
「整形外科で手術を勧められたけれど、首や背中の手術と聞くと怖くてどうしても決められない。でも、このまま放っておいて病気が進んだらどうなるのか……」
「『今はまだ手術の段階ではないので、経過観察で様子を見ましょう』と言われた。つまり、何もできないということ? 進行性の病気と聞いたのに、ただ待つだけなのが不安で仕方ない」
「思い切って首の手術をしたのに、手足のしびれが残ったまま。これ以上どうすればいいのか分からない」
「病院の痛み止めを毎日飲んでも、首や背中の強いこわばりと腕のしびれがすっきりしない」
後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう・OPLL)は、背骨の中を通る靭帯が、何らかの原因で骨のように硬く分厚くなり(骨化)、脊髄や神経の通り道を狭めて圧迫することで、手足のしびれや痛み、強いこわばりを起こす病気です。首(頸椎)にも背中(胸椎)にも起こり得ます。「ずいぶん前に診断されていたけれど、症状が出てきたのは最近」という方も少なくありません。
この記事では、「手術か、経過観察か」で迷っている段階の方に向けて、病院の治療とどう付き合えばよいのか、そして経過観察中でも「ただ不安を抱えて待つだけ」にしないための、進行をゆるやかにする漢方薬の考え方を、薬剤師の視点から正直に解説いたします。
【この記事の結論:「手術を迷っている・経過観察中」の後縦靭帯骨化症に対する漢方の考え方】
- 起こる理由(原因): 西洋医学では、後縦靭帯が骨化して脊髄や神経根を圧迫することでしびれ・痛み・こわばりが起こり、進行すると歩行障害や排尿障害につながるとされます。漢方では、骨化の周囲の筋肉の張り詰め(血流の滞り)、水分とミネラル代謝の乱れ(水毒・腎虚)、気の巡りの滞りによる知覚神経の不調が、症状を強めていると考えます。
- 漢方の解決策: 骨になった靭帯を漢方で消すことはできません。病院の経過観察・検査は続けながら、漢方で①骨化周辺の筋肉の張り詰めをほぐし血流を流す ②水とミネラルのバランスを整える ③気の巡りを整えて神経の働きを助ける——という組み立てで、しびれ・こわばりを和らげ、「進行をゆるやかにすること」を目標にします。
- 対象となる主なお悩み: 後縦靭帯骨化症(OPLL)で手術を勧められて迷っている方、経過観察中で何もできない不安がある方、手術後もしびれが残っている方、痛み止めで変わらないこわばりと手足のしびれ
ご相談のきっかけは4つ——そして、いちばん怖いのは「膀胱の症状」
後縦靭帯骨化症で太陽堂にご相談にいらっしゃる患者さまのきっかけは、大きく以下の4つに分かれます。どれか一つではなく、いくつも重なっている方がほとんどです。
- 手術を勧められて迷っている: 首や背中の神経の手術と聞いて怖い、後遺症のリスクが不安で、決断できないまま時間が過ぎている。
- 「経過観察」と言われて、何もできない不安: 「進行性です」と言われたのに、次のMRI検査まで「ただ待つだけで薬も出ない」のが不安で仕方ない。
- 手術後もしびれが残っている: 手術で圧迫は無事に取れたはずなのに、指先や足のしびれがいつまでも続いている。
- 痛み止めが効かない: リリカなどのしびれの薬や痛み止めを飲んでも、首・背中の強いこわばりには手応えがない。
ここで、薬剤師として漢方の話をする前に、まず一番大切なお伝えしておきたいこと(危険なサイン)があります。
この病気でいちばん怖いのは、脊髄の圧迫が進んで膀胱や直腸にまで症状が及び、尿や便を自分の意志でコントロールしにくくなること(膀胱直腸障害)です。
「尿が出しにくい・残尿感がある」「便のコントロールが難しい」「急に足がもつれて歩きにくくなった」「お箸やボタンなどの細かい作業ができなくなった」
——こうした変化があったときは、漢方薬で粘っている場合ではありません。神経のダメージが進む前に、すぐに主治医の先生に連絡してください。
【薬剤師コラム①】「手術が優先」とも「手術はしないほうがいい」とも、私たちは言いません
担当薬剤師:前原
