
「朝、何度起こしても起き上がれず、遅刻や欠席がどんどん増えている」
「午後になるとウソのように元気になるので、周りから『ただ怠けているだけでは?』『夜更かしのせいだ』と誤解されてしまう」
「小児科で『起立性調節障害(OD)』と言われたけれど、『思春期だから様子を見ましょう』と言われるばかりで、このまま何もしなくていいのか不安でたまらない」
起立性調節障害(OD)の太陽堂へのご相談は、ほとんどがご本人ではなく、心配された親御さんから寄せられます。お子さまの年齢は小学生から高校生まで幅広く、一番多く、そして切実な困りごとは、圧倒的に「朝起きられずに学校に行けないこと」です。
今回は、店頭で親御さんからよくいただくご不安への正直な答えと、太陽堂が導き出した「気の巡り・血・疲れ」の3本柱で身体の土台から整える漢方のアプローチを、実際に学校に通えるようになった実例とともに、薬剤師の視点から詳しく解説いたします。
【この記事の結論:「朝起きられないお子さん」に対する漢方の考え方】
- 起こる理由(原因): 西洋医学では思春期の急激な身体の成長に自律神経の発達が追いつかず、脳が血流不足になる状態とされます。漢方では「気(自律神経のスイッチ)」の滞りと、「血(栄養)」の圧倒的な不足によるガス欠状態が土台にあると考えます。
- 漢方の解決策: 西洋薬(昇圧剤)に頼りきりになるのではなく、漢方で①気の巡りを良くする ②血をたっぷりと補う ③身体の根深い疲れを取る——という3本柱で、朝自然にスイッチが入る身体の土台を育てます。
- 対象となる主な疾患・お悩み: 起立性調節障害(OD)、朝起きられない・起きるとふらつくお子さん、不登校気味のお子さんを心配する親御さん、「様子見」と言われて行き場を失っている方
「朝起きられない」は、なぜ起こる?——店頭から見える実像
健康な身体では、朝目を覚まして起き上がろうとすると、自律神経(交感神経)のスイッチが瞬時に切り替わり、下半身の血管がキュッと締まって血液が重力に逆らってしっかりと脳へ送られます。
しかし、起立性調節障害(OD)のお子さんは、この「自律神経のスイッチの切り替え」が極端にうまくいきません。起き上がっても血管が締まらないため、血液が下半身に溜まったままになり、脳が「極度の血流不足(酸欠状態)」になってしまいます。だから、意思の力とは関係なく「起きられない」「起きても立ちくらみがする・めまいがする・激しくだるい」のです。
太陽堂の店頭から見える、ご相談の実像
- どなたからのご相談か: ほとんどが親御さんからです。お子さん本人が自ら「漢方薬局に相談したい」と言い出すことは少なく、見かねて心配した親御さんが調べてご来店されます。(親御さんだけでのご相談も大歓迎です)
- 年齢層: 小学生から高校生まで幅広くいらっしゃいます。(※大人になってから症状に悩まれる方のご相談も可能です)
- 一番多い困りごと: 「朝起きられずに学校に行けない(遅刻・不登校)」が圧倒的です。あわせて、午前中の激しいだるさ、立ちくらみ、頭痛、頭がスッキリしないといった訴えを伴います。
- 病院のお薬の現状: メトリジン(血圧を上げる薬)などの昇圧剤を処方されるケースもありますが、太陽堂に来られるお子さまの多くは「お薬を飲んでいない状態」が基本です。「思春期の成長過程だから様子を見ましょう」と言われ、お薬も出ずに何もできないまま時間だけが過ぎていくことに、親御さんが強い焦りと不安を募らせているケースが非常に目立ちます。
【薬剤師コラム①】「怠けているだけ」と責める前に、知ってほしいこと
担当薬剤師:石川
親御さんの深いお悩みを伺っていると、一番辛いのは朝起きられない症状そのものよりも、「学校に行きたくないから怠けているだけなんじゃないか」「夜中までスマホを見ている夜更かしのせいだ」と、学校の先生や周囲に誤解されてしまうことだと痛感します。
