
「朝、洗面所に立った瞬間、グラッと足元が揺れた気がして思わず手をついてしまった…」
「涼しくなってから、歩いていると頭がフワッと軽くなるような感覚が増え、どこかにつかまりたくなる…」
「不安になって病院で検査を受けたけれど、結果は『異常なし』。でも、このグラグラする感じがいつ起きるか分からないから不安で…」
厳しい夏の暑さが終わり、ホッと一息つける秋の始まり。実はこの時期、当薬局には「めまい」や「ふらつき」に関するご相談が急増します。
「秋の気候のせいかな?」と思われるかもしれませんが、実はその不調、秋になって突然始まったのではなく、「夏の間にあなたの体の中に仕込まれていた」可能性が高いのです。
「ただ疲れているだけだろう」「そのうち自然に治るだろう」とやり過ごしていると、ふらつくことへの不安から外出がおっくうになり、活動量が減ることでさらに体力が低下し、ますますめまいが起こりやすくなる…という悪循環に陥ってしまうことがあります。
今回は、なぜ秋になるとめまいやふらつきが増えるのかというメカニズム、漢方における「気(エネルギー)」と「血(栄養)」の激しい消耗との関係、そしてグラッとしにくい安定した体をつくるための食事と生活の養生法を、太陽堂の薬剤師が詳しく解説いたします。
【太陽堂が教える、秋のめまい・ふらつきの養生まとめ】
まずは、当薬局が考える、秋のグラつきトラブルへのアプローチを簡潔にまとめました。
- 漢方の見立て(原因): 西洋医学では「朝晩の冷え込みによる血流の変動と、自律神経の疲労」とされる秋のめまいですが、漢方では、夏の大量の汗と食欲低下によって、体を動かす「気(エネルギー)」と全身を潤す「血(栄養)」を著しく消耗し、頭のてっぺんまでしっかりと栄養を持ち上げる力が足りなくなってしまった「気血両虚(きけつりょうきょ)」の状態に注目して原因を探ります。
- アプローチ(対策): ほうれん草や黒ごまなど「血を補い巡らせる食材」を取り入れた日常の食事ケア(養生)と、お一人おひとりの体質に合わせたオーダーメイドの煎じ薬を通じて、季節の変化に負けない「グラッとしにくい体の土台づくり」をサポートします。体が本来持つ、バランスを保つ力を内側から引き出します。
- 今後のステップ(根本ケア): (※天井がぐるぐる回るような激しい回転性のめまい、ろれつが回らない、手足のしびれを伴う場合は、まず病院での精密検査が最優先です。) 検査で大きな異常が見つからない慢性的なふらつきに対して、根本的な原因(気血の深刻な不足や、水分代謝の低下など)を見極めるため、まずはじっくりとご相談を重ね、長期的な体質改善と向き合っていきます。
【薬剤師 前原の視点】秋のめまいのメカニズムと、西洋医学・漢方のアプローチ
こんにちは、薬剤師の前原です。
秋のめまいには、「秋という季節ならではの理由」と、「夏の間に蓄積したツケ」という2つの理由が複雑に絡み合っています。
西洋医学の視点:朝晩の冷えによる血流の変動と、自律神経の過労
人間の脳は非常に繊細な臓器であり、酸素と栄養を運ぶ血液の供給がほんのわずかに揺らぐだけでも、フワッとした感覚やグラグラとしためまいとして敏感にサインを出します。
秋は、朝晩の冷え込みで血管が収縮し、日中の暖かさで血管が緩んで拡張する、という激しい血流の変動を毎日繰り返す季節です。血圧や血流を一定にコントロールしているのは「自律神経」ですが、この激しい寒暖差に自律神経が対応しきれなくなって疲労してしまうと、ポンプの働きがうまく機能しなくなります。その結果、立ち上がった瞬間に脳への血流がスッと落ちる「立ちくらみ(脳貧血)」や、頭が軽く揺れるような浮動性のめまいが起こりやすくなるのです。
さらに、夏の食欲低下や大量の発汗によって、体内の鉄分や水分といった「貯金」が減っていると、この血流の揺らぎはより一層大きくなり、グラつきが頻発するようになります。
西洋医学的な視点では、まずは耳(内耳)の異常や脳の疾患など、緊急を要する病気が隠れていないか検査で確認することが最優先です。その上で、異常がないと診断された「自律神経由来のめまい」に対しては、めまいを抑える抗めまい薬や、血流を改善するお薬、鉄欠乏性貧血がある場合は鉄剤などを用いて、辛い症状をコントロールしながら体が自然に整うのをサポートすることが推奨されます。
漢方の視点:頭まで栄養を持ち上げるポンプの力が足りない「気血両虚」
一方、漢方の視点では、秋のフワフワ・グラグラしためまいを、体の大切なものが足りない「不足のサイン」として深く捉えます。
人間の頭は、体のいちばん高い場所に位置しています。そのため、頭のてっぺんまで重力に逆らって栄養と潤いを「持ち上げる」ためには、強力な「気(エネルギー)」と、たっぷりの「血(栄養)」が必要不可欠です。
