
「保育園で風邪をもらってくるたびに、必ず中耳炎になって耳にくる。今年に入ってもう何回目だろう」
「そのたびに耳鼻科で抗生剤。飲ませるたびに『こんなに薬ばかり続けて、身体は大丈夫なのかな』と不安になる」
「夜中に突然耳を押さえて泣き出し、親子で眠れない夜が続いている。見ているのも辛い」
「治ったと思ったら、今度は『滲出性(しんしゅつせい)中耳炎に移行していますね』と言われた。このままでは聞こえ(聴力)に影響しないか心配で……」
小さなお子さんが中耳炎を繰り返されるとき、親御さんが本当に辛いのは、一回一回の発熱や痛みのお世話そのものよりも、「またか」という終わりの見えなさと、「このまま抗生剤ばかり飲ませ続けて良いのだろうか」という漠然とした不安ではないでしょうか。
この記事では、なぜ小さなお子さんは中耳炎を繰り返しやすいのか、病院の抗生剤治療とどう付き合えばよいのか、そして「一回の痛みを早く治す」だけでなく「風邪をひいても耳にこない(中耳炎に移行しない)身体」を内側から育てていく漢方の考え方を、薬剤師の視点から解説いたします。
※なお、太陽堂には大人になってから中耳炎を繰り返す方のご相談も多く寄せられています。大人の方は、記事末尾でご案内する総合ページもあわせてご覧ください。
【この記事の結論:「子どもが中耳炎を繰り返す」に対する漢方の考え方】
- 起こる理由(原因): 西洋医学では、子どもは耳と鼻をつなぐ管(耳管)が短く水平に近いため、鼻や喉の細菌・ウイルスが耳に届きやすいことが繰り返しの主な理由とされます。漢方では、鼻にいつまでも炎症が残りやすい体質(熱)と、余分な水が溜まりやすい体質(水毒)、そして風邪に負けやすい体力の弱さ(気虚)が重なると、耳に波及しやすくなると考えます。
- 漢方の解決策: 病院の抗生剤で細菌を抑える治療とは対立せず、漢方で①鼻の炎症と耳の腫れを鎮める ②溜まりやすい水の巡りを整える ③風邪に負けにくい身体の土台を育てる——という組み立てで、最終的に「中耳炎にかかる回数そのものを減らす」ことを目指します。
- 対象となる主なお悩み: 風邪のたびに中耳炎になるお子さん(急性中耳炎・反復性中耳炎)、抗生剤を何度も繰り返している方、鼓膜切開を何度もした方、滲出性中耳炎への移行や聞こえが心配な親御さん、大人になっても中耳炎を繰り返す方
親御さんの不安は、だいたいこの3つに集まります
お子さんの中耳炎でご相談を受けるとき、親御さんのお話はおおむね次の3つに集まります。
- 「抗生剤ばかりで大丈夫?」という不安: 発症のたびにクラバモックスやワイドシリンなどの抗生剤が出るので、腸内環境への影響や「耐性菌ができて効きにくくなるのでは」という心配が募る。
- 熱と痛みで、夜眠れない: 夜中に急に耳を痛がって泣く、高熱が出るのが急性中耳炎の特徴で、親子ともに睡眠不足で消耗する。
- 滲出性中耳炎への移行と、聞こえの心配: 痛みが引いたあとも耳の奥に液(水)が抜けずに残り、「ずっと聞こえが悪いのではないか」「言葉の発達や学習に影響しないか」と気になる。
ここで一つ、薬剤師としてはっきりお伝えしておきたいことがあります。
「抗生剤への不安があっても、処方されたお薬を自己判断で途中でやめたり、勝手に量を減らしたりしないでください」
急性中耳炎は細菌の感染であることが多く、抗生剤を途中でやめると細菌が残って長引いたり、耐性菌ができてかえって繰り返しの原因になったりします。漢方薬は、「今の細菌感染を抗生剤で治すこと」を否定するものではなく、「次にかかりにくい身体(土台)」を受け持つものです。
【薬剤師コラム①】「抗生剤を飲ませたくない」というお気持ちへ
担当薬剤師:前原
「できれば、もうこれ以上抗生剤を飲ませたくないんです」——親御さんのこのお気持ちは、私にも本当によく分かります。私も調剤薬局で働いていたころ、同じ小さな患者さんに、何度も抗生剤をお渡しした経験があります。
