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【食欲の秋が止まらない】「偽の食欲」の見分け方と、胃腸を壊さない食べ方の知恵

2026 8/12
ブログ-季節の養生法
2026年5月1日2026年8月12日
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  4. 【食欲の秋が止まらない】「偽の食欲」の見分け方と、胃腸を壊さない食べ方の知恵
水彩画風のサムネイル画像。左側には秋の味覚を前に食欲が止まらない女性、右側には温かいお茶を飲み胃腸を労わる穏やかな女性が対比して描かれています。上部には「【食欲の秋が止まらない】『偽の食欲』の見分け方と、胃腸を壊さない食べ方の知恵」というタイトルがあり、中央には偽の食欲の見分け方や、胃腸に優しい食べ方のポイントがまとめられています。

「秋風が涼しくなった途端、食べても食べても、なんだかまだ何か食べたい気がする…」

「お腹は鳴るほど空いていないはずなのに、仕事中や夜、口寂しくてついつい間食が止まらない…」

「食べ過ぎて胃が重くて苦しい。それなのに、夜になるとまた甘いものに手が伸びてしまう…」

「食欲の秋」という言葉がある通り、厳しい夏を乗り越えた秋に食欲が増すこと自体は、体にとって非常に自然なことです。しかし、その食欲の中には、「体が本当にエネルギーを求めている本物の食欲」と、気候の変化やストレス、習慣の反動からくる「偽の食欲」の2種類が混在していることをご存知でしょうか。

この2つを見分けずに、「秋だから仕方ない」「食欲が止まらない自分は意志が弱い」と勢いに任せて食べ続けていると、夏バテからようやく回復しかけた胃腸を再び壊し、慢性的な胃もたれやだるさ、そして冬に向けて落ちにくい体重だけが積み上がってしまうことになります。

今回は、秋に食欲が増すメカニズムと、私たちを惑わす「偽の食欲」の正体、そして胃腸に負担をかけずに実りの秋を楽しむための食べ方の養生法を、太陽堂の薬剤師が詳しく解説いたします。

目次

【太陽堂が教える、食欲の秋の養生まとめ】

まずは、当薬局が考える秋の過食・食べ過ぎトラブルへのアプローチを簡潔にまとめました。

  • 漢方の見立て(原因): 西洋医学では「日照時間の減少による心の安定物質(セロトニン)の低下を、糖質を摂ることで補おうとする脳の働き」とされる秋の過食傾向ですが、漢方では、夏バテから回復した胃腸(脾)が動き出す「正常な食欲」と、ストレスや感情の揺れで「肝(かん)」が高ぶって起こる「ストレス食い(偽の食欲)」を分けて捉え、特に後者の場合は「気(エネルギー)の巡りの滞り(気滞:きたい)」に注目して原因を探ります。
  • アプローチ(対策): さつまいもや栗など「自然な甘みで満足感を得る食材」への置き換えと、よく噛む・食べる順番を変える工夫(養生)、そしてお一人おひとりの体質に合わせたオーダーメイドの煎じ薬を通じて、「我慢しなくても食べ過ぎない、バランスの整った体の土台づくり」をサポートします。
  • 今後のステップ(根本ケア): 「食べてしまった」と後悔して過度な我慢と反動を繰り返すのではなく、根本的な原因(ストレスによる肝の高ぶりや、満腹を感じにくい早食いの癖など)を見極めるため、まずはじっくりとご相談を重ね、冬太りや胃もたれを起こしにくい長期的な体質と向き合っていきます。

【薬剤師 前原の視点】秋に食欲が増すメカニズムと、西洋医学・漢方のアプローチ

こんにちは、薬剤師の前原です。

秋の食欲は、決して「悪者」ではありません。ただ、その中に紛れ込んで私たちを困らせる「偽物の食欲」だけは、しっかりと見分けて対処してあげる必要があります。

西洋医学の視点:日照が減ると、脳は「甘いもの」を欲しがる

秋に食欲が増す理由は、大きく3つあります。

2つは「本物の食欲」です。涼しくなって基礎代謝が上がり体が実際に多くのエネルギーを必要とすること、そして夏バテで落ちていた胃腸の消化機能が回復し、食べたいという気持ちが戻ることです。これらに対しては、正しく応えてあげて全く構いません。

しかし、もう1つが曲者です。それは、「日照時間の減少」による脳の錯覚です。

秋になって日が短くなると、脳内で精神を安定させる「セロトニン」という神経伝達物質の分泌が減ってしまいます。セロトニンが減ると、体は不安やストレスを感じやすくなります。

実は、糖質(甘いものや炭水化物)を摂ると、一時的にこのセロトニンが増える性質があります。つまり、夕方以降に甘いものが猛烈に食べたくなるのは、あなたの意志が弱いからではなく、「セロトニン不足を補おうとして、脳が手っ取り早く糖質を欲しがっている」という、体の仕組みによるものなのです。