時には親御さんご自身が、「私の育て方や生活習慣のしつけが悪かったせいだ」と、ご自分を強く責めてしまっていることもあります。
ここではっきりお伝えします。起立性調節障害は、気合や根性、性格の甘え、育て方の問題では決してありません。思春期の急激な身体の成長に、自律神経の精密な発達がどうしても追いつかないことで起こる「明らかな身体的(物理的)な問題」なのです。
「午後や夕方になると元気にゲームをしたり笑ったりしている」のも、決して仮病やサボりの証拠ではありません。時間が経つにつれて自律神経がようやく働き始め、血圧や脳への血流が追いついてくるからこそ、元気に動けるようになるだけなのです。
まずは、一番身近な親御さんが「これは気持ちの問題じゃなくて、身体の仕組みの問題なんだよ」と正しく理解して味方になってあげること。それだけで、自分を責めていたお子さんの表情がパッと明るく変わることも多いのです。お子さんを責める代わりに、身体の土台を漢方で一緒に整えていきましょうね。
【比較表】西洋医学(病院)と漢方薬(太陽堂)のアプローチの違い
| 比較項目 | 西洋医学(病院のアプローチ) | 漢方薬(太陽堂の体質ケア) |
| 主な目的 | 昇圧剤などで血圧を物理的に支え、症状を一時的に和らげる | 気・血・疲れの土台を根本から整え、朝自力で起きられる体質を育てる |
| 得意なこと | 症状が極端に強い場合の対症療法、他疾患との鑑別診断 | 「様子を見ましょう」の間にできる、生活と体質からの力強い立て直し |
| 代表的な手段 | 生活指導、昇圧剤(メトリジン、ミドドリン等)の処方 | 気の巡りを良くする漢方薬・血を補う漢方薬・疲れを取る漢方薬 |
| 気になる点 | お薬が出ない(様子見)のまま、不登校の時間が過ぎてしまう不安 | 体質の変化を実感するまでに一定の期間(まずは3ヶ月が目安)が必要 |
| 両者の関係性 | 病態の正確な診断と、最低限の血圧を支える「対症療法の軸」 | 身体の側から「朝のスイッチが入る土台」を育てる「根本ケア」 |
漢方から見た「朝起きられない」——3本柱の組み立て
太陽堂では、起立性調節障害のお子さまに対して、以下の「3本柱」を基本にオーダーメイドで漢方を組み立てます。実例の患者さまも、この組み立てが中心となって回復されています。
軸① 気の巡りを良くする漢方薬(理気・平肝)
- 狙い: 朝、自律神経のスイッチの切り替えがうまくいかない状態を、東洋医学では「気(エネルギー)」の巡りの滞りと捉えます。朝のスイッチが「カチッ」とスムーズに入りやすいように、気の巡りを整えるのが第一の柱です。
軸② 血を補う漢方薬(補血:ほけつ)
- 狙い: 思春期は、身体の急激な成長に対して「血(栄養・血液)」の生産が追いつかず、常にガス欠のような状態(血虚:けっきょ)に陥りがちです。血をたっぷりと補って、身体を動かし脳に酸素を送るエネルギーを蓄えるのが第二の柱。顔色が青白い・立ちくらみがひどいお子さんは、特にこの要素が大きいことが多いです。
軸③ 身体の深い疲れを取る漢方薬(補気・健脾)
- 狙い: 激しい倦怠感や、鉛のように身体が重いだるさが強いお子さんには、胃腸の働きを良くして「疲れそのもの」を取る(エネルギーを生み出す)漢方薬を組み合わせます。
どのお子さんにどの要素が大きいかは千差万別です。症状の出方、午後からの元気さ、胃腸の強さなどを親御さんから丁寧に伺ったうえで、最も効果的な配合とバランスを整えていきます。
【薬剤師コラム②】「学校、無理にでも行かせた方がいいですか?」への答え
担当薬剤師:前原
「本人は嫌がっているけれど、昼からでも、保健室登校でもいいから、無理にでも学校に行かせた方がいいのでしょうか?」
これも、親御さんから必ずと言っていいほどいただく、切実なご質問です。私たちの店頭での答えは、とてもはっきりしています。
「いいえ、焦らず『ゆっくり休ませて、行ける時に行く』スタンスにした方が良いですよ」とお伝えしています。