ただ、その上で私がお伝えしているのは、「今日から抗生剤を一切やめる」ことを目標にするのではなく、「抗生剤が必要になる回数を減らす」ことを目標にしましょう、ということです。
今起きている感染(痛みと熱)は、病院の抗生剤でしっかり治す。そして、治ったあとの「次にかからないための身体の土台づくり」を漢方薬が受け持つ。この役割分担がいちばん現実的で、結果的にお子さんにとっても負担の少ない道だと考えています。
「今回は風邪をひいて鼻水が出たけれど、熱も出ず、耳にはこなかったね」——そんな回数が少しずつ増えていくことが、私たちが親御さんと一緒に目指すゴールなのです。
なぜ小さな子どもは中耳炎を繰り返すのか——鼻と耳はつながっています
耳の奥(中耳)と鼻の奥は、「耳管(じかん)」という細い管でつながっています。
子どもの耳管は、大人に比べて「太く・短く・水平に近い(傾斜がなだらか)」という構造をしています。そのため、鼻や喉で増えた細菌やウイルスが耳の奥へ流れ込みやすく、炎症を起こしてしまうのです。これが、小さなお子さんが「風邪をひくと耳にくる」大きな理由です。(※成長とともに耳管が長く縦になっていくため、小学校に上がる頃には自然と減っていくことが多いです)。
ですから、中耳炎を繰り返すお子さんでは、「耳」の局所だけを見るのではなく、「鼻」の状態をあわせて見ることがとても大切です。
「風邪の後、青っぱながいつまでも長引いている」「鼻をズルズルすする癖がある」「いつも口がポカンと開いている(口呼吸)」「寝ている時にいびきをかく」——こうしたサインがあるお子さんは、鼻の奥でくすぶっている炎症が耳に波及している場合が少なくありません。鼻の炎症と中耳炎は連動しているのです。
【比較表】西洋医学(病院)と漢方薬(太陽堂)のアプローチの違い
| 比較項目 | 西洋医学(病院のアプローチ) | 漢方薬(太陽堂の体質ケア) |
| 主な目的 | 今起きている細菌感染と炎症を、抗生剤・鎮痛剤・切開で治す | 鼻と耳の炎症を落ち着け、水の巡りと身体の土台を整えて回数を減らす |
| 得意なこと | 急性期の痛み・発熱への確かな対応。細菌感染を抑え込む | 「治ったあと」の体質づくり。鼻の炎症が残りやすい・風邪に負けやすい体質ケア |
| 代表的な手段 | 抗生剤(ペニシリン系など)、鎮痛剤、去痰薬、鼓膜切開術 | 鼻と耳の熱を冷ます漢方薬、免疫(気)を補う漢方薬、水をさばく漢方薬 |
| 気になる点 | 繰り返す場合、次の感染を防ぐ手段は限られ「様子を見る」になりやすい | 体質からの変化のため、月単位・季節をまたいで取り組む必要がある |
| 両者の関係性 | 対立ではなく併用OK。急性期の痛みと感染を取り除く主役は病院。「今の感染」は病院で、「次にかからない身体」は漢方で、の二段構え | |
漢方の組み立て——「耳にこない身体」を育てる3つの視点
太陽堂では、お子さんの中耳炎の繰り返しに対して、「一回一回の炎症を早く落ち着ける」ことと、「かかる回数を減らす」ことの両方を考え、以下の3つの視点で漢方薬を調合します。
軸① 鼻の炎症と耳の腫れを落ち着ける漢方薬(清熱解毒)
- 狙い: 中耳炎の入口であり引き金となる「鼻の奥の炎症」を鎮め、耳の腫れと熱を落ち着けます。青っぱなや黄色い鼻水が長引く・鼻づまりが続くお子さんでは、こもった熱を冷ます漢方薬でここを整えることが、繰り返しを断ち切る第一歩になります。
軸② 溜まりやすい「水」の巡りを整える漢方薬(利水)
- 狙い: 痛みが引いた後も耳の奥に液が残りやすい(滲出性中耳炎に移行して聞こえが悪くなりやすい)お子さんは、漢方でいう「水」の巡りが滞りやすい(水毒)体質と考えます。余分な水をさばく漢方薬で、耳に液が溜まりにくい状態を目指します。