「主治医から手術を勧められたのですが、先生はどう思いますか? やっぱり漢方だけで治した方がいいですよね?」——後縦靭帯骨化症の初回のご相談で、本当に切実な声でいただくことの多い質問です。
正直にお答えすると、私たちは「手術を優先してください」とも、「手術はやめて漢方だけにしましょう」とも言いません。
手術は、骨化による圧迫を取り除いて、それ以上の神経のダメージを防ぐための大切な西洋医学の選択肢です。ただ、店頭でお話を伺っていると、「手術は無事に成功したと言われたけれど、手足のしびれや冷えの症状が思ったほど変わらなかった」という方も実は少なくありません。
「骨の圧迫が取れること」と、「長く圧迫されてダメージを受けてきた神経の働きがすぐに元に戻ること」は、別の話だからです。
ですから私たち太陽堂は、患者さまが手術を「する」「しない(まだ様子を見る)」のどちらを選ばれても、その決断を尊重し、主治医の先生とご本人に委ねます。
そのうえで、どちらの道を選んだとしても必要になる「身体の側からのケア」——しびれやこわばりを和らげ、進行をゆるやかにする土台づくり——を受け持ちます。
手術を迷っている不安な時間を、「ただ待つだけの時間」ではなく「身体の土台を整える時間」に変える。それが、私たちにできるサポートです。
【比較表】西洋医学(病院)と漢方薬(太陽堂)のアプローチの違い
| 比較項目 | 西洋医学(病院のアプローチ) | 漢方薬(太陽堂の体質ケア) |
| 主な目的 | 画像検査で進行を見張り、必要なら手術で圧迫を取り除く | 筋肉の張り詰め・水とミネラルの代謝を整え、進行をゆるやかにする |
| 得意なこと | 骨化の状態の正確な把握、進行時の「神経を守るタイミング」の判断 | 「経過観察中」「手術後にしびれが残った」という時間へのアプローチ |
| 代表的な手段 | MRI・CT検査、鎮痛薬(リリカ等)の内服、頸椎椎弓形成術などの手術 | 筋肉の緊張をほぐす漢方薬、ミネラル代謝を整える漢方薬、気の巡りケア |
| 気になる点 | 軽症のうちは「様子を見る」になりやすく、待つ間の不安が大きい | 骨になった靭帯を、漢方薬で「溶かして消す」ことはできない。3ヶ月を区切りに年単位で付き合う必要がある |
| 両者の関係性 | 対立ではなく併用OK。検査と手術の判断は病院で、「待つ時間」と「残った症状」は漢方で、の二段構え | |
漢方の組み立て——「進行をゆるやかにする」ための3つの視点
太陽堂では、後縦靭帯骨化症に対して「骨になってしまった靭帯を、漢方薬で小さくする・消す」ことは目指しません。それは漢方薬の力にはできないことだからです。
私たちが目指すのは、①今あるしびれ・こわばり・痛みを和らげること と、②骨化の進行を少しでもゆるやかにすること の2つです。そのために、以下の3つの視点で漢方をオーダーメイドで組み立てます。
軸① 骨化のまわりで張り詰めた筋肉をほぐす漢方薬(疎経活血)
- 狙い: 靭帯が骨化している部分の周囲では、身体が無意識に神経を守ろうとして筋肉が常に張り詰めています。これが、首や背中の強いこわばりや痛み、そして神経への圧迫をさらに強める原因です。この張り詰めを優しくゆるめ、血流を流して首や背中が動きやすい状態を目指します。
軸② 水の巡りとミネラルのバランスを整える漢方薬(補腎利水)
- 狙い: 余分な水分が身体に滞ると、神経のまわりのむくみが起きて圧迫を強め、重だるさやしびれが強まります。水の巡りを整えるとともに、東洋医学で「骨」を司る「腎(じん)」の働き(ミネラルの代謝)を意識した組み立てで、これ以上骨化が進行しにくい身体の環境を目指します。
軸③ 気の巡りと知覚神経の働きを整える漢方薬(理気・通絡)
- 狙い: 長く圧迫されて傷ついた神経は、手術等で圧迫が軽くなっても、その働きがすぐには戻りません。気(生命エネルギー)の巡りを整えて、しびれた部分の感覚や毛細血管の血流を助け、しびれの範囲や強さを少しずつ減らしていく方向を目指します。手術後にしびれが残った方では、この軸が中心になります。