なぜなら、漢方薬が効ききって身体の土台が整う前に、親の焦りで無理に背中を押して行かせても、身体の苦しさは変わらないためあまり意味がないからです。むしろ、身体の土台が整っていない状態で無理に頑張らせると、途中で気分が悪くなったりして、お子さんの心の中に「学校=辛くて苦しい場所」というネガティブな記憶と恐怖心だけが積み重なってしまいます。
まずは漢方でしっかりと身体を整える。そして体力が戻ってきて「あ、今日は少し行けそうかも」と思えた日に、行ける時間だけ行く。それを少しずつ増やしていく——。親御さんからすれば焦る気持ちでいっぱいだと思いますが、遠回りに見えて、これが学校復帰への一番の近道なのです。
【改善実例】学校に通えるようになっていったエピソード
①【朝起きるのが辛くて学校を休みがち】10代 女性|3ヶ月で学校に行ける日が出てきて、1年で治療終了
【ご相談時の状態】 1年ほど前から症状が気になるようになり、病院で「起立性調節障害(OD)」と診断された10代の方です。「倦怠感」「息切れ」「疲れ」が気になり、朝起きるのが辛くて学校を休むようになっているとのことでした。
【太陽堂の提案】 ①気の巡りを良くする漢方薬 ②血虚の漢方薬(血液を補う漢方薬) ③身体の疲れを取る漢方薬 の3種類を組み合わせてお出ししました。本記事の「3本柱」の組み立てです。
- 3ヶ月後: 倦怠感・息切れともに少なくなり、疲れも取れやすくなって学校に行ける日も出てきたとのこと。
- 6ヶ月後: 倦怠感・疲れはほとんどなくなったとのこと。
- 1年後: 気になる症状もほとんどなくなり、学校にも行けているとのことで治療終了となりました。
②【朝早起きできず、昼頃になると動ける】10代 女性|2ヶ月で症状がだいぶ楽に
【ご相談時の状態】 ふらつきやだるさが気になり、病院で起立性調節障害と診断された10代の方です。朝は全く早起きができず、何とか起きた後もふらつきやだるさが強く、学校を休むように。昼頃になると動けるようになるものの、立ちくらみがあり、常に頭がスッキリしない感覚があるとのこと。「初潮が来てから症状がさらにひどくなっている」のが特徴的でした。
【太陽堂の提案】 この方の場合は、ホルモンのバランスを整える漢方薬を1種類お出ししました。
- 2ヶ月後: 漢方を飲み始めてから症状がだいぶ楽になり、気になっていた立ちくらみも改善してきているとのこと。
- その後(数ヶ月後): 疲れた時などにたまに症状が出ることはあるものの、ほとんど出なくなったため、数ヶ月後に漢方治療を終了となりました。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状の改善を保証するものではありません。
▼起立性調節障害の改善実例をもっと見る
ご家庭でできる、回復を後押しする「3つの基本」
- 「怠け」と責めず、味方になる: コラムでもお伝えした通り、これは身体の(自律神経の)問題だと家族全員が正しく理解することが、回復の第一歩です。親御さんが焦る以上に、お子さん本人が一番「学校に行けない自分」を責めて苦しんでいます。
- 学校は「ゆっくり、行ける時に」で良いと家族で決めておく: 無理に行かせるより、身体の土台が整ってから行ける日を自然に増やす方が、結果的に圧倒的に早い——これが太陽堂で一貫してお伝えしている考え方です。親御さんの「焦らない姿勢」がお子さんの安心感につながります。
- 調子の「記録(メモ)」をつける: 「何時に起きられたか」「ふらつきや頭痛はあったか」をカレンダー等に簡単にメモしておくと、漢方薬の効き方を確かめる大切な手がかりになります。また、「今週は3日も行けたね!」と行けた日を数える記録は、お子さん自身の大きな自信にもつながります。
よくあるご質問(FAQ)
子ども本人が漢方を嫌がって(または疲れていて)行きたがりません。親だけで相談してもいいですか?
