
「リリカを飲むと痛みは少し楽になるけれど、一日中、頭がぼーっとして何も手につかない…」
「ふらついて転びそうになるので、外出するのが怖くなってきた…」
「帯状疱疹のあとの痛みが長引き、飲み始めてから体重が増えて足もむくむようになった…」
帯状疱疹後神経痛などの長引く神経の痛みに処方される「リリカ(プレガバリン)」。つらい激痛やピリピリ感をやわらげてくれる心強いお薬である一方で、「ふらつきやぼんやり感がつらい」「この飲み心地のまま、いつまで続けるのだろう」という不安を抱えたままご相談に来られる方が、太陽堂にはとても多くいらっしゃいます。
今回は、リリカがどのように働くお薬なのか、なぜ「頭がぼーっとする」「ふらつく」といった副作用のような感じ方が起こるのかを解説しながら、お薬と上手につきあいながら、この痛みの根本となる体の側を整えていくための漢方的な考え方について解説いたします。
【この記事の結論:「リリカの副作用と帯状疱疹後神経痛」に対する漢方の考え方】
- 痛みの正体: 西洋医学では傷ついた神経の興奮(痛みの信号の過剰出力)と捉えますが、漢方では皮膚や神経の深部に残った「血の滞り(瘀血)」と「体力の消耗(気血両虚)」が根本原因と考えます。
- 漢方の解決策: お薬で神経の信号を強制的に抑え込むだけでなく、血流を促し神経に栄養を届けることで「痛みが起こりにくい体質」へ整え、お薬に頼る量を少しずつ減らせる土台を作ります。
- 対象となる主な疾患: 帯状疱疹後神経痛(PHN)、三叉神経痛、坐骨神経痛、線維筋痛症(いずれもリリカやタリージェが処方されやすい神経の痛む疾患)
【太陽堂における「リリカをやめたい」というご相談への向き合い方】
- まず大前提: リリカを自己判断で急にやめることは、絶対におすすめしていません。急な中止は不眠、不安感、激しい痛みのバウンド(ぶり返し)などを招くことがあります。減量は必ず主治医の先生とご相談ください。
- 漢方の役割: お薬を無理やりやめさせることではなく、お薬に頼る量を少しずつ減らしていけるだけの「体の土台」を育てることです。帯状疱疹によって傷ついた神経の修復を助け、巡りを整えていきます。
- 進め方: 病院のお薬は続けたまま、まず漢方を併用していただきます。体調や痛みの変化を見ながら、主治医の先生と相談して慎重に減らしていくのが、いちばん安心なステップです。
※帯状疱疹後神経痛そのものの詳しい原因や、太陽堂の漢方サポートの全体像・改善症例については、下記の総合ページで詳しくご紹介しています。
リリカ(プレガバリン)は「痛みの音量」を下げるお薬
リリカ(一般名:プレガバリン)は、神経障害性疼痛治療薬と呼ばれるお薬です。同じ仲間に「タリージェ(ミロガバリン)」があります。
帯状疱疹ウイルスによって傷ついた神経は、皮膚の刺激(発疹など)が落ち着いた後も「痛い」という信号を脳へ過剰に出し続けてしまうことがあります。リリカは、この興奮しすぎた神経を落ち着かせ、痛みの信号の「音量」を下げる働きをします。
つまり、痛みを伝える信号を抑えるお薬であり、神経の血流を良くしたり根本から修復したりするお薬ではありません。ここが、長期間飲み続けても「根本的な回復感」が得られにくいと感じられる理由でもあります。
【薬剤師コラム①】なぜ「頭がぼーっとする」「ふらつく」のか
担当薬剤師:前原(調剤薬局での勤務経験あり)
このお薬のご相談で一番多く伺うのが、「痛みより、頭がぼーっとするほうがつらい」というお声です。次に多いのが「ふらつき」、そして「体が重くむくむ」「体重が増えた」というお悩みです。
これは、お薬が効きすぎているというより、神経の興奮を抑えるお薬が持つ性質の、いわば裏側です。リリカは神経の興奮を鎮めますが、その作用は「痛んでいる神経だけ」をピンポイントで抑えることはできません。
脳全体の働きもいっしょに少し落ち着くため、思考がまとまりにくい、言葉が出てこない、足元がふらつくといった感じ方につながります。特にご高齢の方では、転倒による怪我のリスクとしても注意が必要です。
「年のせいかな」「我慢するしかないのかな」と一人で抱え込む必要はありません。これは理由のある身体の変化ですので、主治医の先生に伝えていただく価値のある大切な情報です。
「リリカをやめたい」と感じる3つのきっかけ
太陽堂にご相談いただく方の「お薬を減らしたい」というお気持ちは、だいたい次の3つの不調から始まっています。
| きっかけ | 実際に伺うお声 | 太陽堂で一緒に考えること |