この3つの視点を、骨化の場所(首・背中)・症状の出方・体質に合わせて調整します。目安として3ヶ月ほどで改善が見られ始める方が多く、そこから年単位で付き合っていく形です(個人差があります)。定期的な画像検査で「進行していない」と確認できることも、大切な物差しになります。
日常で気をつけたいこと——無理な運動を控え、ミネラルを摂る
漢方薬の服用と並行して、日常の生活で守っていただきたい2つの養生をお伝えしています。
- 首や背中に負担のかかる無理な運動・姿勢を控えること: 転倒して首を打ったり、首を強く後ろに反らす動きは、狭くなった神経の通り道で脊髄への圧迫を急に強める危険があります。マッサージ等で首を強くひねる・鳴らすことも避けてください。
- ミネラルをバランス良く摂ること: 海藻・小魚・大豆製品などを毎日の食事にバランス良く取り入れてください。
【改善実例】進行性と言われながら、検査で「進行なし」が続いているエピソード
太陽堂に実際にご相談に来られた方の実例を、記録からご紹介します。
【手術はまだしたくない】70代 男性|1年4ヶ月、検査で進行なし・しびれは普段落ち着く(継続中)
【ご相談時の状態】 3年前から症状が出始め、病院のMRI検査で後縦靭帯骨化症と診断されました。首の骨(頸椎C3〜C7)の間に骨化が見られ、医師からは「進行性です」と言われていました。症状は両腕から手の指先の外側にかけてのしびれ。症状は長く続いているものの、「首の手術はまだ行いたくない」とのことで、ご相談に来られました。
【太陽堂の提案】 ①しびれと筋肉のこわばりを鎮める煎じ薬 ②骨化の進行を抑えていく煎じ薬 の2種類をお渡ししました。
- 3ヶ月後: しびれはまだ変わらずあるものの、病院の検査で「進行していない」と確認されました。
- 8ヶ月後: 「しびれが若干ひいているときもある」との変化が出始めました。
- 1年2ヶ月後: CT検査でも「進行していない」とのこと。「進行性と言われている中で抑えられているのが嬉しい」とお話しされていました。
- 1年4ヶ月後: しびれが出てくることもあるが、普段は落ち着いているとのこと。現在も引き続き、服用と病院の経過観察を並行して続けられています。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。症状の改善を保証するものではありません。
【薬剤師コラム②】手術をしたのに、しびれが残っている方へ
担当薬剤師:椙田
「思い切って首の手術をして、先生からは『手術は無事に成功しましたよ』と言われたのに、指先の手袋をしたようなしびれがずっと残っている。もう一生治らないのでしょうか……」
手術後のこのようなご相談も、太陽堂には決して少なくありません。
手術で圧迫が取れても、何年にもわたって長く圧迫され、血流が滞ってダメージを受けていた神経の働き(知覚)は、すぐには元に戻らないことがあります。
私たちはこの手術後の段階で、「今すぐしびれをゼロにする」ではなく、「しびれの生活への影響を少しでも少なくする」という現実的な目標に設定を置きます。
しびれの範囲が狭まる、ビリビリする強さが弱まる、日中に何かに集中している時はしびれを忘れている(気にならない時間が増える)——。そうしたご本人にしか分からない『小さな変化』を一緒に一つずつ積み重ねていくのが、血流と気の巡りを整える漢方薬の得意なところです。
手術をした方も、これから手術を受ける方も、「残った症状」に対してできることはまだあります。諦める前に、一度私たちにお話をお聞かせください。
よくあるご質問(FAQ)
手術を迷っている(受けるか決めていない)段階でも相談できますか?
はい、もちろんご相談いただけます。
手術をするかどうかの判断は、主治医の先生とご本人に委ねたうえで、漢方薬はどちらの道を選んでも必要になる「身体の側からのケア(こわばりの緩和や血流の改善)」を受け持ちます。ただし、コラムでお伝えした通り「尿が出しにくい・急に歩きにくくなった」という症状の変化があるときは、漢方よりも先にまず主治医の先生にご相談(受診)してください。
漢方薬で、病気の進行を止めたり、骨化を小さくしたりできますか?
