
「腰や膝が痛くて毎日ロキソニンを飲んでいるけれど、最近、胃がムカムカして痛い…」
「病院で胃薬を一緒に処方されているが、これ以上薬漬けになるのは怖い…」
「痛み止めを飲むと胃が痛むし、飲まないと体が痛む。どうすればいいの?」
長引く慢性的な痛みにお悩みの方にとって、痛み止め(鎮痛剤)は日常生活を送るための「お守り」のような存在かもしれません。
しかし、お薬を長期間飲み続けることで「胃腸の不調」という新たな悩みを抱え、板挟みになって苦しんでいる方は非常に多くいらっしゃいます。
今回は、なぜ痛み止めで胃が荒れてしまうのかという西洋医学のジレンマと、「胃腸を優しく守りながら、痛みの原因である血流の滞りを根本から整える漢方のアプローチ」について詳しく解説いたします。
【この記事の結論:「ロキソニンで胃が痛い」への漢方の考え方】
- 胃が痛くなる理由: ロキソニンなどの鎮痛剤(NSAIDs)は、痛みの物質と一緒に「胃を守るバリア機能」まで抑えてしまうため、胃が荒れやすくなります。
- 漢方の解決策: 胃腸(脾)をいたわりながら血流の滞りを整え、痛み止めに頼る回数そのものを減らしていく体づくりを目指します。
- 今のお薬について: 無理にやめる必要はありません。併用しながら少しずつ減らしていくのが基本です(変更・中止は処方医にご相談ください)。
【西洋医学の視点】なぜロキソニン(痛み止め)を飲むと「胃」が痛くなるの?
病院の整形外科や市販薬でよく使われる「ロキソニン」や「イブプロフェン」といったお薬は、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)と呼ばれます。
私たちが痛みを感じる時、体内では「プロスタグランジン」という発痛・炎症物質が作られています。鎮痛剤は、このプロスタグランジンが作られるのをブロックすることで、スッと痛みを和らげます。
しかし、ここに大きなジレンマが隠されています。
実は、プロスタグランジンには「痛み」を起こす働きのほかに、「胃の粘膜を保護し、胃酸から胃を守る」という非常に重要な役割があるのです。
つまり、鎮痛剤でプロスタグランジンを強力に抑え込んでしまうと、同時に「胃を守るバリア機能」まで失われてしまい、結果として胃酸で胃が荒れ、胃痛や胃潰瘍を引き起こしやすくなります。これが「痛み止めで胃が痛くなる」西洋医学的なメカニズムです。
「空腹時」の服用は、特に胃の負担が大きくなります
ロキソニンなどの痛み止めが「食後に」とされているのは、このバリア機能の問題があるからです。空腹時は胃の中に食べ物のクッションがなく、胃酸の影響をまともに受けてしまいます。
とはいえ、急な頭痛や生理痛は食事のタイミングを待ってくれません。「痛いときに、空腹のまま飲んでしまう」——これを繰り返すうちに胃が荒れてしまった、というご相談をよくうかがいます。
「カロナールなら安心」とも、言い切れません
カロナール(アセトアミノフェン)は、ロキソニンやボルタレンと仕組みが違い、胃への負担が比較的少ないとされるお薬です。胃がつらい方の選択肢として、処方医の先生と相談する価値はあります。
ただし、それで解決かというと、そうとも言えません。「痛み止めがないと過ごせない状態」そのものは、何も変わっていないからです。お薬の種類を替える工夫と同時に、痛みが起きにくい体づくりを考えていくのが、この記事の本題です。
【東洋医学の視点】漢方は「胃腸(脾)」を助けながら痛みを和らげる
西洋医学では「痛みを抑えること」と「胃を守ること」が相反してしまいますが、東洋医学(漢方)のアプローチは全く異なります。
漢方の世界では、胃腸の働きを「脾(ひ)」と呼びます。脾は、食べたものから「気(エネルギー)」や「血(血液)」を作り出し、全身に栄養を届ける「生命力の源となる工場」です。