| ① 頭がぼーっとする・集中できない | 「仕事にならない」「本や新聞が読めない」「会話をしていても言葉がすぐに出てこない」 | 日中の頭の働きと、帯状疱疹の痛みのコントロールのバランスをどう取っていくか伺います。 |
| ② ふらつき・転倒がこわい | 「立ち上がるとふらっとする」「外を歩くのが怖くなった」「夜トイレに行くのが不安」 | 足腰の力や血流が落ちていないか。動かないことでさらに体力が落ちる悪循環を防ぐ視点を持ちます。 |
| ③ 体重増加・むくみ | 「飲み始めてから太った」「夕方になると足がパンパンに張る」 | 体内の「水毒(水分代謝の滞り)」。むくみやすい体質そのものを整えていく方向を考えます。 |
【薬剤師コラム②】自己判断で急にやめないでください
担当薬剤師:椙田(漢方専門薬局での勤務経験あり)
ここだけは、ぜひ知っておいていただきたい大切なポイントです。リリカを、ご自身の判断で急に飲むのをやめてしまうことは絶対に避けてください。
長く飲まれていたお薬を突然やめると、激しい頭痛、不眠、強い不安感、吐き気といった離脱症状が現れることがあります。また、それまで抑えられていた激痛が一気にぶり返すこともあります。
減らしていく場合は、主治医の先生の指示のもとで、時間をかけて少しずつが鉄則です。「飲み心地がつらい」とお伝えいただくだけでも、量や種類の調整をしてもらえることがあります。
太陽堂は、その減薬の道のりを「痛みに負けない体づくり」で支える立場です。お薬を減らす最終判断は、必ず主治医の先生と一緒に決めていただくようお願いしています。
太陽堂の漢方アプローチ|「お薬に頼る量」を減らせる体の土台づくり
リリカが「痛みの音量を下げる」お薬だとすれば、漢方が担うのは「痛みの音を出している根本的な環境(体質)を整える」役割です。
東洋医学では、神経の痛みが長引く原因を、ウイルスによって傷ついた部分に残る「血のめぐりの滞り(瘀血:おけつ)」と、神経を修復するための「栄養とエネルギーの不足(気血両虚:きけつりょうきょ)」から捉えます。ここに巡りを促し、新鮮な栄養を届ける漢方薬を用いて、体の内側を整えていきます。
体の土台が整ってくると、「ピリピリする時間が減ってきた」「夜ぐっすり眠れるようになった」という変化を感じられる方が多くいらっしゃいます。その良い変化を確認しながら主治医の先生とご相談いただき、お薬の量を見直していくのが最も安全で自然な流れです。
※お一人おひとりの体質によって、ご提案する漢方薬も変化を感じられるまでの期間も異なります。効果の感じ方には個人差があります。
【改善実例】リリカでは取れなかった痛みが和らいだ2つのケース
病院のお薬や神経ブロックを一通り試したうえで、太陽堂にご相談くださった方の経過をご紹介します。お二人とも、病院の治療をやめてから漢方に来られたわけではありません。
【昭和18年生 女性】夜は痛みで目が覚め、日中はぼーっとしてしまう
「夜中に目が覚めることがなくなり、10あった痛みが2になりました」
●ご相談内容
数か月前から痛みが出て、病院で帯状疱疹と診断された方です。内科と皮膚科の両方に通われ、リリカ、ノイロトロピン、メコバラミンを服用し、さらに神経ブロックまで受けられました。
それでも痛みは残ったままでした。発疹はすでに引いていましたが、左胸から脇、背中にかけて断続的な痛みが続き、眠っている最中に痛みで目が覚めてしまう状態でご来店されました。
加えて、この方が困っておられたのが日中のぼんやり感でした。夜は痛みで眠れず、昼間は頭がぼーっとしてしまう。この記事の冒頭でお伝えした、まさにその状態です。
●漢方服用の経過
- 漢方薬: 痛みを取る漢方薬と、ウイルスに働きかける漢方薬の2種類を組み合わせてご提案。病院のお薬は続けたままスタートしました。
- 1ヶ月後: ご本人の感覚で10だった痛みが、6〜7くらいまで下がってきたとのこと。
- 2ヶ月後: 痛みは5程度に。何より、夜中に痛みで目覚めることがなくなったとご報告いただきました。
- 6ヶ月後: 痛みは2程度まで落ち着き、当初とは比べものにならないくらい楽になったとのことでした。
- 8ヶ月後: 調子のよい日が続いたため、漢方薬を少し減らして経過を見ることになりました。
- 10ヶ月後: 日常生活に支障のない程度まで痛みが弱まり、漢方薬もいったん終了となりました。
【昭和26年生 男性】4年ぶりの再発。自己判断で薬をやめて痛みが戻った経験も
