
「夜や暗い場所に入ると、周りが極端に見えにくくなってきた」
「視界の上下や周りから、少しずつ視野が狭くなってきている気がして怖い」
「病院では『進行を止める決め手となる治療法はない』と言われて、将来が不安でたまらない」
網膜色素変性症(もうまくしきそへんせいしょう)は、網膜の光を感じる細胞が年齢よりも早く弱っていくことで、夜間の見えにくさ(夜盲:やもう)や視野の狭まりが少しずつ進行していく病気です。
太陽堂にも、「暗い場所が怖い」「視界が狭まってきて一人で歩くのが不安」という切実なご相談が数多く寄せられます。そして私たちが最初にお伝えしているのは、「この病気との向き合い方は、『今の見え方をこれ以上悪化させないこと』を何よりも第一に考える」ということです。
今回は、網膜色素変性症の西洋医学的なメカニズムと、「網膜の早すぎる老化」に対して身体の内側からブレーキをかける漢方の考え方について、薬剤師の視点から詳しく解説いたします。
【この記事の結論:「網膜色素変性症」に対する漢方の考え方】
- 病気の正体(原因): 西洋医学では遺伝的要因等により光を感じる視細胞が年齢よりも早く老化し働きを失う状態とされますが、漢方では「網膜の老化」を、生命力を蓄える「腎(じん)」の極度な弱り(腎虚)と考えます。
- 漢方の解決策: 西洋医学の定期検査や遮光眼鏡で目を保護しながら、漢方で「腎」を補い細胞の働きを支えることで、網膜の老化スピードに内側からブレーキをかけ、「今の見え方をこれ以上進行させない」ための土台を作ります。
- 対象となる主な疾患・お悩み: 網膜色素変性症、夜盲(暗い場所での見えにくさ)、視野狭窄(視野の狭まりが気になる方)、有効な治療法がないと言われ不安な方
網膜色素変性症そのものの基本的な解説と症例は、網膜色素変性症の専門ページにまとめています。この記事では「これ以上進行させない」ための考え方と取り組みに絞ってお話しします。
網膜色素変性症とは?西洋医学的なメカニズムと病院での対応
私たちの目の奥にある「網膜」には、光を感知するための2種類の重要な細胞(視細胞)が存在します。
- 杆体(かんたい)細胞: 暗い場所でわずかな光を感じ取り、視野の広さを支える細胞です(網膜の周辺部に多い)。
- 錐体(すいたい)細胞: 明るい場所で視力と色の識別を支える細胞です(網膜の中心部に多い)。
網膜色素変性症では、これらの視細胞が年齢よりも著しく早いスピードで老化・変性していきます。多くの場合、先に弱りやすいのは「杆体細胞」であるため、最初の自覚症状は「夜や暗い場所での見えにくさ(夜盲)」から始まることが多く、進行するにつれて視野が周辺から少しずつ狭まっていきます(視野狭窄)。
太陽堂にご相談に来られる方の夜盲は、大きく2つのタイプに分かれます。「最初は見えていたのに、年を重ねるごとに徐々に暗い場所が見えにくくなってきた」タイプと、「幼い頃から暗い場所が苦手で、大人になって顕著に見えにくくなってきた」タイプです。どちらのタイプでも、向き合い方の基本は同じです。
病院での検査と対応(西洋医学)
眼科では、眼底検査、視野検査、網膜電図(ERG)などを用いて診断と進行の評価が行われます。原因の約半数には遺伝子の変異が関わると言われていますが、親が発症していても子供が必ず発病するわけではありません。
現在の西洋医学において、網膜色素変性症の進行を完全に止める、あるいは回復させる決め手となる根本的な治療薬は確立されていません。そのため、以下のような対症療法・生活サポートが中心となります。
- 遮光眼鏡(医療用サングラス): まぶしさを和らげ、視細胞への光のダメージを軽減します。
- ビタミン剤・循環改善薬: 網膜の栄養状態を保つ目的で、ビタミンAや循環改善薬が処方されることがあります。
- ロービジョンケア: 見えにくさを補うためのルーペや生活環境の工夫を指導します。
西洋医学での対応が「進行の観察と生活のサポート」であるからこそ、身体の内側から網膜の老化にアプローチする漢方の体質ケアを組み合わせることに、大きな意義があります。