慢性的な痛みは、この工場で作られるべき栄養が不足し、全身の血流が滞ること(瘀血:おけつ)や、冷え(寒邪:かんじゃ)が原因で起こると考えます。
鎮痛剤のように「特定の物質をブロックして痛みを麻痺させる」のではなく、漢方は「工場(胃腸)の働きを高めて良質な血を作り、それを全身に温かく巡らせることで、痛みにくい体をつくる」というアプローチをとります。
そのため、胃を荒らすどころか、むしろ「胃腸の調子が良くなりながら、痛みも和らいでいく」という嬉しい変化が期待できるのです。
【薬剤師 椙田の視点】
「痛み止め+胃薬」のループから、根本的な体質ケアへ
私は病院薬剤師として勤務していた頃、痛み止めと一緒に「ムコスタ」や「ガスター」などの胃薬がセットで処方されるケースを毎日数え切れないほど見てきました。
これは、西洋医学においても「痛み止めが胃を荒らす」ことが大前提となっているからです。
今の激しい痛みを和らげるためにお薬は必要ですが、「胃が痛いから胃薬を足す」という対処療法だけでは、いつか限界が来てしまいます。
お薬への不安を感じ始めた時こそ、「痛みの火種(血流の滞り)」を内側から流し、お薬に頼りすぎない体づくりを始める良いタイミングです。
太陽堂の漢方アプローチ|胃に優しく、巡りを整える体づくり
太陽堂では、痛みとお薬の副作用で疲弊してしまったお体に対し、以下の3つのステップで優しくサポートを行います。
| お悩みの原因と状態 | 漢方的な見立て | 太陽堂の漢方アプローチ(働き) |
| 薬で胃が痛い・食欲がない 疲れやすく、体が重だるい | 胃腸の弱り(脾虚:ひきょ) 薬の負担やストレスで胃腸が弱り、気血を作り出す力が低下している状態。 | 【胃腸を整え、栄養を補う漢方】 まずは弱った胃腸(脾)を優しくいたわり、消化吸収の力を高めて、痛みを和らげるための「血」を補います。 |
| 冷えると痛みが強くなる 慢性の腰痛や関節痛がある | 冷えと血の滞り(寒湿・瘀血) 体が芯から冷え、血流が滞って筋肉や関節が強張っている状態。 | 【体を温め、血流を促す漢方】 胃腸に負担をかけない生薬で体を芯から温め、滞った血をスムーズに流して重だるい痛みをマイルドにします。 |
| 痛みのストレスで気が張る 痛む場所があちこち移動する | 気と神経の高ぶり(気滞:きたい) 長引く痛みや薬への不安から自律神経が乱れ、痛みに過敏になっている状態。 | 【気を巡らせ、リラックスを促す漢方】 張り詰めた神経をフワッと緩め、痛みへの過剰な反応を穏やかに鎮めるサポートをします。 |
【薬剤師 前原の視点】
いきなり痛み止めをやめる必要はありません。徐々に減らしていきましょう
「漢方を始めたら、明日から痛み止めは一切飲んではいけませんか?」とご不安に思われる方もいらっしゃいますが、決して無理に我慢する必要はありません。急にお薬をやめるストレスは、かえって痛みを悪化させてしまいます。
調剤薬局での経験からも、お薬の減薬は「計画的に少しずつ」が基本です。まずは今の痛み止めと漢方薬を併用しながら、胃腸を整え、血流を良くしていきます。体質が整ってくると「あれ?今日は痛くないから、お薬を1回減らせそう」という日が自然と増えてきます。
ご自身のペースで、ゆっくりとお薬を手放す準備をしていきましょう。
「ロキソニンで胃が痛い」と漢方に関するよくあるご質問(FAQ)
漢方薬自体で、胃が痛くなったり荒れたりすることはありませんか?
漢方薬は自然の生薬から作られており、胃腸に優しいものが多くあります。
ただし、体質に合っていない漢方(例えば、冷え性で胃腸が弱い方に、熱を強く冷ます漢方を使うなど)を飲むと、胃がもたれることがあります。
太陽堂では、専門の薬剤師があなたのご体質や胃腸の強さをしっかりと見極め、あなたに合ったオーダーメイドの漢方をご提案いたします。
今飲んでいる痛み止めや胃薬と一緒に漢方を飲んでも平気ですか?