「歩いても痛みが気にならない時間が、少しずつ増えていきました」
●ご相談内容
半年前に痛みと湿疹が出て、検査で帯状疱疹と診断された方です。実は4年前にも一度発症されており、今回が2度目でした。
抗ウイルス薬やリリカを処方され、神経ブロックも受けられましたが、変化を感じられずご来店。痛みは右足のふとももからふくらはぎにかけて出ており、右肩や腕にも神経痛が現れ、日が経つにつれて痛む範囲が広がっていく感覚があるとのことでした。
●漢方服用の経過
- 漢方薬: 痛みを鎮める漢方薬と、血流を整える漢方薬を組み合わせてご提案しました。
- 2ヶ月後: 足の痛みがやわらいできたとのこと。右肩と腕の痛みは、この時点でなくなっていました。
- 5ヶ月後: 歩いてもほとんど痛まなくなり、日常のなかで痛みを意識せずに過ごせる時間が長くなってきたそうです。
- 9ヶ月後: 痛みが落ち着いてきたため、漢方薬を減量して経過を見ることになりました。
- 1年後: ご自身の判断で漢方薬を中止されたところ、痛みがぶり返してしまいました。用法どおりの服用に戻していただきました。
- 2年後: 痛みがほぼ気にならない状態が続いたため、いったん終了となりました。
後者の方の経過は、この記事でお伝えしたいことをそのまま表しています。よくなってきたからと自分の判断でお薬を止めると、戻ってしまうことがある。これは漢方薬でも、リリカのような病院のお薬でも同じです。減らすときは必ず、専門家と一緒に進めてください。
※効果の感じ方には個人差があります。また、ここでご紹介した経過は漢方薬を服用された記録であり、病院のお薬の効果を否定するものではありません。
リリカと漢方についてのよくあるご質問(FAQ)
リリカを飲みながら、漢方薬を一緒に飲んでも大丈夫ですか?
はい、併用していただくのが基本の進め方です。
痛みが抑えられている状態を保ちながら、漢方で体質を整えていくほうが体への負担が少なく、安心して取り組んでいただけます。ご相談の際は、現在処方されているお薬手帳などをお知らせください。専門の薬剤師が飲み合わせを確認したうえでご提案いたします。
漢方を飲めば、リリカをやめられますか?
「必ずやめられます」とお約束することはできません。
お薬を減らせるかどうかは、主治医の先生が症状の経過を診て判断されることだからです。太陽堂ができるのは、「これなら減らしていけそうですね」と先生に相談できる状態まで、体の巡りと体力を育てるお手伝いです。実際に、漢方を続けながら無理のないペースでお薬を減らしていかれた方は多数いらっしゃいます。
頭がぼーっとする感じやふらつきは、飲み続ければ慣れますか?
時間の経過とともに和らいでくる方もいらっしゃいますが、生活に支障が出ている場合、我慢し続ける必要はありません。
用量の微調整や、他のお薬(タリージェなど)への変更、あるいは漢方との併用によって楽になるケースもあります。「痛みは和らいでいるけれど、ふらつきやぼんやり感がつらい」という本音を、そのまま主治医の先生にお伝えしてみてください。
まとめ:お薬と戦うのではなく、体の側を整えるという選択
「帯状疱疹の痛みは減ったけれど、頭がぼーっとする生活をこのまま続けていいのだろうか」という迷いは、真面目にお薬治療と向き合ってこられたからこその苦悩だと思います。
リリカはつらい時期を乗り切るための大切なお薬です。敵のように無理にやめようとするのではなく、お薬に頼る量を少しずつ減らしていける「巡りの良い体」を育てる。太陽堂は、そのための確かな味方でありたいと考えています。
帯状疱疹後神経痛そのものの詳しい漢方アプローチや、実際に痛みを和らげてお薬を手放していかれた方の症例は、こちらの総合ページで詳しくご紹介しています。
関係性の深い病気のご案内
リリカ(プレガバリン)やタリージェは、帯状疱疹後神経痛のほかにも、さまざまな神経の痛みに処方されるお薬です。ご自身の症状に近いページもぜひご参照ください。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 椙田 彩純

担当疾患;循環器、身体の痛み
臨床検査技師の両親の影響で、幼い頃から医療に関心を持つ。
大学卒業後、病院薬剤師として勤務。
対症療法が中心の現場で、繰り返す入退院や長期投薬を目の当たりにし、「もっと力になれる方法はないか」と模索する中で漢方と出会う。
現在は漢方の持つ幅広さと可能性に魅了され、一人ひとりの体質に寄り添った根本改善を追求している。