【比較表】西洋医学と漢方薬(太陽堂)のアプローチの違い
| 比較項目 | 西洋医学(病院の対応) | 漢方薬(太陽堂の体質ケア) |
| 主な目的 | 視野・視力検査による進行の客観的評価、生活の物理的サポート | 「腎」を補い細胞の働きを支え、網膜の老化スピードにブレーキをかける |
| 得意なこと | 進行の正確なデータ評価、遮光眼鏡や機器を用いたロービジョンケア | 進行させない体質づくり、目の疲れや夜間の見えにくさ等、日々の不調の緩和 |
| 代表的な手段 | 眼底検査、視野検査、遮光眼鏡、ビタミン剤処方、遺伝相談 | 腎虚を改善する漢方薬、細胞を活性化する漢方薬、ビジョントレーニングの併用 |
| お互いの関係性 | 進行を正確に見守り、現在の生活を支える「評価とサポートの柱」 | 網膜の老化に内側から抗い、進行を防ぐための「身体の側の土台」 |
【薬剤師コラム①】この病気の第一目標は「進行を止めること」です
担当薬剤師:前原
網膜色素変性症のご相談をお受けする際、「夜の外出が怖くなった」「視界が狭まってきて、いつか見えなくなってしまうのではないか」という、言葉に尽くせないほどの深い不安を皆様お持ちです。
そのお気持ちに真摯に向き合ううえで、太陽堂が一番大切にしている方針を最初にお伝えしています。それは、「まず、今の見え方をこれ以上悪化させないこと。進行を防ぐことを何よりも第一の目標にする」ということです。
東洋医学では、この病気を「網膜の早すぎる老化」と捉え、人間の成長と老化を司る「腎(じん)」のエネルギーを補うことを軸にケアを組み立てます。
失われた視細胞をすぐに甦らせることは難しくとも、ゆっくりと進む病気だからこそ、身体の側から「老化のブレーキ」をかける取り組みには、時間を味方につけられる大きな余地があります。長く付き合う病気ですので、決して焦らず、諦めず、定期検査の結果を一緒に見守りながら、じっくりと身体の土台を育てていきましょう。
漢方から見た網膜色素変性症——「腎」と「細胞」の2つの軸
太陽堂では、網膜色素変性症の体質ケアを大きく以下の「二本柱」で組み立てます。
① 「腎」の弱りを補い、老化のスピードに抗う(腎虚:じんきょ)
- 主な症状: 夜盲や視野狭窄に加えて、足腰のだるさ、全身の疲れやすさ、夜間頻尿、白髪や耳鳴りなど、身体全体の年齢変化を強く感じる。
- 漢方的見解: 東洋医学において「老化=腎の衰え(腎虚)」と捉えます。網膜の細胞が年齢よりも早く老化していくこの病気は、まさに生命力のタンクである「腎」の極度な弱りが目に現れた状態と考えます。
- アプローチ: 身体の根本的なエネルギーを補う「腎虚を改善する漢方薬」を中心とし、老化の進行スピードそのものに内側からブレーキをかけます。
② 弱った細胞の働きを根底から支える(細胞の活性化・血流改善)
- 主な症状: 暗い場所での極端な見えにくさ、視界の暗さ、激しい眼精疲労、肩こりや冷え。
- 漢方的見解: 視細胞が減少していても、まだ一生懸命に働いている細胞は必ず残っています。その残された細胞の周辺環境(血流・栄養供給)が悪化していると、見えにくさに拍車がかかります。
- アプローチ: 目の細い血管まで血流を促す「細胞を活性化する漢方薬」を併用し、残っている視細胞が最大限に働きやすい環境を作ります。
【薬剤師コラム②】ゆっくりの病気だからこそ「維持」に大きな価値があります
担当薬剤師:林
目のご相談すべてに共通してお伝えしている鉄則があります。それは、「目は『良くする』ことよりも、『これ以上悪化させない』ことが何より大事である」ということです。網膜色素変性症は、まさにこの考え方が最も当てはまる疾患です。
「維持」と聞くと、少し物足りなく感じてしまうかもしれません。ですが、少しずつ進行していくこの病気において、「1年後も、5年後も、今と同じように見えている」ということは、それ自体がとても大きな成果なのです。
定期的な眼科の視野検査で「進行していませんね」と確認できると、患者さまの不安は少しずつ確かな「手応え」へと変わっていきます。ご相談の際は、ぜひ視野検査の結果の紙をお持ちください。客観的なデータとともに、見え方の変化を確かめながら進んでいきましょう。
