
「不整脈は、漢方薬で治りますか?」
「病院のお薬を一生飲み続けるのが不安なので、漢方で完全に治したいのですが……」
太陽堂でのご相談やインターネットの検索において、本当によくいただく切実なご質問です。だからこそこの記事では、無責任に期待をあおるのでも冷たく突き放すのでもなく、新宿の漢方薬局「太陽堂」として、長年の経験に基づいた「最も正直な答え」をお伝えしようと思います。
結論を先に申し上げますと——「漢方ケアによって穏やかに良くなっている方は、実際に大勢いらっしゃいます。ただし『完全に治ります』とお約束できる魔法の薬ではなく、不整脈の種類(頻脈か徐脈かなど)やご自身の体質によって、漢方でお手伝いできることの方向性が変わります」。これが誠実な答えです。
今回は、不整脈の西洋医学的なメカニズムやお薬の役割を整理しながら、病院の治療と併用して「乱れにくい脈の土台」をどう育てていくかについて、薬剤師の視点から詳しく解説いたします。
【この記事の結論:「不整脈は漢方で治る?」への考え方】
- 不調の正体(原因): 西洋医学では心臓の電気信号の異常・回路の乱れとされますが、漢方では「心(しん)」を動かすエネルギーと栄養の不足(気血両虚)や、ストレスによる過剰な興奮(気滞・気の上衝)、血流の滞り(瘀血)が根本原因と考えます。
- 漢方の解決策: 西洋医学の治療(抗不整脈薬やアブレーション)を否定せず、漢方で「頻脈系」には高ぶりを鎮め、「徐脈系」には温めてエネルギーを補うことで、脈が落ち着いている時間を増やし、不整脈に振り回されない体を作ります。
- 対象となる主な疾患・お悩み: 不整脈全般、期外収縮、心房細動、頻脈・徐脈、病院の治療やカテーテルアブレーション後の体調不安
※不整脈に対する太陽堂の具体的な漢方アプローチについては、こちらの総合ページもあわせてご覧ください。
不整脈とは?西洋医学的なメカニズムと病院での治療
私たちの心臓は、右心房にある「洞結節(どうけっせつ)」という場所から規則正しい電気信号が出されることで、1分間に約60〜100回、正確なリズムでポンプのように拍動しています。
この電気信号の「発生」や「伝わる経路(回路)」に異常が起き、脈が速すぎたり(頻脈)、遅すぎたり(徐脈)、リズムが不規則に飛んだり(期外収縮・心房細動)する状態の総称を「不整脈」と呼びます。
病院での検査と代表的なお薬(西洋薬)
病院(循環器内科など)では、心電図、ホルター心電図(24時間心電図)、心エコー、血液検査などを用いて、不整脈の種類と「危険度」を正確に判定します。
- 抗不整脈薬: タンボコール、サンリズムなど。心臓の電気信号の異常な興奮を直接抑え込み、脈のリズムを整えます。
- β遮断薬(ベータブロッカー): メインテート、インデラルなど。交感神経の働きをブロックし、心臓の過剰な拍動を抑えて頻脈を改善します。
- 抗凝固薬(血液サラサラの薬): エリキュース、イグザレルト、ワーファリンなど。特に「心房細動」の場合、心臓内に血栓(血の塊)ができやすくなり、それが脳に飛ぶと脳梗塞を引き起こす危険があるため、血栓を予防する極めて重要な役割を担います。
病院の治療は、命に関わる危険な不整脈を制御し、脳梗塞などの重大な合併症を防ぐための絶対的な柱です。
「良くなっている方も多い」——ただし、3つの大切な前提があります
太陽堂には長年、不整脈のご相談が数多く寄せられており、実際に「脈が飛ぶのが気にならなくなった」「動悸で目が覚めることがなくなった」と良い変化を感じている方は大勢いらっしゃいます。
ただ、安全に漢方の体質ケアへ進むためには、必ず以下の「3つの前提」をお守りいただいております。