しかし、夏の間はどうだったでしょうか。猛暑で大量の汗をかいて気と血を激しく消耗し、さらに夏バテで食欲が落ちたことで、新しい気血を作り出すことができませんでした。この「気も血もすっかり減ってしまった状態」を、漢方では「気血両虚(きけつりょうきょ)」と呼びます。
気血両虚のまま秋を迎えると、ポンプの力が全く足りず、高い場所にある頭はどうしても「栄養切れ・潤い切れ」を起こしてしまいます。これが、秋のめまいの大きな正体です。
また、冷たい飲み物をがぶ飲みして胃腸(脾)が弱ったままの方は、体の中に余分な水分がチャプチャプと停滞し、それが頭の重さやグラつきの原因になることもあります(水滞・水毒タイプ)。あなたがどちらのタイプかで、漢方のアプローチは全く変わってきます。
漢方では、不足タイプには気と血をたっぷりと補ってポンプの力を高め、水はけタイプには胃腸を立て直して余分な水をスムーズに捌くアプローチを用いて、「立ち上がった瞬間にも、ふとした瞬間にも揺らがない」どっしりとした安定感のある体の土台づくりを、内側からサポートしていきます。
【薬剤師 石川の視点】気血を補い、巡りを守る秋の食事と生活養生
薬剤師の石川です。
グラつきやすい時期は、「たっぷりの補給」と「ゆっくりとした動作」が生活の合言葉になります。焦らず、まずは体に栄養を確実に届けることから始めましょう。
「補血(ほけつ)」の食材で、頭のてっぺんまで栄養を満たす
漢方において、血を養い、不足した頭への栄養をしっかりと支えてくれる食材を、毎日の食事に意識して取り入れましょう。
- おすすめの食材: ほうれん草、にんじん、黒ごま、レバー、卵、なつめ、赤身の魚や肉 など。
例えば、ほうれん草と卵のバター炒めや、たっぷりの黒ごまをかけた温かいお粥は、胃腸に負担をかけずに血を優しく補う理想的な組み合わせです。そして、「よく噛んでゆっくり食べる」こと自体が、胃腸の働きを助け、食材をスムーズに血に変えるための立派な「補血」の養生となります。
また、氷入りの冷たい飲み物は、胃腸を冷やして血を作る働きをストップさせてしまうため、飲み物は常に常温か温かいものを選ぶようにしてください。
「一呼吸おいて、ゆっくり立ち上がる」を体の癖にする
グラッと来やすいのは、脳への血流が急激に変化するタイミングです。具体的には、「朝、布団から起き上がる時」「お風呂から上がる時」「しゃがんだ姿勢から立ち上がる時」などです。
この時、急にパッと動くのではなく「一呼吸おいてから、ゆっくりと動く」ことを意識するだけで、血流の急変動を防ぐことができます。
特に朝は、目が覚めたからといってすぐに跳ね起きるのではなく、布団の中で手や足首をゆっくり回したり、大きく伸びをしたりして、「これから体を起こすよ」と血流に準備運動をさせてから起き上がる習慣をつけましょう。
首元を温めて、頭への「栄養の道」を守る
頭へ向かう大切な血管は、すべて「首」を通っています。秋の朝晩の冷え込みで首元が冷やされると、血管がキュッと収縮し、頭への巡りはてきめんに悪くなってしまいます。
外出時は、薄手のスカーフやストールを一枚首に巻くだけで、頭への大切な「栄養の通り道」を守ることができます。また、夜はシャワーだけで済ませず、ぬるめのお湯にゆっくりと浸かって全身の巡りを整えてから休むことで、自律神経の緊張がほぐれ、翌朝のめまい予防に繋がります。
【比較表】秋のグラつきを防ぐ!OK・NG行動リスト
| カテゴリ | 〇 おすすめ(気血を補い、巡りを守る) | × 要注意(消耗を深め、揺らぎを招く) |
| 食事の工夫 | ほうれん草・卵・黒ごまなどを、よく噛んで食べる (頭への栄養となる血を、胃腸に負担をかけずに優しく補う) | 朝食を抜く、または簡単な冷たい麺類だけで済ませる (栄養の補給が全く追いつかず、午前中のひどいグラつきを招く) |
| 日常の動作 | 立つ時は一呼吸おいて、ゆっくり立ち上がる (血流の急変動を防ぎ、立ちくらみやフワフワ感を避けられる) | 目覚ましが鳴った直後に、勢いよくベッドから飛び起きる (脳への血流が追いつかず、朝いちばんのめまいの引き金になる) |
| 体を守る習慣 | 首元をストールで温め、夜は湯船で巡りを整える (頭への血の通り道を守り、冷えによる自律神経の乱れを防ぐ) | 夜更かしと、寝る直前までの目の酷使(スマホ・PC) (目を酷使すると血を消耗し、翌日のフワフワ感をさらに強める) |
秋のめまいに関するよくある質問(FAQ)
病院の検査では「異常なし」でした。それでも漢方で対応できますか?