また、漢方薬を服用しながら、目の使い方や両目の連携を鍛える「ビジョントレーニング」を併用することで、目のケアの質をさらに高めることができます。遮光眼鏡などの西洋医学のサポートもフル活用し、使えるものはすべて使って、見える毎日を守っていきましょう。
【改善実例】太陽堂での体質改善エピソード
【網膜色素変性症】39歳(相談開始時)女性|4年かけて進行なく、視力も0.3から0.67へ向上
【ご相談時の状態】 目の不調から病院を受診し「網膜色素変性症」と診断されました。少しずつ視力が低下してきていることに加え、左目のぼやけ、夜盲(視界の暗さ)、視野の狭まりが強く気になり、「夕方以降は視界が暗くて歩くのが本当に怖い」と強い不安を抱えてご相談に来られました。
【太陽堂の提案】 網膜の早すぎる老化(腎虚)と、残存する視細胞の血流低下と見立て、①腎虚を根本から改善する漢方薬 ②細胞の働きを活性化させ血流を促す漢方薬 の2種類をご提案し、長期的なサポートを開始しました。
- 1年後: 視界が少し明るく感じられるようになり、夕方や夜に歩くときの恐怖感が和らいできました。
- 1年6ヶ月後: 視力が少し改善し、薄暗い地下街なども恐怖感なく歩けるようになりました。
- 2年6ヶ月後: 定期的な眼科検診にて、視力・視野ともに悪化は見られず、「病気は進行していない」と病院でも言われたとのことです。
- 4年後: 眼底検査で色素沈着の黒い部分が薄くなり、網膜の厚みも保たれていることが確認されました。視野の狭まりも少し改善し、当初「0.3」だった視力が「0.67」まで改善していたとのことでした。
※長い時間をかけてじっくり取り組まれた実例です。効果の感じ方や必要な期間には個人差があります。
今日からできる生活養生とビジョントレーニング
網膜の細胞を守るために、日々の生活で実践していただきたいセルフケアをご紹介します。
- 強い光(紫外線・ブルーライト)から目を徹底して守る: 強い光は視細胞に直接的なダメージを与え、老化を加速させます。日中の外出時は必ず「遮光眼鏡(医療用サングラス)」やつばの広い帽子を活用しましょう。
- ビジョントレーニングを取り入れる: 目を素早く動かす、動くものを目で追う、遠近のピントを合わせるなど、「目の動かし方」を鍛えるトレーニングです。漢方で血流を良くしながら行うことで、残っている視細胞の働きを最大限に引き出します。
- 「腎」を養う食材を毎日の食卓に: 黒ごま、黒豆、山芋、くるみ、ひじきなど、東洋医学で生命力(腎)を養うとされる黒色やネバネバした食材を積極的に摂りましょう。
- 緑黄色野菜と青魚で栄養補給: 網膜の抗酸化を助ける「ルテイン(ほうれん草やブロッコリー)」や、目の血流と細胞膜を保つ「DHA・EPA(青魚)」は、目の栄養の基本となります。
- 暗い場所での安全確保: 夜の外出時は足元を照らすペンライトを持ち歩く、家の中の段差に足元照明を設置するなど、転倒を防ぐ環境づくりも非常に大切な「目の保護ケア」です。
よくあるご質問(FAQ)
病院で「決め手となる治療法がない」と言われました。漢方薬で何ができますか?
「これ以上進行させない・今の見え方を維持する」ことを第一の目標に、身体の内側からブレーキをかけていきます。
東洋医学では、この病気を「網膜の早すぎる老化(腎虚)」と捉えます。不足している「腎」のエネルギーを補い、細胞の血流を支える漢方薬でケアを行うことで、実例のように年単位で進行を防ぎ、見え方の質を維持・向上できた方もいらっしゃいます。
病院で処方されたビタミン剤や、遮光眼鏡と併用しても良いですか?
はい、もちろん併用可能です。すべてを組み合わせるのが最も理想的です。
病院でのサポート(ビタミン剤の処方、遮光眼鏡、定期的な視野検査)はすべて継続しながら、漢方薬で身体の土台を整え、ビジョントレーニングで目の筋肉と働きを支えるのが最良のアプローチです。
家族に同じ病気の者がいます。子どもも必ず発病するのでしょうか?