西洋医学的な視点では、この脳の欲求に任せて甘いものを一気に食べると、急激な血糖値の上下(血糖値スパイク)が起こり、それがまた次の強烈な空腹感を招くという悪循環に陥るため、「ゆっくり食べる」「食物繊維(野菜など)から先に食べる」といった、血糖値を安定させる食べ方の工夫が強く推奨されます。

漢方の視点:「本物の食欲」と、肝の高ぶりによる「偽の食欲」

一方、漢方の視点では、秋の食欲を2つのタイプに分けて見立てます。

1つは、夏に弱っていた胃腸(脾:ひ)が元気を取り戻し、厳しい冬の寒さに備えて体に栄養を蓄えようとする「本物の食欲」です。しっかりとお腹が空いて「グーッ」と鳴ってから食べたくなるのが特徴で、これは体が持つ健やかなリズムです。

もう1つが、日々のストレスや感情の揺れ、気候の変化などによって「肝(かん)」が高ぶった時に出る「偽の食欲」です。

漢方における「肝」は、自律神経や感情のコントロールを司る司令塔です。イライラしたり、不安を感じたり、夜に寂しさを感じたりして肝の働きが乱れ、気(エネルギー)の巡りが滞る(気滞:きたい)と、そのストレスの矛先が「脾(胃腸)」へと向かいます。これを「肝木乗脾(かんぼくじょうひ)」と呼びます。

この状態になると、「お腹は全く空いていないのに、口寂しくて何か食べたい」「イライラすると無性に味の濃いものや甘いものを詰め込みたくなる」「食べた直後に『また食べちゃった』と後悔する」というサインが現れます。これらは胃袋が空っぽなのではなく、「気持ち」が食べ物を求めているサインなのです。

この偽の食欲に任せてダラダラと食べ続けると、せっかく回復したばかりの胃腸に過剰な負担がかかり、処理しきれなかった食べ物が「湿熱(しつねつ)」や「痰湿(たんしつ)」といった老廃物に変わり、胃もたれ、胸やけ、重だるさ、そして肥満となって体に居座ってしまいます。

漢方では、ストレス食いが強い方には、高ぶった肝を優しく鎮めて気の巡りを整えるアプローチ(疏肝理気:そかんりき)を、食べ過ぎですでに胃腸が疲れてしまっている方には、消化を助けて胃腸を労わるアプローチ(健脾消食:けんぴしょうしょく)を使い分け、「無理な我慢をしなくても、ちょうど良く食べられる体」の土台づくりをサポートしていきます。

【薬剤師 石川の視点】胃腸を壊さない、秋の賢い食べ方の工夫

薬剤師の石川です。

「食欲の秋だから、食べないように我慢しなきゃ」という無理な抑え込みは、必ず激しい反動(ドカ食い)を生むだけです。秋の食欲とは、我慢するのではなく、賢く付き合うことが大切です。キーワードは「置き換え」「順番」「スピード」です。

甘いものは「自然な甘み」に置き換える

甘いものへの欲求を、ゼロにする必要はありません。食べる「中身」を入れ替えるのが最大のコツです。

  • おすすめの置き換え食材: 焼きいも(さつまいも)、栗、かぼちゃ、なつめ、干し芋、甘酒(米麹由来のもの) など。

ケーキやスナック菓子、菓子パンなどに含まれる精製された砂糖は、血糖値を急上昇させ、すぐにまた空腹感を引き起こします。一方、さつまいもや栗などの「自然な甘み」は、血糖値の上がり方が非常に緩やかで、食物繊維も豊富に含まれているため、少しの量でも満足感が長く続きます。

また漢方の視点から見ても、さつまいもやかぼちゃといった黄色い食材は、胃腸(脾)の働きを助け、エネルギー(気)を補ってくれる秋の養生の代表的な味方です。

「汁物から食べる」+「ひと口20回噛む」で満腹センサーを働かせる

人間が食事を始めてから「お腹がいっぱいになった」という満腹感を感じるまでには、約15〜20分という時間差があります。よく噛まずに早食いをしてしまうと、脳の満腹センサーが働く前に食べ終えてしまうため、「まだ足りない」と錯覚して食べ過ぎてしまうのです。これは「食べ過ぎの最短ルート」です。

これを防ぐための食べ方が、「最初に温かい汁物を飲む」ことと、「野菜→たんぱく質→ごはん」の順番で食べること、そして「ひと口20回噛むこと」です。

食事の最初に温かいお味噌汁やスープをゆっくりと飲むことで、胃がじんわりと温まり、高ぶった肝(イライラや偽の食欲)を落ち着かせる効果があります。そして、しっかり噛んでゆっくり食べることで、食事の量は自然と1〜2割減り、無理なく腹八分目で満足できるようになります。

夜の口寂しさには「食べ物以外の答え」を用意しておく

夜、テレビを見ている時などに「何か食べたい」という欲求が湧いてきたら、その多くは「偽の食欲」です。

食べる前に、まず「温かいお茶や白湯を一杯飲んで、10分だけ待つ」というルールを作ってみてください。10分経ってもまだお腹が鳴るほど空いているなら「本物の食欲」、すっと消えてしまったなら「偽物の食欲」です。