① まず検査で「危険なタイプ」でないことを確認する
不整脈には「放置してよいもの(良性の期外収縮など)」と「早急な治療が必要なもの(心室細動や重度の心房細動、徐脈など)」があります。胸の激しい痛みや失神を伴う場合は狭心症などのリスクもあるため、漢方を飲む前に必ず循環器科での専門的な検査・診断を優先してください。
② 病院のお薬を自己判断で絶対にやめない
「薬の副作用が怖いから漢方だけで治したい」という動機でご相談に来られる方は多いです。しかし、特に血栓を防ぐ抗凝固薬などを自己判断でやめるのは命に関わる危険行為です。減薬は、漢方で身体の土台が整い、脈が安定した段階で、主治医の先生と相談しながら慎重に進めるのが正しい順番です。
③ 変化の「現れ方の形」を知っておく
漢方による変化は、「飲んだ翌日に不整脈がピタッとゼロになる」というよりも、「そういえば最近、ドクンと脈が飛ぶ回数が減ってきた」「バクバクする時間が短くなり、落ち着いている時間が増えた」という形で穏やかに現れることが特徴です。
【薬剤師コラム①】漢方とアブレーション(カテーテル治療)は対立しません
担当薬剤師:椙田 彩純
ご相談をお受けしていると、「来月、病院でカテーテルアブレーション(心筋を焼いて異常な電気回路を断つ手術)を受ける予定ですが、漢方を飲む意味はありますか?」と聞かれることがあります。
結論からお伝えすると、大いに意味があります。アブレーションと漢方薬は決して対立するものではなく、むしろお互いを補い合う素晴らしいパートナーです。
アブレーションは「今暴れている異常な電気回路」を直接物理的に焼き切る、西洋医学の最前線の治療です。一方で漢方薬は、手術では治せない「なぜそのような異常な電気が起きやすいのか(自律神経の乱れや血流の滞りなど)」という体質の土台を内側から整える役割を担います。
実際に、「手術をして不整脈自体は止まったけれど、なんとなく胸の違和感や体調不良が戻りきらない」「手術後に処方された薬が多くて身体がだるい」といった治療の前後の不安や不調を支える「サポート役」として、漢方が大きな力を発揮する場面はとても多くあります。
【比較表】西洋医学と漢方薬(太陽堂)のアプローチの違い
| 比較項目 | 西洋医学(病院の治療) | 漢方薬(太陽堂の体質ケア) |
| 主な目的 | 心臓の電気信号を直接制御し、重篤な合併症(脳梗塞等)を防ぐ | 心臓を動かすエネルギーと栄養を補い、乱れにくい自律神経の土台を作る |
| 得意なこと | 発作時の即効的な鎮静、アブレーション等による器質的治療、客観的検査 | 検査で「異常なし」と言われる期外収縮の緩和、治療前後の体調サポート |
| 代表的な手段 | 抗不整脈薬、抗凝固薬、カテーテルアブレーション、ペースメーカー | 心臓の「気・血」を補う生薬、滞った熱や気(ストレス)を鎮める生薬 |
| お互いの関係性 | 異常な電気回路や血栓を防ぐ「治療の絶対的な柱」 | 心臓に余裕を持たせ、治療を支える「頼もしい土台作り」 |
【薬剤師コラム②】「頻脈系」と「徐脈系」で、漢方の組み立ては180度変わります
担当薬剤師:林 泰太郎
「不整脈」とひとことで言っても、ドクンドクンと早く打つもの、不規則に飛ぶもの、ゆっくりになるものと、症状の現れ方は患者さまによって全く異なります。漢方の見立てでは、大きく「頻脈系(速い・飛ぶ)」と「徐脈系(遅い)」に分けて、選ぶ生薬の方向性を180度変えていきます。
頻脈系(脈が速い・乱れて多く打つ・期外収縮など)