必ず発病するわけではありません。
原因の約半数に遺伝子の変異が関わると言われていますが、遺伝形式は様々であり、親御さんがこの病気であってもお子さんが必ず発病するとは限りません。ご不安な場合は、専門病院での遺伝カウンセリング(遺伝相談)という窓口を活用することも一つの選択肢です。
どのくらいの期間、漢方薬を続ければ良いですか?
ゆっくり進む病気に対して、じっくりと向き合う「長期戦」になります。まずは半年〜1年を一つの区切りとお考えください。
日常的な目の疲れや、夜間の見えにくさ(暗順応)の変化を確かめながら、眼科での定期検査の結果を「今回も進行していない」と一つずつ積み重ねていくことが目標になります。実例の方のように、年単位でコツコツと取り組むことが維持への近道です。
まとめ|「進行させない」を第一に、時間を味方につけよう
網膜色素変性症は、長い時間をかけてゆっくりと進行していく病気です。だからこそ、「これ以上進行させないための取り組み」には、時間を味方につけられる大きな余地と希望があります。
- 眼科での定期検査と遮光眼鏡で、目を物理的に守る土台を固める
- 漢方薬で「腎」の力を補い、視細胞の血流を支えて老化にブレーキをかける
- ビジョントレーニングや食養生で、残された目の働きを安全に保ち続ける
この3つの柱を積み重ねることで、「1年後も、5年後も、今と同じように見えている」という何よりの成果を一緒に目指していきましょう。
「夜の見えにくさが少しずつ進んでいる気がして、将来が不安でたまらない」
「病院で様子見と言われたけれど、ただ待つだけでなく自分にできることを始めたい」
そんな深い不安を抱えている方は、どうぞ一人で抱え込まずにお気軽に太陽堂へご相談ください。
眼科での視野検査の結果などをご用意いただけると、より詳しくお話しできます。専門の薬剤師があなたの目と体質に優しく寄り添い、進行させないための体質づくりを全力でサポートいたします。
関連するお悩み別・次に読むページ
網膜色素変性症に関する詳しい情報は、以下の専門ページでもご紹介しております。
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太陽堂の特徴
”当薬局のHPをご覧いただき、ありがとうございます。
私たち太陽堂は「一人でも多くの方の笑顔を見る為に」という思いのもと開局しました。
漢方薬とお客様の出会いがお悩み、体質改善の一助になれれば幸いです。”
特徴その1.
当薬局では、お客様「ひとりひとりに合わせた漢方薬」をその場で調合いたします。
そのため初めてのご相談では、「約1時間~1時間半」ほど相談時間をいただいております。
(遠方のお客様や、お忙しいお客様へは配送の受付もしております。詳しくはお問合せください)
特徴その2.
お作りする漢方薬は、国内外から厳選した生薬の力を、余すことなくお客様に届けるため
「煎じ薬」をお勧めしております。
特徴その3.
当薬局は漢方専門の薬剤師が「得意とする専門分野」にわかれて日々研鑽しています。
お客様の健康を第一に考え、漢方の勉強会なども積極的に開催しております。
記事作成者 薬剤師 前原 信太郎

実績:伝統漢方研究会 2017年・2021年・2025年 学術発表
沖縄で開業医をしていた祖父と薬の話しをしていた事から薬剤師の道を目指すように。
調剤薬局の薬剤師として6年間勤務。
漢方の勉強をして、より患者さんの治療の選択肢の幅を広げたいという思いから「漢方の道」に。
調剤薬局も経験している為、西洋学の知識も勉強を積み今に至ります。
記事作成者 薬剤師 林 泰太郎

実績:伝統漢方研究会 2015~2017年・2019年・2020年・2022年・2025年 学術発表
調剤薬局で3年間勤め、西洋の薬だけでは治療が難しい病気の壁に直面。
・「治療の難しい病気をなんとか治したい。」
・「ひとりでも多くの患者さんを笑顔にしたい。」
という想いから漢方の道へ。
漢方薬局で3年間修業をして、2015年 『漢方薬局 太陽堂』を立ち上げ。
開局10年を迎えた今も1ヶ月の平均来局数は900名を超え、お客様にご愛顧いただいている太陽堂の漢方薬剤師です。