そして、偽物だと気づいた時のために、歯を磨いてしまう、お風呂にゆっくり入る、ストレッチをする、好きな音楽を聴くなど、「口で食べる事以外の、満足できる選択肢」をあらかじめ決めておきましょう。「我慢する」のではなく、「別の行動に置き換える」ことで、ストレスなく夜の口寂しさを乗り切ることができます。

【比較表】食欲の秋と上手に付き合う!OK・NG行動リスト

カテゴリ〇 おすすめ(満足しつつ、胃腸を守る)× 要注意(食べ過ぎと不調を招く)
おやつの選び方焼きいも・栗・甘酒など「自然な甘み」に置き換える
(血糖値が緩やかに上がり、胃腸を労わりながら満足感が長持ちする)
菓子パンやスナック菓子を、スマホを見ながら「ながら食べ」する
(血糖値の乱高下で、食べた直後にすぐ次の強烈な空腹感がやってくる)
食べ方と順番温かい汁物から食べ始め、ひと口20回意識して噛む
(脳の満腹センサーが正常に働き、我慢せずに自然と適量で満足できる)
早食い・あまり噛まずに大盛りをかき込む
(満腹を感じる前に食べ終わってしまうため、確実に食べ過ぎて胃もたれする)
夜の習慣口寂しい時は、まず温かいお茶を飲んで10分待つ
(本物か偽の食欲かを見分けることができ、後悔する間食がグッと減る)
ストレス解消の方法を「食べること」だけに頼ってしまう
(肝の高ぶりが根本から解消されず、過食のループが延々と続く)

食欲の秋に関するよくある質問(FAQ)

秋になって食欲が増すのは、太りそうでこわいです。やはり我慢したほうが良いですか?

「本物の食欲」であれば我慢しなくて大丈夫です。見分けて、中身を整えましょう。

秋に食欲が増すのは、来るべき寒い冬に備えてエネルギーを蓄えようとする、自然で健やかな体のリズムです。お腹が「グーッ」と鳴るような本物の空腹感を感じてからの食事であれば、旬の美味しい食材を罪悪感なく楽しんでください。注意すべきなのは、「空腹ではないのに、イライラや退屈から食べたくなる」偽の食欲だけです。こちらは無理に我慢するのではなく、温かいお茶や別の楽しみへの「置き換え」で上手に対処しましょう。

生理前になると、秋の食欲に拍車がかかってさらに止まらなくなります。

それはホルモンの影響と「肝」の高ぶりが重なった状態です。別のケアが必要になります。

生理前はホルモンバランスの変化により血糖値が安定しにくく、特に甘いものへの欲求が強まる時期です。これに秋の食欲(日照減少によるセロトニン低下)が重なると、コントロールはさらに難しくなります。漢方では、これも「肝の乱れ(気滞)」が大きく関わっていると考えます。生理周期に連動した食欲や気分の波が大きい方は、女性ホルモンのリズムに合わせた漢方のアプローチが向いていますので、ぜひあわせてご相談ください。

気をつけていたのに食べ過ぎてしまい、胃が重いです。次の食事は抜いたほうが良いですか?

次の食事を完全に「抜く」のではなく、「軽く温かく」して、胃腸を休ませてあげましょう。

食べ過ぎたからといって次の食事を完全に抜いてしまうと、空腹感が強くなりすぎ、その次の食事で血糖値が急上昇して「反動のドカ食い」を招きやすくなります。食べ過ぎてしまった翌日は、温かいお粥や、具なしのお味噌汁、うどんなど、消化に優しく胃腸に負担をかけないメニューにして労わってあげてください。もし、胃もたれや胸やけが何日も続く、または頻繁に繰り返すという場合は、胃腸の働き自体が弱っているサインですので、漢方による根本からの体質ケアをご相談ください。

まとめ:食欲を賢く見分けて、実りの秋を味方につける

「食欲が止まらないのは、私の意志が弱いからだ…」と自分を責める必要はありません。

秋の食欲には、冬に備えるための「本物の要求」と、日照時間の減少や日々のストレスから来る脳と肝の錯覚である「偽の食欲」が混ざっています。この2つを見分ける目を持つことができれば、秋の旬の恵みは太るための怖いものではなく、体を内側から立て直す最高の味方になってくれます。

まずは、自然な甘みへの置き換え、温かい汁物から食べる順番、よく噛む習慣からスタートしてみてください。それに加えて、漢方の視点で「肝の高ぶり」と「胃腸のバランス」を優しく整えてあげれば、我慢と反動を繰り返さず、「美味しく食べても後悔しない秋」を穏やかに過ごすことができるはずです。

「ストレス食いのループからどうしても抜け出せない」「毎年秋になると食べ過ぎてしまい、胃もたれと冬太りを繰り返している」という方は、ぜひ太陽堂までお気軽にご相談ください。お一人おひとりの体質やライフスタイルに合わせた、無理のない食欲との付き合い方をご提案いたします。


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記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表

沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。

調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。

漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。

調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。

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記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓

開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。

薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。

自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。

よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。

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