はい、もちろんです。太陽堂のODのご相談は、ほとんどが親御さんお一人からのご相談です。
お子さんの症状の出方、顔色、生活リズムなどを親御さんから詳しく伺って、漢方の組み立てを考えます。全国対応のオンライン相談もありますので、まずはお母様・お父様だけで、どうぞお気軽にご相談ください。
本当に「怠け」や「ゲームのやりすぎ」ではないのでしょうか?
怠けではありません。朝、脳へ血液をうまく送れない「身体の状態」です。
午後に元気になるのは、仮病だからではなく、時間が経つとともに自律神経がようやく働き、血流が脳に追いついてくるからです。「夜更かしのせいだ」と決めつけず、まずは身体の側から整えることを考えてあげてください。
病院では「様子を見ましょう」と言われ、お薬が出ませんでした。漢方薬だけで大丈夫ですか?
実際、ご相談に来られるお子さんの大半は病院のお薬を飲んでいない状態(様子見の状態)です。
「様子を見ましょう」と言われて不安な期間にできる体質づくりとして、漢方薬を始める方が多くいらっしゃいます。病院から昇圧剤などのお薬が出ている場合も、基本的には併用可能ですので、ご相談時にお知らせください。
学校は無理にでも行かせた方がいいですか?
店頭では「ゆっくり行かせた方が良い」とお伝えしています。
漢方薬が効ききる前に無理に行かせても、あまり意味はありません。身体の土台を整えながら、行ける日を少しずつ増やしていきましょう。
どのくらいの期間で変化を感じられますか?
基本は「3ヶ月」を一つの目安としてお願いしております。早いお子さんでは1ヶ月で変化が出はじめます。
実例①のように、3ヶ月ごろから「学校に行ける日が出てきた」と変化を感じ、半年〜1年ほどかけて安定していく方もいらっしゃいます。効果の出方には個人差があります。焦らず、少しずつの変化を一緒に見守っていきましょう。
大人でも起立性調節障害の相談はできますか?
はい、可能です。大人になってから症状に悩まれている方からのご相談・改善実例もあります。
お子さんと同じように、体質と生活リズムを伺ったうえで組み立てを考えますので、年齢を気にせずお気軽にご相談ください。
まとめ:お子さんを責めずに、身体の土台から整えていこう
「朝起きられない」のは、決してお子さんの気持ちの弱さや怠けではありません。急激な成長の中で、自律神経と血流が悲鳴を上げている「SOSのサイン」なのです。
- 「怠け」と責めず、身体の問題だと理解して一番の味方になる
- 漢方薬で「気の巡り・血を補う・疲れを取る」の3本柱で、朝起きられる体質を育てる
- 学校は「ゆっくり」で良い。焦らず、行ける日を少しずつ増やしていく
「このまま学校に行けなくなって、ひきこもりになったらどうしよう」
「病院で様子見と言われたけれど、ただ待っているだけで本当にいいのだろうか」
そんな先が見えない不安で一番苦しんでおられるのは、お子さんを見守る親御さんだと思います。どうぞ一人で抱え込まずに太陽堂へご相談ください。お子さんの症状の出方・生活リズム・体質を丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、お子さんにピタリと合わせた漢方ケアをご提案いたします。
【ご相談をご希望の方へ】
起立性調節障害(OD)に対する具体的な漢方アプローチについては、こちらのページにて詳しく解説しております。全国対応のオンライン相談も承っておりますので、まずはお気軽にお声がけください。
関係性の深いお悩み;ご相談も多数いただいております。
お子さんや自律神経に関するさまざまなお悩みについて、以下の記事もあわせてご覧ください。
▼学校に行こうとするとお腹が痛くなる方に(過敏性腸症候群)
▼子どものチックに悩む親御さんへ
▼自律神経失調症
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
太陽堂がはじめての方へ
ご相談を考え始めた方は、まずこちらをどうぞ。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。