ストレスや過労によって自律神経が興奮し、身体のエネルギー(気)が心臓に向かって突き上げて暴れている状態です。この場合は、昂った気を下へ降ろして鎮め、心臓への負担をクールダウンさせる方向(降気・安神)で漢方を組み立てます。
徐脈系(脈がゆっくり・力が弱くて立ちくらみがするなど)
全身のエネルギー(気)や温かさ(陽気)が不足し、心臓を力強くポンプさせるための燃料が足りない状態です。この場合は、身体の芯(腎)から温め、気と血をたっぷりと補給して脈をしっかり打ち出せるように支える方向(温陽・補気補血)で組み立てます。
このように、「あなたの不整脈のタイプ」を細かくお伺いして初めて、漢方で的確なお手伝いができるようになります。
【比較表】体質タイプ別のサインと漢方アプローチの方向性
| 体質タイプ | よくある体のサイン・特徴 | 組み合わせる漢方薬の働き |
| ① ストレス興奮・頻脈タイプ | 緊張で急に脈が速くなる、お腹から突き上げる動悸、イライラ | 昂った「気」を鎮め、自律神経の過剰な興奮をリラックスさせる |
| ② 心の栄養不足・期外収縮タイプ | 脈がドクンと飛ぶ、疲れると動悸がする、不眠、不安感が強い | 心臓に栄養と潤い(血)を補給し、精神の安定(安神)を図る |
| ③ エネルギー不足・徐脈タイプ | 脈が遅く弱い、めまいや立ちくらみがする、極端な冷え性、強い疲労感 | 身体の芯から温めるエネルギーを補給し、心臓のポンプ力を支える |
| ④ 血流の滞り・負担タイプ | 肩こりや頭痛が強い、唇や顔色が暗い、胸にチクチクした違和感 | 滞った血流(瘀血)を流し、心臓の血管への負担を軽くする |
【サポート実例】太陽堂での体質改善エピソード
①【心中隔欠損症・不整脈】60代 女性|アブレーション後のお薬への不安から、9ヶ月でご卒業
1年ほど前に突然失神して病院へ運ばれ、「心中隔欠損症」と「不整脈」と診断されました。カテーテルアブレーションの手術を受けたものの、その後も病院のお薬が7種類に増え続け、「このまま薬漬けになるのではないか」と強い不安と体調不良を抱えてご相談に来られました。
お身体の状態に合わせて、①心臓への負担を減らし自律神経を整える漢方薬 ②血流と水分の巡りを整える漢方薬 の2種類をお渡ししました。
- 2ヶ月後: 脈が落ち着くようになり、病院のお薬も少しずつ減ってきました。
- 6ヶ月後: 一度脈の乱れはあったものの、心臓の負担を示す数値(BNP)は270前後から150まで下がりました。
- 9ヶ月後: 脈の乱れや体調不良を感じることなく穏やかに過ごせるようになり、お薬の不安も解消されたため、ご本人のご希望により無事に漢方ケアの治療終了(ご卒業)となりました。
②【心房細動】70代 男性|脈が飛ぶ不快感が和らぎ、3ヶ月で睡眠も安定
1年ほど前から症状がひどくなり、病院で「心房細動」と診断されました。ご自身でもハッキリと「脈が飛ぶ・乱れる」感覚が分かり、その不快感と不安から夜も不眠になってしまい、体質からの改善を希望してご来店されました。
加齢に伴う心臓のエネルギー不足と血流障害と見立て、①心臓の負担を減らしてエネルギーを補う漢方薬 ②全身の血流を良くする(活血)漢方薬 の2種類を組み合わせてお渡ししました。
- 1ヶ月後: 飲み始めて比較的すぐに、脈が飛んで乱れる感覚(不整脈)が穏やかに落ち着いてきました。不安感が和らいだことで、夜もぐっすり眠れるようになったとお喜びでした。
- 3ヶ月後: 動悸も減り、全体的に良い方向へ向かっています。
※効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。
よくあるご質問(FAQ)
病院の薬をやめて、漢方薬だけで治療できますか?
