(飲むだけで痩せる)」とは言いません。CPAPで夜の安全を守りながら、「食事・運動・漢方薬」の三本柱で、腰を据えて時間をかけて取り組む前提でご提案しています。
最初にこの正直な見通しをお伝えするのは、途中で「漢方を飲んでいるのに思ったより変わらない」と諦めてしまう方を、一人でも減らしたいからです。
自宅でできるセルフケア・食養生
太陽堂の店頭では、「漢方を飲むだけでなく、日々の養生は気をつけてくださいね」とお伝えしています。ご自身のタイプに合わせて、まず一つだけでも今日から始めてみてください。
- 鼻タイプ: 寝る前に蒸しタオルで鼻を温める、鼻うがいを習慣にするなどで鼻の通りを保ち、口呼吸の時間を減らしましょう。耳鼻科の鼻炎や副鼻腔炎の治療は途中で勝手にやめないでください。
- 自律神経タイプ: 寝る1時間前のスマホを控え、シャワーで済ませず湯船に浸かってください。「寝る前のお酒(寝酒)」は喉の筋肉を緩めて気道を塞ぎ、いびきを強めるので控えてください。
- 体重タイプ: 夕食は腹八分目とし、脂っこいものと飲酒を減らしてください。仰向けではなく「横向きで寝る工夫(抱き枕を使うなど)」をすると気道が確保されやすくなります。そして、体重を毎朝同じ時間に量る習慣が、一番の近道になります。
3ヶ月で何を目安に見るか
漢方薬は「魔法の薬」ではありません。太陽堂では「まず3ヶ月」を一つの単位として、次の5つの変化を患者さまと一緒に確認しながら進めます。
- 家族の言ういびきの音(いびきが小さくなったか、呼吸が止まる回数が減ったか)
- 朝のスッキリ感(起きた時の頭の重さ、口が乾いていないか)
- 日中の眠気(会議中や運転中の、耐えられない眠気の回数が減ったか)
- 体重の変化(※体重タイプの方は特に大切です)
- むくみの変化(朝の顔の腫れぼったさ、夕方の足のむくみ)
このうちのどれか一つでも動き始めたら、あなたの体質が変わり始めたサインです。CPAPを毎日使っている方は、機器に記録される「無呼吸低呼吸指数(AHI:無呼吸の回数)」のデータを、ぜひ主治医の先生と一緒に確認してみてください。
(※実際の改善経過については、記事末尾の本体ページで『CPAPを外したかった50代男性』や『痩せ型なのに無呼吸だった40代女性』の記録をご紹介しています。「こういう道筋もある」という参考にご覧ください。)
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状の改善を保証するものではありません。
【薬剤師コラム②】鼻とストレス、見落とされやすい2つの入口
担当薬剤師:林
「いびき・無呼吸」というと、どうしても「太っている男性の病気」と思われがちですが、店頭でご相談をお受けしていると、実は「鼻」と「ストレス」が深く関わっている方も多くいらっしゃいます(痩せている女性でも無呼吸になります)。
鼻が詰まると、人は寝ている間に無意識に「口」で呼吸します。口呼吸になると、重力で舌が喉の奥に落ちやすくなり、気道が狭くなっていびきが強くなります。慢性副鼻腔炎(蓄膿症)や後鼻漏(鼻水が喉の奥に落ちる症状)をお持ちの方は、まず漢方で『鼻の通り』を整えることが、いびきの入口になります。
また、仕事などでストレスが強い方は、交感神経が張り詰めて眠りが浅く、身体が休まっていません。漢方ではこれを「気の巡りの滞り」ととらえ、自律神経の緊張をほぐして眠りを深くすることから整えます。眠りの質が深くなると、朝のスッキリ感や日中の眠気から先に変わってくる方が多いです。
ご自身がどのタイプか分からない(あるいは複数混ざっている)方も多いので、ご相談時に私たちが一緒に整理していきましょう。
よくあるご質問(FAQ)
病院のCPAP(シーパップ)を使っていますが、漢方薬は一緒に使えますか?
はい、併用していただけます。CPAPは続けたまま、漢方で原因のほうを整えていきます。
CPAPを外す・使用回数を減らすといった判断は、漢方が効いてきた結果のデータ(AHI等)を見て、必ず主治医の先生と相談して進めてください。店頭にご相談に来られる方も、CPAPを使いながら漢方を始める方がほとんどです。
家族にいびきを指摘されただけで、まだ病院の検査は受けていません。相談できますか?
ご相談はお受けできますが、並行して「まず病院(睡眠外来や耳鼻科)で検査を受けること」をおすすめしています。
寝ている間にどれくらい呼吸が止まっているか(重症度)や、心臓への負担は、病院の検査でしか正確に分かりません。検査結果をお持ちいただくと、あなたの原因が鼻・ストレス・体重のどれが強いかの整理もしやすくなります。
どのくらいの期間で変化を感じられますか?
まず「3ヶ月」を一つの単位として、いびきの音・朝のスッキリ感・日中の眠気・体重・むくみを一緒に確認します(※個人差があります)。
鼻やストレスが原因の方は比較的早く(1〜2ヶ月で)変化が出ることがあります。体重が原因の方は半年から1年単位で、食事・運動と合わせてじっくり腰を据えて取り組みます。
いびきが軽くなったら、もう漢方をやめても再発しませんか?
「軽くなったら再発しない」とは申し上げられません。
体重が元に戻ったり、花粉症や鼻炎の季節が来たり、仕事のストレスが強まったりすれば、いびきは戻りやすいものです。だからこそ、漢方薬で土台を作った後も、日々の養生(食事・運動・鼻のケア)を続けることを一番大切にしています。
費用はどのくらいかかりますか?
漢方薬の費用は、週5,000円前後〜(月2万円前後〜)が目安です。相談料は無料です。
体質や原因のタイプによって漢方の内容が変わりますので、お作りする前に必ず金額をお伝えします。ご相談時にご予算のご希望も含めて率直にお伝えください。
まとめ|自分のいびきの「原因」から整える
「CPAPを毎日つけるのは苦痛だけれど、外したら無呼吸になるのが怖い」
いびき・無呼吸は、病院のCPAPで夜の安全を守りながら、気道が狭くなる原因のほうを「漢方と生活習慣」で体質から整えていく病気です。
- 自分のいびきの原因が、鼻なのか、ストレスなのか、体重なのか。原因が分かれば、漢方で整える順番が決まります。
- 一番大変な「体重タイプ」の方には、正直な見通しをお伝えしたうえで、食事・運動・漢方の三本柱で伴走します。
- CPAPは自己判断で外さず、漢方は「3ヶ月」を単位に日中の眠気や朝のスッキリ感を物差しにします。
日中の眠気と、CPAPを外せないかもしれないという不安を、どうか一人で抱え込まないでください。
あなたの睡眠の状態、体重の推移、鼻の症状、そして日々のストレスを丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、新宿の漢方薬局「太陽堂」があなたの原因に合った漢方ケアをご提案いたします。
関連するお悩み
いびき・無呼吸は、鼻の状態、自律神経、体重や血圧と深く関わっています。ご自身の症状に近いページもぜひご参照ください。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
太陽堂がはじめての方へ
ご相談を考え始めた方は、まずこちらをどうぞ。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。















