
温めると「のぼせる」、冷やすと「寒い」。
どうすればいいの?
「冷え性だからと厚着をしたら、顔から汗が吹き出して止まらない」
「暖房の効いた部屋に入ると、頭がボーッとして顔が赤くなる」
でも、靴下を脱ぐと足先は氷のように冷たい……。
そんな、上半身と下半身で季節が違うような状態に悩んでいませんか?
これは「冷えのぼせ」と呼ばれ、更年期世代の女性や、デスクワークが多い方に急増している症状です。
普通の冷え性と同じように「とにかく全身を温めればいい」と思ってケアをすると、かえってのぼせが悪化してしまうことも。
実はその原因、単なる冷えではなく、体の中で「血」がドロドロに停滞しているせいかもしれません。
今回は、漢方独自の視点である「瘀血(おけつ)」から見る原因と、正しい解消法をご紹介します。
【太陽堂が考える、冷えのぼせへのアプローチまとめ】
先に、当薬局の見立てと進め方を簡潔にまとめました。
- 漢方の見立て(原因): 西洋医学では「自律神経による血管の調節の乱れ」や「女性ホルモンの変動」として説明されますが、漢方では血の流れが滞る「瘀血(おけつ)」によって、上半身の熱と下半身の冷えが混ざり合えなくなった状態に注目して原因を探ります。
- アプローチ(対策): 足湯・下厚上薄の服装・血の巡りを助ける食材(玉ねぎ・青魚・黒豆など)といった養生と、お一人おひとりの体質に合わせたオーダーメイドの煎じ薬を通じて、「滞りをほどいて熱を巡らせる体の土台づくり」をサポートします。
- 今後のステップ(根本ケア): 厚着やカイロで外から熱を足すだけでなく、瘀血が生まれる背景(ストレス・運動不足・冷たい飲食・ホルモンの揺らぎ)を一つずつ見極め、長期的な視点で揺らぎにくい体質と向き合っていきます。
【薬剤師 林の視点】西洋医学では「冷えのぼせ」をどう考えるか
こんにちは、薬剤師の林です。
「顔は熱いのに足は氷のよう」という一見あべこべな状態は、西洋医学でも説明することができます。
体温の調節は、手足や顔の血管を広げたり縮めたりする自律神経の働きが担っています。ストレスや睡眠不足が続いたり、更年期にさしかかって女性ホルモン(エストロゲン)が揺らぐと、この調節の指令がうまく届かなくなります。その結果、上半身の血管は広がって熱がこもり、下半身の血管は縮んで血が届かないという、ちぐはぐな状態が同時に起こるのです。
婦人科ではホルモン補充療法や漢方薬が選ばれることもありますが、血液検査などで明らかな異常が見つからないことも多く、「様子を見ましょう」と言われて行き場をなくしてしまう方も少なくありません。
一方の漢方は、この「検査では見えない偏り」を体全体のバランスとして捉えるのが得意です。ここからは、漢方がこの状態をどう見ているのかをご説明します。
体の中で何が起きている? 原因は「瘀血(おけつ)」による渋滞
通常、血液は温かい温度を持って全身をスムーズに巡り、体温を均一に保っています。
しかし、何らかの原因で血の流れが悪くなり、古い血が滞ってしまう状態を、漢方では「瘀血(おけつ)」と呼びます。
なぜ「上だけ熱い」現象が起きるの?
体には「熱いものは上に上がり、冷たいものは下に下がる」という自然の法則があります。
健康なら血液が混ざり合って温度が整いますが、「瘀血」があると血管という道路が渋滞を起こします。
すると、熱を含んだ血液は下に降りていけずに上半身で行き場を失って充満(のぼせ)し、逆に新しい温かい血液が届かない下半身はどんどん冷えていく(冷え)。
これが、冷えのぼせの正体なのです。
あなたはどっち?「一般的な冷え性」との違い
「私の冷えはどっちのタイプ?」と迷う方のために、特徴を比較表にまとめました。
冷えのぼせタイプの方が、普通の冷え性と同じケアをしてしまうと逆効果になることがあるため注意が必要です。
| 特徴 | 一般的な冷え性 | 冷えのぼせ(瘀血タイプ) |
| 主な症状 | 全身または手足が冷たい | 足は冷たいが、顔や頭は熱い |
| 原因 | 熱を作る力が弱い (エネルギー不足) | 血が滞り、熱が偏っている (交通渋滞・瘀血) |
| 汗 | あまりかかない | 顔や脇に急に汗をかく |
| NGケア | 薄着、冷たい飲食 | 厚着、長風呂、香辛料の過剰摂取 |
| 正解ケア | 全身を保温する | 「頭寒足熱」を作る (上半身は薄く、下半身を温める) |
「私はここには当てはまらないかも?」と思ったら… もっと詳しく自分の体質を知りたい方は、まず基本の「3タイプ診断」をチェックしてみてください。
▼ あなたはどのタイプ? 漢方流・冷え性診断

まずは確認!「瘀血(おけつ)」チェックリスト
冷えのぼせがある方は、他にも「瘀血」のサインが出ていることが多いです。いくつ当てはまるかチェックしてみましょう。
- 肩こりや頭痛がひどい
- 唇や舌の色が紫っぽい(暗赤色)
- 肌がくすんで、シミやそばかすが気になる
- 生理痛が重い、または経血にレバー状の塊が混じる
- 足の静脈が浮き出ている(下肢静脈瘤)
- 打ち身をしていないのにアザができやすい
判定:
これらに当てはまる数が多いほど、血の巡りが悪化しています。のぼせを治すには、この「瘀血」を取り除くことが近道です。
目指すは「頭寒足熱」! 血を巡らせる対処法
冷えのぼせの改善策は、ただ温めるのではなく「滞った血を流し、上下の熱バランスを整える」ことです。
1. 最強のケア「足湯(あしゆ)」
全身浴が辛い方でも、足湯ならのぼせずに「血管の渋滞」を解消できます。
- やり方: バケツや洗面器に、少し熱め(40〜42℃)のお湯を入れ、くるぶしまで浸けます。
- ポイント: 15分ほど浸かると、足元の血管が拡張し、上に溜まっていた血液が下へと降りてきます。上半身の熱がスッと引いていく感覚が分かるはずです。
「お湯を準備するのが面倒…」という時は 足のツボに「お灸」をするだけでも、足湯と同じように熱を下に引く効果が期待できます。
のぼせに効く「三陰交」などの場所は、こちらの記事で図解しています。
▼ オフィスでもできる!冷えに効くツボ解説