自己判断でお薬をやめることは、決してお勧めしません。
不整脈のお薬、特に抗凝固薬(血液サラサラの薬)は、脳梗塞などの致命的な血栓を防ぐ極めて重要な役割を持っています。漢方薬は病院のお薬と安全に併用できます。まずは併用で体の土台を整え、体調が良くなった段階で、減薬については必ず主治医の先生と相談しながら慎重に進めていくのが正しいルートです。
来月アブレーション(カテーテル治療)を予定しています。漢方を取り入れる意味はありますか?
はい、大いに意味があります。治療の前後を支える「サポート役」として非常に役立ちます。
アブレーションは「今起きている異常な回路」を物理的に断つ治療であり、漢方は「自律神経を安定させて乱れにくい体質」を内側から育てるケアです。治療前後の体調の落ち込みや不安感を和らげ、回復をスムーズに後押しする目的でご相談いただくケースが大変多くいらっしゃいます。
どのくらいの期間、漢方薬を続ければ良いですか?
お身体の状態によりますが、まずは3ヶ月程度が一つの目安となります。
「脈が落ち着いている時間が増えてきた」「ドクンと飛ぶ回数が気にならなくなった」という形で少しずつ変化が現れることが多いです。自律神経や心臓の働きという根本的な体質を整えるには時間がかかりますので、焦らずじっくりと取り組むことをお勧めします。
まとめ:「治る?」の答えは、あなたの種類と体質の中にある
「不整脈は漢方薬で治りますか?」
この問いに対する一番正確で誠実な答えは、「あなたの不整脈の種類と、ご自身の体質を詳しく見せてください」です。
頻脈系なのか徐脈系なのか。ストレスが強く絡んでいるのか、加齢による体力の消耗なのか。病院の治療はどの段階にあるのか。それらを丁寧に見極めてはじめて、漢方にできる最善のアプローチが見えてきます。
- まず病院の検査と治療(お薬)という強固な土台を守る
- 漢方で「脈を乱れさせる根本原因(気・血の乱れ)」を整える
- 焦らずに「脈が落ち着いている時間」を少しずつ増やしていく
「病院の治療を続けながら、もっと自分にできることを増やしたい」
「脈の乱れや不安感に振り回されない、穏やかな日常を取り戻したい」
そんな方は、どうぞ一人で悩まずに新宿の漢方薬局「太陽堂」へご相談ください。検査結果やお薬手帳をご用意いただけるとより詳しくお話しできます。専門の薬剤師があなたの脈のタイプと体質を丁寧に見極め、安心できる毎日へのケアを誠実にご提案いたします。
関係性の深い病気;ご相談も多数いただいております。
不整脈だけでなく、心臓に関するさまざまなお悩みについても、太陽堂では数多くのご相談をいただいております。気になる症状がある方は、以下のページもあわせてご覧ください。
期外収縮脈が飛ぶ・ドクンとする感覚が気になる方に。不整脈の中でも特にご相談の多いタイプです。
心房細動心房細動と診断され、治療やお薬と長く付き合っていくことに不安のある方に。
心臓神経症検査で異常がないのに、動悸や胸の違和感・不安が続いている方に。
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 椙田 彩純

担当疾患;循環器、身体の痛み
臨床検査技師の両親の影響で、幼い頃から医療に関心を持つ。
大学卒業後、病院薬剤師として勤務。
対症療法が中心の現場で、繰り返す入退院や長期投薬を目の当たりにし、「もっと力になれる方法はないか」と模索する中で漢方と出会う。
現在は漢方の持つ幅広さと可能性に魅了され、一人ひとりの体質に寄り添った根本改善を追求している。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。













