
「肺アスペルギルス症と言われたけれど、正直、自分がどんな病気なのかよく分かっていない」
「調べると『ABPA』『慢性』などいろいろ出てきて、どれが自分のことなのか分からない」
「カビが肺に?と聞いて、不安だけが大きくなっている」
実は、肺アスペルギルス症のご相談でお話をうかがっていると、ご自身がどのタイプなのか分からないまま強い不安を抱えている方がとても多くいらっしゃいます。
今回は、大きく2つのタイプ(アレルギー型と慢性型)の違いと、それぞれのタイプに対する漢方の考え方について、薬剤師の視点から分かりやすく解説いたします。
【この記事の結論:「肺アスペルギルス症のタイプと不安」に対する漢方の考え方】
- 病気・状態の正体: 西洋医学では吸い込んだカビに対する「過剰反応(アレルギー)」または「肺胞での増殖」と捉えますが、漢方では「カビなどの異物に負けてしまう免疫力の偏り(気の乱れ)」や「粘膜の防衛力・潤い不足(陰虚)」が根本原因と考えます。
- 漢方の解決策: 菌を強引に抑え込むことだけに頼るのではなく、体内の過剰な炎症を鎮めながら免疫のバランスを整え、カビを吸い込んでも崩れにくい「強い体質」へと導きます。
- 対象となる主な疾患: アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)、慢性肺アスペルギルス症、気管支拡張症、肺MAC症(非結核性抗酸菌症)
あなたはどっち? アレルギー型(ABPA)と慢性型の見分け方
肺アスペルギルス症は、大きく分けると次の2つのタイプに分類されます。ご自身の症状やこれまでの経過と照らし合わせてみてください。
| タイプ | 症状の特徴 | こういう方に多い |
| アレルギー型(ABPA) アレルギー性気管支肺アスペルギルス症 | 喘息のようなゼーゼー・激しい咳、粘り気の強い痰(黒っぽい痰が出ることも)、微熱など。 | 喘息やアレルギー体質をお持ちの方。吸い込んだカビに対して体が「過剰に反応」している状態です。 |
| 慢性型 慢性肺アスペルギルス症 | 長引く微熱や咳、血痰・喀血、全身のだるさ(倦怠感)、体重減少など。じわじわと進行します。 | 過去に肺の病気(結核の痕・肺MAC症・気管支拡張症など)があり、肺の組織に傷みや空洞がある方。 |
ご自身の詳しい病状やアプローチについては、当薬局の専門ページでも詳しく解説しております。
【薬剤師コラム①】「自分がどのタイプか分からない」——それで大丈夫です
担当薬剤師:林
店頭でお話をうかがっていると、ご自身がアレルギー型なのか慢性型なのか、分からないまま不安に思われている方がとても多いと感じます。病院で詳しく説明を受けても、聞き慣れない専門用語ばかりで一度では頭に残らなかった——それはごく自然なことです。
分からないままでも、ご相談にはまったく支障ありません。診断名のメモや検査結果をお持ちいただければ、こちらで一緒に整理いたします。「ゼーゼーと発熱ならアレルギー型寄り、血痰とだるさなら慢性型寄り」といった見当のつけ方も、わかりやすくお伝えします。
大切なのは、タイプによって「体のどの部分を立て直すか」が変わってくるということです。そこさえ見極められれば、漢方は的を絞って的確に組み立てることができます。
タイプ別・漢方の考え方|基本は同じ2本柱、力点が変わる
アスペルギルスは、空気中やホコリの中など、私たちの身の回りのどこにでも存在する身近なカビです。健康な方であれば吸い込んでも問題になりません。
問題なのは「カビそのもの」というよりも、「カビに負けてしまう体の防衛力の低下・バランスの乱れ」です——こここそが漢方による体質ケアの出番です。
| 働き | ねらい |
| 免疫と体力を養う漢方薬 | カビに負けない身体の防衛力(気)を育てます。2タイプに共通する体質づくりの土台です。 |
| 菌を除去する漢方薬 | カビによる炎症や不快な症状に対してアプローチします。呼吸器の環境を整える生薬です。 |
| 肺の熱・炎症を鎮める漢方薬 | アレルギー型(ABPA)で、過剰な免疫反応や激しい熱感・咳があるときに組み合わせます。 |
| 消耗した体力を補う漢方薬 | 慢性型で、長引く倦怠感・だるさ・体重減少などの消耗が目立つときに組み合わせて体を補います。 |
基本となる「免疫力アップ+炎症ケア」の2本柱は同じですが、アレルギー型は「過剰な炎症を鎮める」こと、慢性型は「消耗した体力をしっかり支える」ことに力点が置かれます。だからこそ、ご自身のタイプを知ることに大きな意味があるのです。
【薬剤師コラム②】病院の治療と、並行して進められます
担当薬剤師:椙田
「病院でお薬をもらって治療中ですが、漢方も一緒に飲んで大丈夫ですか?」というご質問をよくいただきます。結論から申し上げますと、基本的には並行して進めていただけます。お薬手帳をお持ちいただければ、専門薬剤師が飲み合わせを確認いたします。