軸③ 風邪に負けにくい身体の土台を育てる漢方薬(補気健脾)
- 狙い: そもそも風邪をひきにくく、ひいてもこじらせにくい丈夫な身体を育てます。食が細い・すぐ疲れる・季節の変わり目に必ず体調を崩すといったお子さんでは、胃腸を丈夫にして免疫力(気)を補う土台づくりが、繰り返しを減らす鍵になります。
この3つの視点を、お子さんの年齢・体格(体重)・体質・現在の鼻の状態に合わせて調整します。
変化の物差しは、「風邪をひいたのに、今回は耳にこなかった」という回数が増えていくことです。一つの風邪の季節(冬など)を越えてみて、前の年と比べていただくと、「そういえば今年は耳鼻科に行く回数が減ったな」と違いが見えやすくなります。
【改善実例】中耳炎の繰り返しが減っていったエピソード(服用終了まで)
太陽堂に実際にご相談に来られた方の実例を、記録からご紹介します。
【毎月の中耳炎と滲出性中耳炎】5歳 男児|3ヶ月で風邪が耳にこなくなり、半年で服用終了
【ご相談時の状態】 保育園に入ってから風邪をひくたびに必ず中耳炎になり、「毎月のように耳鼻科で抗生剤を飲んでいる」と親御さんが不安になりご相談に来られました。最近は痛みが引いた後も液が残る『滲出性中耳炎』に移行しがちで、「テレビの音が大きく、聞こえが悪くなっているのではないか」と心配されていました。鼻水が常にズルズルと出ている状態でした。
【太陽堂の提案】 鼻の慢性的な炎症と水分の停滞(水毒)ととらえ、①鼻と耳の炎症(熱)を鎮める漢方薬 ②耳に溜まった水をさばく(利水する)漢方薬 の2種類をお子さんの体重に合わせてお出ししました。(※飲みやすいように甘みのある生薬を中心に工夫しました)。
- 1ヶ月後: 漢方を始めてから、常にズルズル出ていた青っぱなが止まり、鼻呼吸ができるようになってきました。
- 3ヶ月後: 途中で保育園で風邪をもらって熱を出しましたが、「今回は耳を痛がらず、耳鼻科に行っても中耳炎にはなっていなかった」とのご報告。
- 6ヶ月後: 耳鼻科での検査でも「耳に水は溜まっていない(滲出性中耳炎も治っている)」と言われ、テレビの音量も元に戻りました。風邪もこじらせなくなり、服用終了となりました。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状の改善を保証するものではありません。
【薬剤師コラム②】子どもは漢方を飲めますか?——飲めている子はたくさんいます
担当薬剤師:石川
「うちの子は病院の甘いシロップ薬でさえ嫌がるのに、苦い漢方薬なんて飲めるでしょうか」
初めてのご相談で、ほとんどの親御さんが心配してこう聞かれます。
正直にお答えすると、最初は匂いや味にびっくりして苦手なお子さんもいます。けれど、工夫しながら実際に毎日飲めているお子さんは、本当にたくさんいらっしゃいます。太陽堂ではチック症(子どもの繰り返す瞬きや咳払いなど)のお子さんのご相談も多くお受けしており、小さなお子さんに漢方薬をお出しすること自体は、私たちにとってとても日常的なことなのです。
飲ませ方の工夫は、お子さんの年齢や好みによって変わります。ご相談時に「どうすれば飲んでくれるか」を一緒に考えさせてください。
「どうせ飲めないだろう」と最初から諦めてしまう前に、まずはお子さんの日頃の様子や好きなものを、私たちにお聞かせいただければと思います。
よくあるご質問(FAQ)
病院の抗生剤や鎮痛剤と、漢方薬は一緒に飲めますか?
はい、併用いただけます。処方されている抗生剤は、自己判断でやめないでください。
今起きている急性感染(細菌)は病院のお薬で治し、漢方薬は「次にかかりにくい身体(免疫の土台)」を受け持ちます。飲んでいるお薬は、ご相談時にすべてお薬手帳などでお知らせください。
何歳から漢方の相談ができますか?