2. 「血をサラサラにする」食材を摂る
瘀血タイプの方は、血流を良くする食材を意識的に摂りましょう。
- 青魚(サバ、イワシ): 血液サラサラ効果の代表格です。
- 玉ねぎ、らっきょう、ニラ: 辛味成分が血行を促進し、滞りを流します。
- お酢、黒豆: ドロドロ血を解消し、血管をしなやかに保ちます。
何を食べればいいか迷ったら 体を「温める食材」と「冷やす食材」、そして今回の「巡らせる食材」。
スーパーで買えるリストをこちらにまとめています。
▼ 【保存版】体を温める食材・冷やす食材リスト

3. 服装は「下厚上薄(かこうじょうはく)」
- 下半身: レッグウォーマーや靴下の重ね履きでしっかり保温。
- 上半身: カーディガンや前開きの服で、熱くなったらすぐに脱げるように調整します。首元が詰まった服は熱がこもるので避けましょう。
【薬剤師 椙田の視点】やりがちなNG行動と、暮らしの整え方
薬剤師の椙田です。
冷えのぼせの方は、一般的な冷え対策がそのまま逆効果になってしまうことがあります。よくある行動を〇×で並べてみました。
| 場面 | 〇 おすすめ(熱を巡らせる) | × 要注意(のぼせを強める) |
| お風呂 | ぬるめのお湯に短めに/足湯を組み合わせる (下半身から温め、上半身に熱をこもらせない) | 熱いお湯に長く全身浴 (顔がのぼせて汗が止まらなくなり、湯冷めで余計に冷える) |
| 服装 | 下は厚く・上は前開きで調整(下厚上薄) (脱ぎ着で熱の逃げ道を作れる) | タートルネックで首まで着込む (上半身に熱がこもり、下半身は薄着のままになりがち) |
| 飲みもの | 常温以上の水分を少しずつ/黒豆茶・そば茶 (胃腸を冷やさず、巡りを助ける) | のぼせをしずめるために氷入りの飲みもの (一瞬楽になっても、下半身の冷えと滞りが進む) |
| 体の動かし方 | かかとの上げ下げ・ウォーキングでふくらはぎを使う (下に溜まった血を上へ送り返すポンプが働く) | 座りっぱなしで脚を組む姿勢が続く (骨盤まわりの流れが滞り、瘀血のもとになる) |
また、のぼせに強い動悸・大量の発汗・急な体重の減少が重なる場合は、甲状腺など別の不調が隠れていることもあります。その場合はまず内科や婦人科をご受診ください。検査で「異常なし」と言われた方や、体質から整えたい方が漢方の出番です。
冷えのぼせに関するよくある質問(FAQ)
更年期障害の「ホットフラッシュ」とは違うのですか?
原因が同じこともあります。
更年期は女性ホルモンの低下により「瘀血」になりやすい時期でもあります。
ホットフラッシュも冷えのぼせも、漢方では「血の道症(ちのみちしょう)」の一つとして捉え、血の巡りを整える漢方薬を使う事も多いです。
運動をしたほうがいいですか?
「ふくらはぎ」を使う運動がベストです。
ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれ、下に溜まった血液をポンプのように心臓へ送り返す働きがあります。激しい運動でなくても、つま先立ちを繰り返したり、ウォーキングをしたりするだけで、上下の循環がスムーズになります。
温めると顔がのぼせてしまいます。それでも下半身は温めたほうがいいですか?
はい。ただし「外から温める」だけでなく、「自分で熱を作れる体」にしていくことが大切です。
冷えのぼせの背景には、下半身の筋肉の少なさと、自律神経の乱れがあると考えています。筋肉は熱を作る場所です。筋肉が少ないと水がたまってむくみ、さらに冷えやすくなります。太ももを意識したスクワットやウォーキングを、無理のない範囲で続けてみてください。
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まとめ:詰まりを取れば、熱は自然と巡りだす
「足は冷たいのに顔は熱い」という状態は、体が「流れたいのに流れない!」と悲鳴を上げているサインかもしれません。
無理に温めようとする前に、まずは「足湯」や「玉ねぎ」などで、滞った血の流れをスムーズにしてあげることを意識してみてください。
「自分の冷えのぼせの原因がわからない」
「頑固な肩こりや生理痛も一緒に治したい」
そんな方は、漢方薬で体の中から瘀血を浄化するのが得意分野です。
一人で悩まず、お気軽に太陽堂へご相談ください。
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”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
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記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。
記事作成者 薬剤師 椙田 彩純

担当疾患;循環器、身体の痛み
臨床検査技師の両親の影響で、幼い頃から医療に関心を持つ。
大学卒業後、病院薬剤師として勤務。
対症療法が中心の現場で、繰り返す入退院や長期投薬を目の当たりにし、「もっと力になれる方法はないか」と模索する中で漢方と出会う。
現在は漢方の持つ幅広さと可能性に魅了され、一人ひとりの体質に寄り添った根本改善を追求している。