はい。「検査で異常なし」のめまいこそ、漢方の体質からのアプローチが最も得意とする分野です。
病院の検査で異常が見つからないのは、「命に関わるような病気ではないけれど、体が健康を維持するための余力(エネルギーや栄養)が足りていない状態」とも言えます。漢方はまさに、この「余力の不足(気血の激しい消耗や、水分代謝の低下)」を根本から立て直すことが役割です。「朝起きる時にグラッとする」「夕方疲れるとフワフワする」など、どんな瞬間にめまいが起こりやすいか、ぜひ詳しくお聞かせください。
貧血気味なので鉄分のサプリを飲んでいます。それだけで足りますか?
材料の補給だけでなく、「吸収する胃腸」と「頭まで巡らせる力」もセットで整える必要があります。
鉄分は血を作るための大切な材料ですが、夏の冷たい飲食や疲労で胃腸(脾)が弱っていると、せっかくサプリメントを飲んでもうまく吸収されません。漢方の視点では、ただ鉄分を入れるだけでなく、まず胃腸を立て直して材料をしっかりと血に変え、それを気(エネルギー)の力で頭のてっぺんまで届ける、という一連の流れ全体を整えることを大切にしています。
病院でもらっているめまいのお薬と、漢方薬は併用できますか?
基本的には併用可能です。役割が違うため、両輪で治療を進められます。
病院のお薬が「今起きている辛いめまいや吐き気を抑える」役割だとすれば、漢方薬は「めまいを起こしにくい、揺らぎにくい体の土台を根本から育てる」役割です。漢方で土台が整ってきたら、病院のお薬を減らしていけるか、必ず処方医と相談しながら段階的に進めましょう。具体的な飲み合わせについては、太陽堂の薬剤師にご確認ください。
まとめ:気血をたっぷりと満たして、グラッとしない安心の秋へ
「涼しくなって過ごしやすくなったはずなのに、なぜかフワフワ・グラグラが増えた気がする…」
その不安なふらつきは、夏の過酷な暑さと食欲低下によって激しく消耗した「気」と「血」がまだ十分に回復しておらず、頭のてっぺんへの栄養が足りていないという、体からのSOSサインかもしれません。
まずは、血を補う食材を取り入れ、ゆっくり立ち上がる癖をつけ、首元を冷やさないという日々の養生からスタートしてみてください。そして、漢方の視点を取り入れて内側からしっかりと気血を満たすことで、秋の澄んだ空気を安心して楽しめる、どっしりとした安定感のある体の土台を作ることができます。
「検査では異常がないと言われたけれど、グラグラする不安が消えない」「毎年秋になると足元が頼りなくなり、外出がこわい」という方は、ぜひ太陽堂までお気軽にご相談ください。お一人おひとりの体質や症状に合わせた、無理のない養生法をご提案いたします。
関連ページ
太陽堂では、めまいのお悩みだけでなく、心と体の様々なお悩みに対する漢方サポートを行っております。気になる症状がございましたら、以下のページもぜひご覧ください。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
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そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
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「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
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お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 石川 満理奈

得意な疾患:胃腸疾患・耳鼻咽喉疾患・不妊症・婦人科・肝臓・腎臓
開業医だった父の影響で小さい頃から医療は身近に。
薬学部を卒業後、調剤薬局に勤務。
自分自身の胃腸の不調も漢方薬により改善。
よりご来局頂いた方の体質に沿った治療の選択をできるようになりたいという思いから「漢方の道」へ。