年齢で「何歳から」と一律に区切ってはいません。お子さんの年齢・体重・飲めそうかどうかをお伺いして、一緒に判断します。
未就学の小さなお子さんのご相談も多くお受けしています。まずはお子さんの様子を率直にお聞かせください。
「一回を早く治す」のと「繰り返さない」の、どちらを目指すのですか?
両方を考えますが、最終的な目標は「かかる回数を減らす」ことです。
鼻の炎症が残りやすい体質や、風邪に負けやすい土台といった本質的な部分を整えていくことで、「風邪をひいても耳にこなかった」回数が増えていくことを目指します。
子どもの中耳炎で、実際に改善した例はありますか?
はい、あります。この記事でも、毎月のように中耳炎を繰り返していた5歳のお子さんの記録をご紹介しています。ほかの中耳炎の店頭記録は、記事末尾の総合ページや症例一覧でご覧いただけます。
お一人おひとり経過は異なりますので、記録は「こういう道筋もある」という参考としてご覧ください。お子さんの状況に合わせた見通しは、ご相談時に率直にお伝えします。
費用はどのくらいかかりますか? 大人より安いですか?
はい、お子さんの場合は体重をもとに漢方薬の分量を決めることが多いため、それに合わせて費用も大人より抑えられます。
大人の場合、目安として1週間あたり5,000円前後〜(1ヶ月で2万円前後から)です。相談料は無料です。年齢や体質、組み合わせる内容によって金額が変わるため、始める前に必ず金額をはっきりとお伝えします。
すぐに耳鼻科へ行くべきなのは、どんなときですか?
耳を激しく痛がって泣く、高熱が出た、耳から黄色や血の混じった「耳だれ」が出た、ぐったりしている、呼びかけても返事をしない(聞こえが明らかに悪い)——こうしたときは、漢方ではなくまず耳鼻科をすぐに受診してください。
急性期の対応(痛みの緩和と細菌の抑制)は病院が最優先です。落ち着いたあとの「繰り返さない身体づくり」は、私たちにご相談ください。
まとめ:「今の感染」は病院で、「次にかからない身体」は漢方で
「また耳鼻科通いか……いつまでこれが続くんだろう」と、夜中に泣くお子さんを抱きしめながら不安になる夜を、これ以上長引かせないために。
- 子どもが中耳炎を繰り返すのは、耳管の構造と「鼻の炎症」が関係しています。耳だけでなく鼻をあわせて見ることが大切です。
- 抗生剤への不安があっても、自己判断でやめないでください。「やめる」のではなく、「漢方で必要になる回数を減らす」を目標にしましょう。
- 漢方の組み立ては「鼻と耳の炎症を落ち着ける + 水の巡りを良くする + 風邪に負けない土台を作る」。
「またか」の憂鬱な毎日から抜け出して、風邪をひいても耳を心配しなくていい穏やかな季節を迎えたい——そう思われた親御さんは、どうぞ一人で抱え込まずに太陽堂へご相談ください。
お子さんの繰り返しの経緯、鼻の状態、飲んでいるお薬、そして体格や体質を丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、お子さんに無理なく合った漢方ケアをご提案いたします。
【ご相談をご希望の方へ】
中耳炎(繰り返す耳の痛み・切開・抗生剤の不安)に対する具体的な漢方アプローチについては、こちらの総合ページにて詳しく解説しております。大人になってから中耳炎を繰り返す方も、こちらをご覧ください。全国対応のオンライン相談も承っておりますので、まずはお気軽にお声がけください。
関係性の深い病気;ご相談も多数いただいております。
耳と鼻に関するさまざまなお悩みについて、以下のページもあわせてご覧ください。
▼滲出性中耳炎——耳の詰まり・お子さんの聞こえが心配な方へ
▼慢性副鼻腔炎——抗生剤を繰り返しても治らない鼻の炎症に
▼中耳炎の店頭記録(症例一覧)
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
太陽堂がはじめての方へ
ご相談を考え始めた方は、まずこちらをどうぞ。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。