病院のお薬が原因となるカビへ向き合うあいだ、漢方は体の内側——免疫のバランスと体力——を立て直す役割を担います。
実際に、西洋医学的な治療と並行しながら漢方で体を補い、検査数値や症状が穏やかに落ち着いていった症例がいくつもあります。
「カビが肺にいる」と聞くと、それだけで恐ろしくなってしまいますよね。でも、体の側から整えられる手立てはしっかりとあります。不安なお気持ちごと、どうぞお聞かせください。
【改善実例】タイプ別・2つのケース
①【アレルギー型(ABPA)】昭和61年生 男性|CRP(炎症反応)が1.5→0.02へ落ち着いたケース
3年ほど前にABPAと診断。咳・痰・倦怠感・微熱が気になり、黒〜赤っぽい痰が出ている状態でご相談に来られました。お渡ししたのは、①免疫を上げる漢方薬 ②菌を除去する漢方薬 ③肺の過剰な熱を取る漢方薬 の3種類です。
- 2ヶ月後: 1.5あったCRP(炎症の数値)が0.02と基準値まで安定。苦しい咳や痰も少なくなりました。
- 1年1ヶ月後: 痰の回数も減って体調が良く、検査数値も非常に安定した状態を保たれています。
②【慢性型】昭和27年生 男性|咳・血痰・倦怠感から、2年8ヶ月の安定へ
1年ほど前に慢性型と診断され、咳・血痰・全身のだるさが気になってご相談に来られました。お渡ししたのは、①免疫と体力を上げる漢方薬 ②菌を除去する漢方薬 の2種類です。
- 2ヶ月後: 辛かった倦怠感が大分楽になり、元気に動ける日が増えてきました。
- 11ヶ月後: 咳や血痰が出なくなり、症状のない穏やかな日が続いています。
- 1年2ヶ月後: 病院の定期検査でも順調と言われました。
- 2年8ヶ月後: 症状もなく非常に体調良く過ごされており、無事に漢方ケアの目標を達成されました。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。
当薬局には、アスペルギルス症をはじめ呼吸器疾患全般の改善症例が数多く蓄積されています。実際の経過は、ぜひこちらを参考にされてください。
肺アスペルギルス症と漢方についてのよくあるご質問(FAQ)
自分がどのタイプか分かりません。相談できますか?
はい、分からないままで大丈夫です。
実際、ご相談に来られる方の多くがタイプが分からない状態でお越しになります。診断名のメモや検査結果(レントゲン・CT・血液検査〔β-D-グルカンなどの数値〕)をお持ちいただければ、一緒に整理いたします。また、診察の際に主治医の先生に「私の症状はABPAですか、慢性型ですか」と聞いてみるのもおすすめです。
病院の治療(お薬・抗真菌薬など)と漢方薬は併用できますか?
基本的には併用いただけます。
病院の治療方針や主治医の先生の指示を尊重したうえで、漢方は免疫力や体力という「体の側」を底上げして支えます。お薬手帳をお持ちいただければ、飲み合わせを安全に確認いたします。
カビが原因と聞きました。家の掃除などで気をつけることはありますか?
ホコリやカビの多い環境を避ける工夫は大切です。
エアコン内部の清掃やフィルター交換、古い畳・土いじりのあとの手洗いうがいなど、吸い込むカビの量を減らす工夫は意味があります。ただし、空気中にどこにでも存在するカビを完全にゼロにすることはできません。だからこそ、「吸い込んでも負けない強い体」を内側から育てていくことが最も重要な予防策となります。
まとめ|タイプを知って、体の側から立て直そう
同じ病名であっても、アレルギー型(ABPA)と慢性型では体の状態も対処の力点も変わります。
まずはご自身のタイプを知ること。分からなければ、主治医の先生に尋ねるか、検査結果を持って私たち専門家にご相談ください。
アスペルギルス菌はどこにでも存在するカビだからこそ、それに負けない巡りと免疫力を育てていく——それが漢方にできる根本的なアプローチです。一人で抱え込まず、どうぞお気軽にご相談ください。
「健診で肺に影と言われた」段階の方には、こちらの記事もどうぞ。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
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当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。
記事作成者 薬剤師 椙田 彩純

担当疾患;循環器、身体の痛み
臨床検査技師の両親の影響で、幼い頃から医療に関心を持つ。
大学卒業後、病院薬剤師として勤務。
対症療法が中心の現場で、繰り返す入退院や長期投薬を目の当たりにし、「もっと力になれる方法はないか」と模索する中で漢方と出会う。
現在は漢方の持つ幅広さと可能性に魅了され、一人ひとりの体質に寄り添った根本改善を追求している。















