
病院でよく出される「加味逍遙散」、本当に私に合っている?
45歳から55歳頃の約10年間を指す「更年期」。最近では、30代後半からプレ更年期として不調を感じる方も増えています。
急に顔がカッと熱くなる(ホットフラッシュ)、理由もなくイライラする、落ち込む、頭が重い……。このようなお悩みで病院を受診した際、非常によく出される漢方薬が「加味逍遙散(かみしょうようさん)」です。
ドラッグストアでも見かける有名な処方ですが、ご相談者様の中には「飲んでいるけれど、いまいちスッキリしない」と仰る方も少なくありません。
実は漢方薬は、病名ではなく「体質」に合わせて選ぶことが何より大切なのです。加味逍遙散がどのようなメカニズムで働き、どんなお悩みに適しているのかを紐解いていきましょう。
【コラム】薬剤師 石川の視点「更年期アプローチ:西洋医学と漢方の違い」
更年期の辛い頭痛に『ロキソニン』や『イブプロフェン』などの鎮痛剤を使ったり、強いイライラや不安感に対して『デパス』などの抗不安薬(精神安定剤)を処方されたりする方は多いでしょう。
また、婦人科における標準的なケアとしては、減少した女性ホルモンを補う『ホルモン補充療法(HRT)』があります。こうした西洋薬は、不足したものを直接補ったり、辛い症状をピンポイントでブロックしたりするのに優れています。
一方で、漢方の加味逍遙散は、『血(けつ)を補い、滞った気(エネルギー)の巡りを良くする』ことで、乱れがちな自律神経の土台を整えるサポートをします。西洋薬と漢方、それぞれの得意分野を理解し、上手に使い分けることが大切です。
加味逍遙散の中身と働き:「血」を補い「熱」を冷ます
加味逍遙散は、10種類の生薬が絶妙なバランスで配合されています。ベースとなっているのは、体の巡りを整える「逍遙散(しょうようさん)」という処方です。
- 血(けつ)を補い、栄養を行き渡らせる「当帰(トウキ)」「芍薬(シャクヤク)」という生薬が含まれています。これらは、女性の強い味方である「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」にも使われており、ホルモンバランスの乱れによる「血の不足(血虚)」を優しくケアします。
- 気の滞りをほぐし、リラックスさせる「柴胡(サイコ)」「薄荷(ハッカ)」などが、ストレスで凝り固まった気(エネルギー)の巡りをスムーズにし、イライラや気分の落ち込みを和らげるサポートをします。
- こもった「熱」をスーッと冷ますベースの処方に加えられている「牡丹皮(ボタンピ)」と「山梔子(サンシシ)」が重要な役割を果たします。これらは、体内にこもって上に昇りやすくなった「余分な熱」を冷まし、血流の巡りを助ける働きを持っています。
加味逍遙散がサポートする「お悩みタイプ」
| お悩みのカテゴリー | 主なサイン・状態 | 加味逍遙散のアプローチ |
| 更年期のゆらぎ | ・ホットフラッシュ(急なのぼせ) ・肩がパンパンに張る ・頭が重だるい | 上に昇った「熱」を冷まし、自律神経の乱れからくる体の緊張を和らげる。 |
| 精神・気分のゆらぎ | ・ささいなことでイライラする ・急に不安になる、落ち込む ・寝つきが悪い、眠りが浅い | 滞った「気」の巡りをスムーズにし、心身をリラックスした状態へ導く。 |
| 月経・お肌のトラブル | ・PMS(月経前症候群)、生理不順 ・ホルモンバランスによる大人ニキビ | 「血」を補って巡らせることで、女性特有のサイクルと肌の土台を整える。 |
【コラム】薬剤師 前原の視点「ホットフラッシュには合うけれど、大汗には?」
東洋医学には、急にカーッと熱くなったり、スッと寒くなったりを繰り返す『逍遙熱(寒熱交錯)』という言葉があります。これはまさに更年期の『ホットフラッシュ』に近い状態で、熱を冷ます加味逍遙散が非常に適しています。
しかし、もう一つの代表的なお悩みである『滝のような異常な汗(スウェッティング)』に対しては、これだけではカバーしきれないケースがあります。汗のトラブルには、水分代謝にアプローチする別の漢方薬(柴胡桂枝乾姜湯など)の方が合うことも多いのです。
『更年期=加味逍遙散』と決めつけず、ご自身の症状を細かく見極めることが大切です。」
加味逍遙散に関するよくあるご質問(FAQ)
頭痛が辛い時、ロキソニンなどの市販薬と一緒に飲んでも大丈夫ですか?
基本的に、ロキソニンなどの鎮痛剤と加味逍遙散を併用していただくことは可能です。痛みが強い時は西洋薬でしのぎつつ、漢方で『頭痛が起きにくい体質の土台』を作っていくアプローチは有効です。
「命の母」や「ルビーナ」などの市販の更年期薬と一緒に飲めますか?
市販の更年期向けのお薬(第2類医薬品など)には、加味逍遙散と同じような生薬(当帰や芍薬など)が含まれていることが多くあります。成分が重複して過剰摂取になる可能性があるため、併用は避けるか、必ず薬剤師にご相談ください。
更年期ではないのですが、PMSのために飲んでも良いのでしょうか?
はい、問題ありません。加味逍遙散は「ホルモンバランスの変動に伴う自律神経の乱れ」を整えるのが得意なため、20代〜30代の方のPMS(イライラ、気分の落ち込みなど)や生理不順のケアとしても広く用いられます。
まとめ:病名ではなく「自分の体質」に合った漢方選びを
「加味逍遙散」について解説しました。
更年期やPMSのお悩みに非常に頼りになる漢方薬ですが、「万能薬」ではありません。血を補い、熱を冷ますという働きがピタッと合う方には素晴らしいサポート力を発揮しますが、症状によっては別の漢方薬が適している場合も多々あります。
「病院で出された漢方を飲んでいるけれど、しっくりこない」
「色々な症状があって、自分に何が合うのか分からない」
そんな方は、ぜひ一度太陽堂にご相談ください。東洋医学の専門家が、あなたのお体の状態(体質)を丁寧にお伺いし、数ある漢方薬の中から最適なケアをご提案いたします。ゆらぎの時期を、少しでも心地よく過ごすためのお手伝いをさせてください。
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記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。