はい、基本的には併用可能です。
病院のお薬で今の辛さをコントロールしながら、漢方薬で「根本的な血流や胃腸の働き」を整えるアプローチは非常に有効です。
お薬手帳などをお持ちいただければ、安全に配慮して飲み合わせをしっかりと確認いたします。
痛み止めを頻繁に飲みすぎて、逆に頭痛がするようになってきました。
それは「薬剤性頭痛(薬物乱用頭痛)」のサインかもしれません。
頭痛薬などを長期間飲み続けると、脳が痛みに敏感になり、かえって頭痛を引き起こしやすくなります。この場合も、漢方で体質から整え、少しずつお薬を減らしていくサポートが可能です。
空腹時に痛み止めを飲んでしまう癖があります。まずいでしょうか?
胃への負担は大きくなりやすいので、できるだけ避けたい習慣です。
何かを少しでも口にしてから飲むのが基本とされています。飲み方については処方医やかかりつけの薬剤師にご相談ください。そのうえで、「空腹でも飲まざるを得ないほど痛みが頻繁に来る」こと自体が体からのサインです。痛みの回数を減らす体づくりを、漢方でお手伝いできます。
カロナールに替えれば、胃は荒れませんか?
胃への負担は比較的少ないとされますが、「解決」とは少し違います。
お薬の変更は処方医の先生とご相談ください。ただ、種類を替えても「痛み止めが手放せない状態」はそのままです。痛みの起きにくい体質へ整えることと、お薬の工夫を両輪で進めるのがおすすめです。
「痛み止めが手放せない」背景別に、こちらのページもどうぞ。
すでに胃の痛みが強い方へ。
頭痛薬が手放せず、かえって頭痛が増えている方へ。
毎月の生理痛でロキソニンを常用している方へ。
まとめ:胃薬のいらない、穏やかで巡る体を取り戻すために
「痛みを取るか、胃の健康を取るか」
そんな過酷な二択を、これ以上ご自身に強いる必要はありません。
東洋医学には、胃腸を優しくいたわりながら、全身の血流を温かく巡らせ、痛みにくい体へと育てていく素晴らしい知恵があります。
「痛み止めを手放したい」「お薬の副作用から解放されたい」と願う方は、ぜひ一度、太陽堂の漢方相談をご利用ください。
太陽堂では、痛みの出ている「場所」や「病名」に合わせて、さらに専門的なアプローチを行っております。ご自身の症状に当てはまるページをぜひご覧ください。
関係性の深い病気;ご相談も多数いただいております。
ご自身の状態に近いものを下の表から選んで、詳しいページをご覧ください。
| こんな方は | 病気・記事 | 詳しいページ |
| 頭痛薬を頻繁に飲んでいて、かえって頭痛が増えている | 薬剤性頭痛(薬物乱用頭痛) | 👉 薬剤性頭痛でお悩みの方へ |
| 慢性的な首・肩の張りで、痛み止めや湿布が手放せない | 肩こり・肩の痛み | 👉 肩こりでお悩みの方へ |
| お尻から足にかけてのしびれ・痛みで痛み止めを飲み続けている | 坐骨神経痛 | 👉 坐骨神経痛でお悩みの方へ |
| 腰のヘルニアと診断され、鎮痛剤で様子を見ている | 腰椎椎間板ヘルニア | 👉 腰椎椎間板ヘルニアでお悩みの方へ |
太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
太陽堂がはじめての方へ
ご相談を考え始めた方は、まずこちらをどうぞ。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 椙田 彩純

担当疾患;循環器、身体の痛み
臨床検査技師の両親の影響で、幼い頃から医療に関心を持つ。
大学卒業後、病院薬剤師として勤務。
対症療法が中心の現場で、繰り返す入退院や長期投薬を目の当たりにし、「もっと力になれる方法はないか」と模索する中で漢方と出会う。
現在は漢方の持つ幅広さと可能性に魅了され、一人ひとりの体質に寄り添った根本改善を追求している。