薬剤師として、「進行を止める」「骨化した靭帯を溶かして小さくする」とはお約束できません。
私たちが漢方薬で目指すのは、「進行をできる限りゆるやかにすること」と「しびれ・こわばりの辛い自覚症状を和らげること」です。定期的な病院の画像検査(MRIやCT)で「進行していない」と確認していただきながら、身体の側を整えていきます。検査は自己判断でやめず、必ず続けてください。
どのくらいの期間で変化が出ますか?
目安として、漢方薬を始めてから3ヶ月ほどで「こわばり」や「しびれ感」に改善が見られ始める方が多く、そこから年単位で腰を据えて付き合っていく形が一般的です(※個人差があります)。
長い時間をかけて進行してきた病気ですので、「しびれの範囲や強さ」「首の動かしやすさ(こわばり)」そして「病院の検査で進行していないか」の3つを物差しに、一緒に確認しながら進めていきます。
手術のあとにしびれが残っています。それでも漢方の相談はできますか?
はい、ご相談いただけます。「しびれの強さや範囲を少なくする」ことを目標に組み立てます。
手術の内容や手術を受けた時期、いま残っている症状の具体的な出方(どんな時にしびれるか)を詳しくお聞かせください。主治医の先生の経過観察と並行して進めます。
実際に改善した例はありますか?
はい、あります。この記事でも、進行性と言われながら検査で「進行なし」が続いている70代男性の記録をご紹介しています。ほかの記録は、記事末尾の疾患ページ・症例一覧でご覧いただけます。
お一人おひとり経過は異なりますので、「こういう道筋もある」という参考としてご覧ください。あなたの状況に合わせた見通しは、ご相談時に率直にお伝えします。
費用はどのくらいかかりますか?
目安として、1週間あたり5,000円前後〜(1ヶ月で2万円前後から)とお考えください。相談料は無料です。
数ヶ月〜年単位でじっくり付き合う病気ですので、続けやすい組み立てをご一緒に考えます。体質や組み合わせる漢方薬の内容によって金額が変わるため、お作りする前に必ず金額をはっきりお伝えし、ご納得いただいてからスタートします。ご予算のご希望(まずはこれくらいから等)も遠慮なくお聞かせください。
まとめ:「ただ待つだけの不安な時間」を「身体を整える時間」に
手術をするかどうかは、画像を見た主治医の先生と、ご本人の決断がすべてです。私たちはその決断を尊重し、どちらの道に進んでも必要になる「身体の側からのケア」を受け持ちます。
- 漢方薬が目指すのは「進行をゆるやかにすること」と「しびれ・こわばりを和らげること」。骨になった靭帯を小さくすることは目指しません。病院の検査は必ず続けてください。
- 目安は3ヶ月で自覚症状の改善が見られ始め、年単位でじっくり付き合います。
- 日常では「首に負担のかかる無理な運動」を控え、ミネラルをバランス良く摂りましょう。
「進行性です。今は経過観察です」と言われて、ただ次の検査の日を不安に思いながら待つだけの日々に疲れてしまった方へ。
その何もできない時間を、ご自身の身体を整える時間に変えていきませんか。
これまでの経過、検査の結果、いまの症状の出方、そしてあなたの体質を丁寧にお伺いし、全国対応のオンライン相談・店頭相談にて、あなたに合った漢方ケアをご提案いたします。
【ご相談をご希望の方へ】
後縦靭帯骨化症に対する具体的な漢方アプローチについては、こちらのページにて詳しく解説しております。全国対応のオンライン相談も承っておりますので、まずはお気軽にお声がけください。
関係性の深い病気;ご相談も多数いただいております。
しびれ・神経に関するさまざまなお悩みについて、以下のページもあわせてご覧ください。
▼この記事でご紹介した店頭記録(後縦靭帯骨化症・1年4ヶ月)
▼手根管症候群——手のしびれが続く方へ
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
太陽堂がはじめての方へ
ご相談を考え始めた方は、まずこちらをどうぞ。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。















